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第七百二十三話 オーギュスト君登場

ああああああ!

更新日明日じゃなかったっけ?

日付勘違いしてました!!

申し訳ありません!

いま、ふっと今月の更新ペース確認したら次回は17日・・・

あれ?

今日って確か・・・


そして40万PV達成です!!

残り僅かとなってますが、今後もご贔屓に!!

<視点 ケイジ>


 「ぼ、僕がこのダリアンテ領次期当主、オーギュスト・ダリアンテなんだなっ!!

 デュフフフフフフフッ!!」

 


嘘だろオイ。


別にオレ達の相手をするのが、領主だろうがその息子だろうが、それ自体はどうでもいい。


オーギュスト・ダリアンテ。

何でもこいつは二十歳そこそこ。

もう十分に貴族としての自覚も常識も身についているはずだ。

いや、身につけてなければならない年齢だよな。


それがこんな若いうちからブクブク肥えさせていてどうする。


 

ていうか、こいつ臭っ!

香水かけて誤魔化してはいるが、オレの鼻はその香水の中に、腐った水みたいな匂いまで嗅ぎ分けちまうからな。


これアレだ。

汗かいてそのままにしておくと、下着とかに吸い付いてその匂いが醗酵しちまうやつだろ。


あ、リィナの鼻もヒクついてる。

ていうかヒクついたのはこめかみか。

顔は無理矢理笑っている。


さすがは兎勇者。

ここで不快感を顔に出す女ではない。


一方、「デイアフターデイ」組は完璧な外交的笑顔を装備済みだ。

こいつらも流石だな。

ファリアやレックスを排除してここに来ただけのことはある。

なんとなくベルリンダの横に、「・・・・・・」って書かれてるような吹き出しが見えたのはオレの幻覚かもしれないが。



 「デュフフフフフフフ!

 おお、その兎の耳!

 ではそなたが勇者殿か!!

 このオーギュスト、そなたの噂を耳にして是非ともお会いしたいと思っていたのだ!!」


 「あ、は、はい、光栄です・・・。」


ここのところ、リィナも公式行事の主役を演じる場が多かったからな。

あいつもこんなところで粗相はしまい。

オーギュストが差し出した手を遠慮がちに握手するリィナ。


ただここで横槍が入る。

 「お、おぼっちゃま、

 そ、そのお相手はそう易々と次期領主たるおぼっちゃまが触れて良いものではございませんっ!」



ん?

今のは執事のワイナットとか。

この発言は勇者であるリィナに気軽に触れてはならない、という意味ではないよな。


むしろ逆。


どうやらこの辺りは獣人差別感情が混じっているようだな。

まあ、それならそれで・・・


 「無礼な発言をしてはならないのだ、ワイナット!!」

 「は、ははっ!?」


む?


 「ぼ、僕は相手が獣人だからといって、相手を見下すなんて最低のマネだと思うぞっ!!

 僕がパパの跡を継いでもそんな考えでいるのなら、お前の雇用も見直すことになりかねないからなっ!!」


 「は、・・・ははっ、失礼いたしました・・・!」

 「それとおぼっちゃまは止せ!

 次期領主様と呼ぶが良い!!」


 「は、はい・・・、

 かしこまりました、お・・・次期領主様っ。」



ううむ・・・

今のやり取りをどう受け止めればいいか。


とりあえずこの豚貴族小僧、

獣人差別主義者ではないらしい。

その事はいい。

素晴らしいことだ。


しかしなあ。

親父のことを人前でパパと言ったり、

客の前で部下を叱りつけたり、

不安要素はいっぱいあるよなあ。


 「デュ、デュフフッ、

 お見苦しいものをお見せしたっ!

 さあさあ、皆さんを歓迎する準備は整っているっ!!

 気を楽にしてついてきてくれたまえっ!!」


そういえば豚貴族って、

・・・どこかで聞き覚えのある単語だよなあ。


どこで聞いたんだっけか・・・。

つい最近だった気がするんだがなあ。




そして本日二度目のウソだろ・・・



ここは来客を招くパーティー会場なのだろう。

それはいい。

豪勢な内装や装飾品も目を見張るばかりの高価そうなものばかりだ。


それはいい。

そこもいい。

逆立ちしてる裸婦の像とか、

相変わらずセンスはどうなんだというものばかりだが。




あー、その、なんだ・・・。



会場入ってすぐに、盛り付けられた大量の食事の用意を見せられてどうしろと。


普通、着席してからティーセットなり、或いは軽いおつまみ程度の用意で、食事はずっと後の話だろ?


