表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/748

第八十二話 メリーさんの出番

ぶっくま、ありがとうございます!


・・・昨日、話数間違えてた・・・こっそり修正。


 「銀の閃光、出撃!!」


オレは叫んだよ!

その声とほぼ同時に馬車の中にいた仲間、全員戦闘態勢に入る。

だが虎のおっさんに動揺は見られない。

 「ハハッ、冒険者かお前ら、

 だが、みんなヒョロヒョロしてて全く強そうじゃねーなぁ?

 こりゃ、苦労せずに稼げそうだぜ!」


そりゃ、オレらはアタッカーじゃないからな!

しかし人数的にちょっとヤバいな、

負けるとは思えないが、今回のオレらの仕事は商人さん達の護衛。

一人ずつ足止めしたとしても、抜けた奴らが商人さん達に襲い掛かる危険性を排除できない。

いや、そこはテラシアさんにお願いしようか・・・と思ったらそのテラシアさんから大声が!


 「バレッサ! 壁を作りな!

 ストライドたちは壁の陰から攻撃だ!!」

 「はい! テラシアさん!!」


えっ、壁って!?

だがテラシアさんの作戦はすぐにわかった!

バレッサちゃんのファイアーウォール!

 「『燃え盛る炎よ! 我が眼前に大いなる壁を作り給え! ファイアーウォール!!』


バレッサちゃんを中心に扇形の炎の壁が吹きあがる!

 「おお!? なんだ、魔術士か!?」

さすがに慌て始める追い剥ぎども!

そしてオレらはその壁の中から投げナイフだ!!

 「グアッ!?」

 「ぎゃあっ!!」

 「ひぃっ!」


炎に驚いて動けなかったのが敗因だな!

戦闘不能とまではいかないが、攻撃力や機動力を奪ったのは間違いねーぜ!


 「ぎゃうっ!?」

炎や仲間の悲鳴に気を取られた隙に、更なる弓矢使いのゼフィちゃんが、確実に二人の追い剥ぎを戦闘不能に。

太腿貫かれたら、もう派手な戦闘はできねーだろう!

そこでオレらは散開!

一人一体、確実に攻撃力を削いでいくぜ!!


見たかよ、

とでも言いそうな顔の獣人ジルに、相手をしていた追い剥ぎの頭目が悔しそうな声をあげる。

 「こっ、小癪なぁ! この愛玩動物風情がっ!!」

おいおい、同じ獣人同士見下すのはやめろよ、

そんなんだから差別は一向になくならないんだよっ!


追い剥ぎの中にも弓を使うやつがいるが、

馬車を守るテラシアさんや、他の女の子たちが危なげなく矢を叩き落してる。

 「ほいよっ!」

そしてそんな事をしている間に、背の低い俺は三下っぽいイタチ型獣人の足を切り裂いて、弱体化させる。

おら、弓使い、次はお前だ!!


いつの間にか、追い剥ぎどもでまだ戦えるのは3人だけとなる。

うち二人は、サムソンやヒューズたちでなんとかなるだろう、

問題はジルが相手している虎型獣人か。

手負いではあるが、まだ激しい攻撃力は健在で、

素早さに優れたジルがなんとか対処しているが、パワーは明らかに敵の方が上だ。

一撃でも喰らえば、ジルが不利だ。

 「ワーハッハッハー!!

 猫の分際で虎に勝てると思ったかよ!!」


おっと、やべーか、ジル今行くぞ!

あとちょっと持ちこたえてくれ!?

だが、オレの見通しは甘かった!

オレがジルのところへダッシュした時、追い剥ぎの虎リーダーはジルの腕を弾き飛ばして、

上段から強力な腕力で大ナタを振りかざしたのだった!

間に合わねぇ!!


けれど・・・




 「私メリー、

 いま、あなたの足元にいるの・・・。」


虎型獣人の動きがぴたりと止まる。


えっ? メリーさん・・・足元!?

オレの角度からじゃ、メリーさんの姿は虎獣人のカラダに隠れて見ることができない。

だが、奴は見たのだろう。

ていうか奴が見たのは自分の足首!?


あっ!?

虎獣人の両足首を何かがガッチリ握りしめている。

あ、いたわ、メリーさん。

虎獣人が大ナタを振り下ろそうとする直前で両足首抑えたのか。

アレはいきなり捕まえられたら、力で強引に外すことは出来ないな。


そして次の反応は・・・


 「うわあああああっ!?

 なんだ、この人形はああああっ!?」


そうなるよな?

 「私メリー・・・。

 呪われているの。」


 「しゃべったぁぁぁぁぁっっ!?」


 


そりゃ、いきなり出てきたら、ビビるよな、

てかメリーさん、呪われてるって・・・。

見るとメリーさん、うつ伏せになったまま、顔だけ見上げて・・・あ、その角度、人間の女性には無理だから。

そして前に倣えでもするように両腕を突き出して足首捕まえてる・・・。


 「もらったっ!」

 「グオッ!?」

お! そのタイミングでジルが虎型獣人の腕を切り裂いた!

