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第七百話 マンティコアとの攻防

ついに七百話に達してしまいました。


<視点 ケイジ>


さてどうするか。

今オレたちは身を隠している。


ターゲットの魔物も同様に潜んでいるが、大まかな位置は把握済み。


ただし現状オレたちに攻撃手段はない。

もちろんここから全員身を曝け出し、敵に向かって一気に勝負を持ち込むなら話は簡単。


問題は、すぐに逃げてしまうらしい魔物のマンティコアなんだよな。


ほったらかしにして先に進んでもいいんだが、

そうなると後ろからついてきて、オレたちが油断した瞬間に襲いかかってくると言う。


これは今までにない展開だよな。

大抵は「こんにちは、はじめまして、では死ね!!」で終わってたからなあ。


 「あたし、行ってこよっか?

 女一人なら勝てると思って襲ってくるかもしれないし。

 あたしがそのまま倒してもいいし、ケイジが隙見て弓矢を使ってもいいだろうし。」


囮作戦か。

 「それが無難かな・・・。」


ただのエリアボスごときにリィナが苦戦するとも思えない。

問題は逆に、

リィナを見ただけで敵が逃げ出したらどうしよう?

そこまで臆病だと本当に釣り出すのが難しくなる。


 「いやいや!

 流石に勇者様一人に煩わせるわけにはいきませんて!」


「デイアフターデイ」のリーダー、ガラダスが慌て始める。


 「だがもともとこのダンジョンの魔物はオレたちが倒す手筈だろ?

 別にお前たちに義務感を覚えさせるつもりはないぞ。」


 「いえ、そうは言いますけどねえ、

 いくらなんでもそこまでおんぶに抱っこで・・・

 なあ、囮ならレックスやランドラードの方が適任だと・・・。」


そう言ってガラダスは自分の仲間達へと首を曲げた。


ふむ、

確かに騎士のレックスなら防御面の心配はない。

さらに盾持ちのランドラードであっても囮役は十分こなせるだろう。


 「いや、ランドラードは見た目が硬すぎるよ。

 恐らくマンティコアは警戒して襲ってこないだろう。」


これは槍使いエスターの言葉だ。

どうやら、パーティーリーダーのガラダスに対して、エスターは参謀役という形になるのかな。

そして確かにランドラードはガタイもでかく、魔物は警戒するだろうと思われる。

何しろ、片手にウォーハンマー、片手に大楯装備してるからなあ。

普通なら一対一で魔物も襲っては来ないだろう。


 「なんでぇ?

 ここは一発オレの出番かあ?」


あ!

まだ決定もしてないのにレックスのヤツ立ち上がりやがった。

今のでマンティコアの方にも獲物がここにいると認識出来たんじゃないのか?


なら止めてももう遅い。

仕方ないかとオレが黙っていると、剣を担いだレックスは広場に向かって降りてゆこうとする。


すると



 「おいおい、ちょっと待ちな〜?

 ここはファリア様に任せちまいなってぇ、

 レックスだって見た目だけは強そうなんだからマンティコアも警戒するはずだしさあ?

 あたしならマンティコアにも美味しそうに見えるだろうし、適任と言えばあたしだろ〜?」


 「おい、ファリアてめぇ、見た目だけはってなんだ、見た目だけはって!!」


嘘だろ?

マジか、こいつら。

すぐそこに敵がいるってぇのに、堂々と身を曝け出して討論始めやがった。

いや、討論てかただの罵り合いか。



 「え、この人たちいつもこうなの?」


リィナも信じられない様な目で、

広間に降りていく二人を見つめている。


 「あ、・・・あははははは、うん、いや面目ない・・・。」


大変だな、パーティーリーダー、ガラダスよ。


 「ファ、ファリアさーん、

 レックスさーん、もっと仲良く・・・

 ああ、聞いてくれてなーい・・・。」


そしてプリーステスのベルリンダよ、

そんな蚊の泣きそうな声で誰がお前の話を聞いてやれる?


ていうか、この二人は苦労症のようだ。

少しだけ同情するけどオレに出来ることは何もないな。


 「ああ・・・デイアフターデイって・・・

 いや、なんでもない・・・。」


冒険者ギルドのアルデヒトは今まで討伐結果を聞いていただけだったろうからな。

成長株の冒険者パーティーの実態を初めて今知ったってことなんだろう。

まあ、確かに冒険者なんて結果と実績だけが全てだもんな。




一方、騒がしい二人は広場の中央まで降りていた。

相変わらず口論真っ最中である。

あいつら今自分たちが何を目的にしているのか分かっているのだろうか?



ていうか、マンティコアの方はどう思っているんだろうな?

敵が二人いるのは確定しているとして、その二人は隙だらけで喚いているわけだが。




 カン、カン



ん?

今の音はなんだ?

レックスとファリアのところから。


そしてその二人は、当然その音に気付いて音の方角をアホみたいな面で見上げる。



 「「あ」」


 「今の、マンティコアの毒針がプロテクションシールドに当たった音じゃない?」


多分リィナの見解が正解。

ていうか、あいつらマンティコアの存在忘れ切ってたんじゃあるまいな?


それにしてもマンティコアは毒針を飛ばせるのか。

そいつは厄介だな。

ただでさえ、無闇に姿を現さない上に、遠距離から毒で獲物を弱らせてから襲う算段なのか。

もっともその程度であるなら、ベルリンダの防御呪文で防げるのは心強い。


ただ毒針が効かないとなるとマンティコアの次の一手はなんだ?

それで諦めてこの場から去るほど臆病ではないよな?


 「アルデヒト、

 マンティコアの警戒心が強いのは分かったが、知能はどれくらいなんだ?

 人の顔をしているというが、それこそ人間並みの思考能力があるのか?」


 「いや、流石にオレもそこまで詳しくはないぞ。

 ただ罠に引っかかることもあるというから、そこまで知能が高いと言うこともないだろう。」


ふむ、ならいい。

とりあえず、冒険者側の動きに対して、

マンティコアも行動を起こした。


さて次の一手は?




 「ん? 今度はあいつら何始めやがった?」


赤髪のテラシアもあの二人には呆れているようである。

そして確かにテラシアの言う通り、

ファリアとレックスはおかしな行動を起こし始めた。



最初、あの二人は自分たちに毒針を飛ばされたことを認知して・・・


何か示し合わせたかのようにキョロキョロ辺りを見回していたのである。


マンティコアの居場所はあの二人も分かっていたはず。

そして毒針が飛んできた方角からもそれを確信したことだろう。


ならどうしてそこで首をキョロキョロ動かす必要がある?


そしてその後だ。

いきなりレックスはその場に座り込み、

もう一人のファリアはクルクルとその場を回り始め・・・



え?

アイツこんなとこで踊り始めやがった!?

そしてレックスはそこに落ちてた毒針二本を掴んで剣の鞘に叩きつけて・・・


なんかエイトビート刻み始めたぞ!?


 「・・・ぷ!

 な、なんすか、あの人たち!

 頭のネジゆるんでるんすかねぇ!?」


ストライド、お前の気持ちも感想もよく分かる。

ただその表現だけはやめてくれ。

ついつい前世の母さんの振る舞いを思い出してしまいそうになって、オレの精神にダメージ入るからな。



まあ、頭のネジがゆるいというのは、実際そいつらも頭を使ってる証左でもあるのだ。

ただ、一般人が普通に考えつくことに思いが至らないだけで。


ただこれ、どっちかっていうと知恵比べっていうよりバカさ比べじゃないのか?



引っ張るつもりは全くなかったんです。

次回でマンティコア戦終わらせるつもり・・・


です!


きっと・・・

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