第七百一話 マンティコアの最期
ケイジの語りもそろそろ飽きたので・・・
ケイジ
「あ?貴様勝手にオレにしゃべらせといて・・・」
<視点 マンティコアさん>
わし、マンティコア。
名前?
なにそれおいしいの?
生まれも育ちもこのダンジョン。
ダンジョンて何か知らんけども。
「動くもの」見つければ食う。
弱そうなものはそのままガブリ。
強そうなのはしばらく様子見。
追ってきそうなら逃げる。
こっち見失ったらしめたもの。
こっそり後つけてひたすらすき探す。
わしのこと忘れた頃に後ろからガブリ。
なかま?
知らん。
見たことない。
出会う生き物は食べるか食べられるか。
にんげん?
わし同じ顔しとる?
それとても良いこと。
あいつら暗い所出会うと声かけてくる。
仲間と勘違いしている。
にんげんとてもばか。
もちろん何言ってんだかわからん。
そのあといつもおどろく。
だからわし見て固まったところガブリ。
いきなり表情変わるあのしゅんかんたのしい。
にんげんうまうま。
大好物。
そしていま!
にんげんけはい、ひさしぶり。
ラッキー。
でもたくさんいる?
たくさんいたらにげないと。
よく分からない。
匂い嗅ぎ辛い。
辺りまぶしい。
明るすぎる。
見づらい。
やな気配。
危ない?
にげる?
でもにんげんひさしぶり。
コボルトまずい。
にんげんうまい。
ほーたい巻いたにんげんくさっててまずい。
あいつら食べたくない。
にんげんなら食べたい。
まだがまん。
すき見つける。
じっとしてる。
わしがんばる。
わしお利口。
ヨダレだらだら。
あ!
オスとメスはっけん!
まちがいなくにんげん!
うまそう!
特にメス!!
オスとケンカしてる?
こっち見てない。
ラッキー。
こっち気付く様子ない。
うん、まずどくのはり。
刺さるとくるしむ。
うずくまる。
よわる。
うごけない。
ざまあ。
わし美味しくいただく。
さくせんかんぺき。
それそれ、トヤッ!
カンカン!
・・・?
あれ?
当たってない?
なんで?
かわ厚い?
届かない?
どうしよう。
一回にげる?
でもこっち気付いてない。
周りも明るい。
隠れるむずかしい。
ここでおそう?
にんげん一人ならかんたん。
二人はこわい。
でもにんげんうまい。
わしどうしよう。
さいきんにんげん見ない。
つぎににんげん来るのいつ?
しばらくにんげん食べてない。
食べるなら今。
??
ん?
なにあれ?
メスにんげんくるくるひらひら。
オスにんげんカンカン音鳴らす。
たのしい?
なにやってる?
あ、わしわかた!
きっとあれ、つがい!
こうびのぎしき!
はんしょく!
メスにんげんエロエロあぴーる!
まえ鳥のまものがやってた!
わし頭いい!
メスにんげん、オスにんげん、はんしょくむちゅう!
こうび! こうび! こうび! エロエロこうび!
はっ?
おちつけわし!
にんげんのこうび見てもおもしろくない。
つい音にあわせて楽しくなってた。
いますきだらけ、
けっこうけだらけ、ぬこはいだらけ!
わし足音させない。
ぬきあしさしあし。
まっすぐいって右すじガブリ!
まっすぐいって右すじがぶり!
まず背中見せてるオスにんげん!
見つかってもわしニッコリなかまアピール!
かんぺき!
そろそろ・・・
わしいく!!
食べる!!
全力ダーーーッシュ!!
うひゃひゃひゃひゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!
それそれそれそれそれっー!!
あっというまにオスにんげんの
「作戦成功、『ホーリーレイ』!」
ぎゃぶっ!?
な、なになに!?
なにがなんなのっ!?
い、いたいいたい!
なにか光った!!
からだうまくうごかないっ!?
なんで!?
どして!?
オスにんげん目の前なのに!!
なんでこっち見てニヤニヤしてる!?
「オレの弓矢の方が正確に射抜けるんだがなあ?」
だれっ!?