ついでに太腿も!


まだ抵抗は可能だろうが、勝機はもうないぞ!!


 「よぉし、勝負ありだな!!」

ここで満を持してテラシアさん登場!

格好いいねぇ。


 「うっ!? その燃えるような赤い髪にバスタードソード!

 まさか『苛烈なる戦乙女』のテラシア!?」

 「おやおや、あんたもご存知かい、

 で、どうする? あたしが出てきたら死人が出るけど?」

 「ち、ちくしょう、なんてことだ、

 今までうまくやれてたのに・・・!」


だからなんで犯罪行為がいつもうまくやれると思うんだよ?

 

とりあえず、全員ふん捕まえて無力化完了。

あと、こっからなんだけど・・・。

 「ロイドさん、どうします?」

 「いやいや、みなさまご無事で何より、

 そうですなぁ、このまま次の街まで連行すれば報奨金が出るとは思いますが、

 馬車に乗せるわけにもいきませんし、徒歩で連れて行ったら旅が遅れます。」


 「じゃあ皆殺し?」

メリーさん、怖えよ!!

捕まえた追い剥ぎたちが恐怖で慄いてるよ!!

 「な、な、なんだよ、その人形はぁ!?」


うーん、あんまり広めない方がいいと思うんだけどなぁ。

でもメリーさん、気にしない?

 「呪いの人形。」

そこはアピールするんだ。

実はメリーさん、その設定好きでしょ?


テラシアさんが珍しく愉快そうに笑う。

 「お前ら、良かったな、

 この人形は、犯罪者の罪の深さによって、そいつをバラバラに斬り刻むんだそうだ。

 お前らは一般人を殺すことまではしなかったんだって?

 だから、足首掴まれただけで済んだんだよ。」


めっちゃ怖いよね、いきなりそんなこと言われても。

まぁでも脅しにはなるか。

 「てことは、ここで放免しちゃいます?

 仮にまた何かやったら、メリーさんが鎌を振り回して襲いに来るようだし。」

適当に話合わせておくか。

うん、それがいい。

テラシアさんも同意してくれたみたいだ。

 「あ、言っとくけど、この人形、匂いも気配も感じさせずにお前らの背後に回れるからな、

 もちろん、暗闇でも襲い掛かることも出来る。

 一度、目をつけられたら逃げられないと思え。」


獣人の皆さん、全員、尻尾を股に挟んでブルブル震えてる。

自分より強いものは本能的にわかるのかもしれないな。

 

 「じゃあ、動けるものはさっさと丸太かたして!

 そしたら後は自首するんだぞ!」


どうやら無事に切り抜けたようだぞ、

まぁこいつらが素直に自首するかどうかはどうでもいい。

メリーさんもそこまで介入する案件でもない。

あの人はあくまで人の恨みや憎しみに反応するんだろう。

このまま追い剥ぎどもが逃げても、何処か他所の土地で同じような犯罪行為に手を染めても、今までと同じようなレベルなら何もしないというわけだ。


ま、それこそ自警団やオレら冒険者の仕事だろ。

メリーさんの手を煩わせるほどのもんじゃないよな。


・・・ん?

そこでオレは一つ引っ掛かった。




じゃあ、メリーさんがこの世界ですべきことって何なんだ?

こないだみたいに人に仇為す魔物どもの制圧?

でも確かにあの事件は印象強かったけど、あの事件自体、冒険者や兵隊たちが駆除すべきもんだよな?

それとも何か?

冒険者や国の兵隊でもどうにもならない魔物とかでも出るのだろうか?



ここに来るまでの馬車の中で、

メリーさんが向かうグリフィス公国に、異世界からの転移者が現れたって話は聞いたけど・・・

メリーさんもその転移者も・・・勇者ではないんだよね。

て、ことは魔王が生まれるという訳でもないんだろうに。


オレは自分の妄想に、ちょっと背筋が寒くなった・・・。

いや、気のせいだ。

どっちにしろ、メリーさんをグリフィス公国に届けたら、それでオレらの仕事はひとまず終わる。

もちろん帰り道も仕事だが、その時にはメリーさんはもういない。

後は、せめてハーケルンに戻って、時々、死神の鎌を持って夜の街を彷徨い歩く、自動人形の怖いお話を愉しみにしていればいいだけだ。


だけど、ここで気を抜いてはいけなかった。


 「ぎゃあああああああっ!?」




「それ」は突然やってきた!!


次回・・・

「人造不定形生物」襲来!!


皆様ご存知の彼女が、ついに主人公たちに接近!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
表紙
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