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第八十七話 ぼっち妖魔は解説をする


 「・・・お久しぶりです、ダナンさん、

 冒険者ギルドで何度かお見掛けしてましたけど、お話しするのはおひさでしたね、

 今日は、わざわざあたしの送別会に来てくれてありがとうございます。」


 「あ、うん、こっちも今まで挨拶できなくてごめんよ、

 この一か月に二回も医療ギルドの採集依頼こなしてくれて、凄い助かった。

 何度も、直接お礼を言わなきゃって思ってたんだけど、

 お互い忙しそうで・・・。」

 「こっちも探索クエストがいろいろ舞いこんじゃってまして・・・。

 装備品のメンテナンスや、身の回り品の補充とか、結構一人でやろうとすると、手間なんですよね。

 臨時パーティーの人たちにはそこまで頼れませんし。」


 「それでも凄い依頼達成率だってね、

 さっきケーニッヒさんに聞いたけど、探索レベルだけなら、いつでもDランクに昇格できる実績だって言ってたよ。」



戦闘能力ないですからね、あたしは。

まぁ、召喚術を使えばそこそこ戦えるんですけど、

どうしても術の発動なども、魔術士の初級攻撃呪文より遅いとなると、

ソロで冒険は不可能と言われている。

まぁ社交辞令はここまでとしましょう。

 「この村を出る最後にお話しできて良かったですよ、

 お世話になりました・・・。」


そこであたしはダナンさんの顔を見上げる。

この後、話をどう切り替えるか悩み中だったのだけど、

ダナンさんの表情に違和感があった。

彼も何か、次に何を喋ろうか考え中、みたいな・・・。


そう思ってたら先にダナンさんの方が口を開いた。

 「あ、あのさ、麻衣ちゃん。」

 「はい?」

 「あ、あとで時間もらえないかな?

 ここじゃ人が多すぎて、ゆっくり話し出来なくて・・・。」



はい?


 向こうから話振ってきた?

 もしかしてあたしの今回の予知は、

 自分で行動選択できるものでなく不可避のイベントだった?



いや、まだ避けることは出来る。

あたしがこの話を拒否するとか、待ち合わせをすっぽかすとか、選択の余地は残されている。

ど、どうしましょう・・・。


いや、待て、まだそうと決まったわけじゃない・・・。

 「あ、え、・・・え、と・・・いったい何のお話・・・。」


あたしの反応はおかしなことじゃないと思う。

でも、ダナンさんにはそれが意外なことだったようで、

途端に慌てふためき始め、その理由をいきなりここで考え付かなければいけないという、

分かり易い態度でようやく口を開いた。

 「あ、あ、そ、そうだよね、

 あの、あの、

 こないだの・・・打ち上げの時、ぼ、ぼく、何かとんでもないことしちゃったみたいだろ?

 誰に聞いても教えてくれなくて!!

 もしかして他に人のいるところだとダメなのかなって・・・、

 だから、悪いけど、ちょこっと誰もいないところで教えてくれないかと・・・!」


ん?

・・・あ、あー、あの時のか、

なんだあ、その件か・・・

でも、状況が出来る事には変わりない・・・よね。

まぁここでバラしても全く気にもならないけど。


 「そ、それに・・・。」


あとそれに?

 

 「ほ、他にも、き、気になることがあって。」

 「他と言いますと?」


全く心当たりがない、なんだろう?


するとダナンさんは一度、周りを見回した。

まるであたし達の会話に聞き耳している人がいないか確かめるかのように。


 「ここでは・・・いや、頭おかしいのかって思われるかもしんないけど・・・。」

 「はい?」

 「ゆ、夢を見たんだ・・・き、君と、その・・・二人っきりで・・・!」




・・・・・・・。

うわお。


どうすべぇ・・・?


 


ここであたしの予知能力についておさらいしましょう。

これは、あくまでもあたしの場合であって、

他の人にも適用されるのかどうかはわかりません。


あたしの予知能力は、どちらかというと遠隔透視よりかは不安定で、

自分で知りたいこと、見たいことが分かるわけではありません。

予知夢についてもそうだけど、

ふっといきなりその光景が湧いてきます。

だいたいは生死にかかわるような大きな事案だとか、

それか、後から考えると衝撃的な事件であった場合など、事前に先触れみたいな感じとして覚知するわけです。


そして予知というものは、

絶対にその通りになるのかと言えば、そんなことはありません。

また、絶対に避けることができるか、というとそれも違います。


単に一つの出来事が頭の中に浮かび上がる


言ってしまうとただそれだけの話なのです。


こう考えてみてください。


例えば、

あたしがある場所で、ある車とぶつかる予知をしたとします。


その予知では時間はわかりませんが、明るかったんで昼間だと判断します。


ならば、明るい時間帯の内に、

車が通るような場所に近づかない、

街並みの景色に心当たりがあれば、その場所に近づかない。


それで予知は回避できます。

後程ニュースでその場所で交通事故があったと話を聞けば、

あたしの予知能力は正確に働いていたんだなと、検証することも出来ます。


え? 事故を起こした人に事前に注意しに行く?


そこまでは責任持ちません。

もともと自分の身を守るだけの能力と伝えられていますので。


では次のシチュエーション。


予知で見た光景は先と何も変わらない。


違うのは、その車の運転手が、

あたしに恨みを持っていて、明確な殺意をもって襲ってきた場合。



その場合、あたしが車とぶつかりそうな場所や時間を避けたとしても、

その車は、他の場所で、或いは夜になって、

あたしを見つけ次第、車で轢き殺そうとしてくるかもしれないのです。


これはあたしが予知を覚知して、その結果をあたしが変えようとしたという話なのですが、

変な言い方ですけど、

あたしが変えてしまった未来の先の話は、予知能力さんにはその後の結果に対して何の責任もありませんよ、

という話なんだと思う。


なお、逆にあたしが殺意も関係も何もない、ただの予知しただけの車の事故を、

意図的に避けて、別の場所で、これまた全く関係ない別の車に襲われるという事はないと言い切れます。


たまに運命不可避系のお話であるでしょう。

何時何分に死ぬことが決まっていて、ある死因を避けても、他の原因で死ぬとか言うの。

ああいうことはありません。

まぁ本当にただの偶然でそう言う事が起こるかもしれませんが。


ついでにこういう話もします。


明日の晩に、隕石が降ってきて、日本壊滅という予知をしたとします。

これはもう、どうにもなりませんね。

いそいでパスポート作って・・・え? 間に合わない?

なら命に代えられないから、船でできるだけ遠くの国に密航する?

それでも隕石衝突の被害で津波やらなんやらで死んじゃうかもしれませんね。


これが、ねぇ、例えば400年後の未来なら、地球上の核兵器を集めて、来たる隕石に向けて・・・って何の話でしたっけ。


いえいえ、本当に何の話かわかりませんよ、

ついつい口から出ちゃっただけです。

パキヤ村地下神殿壁画?

オリオン赤色超巨星?

月面秘密基地?


何のことだかさっぱりです。

 


おなじみのネタバレです。


他の物語で「オリオン」とか、出したのは本当に偶然です。

もちろんネタ元はありましたが、

その時代に、

現在明らかになっている事態はニュースになってませんでしたし。


また、あくまでファンタジーなので、

現実の出来事が私の物語の通りになるとは限りません・・・よね?


地球、滅亡しません、よね?

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