通報がありました!
たいへんお待たせ致しました。
ついに最終章に突入です!!
今日は卒業式のリハーサル。
といっても、俺は卒業生で生徒会役員でもないので、本来なら特に何かする事無いはずだった。
卒業生代表の挨拶も、本来なら前生徒会長だったレイリアル殿下がする予定だった。
ところが1週間前になって、殿下が風邪をひいてしまった。
熱も無く、たいした事はないのだが『悪化して卒業式本番に出れなかったら一大事だ!』という事で、公爵令息にして殿下の従兄弟である俺がリハーサルの代役を務める事になった。
というのは表向きの理由。
実はここ暫く大人しくしていた、第一王子マリウス殿下(幽閉中)の元側近達に動きがあった。
我がチェイテス公爵家と問題を起こして国際指名手配中のファリップ達元側近が、王都近郊に潜伏している可能性が出て来たのだ。
情報提供者は前騎士団長。
嫡男だったブレッド(廃嫡)の所為で失脚してしまったが、前騎士団長は生真面目で面倒見の良い性格。
怪我等で騎士団を退団した者の再就職先の相談にのったりしていたので、今でも彼を慕う者は多いそうだ。
そんな彼だからこそ『ブレッドとその仲間と思われる者達が国内に侵入している可能性が高い。』という情報を得られた。
知らせてくれたのは、前騎士団長が再就職先を世話した騎士だった。
故郷の町の門で事務仕事をしていたさい、ブレッド達を見かけたそうだ。
室内に居た為、向こうは気がついていなかったが彼はブレッドがまだまともだった頃、剣の指導や勉強を教えていた事があったので、見間違えという事は無いと断言している。
それだけならまだ確信が無かったのだが、政商ヘンドラー商会の商会長タミアス・ヘンドラーからも同じ様に娘のシャーリーの元婚約者のモーダが『ヘンドラー商会から独立した商会に怪しい取り引きを持ち掛けて来た!』という緊急通報が入った。
その商会はモーダが追い出された後、長年勤めていた従業員が独立して、最近作った商会だった為、気づかなかったらしい。
『とりあえず保留にしてあるので、早急にこちらの指示を仰ぎたい。』と言って来たのだ。
そのまま断って、居場所がわからなくなってしまうと厄介になると思い急ぎ報告してくれたという。
卒業間際になって、またとんでもない事になって来たなぁ……
おそらくレイリアル殿下のお命を狙っているのだろう。
もしここで、それが成功したとしてもマリウスに王位継承権が回って来る事はかなり難しい。
何しろマリウスは王位継承権を剥奪されているのだ。
継承権は今のところレイリアル殿下が1位。
その次に第三王子~第六王子、王弟であるチェイテス公爵(ネイサンの父親)、俺と続きその下にも更に20人以上継承権を持つ者がいる。
マリウスが王位継承する為には、30人以上の者を廃さなければならない。
奇跡でも起きないと無理だろう。
だからフィリップ達は今回継承権を持つ者が大勢集まる、学院の卒業パーティーを狙っているのだ。
という訳で、一番狙われているレイリアル殿下の代わりを俺が務める事になった。
俺が選ばれた理由は、背格好が似ているのと、最高神ヤータ様の加護が有るから……
そして今、俺の所にはフィリップ達が知らない素晴らしい能力を持った蓮中が滞在しているのだ。
イタズラ好きな彼らがこの気を逃すはずも無く、ノリノリで協力してくれる事になった。
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※1
脳筋過ぎて授業に付いて行けず、面倒見の良かった彼が一時期勉強を教えていた。
※2
政商とは、政府つまり政治家(政治)や官僚(行政)とのコネにより、優位に事業を進めた事業家、あるいは企業グループのこと。
江戸時代には、御用商人と呼ばれた。
※3
ヘンドラー商会商会長、タミアス・ヘンドラーの娘。
モーダと婚約していたが、マリウスの婚約者だった公爵令嬢ローラと共にユイナーダ学園に留学。
学園卒業後、ポーラルタオ学院卒業パーティーにおいて冤罪による婚約破棄に巻き込まれる。
婚約破棄後、ハインツに嫁いだローラの専属メイドとして付いて行く。
その後、ハインツの伯爵家と実家ライブラ公爵家に出入りしていた、ユイナーダ王国の大商会の嫡男に見染められて嫁いでいった。
※4
マリウスの元側近。
平民出身だが、その頭の良さを認められ、婚約者シャーリーの実家ヘンドラー商会の後ろ盾で側近まで成り上がった。
しかし、自称ヒロインのアリスに攻略されてシャーリーと婚約破棄してしまい、後ろ盾を無くして一気に人生の坂道を転がり落ちた人。




