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第七十八話 「銀の閃光」出動!!

前回、キャスリオンの視点でちょっとおかしなとこを発見したので、文章微妙に修正しました。

気づかれてなければそのまま気せずスルーして下さい。


今回からは

「銀の閃光」リーダー、ストライド視点です。


 「えっ? 指名依頼?

 Dランクのオレたちにか!?」


 「あ、はい、ただ、今回は強制力はありません、

 『銀の閃光』の皆様さえよろしければ是非に、という我々ギルドからの依頼です。」

 「あー、まぁ強制じゃなければ文句はないけど、依頼内容は?」

 「グリフィス公国までの隊商の護衛です。

 トラブルがなければ馬車で片道3週間を見てますので、

 往復で50日くらいの期間を設けてます。

 もちろん、隊商の方々の目的を全て終えて、早めに戻られた場合、その時点で契約終了です。」


くあーっ!

護衛かぁ。

オレらはこないだまでEランクだったからなぁ、

それこそ安全なお使い程度の護衛しかやったことないんだよな。

まぁでも隊商の護衛、しかも隣国にと言うなら主要街道を外れることはない。

そんなところに強力なモンスターなんて滅多に出ないから、

警戒すべきは山賊や犯罪者の襲撃くらいか。

ならオレらでもなんとかなるか。

 「隊商の規模は? 呼びかけたのはオレたちだけかい?」

 「あっ、ちょっと待っててくださいね、えーと。」


受付のアマリス嬢は普通にかわいいんだけど、ちょっと抜けてる所がある。

普通に会話するぐらいなら、それも女の子のかわいげと受け止めてあげたいところなんだけど、オレらの場合、命のやり取りに関わってくるから気が抜けない。

ま、そんな事でイラついたりガミガミ文句言うつもりはないけどね。

足りないところはこっちで気を付けてればいい話だ。


 「あっ、お待たせしました、

 個人商店や小規模商人、三者合同の隊商です。

 それと、ストライド様達『銀の閃光』以外にもう一つ他のパーティーにも声を掛けさせていただいてます。」

 「へぇー、どこよ?」

 「『苛烈なる戦乙女』のパーティーですね。」


 「っと!?

 オレらと同時期にDランクにランクアップしたパーティーっ!

 ・・・て突っ込みどこはそこじゃねーな?」

 「あ、ご、ご不満でしたか・・・!?」

 「あっ、いやいや、不満はねーよ?

 むしろ大歓迎!

 ただ、あの人たち、どっちかっていうと魔物討伐メインで名前売ってきたから、

 護衛なんて珍しいなと思ってさ。」


そう、不満なんか全くない!

なにせ向こうは女性だけの華やかなパーティーだ。

そしてこちらは逆に男性だけのパーティー。

冒険者ギルドでお見合いでも斡旋しはじめたのかと思う組み合わせだ。

まぁ、実際女には不自由してないが、

それは彼女達を敬遠する理由にはならない。

むしろ女性とはいくらお近づきになる機会が増えても困ることはない!

そして、前回のゴブリン討伐事件でも一緒に行動したんだ。

これは期待が高まる!!

 「引き受けるぜ!!」

 「ああ、それはありがとうございます!

 ではこちら依頼書になります。

 出発は明日の朝9時です。

 依頼書にも記載していますが、ご確認の上、サインをお願いします。」



ほいほいっと。


依頼内容、条件、達成報奨金、同行メンバー、

全て不満はない。


だがオレは後で気付く。

騙されたと!!

アマリスてめぇぇぇっ!!

いつかヒィヒィ言わしてやるからなぁぁっ!?




当日の朝が来た。

さすがに商人たちは既に集合し終わっていて、自分たちの荷物のチェックを行っている。

こっちには時間にルーズな猫型獣人のジルのせいで、余裕をもってとまでは行かなかったが、何とかケツを叩いて時間には間に合った。

それぞれ商人の代表たちに挨拶を済ませると、

オレは次に「苛烈なる戦乙女」のメンバーたちに笑顔を向ける。

 「やぁやぁ、テラシアさん、お久しぶりですねぇ、

 今回もよろしくお願いします。」


豊かな胸を抱えるように腕を組み、バスタードソードを腰に提げる彼女はとてもかっこいい。

そしてエロい。

ホビットのオレより身長も高く筋肉質の彼女は、正直恋愛対象とまではいかないが、

一夜限りの関係を持つだけなら積極的に仲良くなりたいところでもある。

とはいえ、「苛烈なる戦乙女」はもっとオレに年も近く、落としやすそうな子もいるからな、

無謀な突撃をかます必要もない。


 「・・・ああ、『銀の閃光』かい、

 よろしく頼むよ・・・。」


素っ気ないなぁ、まぁ、それが彼女なんだろうけど。



それぞれ挨拶が終わったところで、

仲介者である冒険者ギルドの方から説明が・・・って

あれ? ギルドマスターのキャスリオンさんじゃねーか!?

遠距離とはいえ、こんな小規模の護衛任務にギルマスがわざわざ?


