第七百四十四話 そして今、あるべきところに
メリーさんの物語もこれでおしまいです。
少し短めなので、おまけを後書きに加えてます。
フラア・ネフティスの物語が終わった後の少し未来のお話。
本来であれば、この話のどこかで、
夜の森の妖魔、フラウ・ガウデンとエックハルトの呪いが消えるシーンや、
ミカエラとシズミ君の新婚風景なんかもある筈です。
今回はそこまで書きませんでした。
なお、おまけのエピローグ中、
何故そんなことになったのか、
死んだ男が何を召喚しようとしたのか、
何を召喚したのかは、
全て内緒です。
最終回?
あと一話予定しています。
舞台は再び異世界へ。
あれから7年後のお話。
ケイジ達は登場しません。
ではまた。
<視点 メリー>
耳元で、
とても大きな何かが砕ける音がした。
さっきまで、
あれほど目まぐるしく景色が流れていたのに、
今はそれが嘘のように、視界に映る風景はブレもしない。
・・・一瞬、
自分の身に何が起きたのか理解出来なかったけれど、すぐに「これ」は自分で選択した行動だと理解した。
急に降って湧いた衝動などでもなく、
自分なりに考えて考えて・・・
これで良かったのだろうか。
今の自分は・・・
まだ生きている・・・
・・・いえ、
そもそも私は生きてないわよね?
この体は無機物の人形の体だったはずだ。
だったら生きるも何も・・・
ああ、何を意味のないことを考えているのだろうか。
今の状況は、
まだ意識が残っている・・・
というだけのこと。
今は・・・
ああ、
メリーの体の破片があちこちに散らばっている・・・。
どうやら思考能力が、極端に低下しているようだ。
あそこにあるのも・・・メリーの足よね?
あんな遠くに・・・
片方の腕は完全に動かない。
左腕・・・
いえ、そもそも私の左腕はどこ?
右腕の指先は辛うじてまだ動かせるのが分かる。
けれど時間の問題だ。
近くには誰もいない。
従って、この人形の体の再生機能は働かない。
ならばいずれ私の意識も霧散する。
器が完全に破壊されれば、私の意識も留まることなど出来ないのだ。
ユージンが・・・
ユージン?
ユージンって誰だっけ。
そう、さっきまで私は誰かと行動を共にしていたはずだ。
その、
さっきまで一緒にいた人がここに辿り着いたとしても間に合わないだろう。
ああ、
考えるのも億劫になってきた。
以前、
先代の・・・さらに前のメリーも高いところから落ちて、カラダを砕いたことがあるようだが、
その時は
うん、もうどうでもいいや・・・。
そう、どうでもいい。
ここまで永い時を過ごしたのだから。
もう、十分ではないか。
望みは・・・
望んでいた答えは見つかったんだっけ・・・。
何を望んでいたのかも思い出せない。
それでも、
きっと
ある程度に納得したから飛び降りたはずだ。
だから、
この人形メリーの物語も終わる。
目が霞んできた。
そもそも、
どうして人形の瞳にモノが映るのだろう。
頭の中には脳みそだって入っていないのに。
いいえ、
こんな事を考えるために人形のカラダに乗り移った訳じゃないわよね。
じゃあ、何を考えていたらいいのだっけ。
これからのこと?
そうか、これからか。
では私はこの先どこにいくのだろう。
この世界にあの世があるならば、
そこで彼女に逢えるだろうか?
・・・何を言っているんだろう、私は。
この世界じゃないからあの世と言うのではないか。
いえ、それどころか、
行き先なんかない。
死んだらそこで終わり。
来世だとか転生だとかは、死の恐怖に怯えた人間たちが作り出した架空の物語。
ならば天国や地獄も同じことか。
そもそも死んだ人間がみんなそんなところに行けば、人口だって凄いことになるわよね?
人類の歴史において、今まで何千億もの人間が・・・
いや、それどころか、ネアンデルタール人やらクロマニヨン人が天国や地獄にいるとでも?