なんでこんなディナーと見紛うほどの料理が並べられている。


しかも、肉、肉、肉!!

あっちも肉、こっちも肉!

一部パンや大きなボウルに入ったスープもあるけど、基本どこもかしこも肉肉肉!!




 「我が専属の料理人たちが腕によりをかけて作り上げたんだなっ!!

 遠慮せずにたいらげていって欲しいんだなっ!!」


うむ・・・

こいつは悪いヤツではないのだろう。

純粋にオレ達をもてなそうとしているのも間違いないのかもしれない。


誰もこれを止めなかったかよと突っ込んでやりたいのだが。



まあ、オレ達に害がある話じゃない。

とりあえず失礼がない程度に相手に合わせてやるか。


細長い縦のテーブルのホスト席にオーギュスト、

そして片側の面に、ホストに近いところからリィナ、オレ、アガサ、アルデヒト、

反対側の片面に、同じくオーギュストに近いところからガラダス、エスター、ベルリンダだ。


全員の目の前に高く聳え立つ肉料理。

葉物野菜は申し訳程度に肉の下に敷かれているのみ。


こいつ、こんなもんばかり食ってやがるのか。

そりゃあ、あんな体型と体臭になるのも無理はない。


 「では改めて歓迎しよう、皆の者!

 此度はスタンピードなどという忌まわしい災害に、その解決をしてくれた勇者殿一行や、街の防護救援に力を尽くしてくれたAランクパーティーを、次期領主たるこのオーギュストが、感謝の意を捧ぐ場でもある!!

 どうぞ遠慮なくお腹が破れるくらい食べて飲んでいって欲しいんだなっ!!」



ほんとウソだろ、こいつ。

挨拶の口上は、最後以外まともなことを言っていたが、話終わった途端、ムシャムシャ目の前のフライドチキンを頬張り始めたぞ。


思わず辺りを見回すしたが、

ガラダスとエスターは完璧な笑顔を貼り付けたまま。


周りに控えているメイドたちはいつもの光景なのか、何の反応も見えない。

・・・いや、見せないと言っていいのか。


あ、


ベルリンダが目の前のお肉に手を伸ばした!

「食べていいのかなっ?」ってビクビクしながらだけれども。


多分こういう席に慣れてないからこそできる反応なのか。

ある意味羨ましいな。



 「あ、お、美味しいです。」


思わず本音でポロリと漏らしたんだろう、ベルリンダは。

そしてオーギュストは嬉しそうに反応する。


 「モグギュふっ!

 ふぉほであろう、モゴモゴ・・・であろう!

 ・・・っ我が家の料理人は肉料理のエキスパートなのらっ、・・・ゴクン!」


口の中にもの入れてるのに喋るなよ・・・。

親はどんな貴族教育を施してきたんだ・・・。


 「あ、あはは、私みたいな冒険者じゃ、こんなお料理、滅多に食べられませんから・・・。」


ベルリンダも、次期領主様に話しかけられて話し返さないわけにもいかないよな。

まあ、当たり障りない反応のはずだった。


はずだった。


 「デュフフフフフフフ、そうかそうか、そうだろうとも!

 冒険者の身分では稼ぎもたかが知れているだろうしなっ!

 むむっ!?

 よく見れば、そなたは冒険者とは思えないほど美しい顔立ちをしているなっ!?

 そのチェリーピンクの髪も中々に煽情的だっ!

 良いぞ!!

 このオーギュスト、パパの跡を継いだならば、君のような美しい女性はいつでも歓待してあげよう!!

 日々の食事に不安を覚えたなら、このオーギュストの元を訪ねるがよい!!

 デュフフフフフフフ!!」


 「え、あ? は、はい、ありがとうございます?」


ん?


あれ、オーギュスト、あの豚貴族小僧・・・

もしかしてただの女好きなだけか?


あ、ようやくガラダスとエスターの貼り付いていた笑顔にヒビが入り始めてきたぞ。


これ、会談・・・

いや、食事会だよな・・・。


これこの先大丈夫なんだろうな、色々と・・・。


そんなわけで次回20日予定ですが、更新できなかったらごめんなさい!

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