 「みなさん、おはようございます。

 隊商の皆様方は、冒険者ギルドの護衛を伴うのは初めてではないでしょうが、

 今回、Dランクに昇格したばかりの2チームが随行いたしますので、私の方から改めて説明いたしますね。

 ご存知とは思いますが、今回の2チームは、先日ゴブリン討伐戦で功績をあげたチームです。

 シーフを中心とする『銀の閃光』は広域の探査や警戒に優れ、

 『苛烈なる戦乙女』はリーダーの圧倒的な攻撃力と、遠方への魔術攻撃も有しています。

 長期の旅となりますが、ご安心を保証できる構成です。」


おお、そこまで言われると照れるぜ・・・。

確かにオレらはシーフ中心なんで、防衛任務とか魔物討伐は今一つなんだけど、

攻撃力高いチームと組ませてもらえるなら、最高のパフォーマンスを見せてやれる。


そこでギルマスはオレたちの方を見た。

 「そして冒険者の皆様は、スケジュールや中継地、宿の選定などは、

依頼主の方々に従ってください。

 隊商の方々で意見が分かれた場合は、商人ギルドで格付けの高いロイド様のご意見を優先するように取り決めています。

 道中の休憩場所など、山賊などの襲撃を警戒するための助言は勿論、していただいて結構です。」


そこから先はオレらとテラシアさんたちで直接、行程の詳細を詰めていった。

簡単に言うと、馬車は3台なので、6人いるオレら「銀の閃光」で二人づつ馬車に乗り、

一人が御者の後ろで警戒業務、一人が馬車の中、それを一時間交代で行う。

「苛烈なる戦乙女」は3列の馬車の真ん中にテラシアさん、

残りの2台に2人づつ、詰めることになった。

先頭に魔法が使えるエルフのバレッサちゃん、

最後尾に弓を使うヒューマンのゼフィちゃんが遠距離攻撃も担当する。


オレらは・・・えーっと、

よし! 「銀の閃光」全員集合!!

秘密会議だ!!

 「どうするよ、真ん中誰行く!?」

 「そりゃリーダー同士、ストライドは確定だろ!?」

 「ちょ、待てよ、確かにテラシアさん、美味しそうだけどよ、

 バレッサちゃんも初々しくて捨てがたいんだよなぁ。」

 「待て待て!

 オレこないだ彼女とちょっと、その・・・何回か会話してそこそこ話せる仲になってるんだよ、

 オレ先頭に行かせてくれよ!」

 「ああ!? サムソンてめぇ、なに抜け駆けしてんだよ!?」


なんてことだ、

初っ端からこんな厄介な問題が起きるなんて・・・。

果たして、これをどう切り抜けるべきか、リーダーのオレが頭を悩ましていると、

オレの視界に看過できない光景が飛び込んできた。


 「・・・あれ?

 サブマスターのアルデヒトが・・・なんだ?

 大きな木箱抱えて・・・。」


見ると、冒険者ギルドの扉を開けてアルデヒトが肩に担いでいたのは、人一人が入りそうな木箱だった。

それを真ん中の馬車の荷台に積んでいる。

おかしいな?

食糧なんてものは自前で賄うもので、依頼によっては商人がご馳走してくれる場合もあるが、

今回の契約ではそれはない。

 

すると、後から扉を開けて、フードを被った小柄な人間がアルデヒトの後をついていくかのように真ん中の荷馬車に乗り込んだ。

その手には布切れでぐるぐる巻きにされた長い槍状の何かを持っている。

・・・なんか見覚えあるな・・・。

あの歩き方と言い、あの武器っぽいのも・・・。


顔は見えないが、歩き方と足首の形からして女性だろう。

その彼女が荷台から顔だけ出して、アルデヒトとキャスリオンに話しかけている。

 「・・・ありがとう、お世話になったわね・・・。」

 「礼は要らんさ、

 世話になったのはこっちだ。

 まぁなんだ・・・あんたの目的が見つかるといいな。」

 「本当ですよ、もしできたらまたこっちに『遊び』にいらしてください。

 いつでも歓迎しますよ。」


 「人形の私に気を使ってくれてありがとう。

 その時はよろしくね・・・。」


聞こえた! 聞こえたぞ今の会話!!

人形って言ったよね?

あれ、メリーさんじゃん!!

これは捨て置けない。

緊急秘密会議一旦中止!!


 「ちょ、ちょっと待ってください、

 そ、そこにいるのもしかしてメリーさん!?」


3人で「それがどうした?」とでも言わんばかりのきょとんとした視線がオレに注がれる。

ギルマスのキャスリオンさんがぽかんとした口でそう言った。

 「そうですよ?

 商人の方々には説明してますからご心配なく。」

 「えっ!?

 いや、オレらがなんも聞いてないんですけど!?」


そこで初めてキャスリオンさんとアルデヒトの顔色が変わった。

 「え・・・聞いてないって・・・

 依頼の時にその話は・・・。」

 「聞いてません!!」


途端にアルデヒトの形相が変わる。

そのまましばらくすると、アルデヒトは大股でギルドへと戻り・・・

そこで悲鳴が・・・。

 

 「きゃあああああああっ!

 ごめんなさいーっ! すいませーんっ!!

 わすれてましたーっ!!

 あーれー、誰かたすけてくださーいっ!!」


これが別のシチュエーションなら助けてやりたいが、今回はアウトだ!

むしろ、オレも責める側に回りたい。

 「キャスリオンさま、オレも行ってきていいすか・・・?」


溜め息をついてキャスリオン様は、小柄なオレの両肩に手を乗せて頭を下げてきた。

ちょ、近いっす。

まぁ嫌じゃないけど。

 「・・・えーと、アマリスの件は申し訳ありません、

 ただ、時間もないので、どうしてもというなら、依頼完了して戻ってきてからにしてください、

 その時は煮るなり焼くなりお好きなように・・・。」



やった!

言質取ったぜ!!

それにしても、手を出す気はさらさらないけど、キャスリオン様も美人だよな?

このままギューってしてくれないかな?

そんな事、有り得ないだろうけど。


まぁでも・・・この道中大丈夫なんだろうな・・・?

 「あ、そういえばテラシアさんたちの方は?」


ちょっと離れたところに彼女はいたが、

この喧騒を冷めた目で見ていたみたいで、オレの声も聞こえていたようだ。

 「ん? あたし達か?

 ちゃんと聞いていたぞ、アマリスから。」


よし、泣き叫んでも許してやらないぞ、アマリス!!


 

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