そう、
そんなものは有りはしない。
死ねば全てが終わる。
それが全ての生き物に共通する厳格なルール。
誰も逆らうことなど出来ない。
誰も抗うことも出来ない。
だから私も
・・・このまま独り・・・
たった独り消えてゆく・・・
叶うならば、あの子にもう一度・・・
ああ、
それが私の望みだったっけ・・・
けれど、
そんな都合のいい話などあるはずが
だれ
誰かいる?
空に
誰かいる?
一人・・・
流れるような黒髪の
あ
いえ、もう一人・・・
一人じゃない。
二人いる。
かれは・・・
もう一人は「あの後」ずっと私と共に暮らしていた・・・
あなた、たちは・・・
幻覚・・・?
私の願望が創り出した虚像?
でもそこに
いるのね
いえ、あなたたちは、
ずっとそこに・・・
そして、私をずっと見てて・・・
そうか
二人は同じところになんか、行けるはずもないと思っていたのだけれど
そういうこと・・・
あなたは、
自分の愛するその子を死刑台に送り、
それをずっと自分の心の裡に抱え込んで、
その罪を塗り潰すかのように、
更に大勢の子供達を殺して・・・
最後に自分に火をつけた訳だけど
死んで・・・
二人は一緒になれた のか・・・
私は最後の力を振り絞る。
・・・私も そこに
手を
この腕を・・・
あなたたちの手を掴む事が出来たなら
・・・私もあなた達のところへ
行けるの?
この私もあなた達と共に、
悠久の時を一緒に過ごすことが?
まだ足りない。
まだ届かない。
腕を、動かせ・・・
もっと高くへ
彼女たちに、この指が届くように・・・
まだ、動く、動かすことができる。
ならば、あそこまで、
後ほんの少し、手を伸ばすだけじゃない、
ほら、すぐそこに彼女たちが・・・
届かない・・・
これだけ腕を伸ばしているのに?
なら
どうして
どうして?
あなた達にも私が差し出している腕は見えているでしょう?
なのにどうしてこの手を掴もうとしてくれないのっ?
「ダメ、なの・・・ね 」
・・・そう
そうよね・・・
「私には」そんな資格なんかあるわけない。
二人は黙って、朽ちゆく私を無表情に見下ろすだけだ。
二人が何を思っているかも分からない・・・。
けど、それが答えなのだろう
私では、二人のところへは 行けない・・・
私は大昔の人間の
ただのコピー なのだか ら
けれど
最後の最後で
ようやく
二人に 逢えたのなら
幸せそうに
二人が寄り添っている 事を
見ること が でき た の な ら
それ だ け でも ・ ・ ・
わ た し は
語られないエピローグ(フラア・ネフティス後伝不完全版)
<第三者視点>
辺りは薄暗い。
まだ夜も明けていないのであろう。
ただ、夜明けが近い事は間違いない。
東の空が薄らと赤みを帯びている。
日が昇るまで後一時間といったところか。
・・・とはいえ、そのままこの場に日差しが届くかどうかは疑わしい。
湿度と気温差によるもののせいだろう、
この辺りは朝靄が立ち込めている。
この場にあっては10メートル先すら見渡せないだろう。
もっとも、
日が照りつけるような時間になってしまえば、
そんなものはまさしく霧散してしまう程度のものだとは思われる。
この時間帯の現象としては珍しいものでもない。
ただ・・・
明らかにこの場で異常と言える状況が一つ。
・・・それは、逃げ場もないくらいの、
鼻を塞ぎたくなるような焦げ臭さ・・・。
周りに人家と呼べるようなものがなかったこと、
そしてこの時間帯であるからこそ、大騒ぎにはならなかっただけの話。
これから朝になれば、
嫌でも地域住民全てが知るところとなるだろう。
既に火は収まり・・・
もう燃えるべきものは全て燃やし尽くしたというところか、
それなりの城だったものは、もはや見る影もない。
全てが崩れ落ち、
この城でなにがしかの犯罪行為が行われていたとしても、もはや何の証拠も残されていない。
・・・犯罪行為?