いまの声どこからっ!?
あっ、あっちの上の壁の向こう!?
「もちろん正確さはケイジの弓が上、
けれど射抜く速さは私のホーリーレイが最速、
先ずはマンティコアの足止め優先。」
ほかにもメスにんげん!?
おっぱいぶるんぶるんっ!!
「まあ異論はないがな、
じゃあ、ホーリーレイの麻痺効果が解けないうちにオレも脚でも射っとくか。」
ヒュウッ
グサッ!
ひぎゃあああっ!?
わっ、わしっ、わしの脚にいいいいいいっ!!
矢が矢が矢が矢があああああああああっ!!
お前らきよく正しくぜんりょうむくのマンティコアのわしになんて酷いことするのおおおおおおおおおっ!?
はっ、はやく逃げないと逃げないとっ!!
あ、動けないんだった!
あっ、脚も脚も痛くてっ
むりっ!
むりむりむりむりうかんむり!!
うかんむりってなに!?
いや、知らんけど!!
「あー、ケイジさんよ?
このままオレらに止め刺させてもらってかまわねーか?」
「だから待ちなって、
あたしもカラダ張ったんだから見物料いただくよお?」
ひぃっ、
さっきのこうびすんぜんだったオスにんげんメスにんげんっ!!
こいつらわし殺す!?
ひどいっ!
オーガ! デーモン!!
ひとでなしっ!!
いぬちくしょうっ!!
「あー、まあ構わんぞ。
オレらはもう経験値取ってもあまり意味ないしな。
お前らはまだまだ伸びしろあるんだから遠慮しなくていいと思う。」
あっ、ここにいぬちくしょういやがった!!
コボルト!?
毛深いコボルト!!
なんてひどいことを!!
い、いやっ、何言ってるかわからんけど!!
なんでコボルトとにんげんがいっしょにいるのっ!!
コボルトとにんげん手を組んだ!?
この外道!!
けだものっ!!
まもののほこりを忘れたかっ!!
このさいていさいあくのゲロいぬやろうっ!!
「ああ、レックス、ファリア、ちょっと待ってくれ。
・・・なんか分からんが無性に殺意が湧いてきたんだが・・・。」
ああああああああああああっ!!
毛深コボルト刃物ふりあげたああああああっ!!
やめてやめてやめて!!
せっかくおいしいものばっかり食べていたのに!!
わし悪いことなんにもしてないのに!!
あんまりだ!!
あんまりだ!!
ここでマンティコア生終わりだなんてあんまりだっ!!
そ、そうだっ!
わし頭いいんだ!!
お利口なんだ!!
わしの顔にんげんの顔!!
ここでニッコリわらってなかまアピールすればっ!!
「・・・いや、オレらもおんなじだわ、
このオッサン顔でヘラヘラされたら余計に殺したくなってきたわ・・・。」
ああああああああああああああああああ!!
なんでええええええっ!!
誰か!!
誰か助けてええええええええええ!!
こ、この哀れなわしを!!
おねがいっ!!
あしでもおしりなんでも舐めるからああああああああああああああああああああああああああっ!!
「じゃあファリア、いっせーのせ、でやるぞ。」
「レックスと共同作業ねぇ?
まあ、ウエディングケーキ入刀みたいなもんか、
色気もへったくれもないけど。」
「へっ、おめーとなんかお断りだよ、
まっ、淋しくなったら相手してやるぜぇ?」
「はっ、ぬかせって、
この酒場の人気者ファリア様とおんなじ空気吸えるだけでも感謝すんだねえ?」
やあああめええええてええええええええっ!!
「何だお前ら、仲いいな?」
「へっ、腐れ縁だよな、
それじゃあ行くぜ、『クロスブレイク』!!」
「今度は決めてやるよ、『ハンドレッドエッジ』!!」
ヒィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ・・・イッ!!
この世のものともおもえない激痛
・・・そこでわし、なにも
かわいそう わし
なお
今回の文中に次回の敵の伏線が。
マンティコアさん
「そういえば、右すじってなんじゃろ?
頭の中に『まっすぐいってみぎす・・・』まで聞こえてきたんじゃけど。」