そんな生やさしいものなどでは有りもしない。
大勢の幼い子供たちを集めて行われた、見るも語るも悍ましい悪魔を呼び出す儀式・・・
まともな思考回路をしていたならば、
そんなものが成功すると思う者など、果たしてどれだけいるだろう。
とはいえ、
もはやそんな事が行われたと知るものすら・・・
ガラリ・・・
「・・・ケホッ、ケホッ・・・。」
状況に変化が起きる。
焼けこげた廃墟の中から、
フードを頭から被った男が一人、
何かを苦労して引き摺り出そうと、ヨタヨタしながら現れたのである・・・。
分厚い布で覆われた何か・・・
フードの男は、
「それ」を持ち出すためだけに、焼け落ちた城の中に入り込んでいたのだろうか?
火は収まったとはいえ、
いつ、城の残骸が崩れてくるかも知れない。
男の行為はあまりにも危険だったといえよう。
それほどまでに大事なものを取りに行かねばならなかったのだろうか?
もちろん、その男も命の危険を冒す覚悟と認識は持っていた事は間違いない。
ここまで来れば安全・・・そう思われるところで尻もちをついてしまう。
「・・・ふぅ、」
やはりここまででもかなりの疲労なのだろう。
何度か咳き込んだ後、しばらく男は動こうともしない。
けれどまだ仕事は終わってないのだ。
フードで頭を隠した男は、ゆっくり首を傾ける。
そこにあるのは一台のリヤカー。
彼にとって大事な「何か」をそこに載せてしまえば、そこでようやく一休み。
そんなところだろう。
男はゆっくりと立ち上がる・・・。
多少は休めたはずだが動きがぎこちない。
・・・いや、これは疲労のせいではない。
昔の大怪我が元で普通に歩けないのだ。
けれど、明るくなる前に「それ」を運び出さないと。
大慌てで立ち去る必要はない。
誰の目にも触れず、ここから離れればいいだけ・・・
そんな男の望みは
あっさりすぐそこで破られた。
朝靄の中に一人佇む人影を見つけたのだ。
こんな時間にこんな場所で誰が
男の衝撃と疑問はすぐに消えた。
そこにいたのは自分がよく知る人物だと分かったからだ。
「お、奥方さま・・・。」
そこにいたのは小さな赤ん坊を胸に抱いた一人の女性だった。
「・・・・・・。」
女性はしばらく口も開かない。
この場に彼がいることも、
ここで何をしているのかも問うことはなく。
その胸の中の赤子はおとなしく可愛らしい寝息を立てている。
男は自分の女主人がそこにいた事に驚きはしたものの、
すぐに自分の目的を思い出したのか、
何事もなかったかのように、焼け落ちた城から引き摺り出したものをリヤカーの荷台に載せる。
男の動きは相変わらずぎこちない。
けれど、当初の目的は達したのだろう、
そのままリヤカーを引っ張り、
女主人に挨拶すらせず、この呪われた地を後にした。
一方、赤子を抱えた女は、
まるで最初から予定されていたかのように、そのままリヤカーを引っ張る男に着いて行く。
まだ夜は明けない。
朝靄自体は薄くなってきただろうか。
彼らは森の小径を抜ける。
しばらくは一本道だ。
どこへ向かうのか問う必要すらない。
そのうち、まばらだが畑や民家も見えてくる。
流石にその頃ともなると、
二人の間に自然な会話も出てくるだろう。
ただ男の口から出てきた言葉は酷く抽象的だった。
「奥方さ、ま、
こ、こうなることを、ご存知で?」
男の怪我は発声にも影響を与えているのだろう。
口が引きつれるらしく、流暢に会話することは出来ないようだ。
もっとも、男の主人である彼女にとっては、今更どうでもいい事。
そしてもちろん彼女も質問の内容は把握しているようだった。
「・・・そこまでじゃないわ。
分かっていたのは、あの人が死ぬつもりだったんだろうなってことだけよ・・・。」
女はリヤカーの上に載せてある物、
大きな布でぐるぐる巻きになっているものが何であるのか問うこともしない。
男も彼女がその中身が何であるのか、
説明するまでもないと理解したのであろう。
それについては最後まで二人が言及することはなかった。
やがてどれだけ歩いたのか。
朝靄は薄くなり、視界はかなり開けてきた。
陽は登り始めていたが、上空は雲が多く青空の部分は殆ど見えない。
そして農村地帯は過ぎ去り、
いつの間にか、二人は城下町の河べりまで辿り着く。
「こ、この辺りでいい、でしょうか、
これ以上、だと市場が近い、ので、人目につくやも・・・」
男は適当な幅のある橋を見つけたようだ。
それにしても何が「いい」のだろうか?
しかし赤子を抱えた女はその事に疑問を持たない。
女が返したのは別の質問だ。
「私は聞いてないのだけど、『それ』はあの人の遺言?」
「ゆ、遺言と言っていい、のか、どうか・・・
ただ、可能なら自分を海に流して欲しい、とだけ・・・。」
ここまで言えば分かるだろう。
どうやら大事に運んでいた「それ」は、主人の焼死体ということか。
なるほど、この辺りの川から流せば、遺体は海へと向かうに違いない。
・・・途中でどこかの岸に寄せられたりしなければ。
男の動きは相変わらず難儀しているようだったが、遺体は炎で炙られ水分などは残っていまい。
思ったほどの重みはなかったのだろう。
ぐるぐる巻きにされた布ごと、
遺体は川に落とされる・・・。
死人を悼む・・・そんな儀式めいた行為を二人は必要とは思わなかった。
一応、橋の欄干から遺体を乗り越えさせるときに、
赤子をリヤカーの荷台に一度乗せた女が、
多少の手伝いをした程度・・・。
ダプン・・・。
布に巻かれた遺体は川底に沈むことはなかった。
彼らの目的通り、
ゆっくり、静かに流されてゆく・・・。
女は再び赤子を抱きかかえ、
流れゆくかつての夫を見続ける。
かつては、
この国の英雄と持て囃され、
この大地を滅亡から救った英雄の一人と称賛を浴びた彼が、
その晩年は語るにも悍ましい、血塗れの儀式に手を染めていたなどと、誰に明かすことが出来ようか。
そして、自分たちは、これから・・・
「カクシダ、
あなたはこれからどうするの?
あの人から最後のお給金は貰った?
それだけで生きていける?」
フードの男は乾いた笑い声を上げる。
「は、はっ、
給金は十分、いた、いただいて、おります。
まあ、こ、こんなカラダです、からな、
先は、長く、ないでしょう、
ですが、かまい、ませんよ、
本来、なら大陸、戦争のときに、命は無くなって、た、はずなの、です。
私、だけが、生き延びて、しまった、
旦那、様がたに、お仕え、できただけ、幸せだった、のです。」
女性は橋の欄干に寄りかかりながら、
その髪をかき上げる。
「生き延びて、しまった、わけね・・・。
私も同じようなものだわ・・・。
カクシダ、あなた故郷は?
このアルヒズリの人じゃないのよね?」
「わ、私はウィグルの 生まれ、です、
親族も・・・兄が、一人だけ、
どっちみち、このカラダでは、ウィグルまでは、持ちません。
この地で朽ちる、覚悟は、出来てます。」
彼も主人の悪逆非道の行為は知っている。
最初は驚いていたが、
すぐに主人を諌めるという、人として当然の抗議からは手を引いた。
そんな体力自体なかったということもあるが、
何よりも、
もう、自分に出来ることはない、と。
そう考えてしまったのだろう。
彼は舞台から降りた者なのだから。
あの時、
迫り来る天空からの災厄に、自分の命を賭けて立ち向かった・・・あれが自分にとって最後の舞台。
まさか生きながらえるとは思ってもみなかったわけなのだが。
その演目を終えたならば、
もはや「彼らの運命に干渉しよう」などという気は、とうに失せていたのかもしれない。
そのとき、気温の上昇に伴い、風向きも変わったのだろう。
海の方からの強い風が二人を洗う。
イザベルの長い髪がその顔を半分覆い、
逆に、男のフードがはだける。
そこから顕れたのは、
半分焼け爛れたかのような醜い顔。
「お、おお、これは、失礼、
お見苦しい、ものを。」
すぐに慌ててフードを元に戻すも、
一瞥だけしたイザベルは気にも留めない。
「・・・大丈夫よ、
気にしなくてもいいわ、
私は、かつて、もっと醜かったのだから・・・。
それより、行く宛がないなら、もう少し一緒にいてくれないかしら?
この子も、あなたの火傷の跡なんか気にもしないように育てるつもりよ。」
「お、奥方、さま・・・。」
「あの二人に、置いて行かれたもの同士、
仲良くしましょう・・・。」
カクシダという名前はもちろん偽名である。
大陸戦争で大怪我を負うまでは、別の名前があった。
今や誰も彼のことなど覚えていないだろう。
既に故郷では盛大に彼の葬儀を済ませている。
今更故郷になど、戻るわけにもいかないのだ。
元から長くは生きられないと自他共に思われてきた。
故郷にすら最初から自分の居場所はなかったのだ。
このような醜い傷と障害を負った今なら尚の事。
「だ、旦那さま、は、
これで、満足、だったの、でしょうか?」
ずっと彼らを見続けてきたカクシダであったが、それでも彼らの心の裡など計りようなどない。
けれど
それは、イザベルにしても・・・
「・・・どうなのかしら、ね?
最後にあの人に会ったときは、とても、それこそ憑き物が落ちたように、すっきりしていたけども・・・本当にあの人が望んでいたのは何だったのか・・・」
そして二人の視界から、
「それ」は次第に小さくなってゆく。
もう、二人の視力では殆ど追えないほどに。
それでも彼女たちは、
流れゆくかつての英雄の姿を見送り続けた。
やがて、市場や漁港で働く者達が、
次第に通りに溢れ出す。
もはや二人がどこにいるかも分からない。
そしてまた、何気ない日常へという毎日が始まる。
もう、
全ての物語が終わったのだから。
一方・・・
流された遺体は河口へと向かう。
生前の望み通り、その遺体は海まで流れゆくようだ。
他の漂流物に邪魔されることもなく。
ただ一点、
奇妙な現象が起き始めた。
あれだけ厳重に巻き付けられた布が、ゆっくり、少しずつと剥がれてゆく・・・
既にその遺骸は川から海へと
漁港で働く船乗りたちに見つかることもなく・・・
船と船の隙間を、縫うように・・・
ゆっくり、
波に揺られながら、
穏やかに・・・
次第に、遠くへ、
沖合を離れ
遠くへ・・・
誰の手も届かないほど
既に彼を包んでいた布など存在しない。
「綺麗な」カラダのまま、
かつてランディと呼ばれた男の遺体は、
たった独り、
大海原を漂い続ける・・・
火傷一つの跡すらなく、綺麗な肌のまま・・・。
そしてまた
誰が気付いたろうか?
独り漂い続ける彼の元に、
同じように漂い続ける何かが近づきつつあったことを。
その何かは
黒く長い髪を波間に拡げながら・・・
その美しい肢体を隠すことすらなく
いつの間にか、
二人は寄り添うかのように・・・
やがて
二人の手は重なり合い、
誰も知らないところへ
誰に知られる事もなく・・・
水平線の彼方へと
永遠に。