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第六百七十一話 特別ゲスト

評価あがったーーーっ!!

ありがとうございますううううう!!

 

第366話、第374話のフラアの絶望画像貼り替えてます。


今後も以前貼った画像撮り直すかもしれません。

<視点 ニムエ>


メリーさんのお見送りに是非ともご挨拶したいとやって来た人達・・・。



 「ああ、あの人達か・・・」


どうやらケイジ様も彼らがこの場に来ることに納得されたようだ。


ええ、もちろん彼らが誰かは私も知っている。

城詰めの騎士たちにも負けない体格、

カラドック様のそれをワイルドにしたような勇ましいお髭。


女性の方はお子様を産まれた割に、まだ二十代後半程度にしか見えない美貌とスタイル。

そしてこの国でも滅多に見かけない流れるような美しい黒髪・・・。


そう、ローゼンベルクの街を治める伯爵家、

クリュグ様とアスターナ様だ。


そしてその背後に・・・

私はご挨拶したことはないわね、

まだデビュタント前と聞いている・・・

あの子がご夫妻の一人娘、確かお名前はマデリーン嬢ね。

それと、この場に連れてくるのはいかがなものだろう・・・、

獣人の従者!?


確かにマルゴット女王はじめ、この国の貴族にも、獣人を不当に差別しない人達はそこそこいる。

けれどもだからといって従者に召し上げたりする貴族は少ないだろう。

ましてや、自分の屋敷や領地内に留めるならともかく、こんな宮殿の、式典にも使う大広間になんて・・・



 「ハギル!?」


その大広間中に響き渡る大声を出したのはメリーさんだ。

ハギル?

人の名前だろうか、

・・・でもそんな名前の人など・・・


あ、もしかしてあの雪豹のような獣人従者の?


かつて真夜中にこの宮殿に忍び込んできた時より慌ただしく、

鬼人を相手にした無慈悲な処刑の時にも見たことないような急ぎっぷりで、

メリーさんが慌てて駆け出してゆく。


クリュグご夫妻は苦笑いを浮かべて左右に分かれ・・・

あれ?

マデリーンお嬢様だけが獣人の従者にしがみついて・・・なんかメリーさんを睨みつけてる?


まあ、メリーさんも気にしてないみたいだけど。


 「まさか私の見送りにきてくれたの!?」


あらあらまあまあ?

どういうことかしら?

いつも冷静だったメリーさんが、あんなに感情を露わにして・・・。


あ、も、もしかしてメリーさん、アスターナ様の従者の子と・・・

うん、そうよね?

獣人の顔だから分かりづらいけど、体格から見てまだ大人になり切れてない若い子よね?


メリーさんにそんな趣味があったなんて・・・。



アスターナ様がとても優しい笑顔で説明してくれる。

 「メリーさんには先日の式典でもお礼を申し上げさせていただきましたが、

 どうしてもこちらのハギルが・・・

 いえ、私どももハギルに直接メリーさんにご挨拶させるべきかと思いまして・・・

 マルゴット女王には私どもの無理な願いをお聞きいただき感謝の念に堪えません。」


 「ふふ、メリー殿との因縁は聞いておる。

 ならば我らだけがカラドックと別れの挨拶をして、後は知らんぷりとは出来まいよ。」


あ、

なんか茶化しちゃいけないっぽい流れかもしれない・・・。


 「最後の最後に素敵なプレゼントだわ、

 女王もアスターナもありがとう!

 ・・・ハギル!!」


そ、そうね、

メリーさんも恋人にしがみつくって抱きかたじゃないわね。

身長は獣人の男の子の方が少し高いくらいかな?

メリーさんも少し踵を上げて背伸びする感じね。

体に抱きつくんじゃなくて、

まるで我が子にでも再会したかのように獣人の子の頭ごと・・・

男の子の方も、抱き返してるわけではなく、メリーさんに好き放題されているだけだわ。


・・・マデリーンお嬢様だけそれに反発して・・・


 「違うのー!! ダメーっ!!

 プレゼントじゃないからっ!!

 ハギルを連れ帰っちゃダメーっ!!」


あ、ふふふ、

マデリーンお嬢様はあの獣人の男の子がお気に入りなのね?

それでメリーさんに盗られまいと必死なのか。


 「す、すいません、オレ、いえ、私ごときの願いのために無理を言って・・・

 こんなとこに足を踏み入れる身分じゃないのに・・・。」


 「うむ、そなたがローゼンベルクのスタンピードの際、命を懸けて皆を守ろうとした勇気ある少年か。

 妾が少女であれば、今のメリー殿のように飛びつきたくなるような活躍だが、

 命は自分のものだけではない、

 仕える主がおるのであれば、努努ゆめゆめ皆を悲しませるようなことはするでないぞ?」


 「は、はい、女王様、肝に銘じます・・・。」


凄く素敵なやり取りなんだけど、

獣人従者の男の子、メリーさんに抱きつかれたままだから、顔がほとんど見えなくなっちゃってる。


うん、とても・・・とても微笑ましい光景には違いない。


 「さあ、さあ、ハギル、

 メリーさんに言わなきゃならないことがあるからここまできたのでしょう?

 ならあなたの言葉を直接メリーさんに言うのですよ?」


一方、メリーさんは子猫をでも抱きしめるかのようにお人形の顔をこすり付けてるわね。

これが生身の人間同士なら、ちょっと問題なのかもしれないけど、


・・・うん、多分問題ないのだろう。

お願い、誰か問題ないって言って。


 「あ、あの、あの時は、私の命を救ってくれて、あ、ありがとうございました・・・。」


 「あら、いいえ?

 あなたの命を救ったのは私ではないわ・・・

 その言葉はタバサやケイジたちに言うことね・・・。」


 「そ、そうでした、で、でも・・・。」


男の子は何か言いかけていたけども、

メリーさんの方が喋りたいみたい。


 「・・・ていうか、そうだわ。

 むしろハギルを助けてくれたことには私がお礼を言うべきだったわ?

 ごめんなさい、こんなにタイミング遅くなって。

 麻衣には言いそびれちゃったけど、タバサ、アガサ、ケイジ、リィナ、それにカラドックもありがとう・・・!」


あら、いやだ。

皆さんとてもいい顔でサムズアップしているわ。

本当になんて素敵な人達なのだろう・・・。


あ、それで男の子の方は何を言いたかったのかな?

そう思っていたらアスターナ様も同じようなことに気づいたみたいで、優しく獣人の男の子に話しかけている。


 「違うでしょう、ハギル?

 命を助けていただいたお礼は、もう屋敷で言ったわよね?

 あなたがメリーさんに言わなきゃならない事があると言ってたのは別の話でしょう?

 だから身分の違いも恐れずに、必死の思いで私たちに頭を下げたのでは?」


 「あっ、は、はい、そうですっ!」


 「まあ、いったい何をいってくれるのかしら?」

 「あ、え、ええと・・・。」


緊張しているようね。

そりゃあただの従者の身分で、女王や・・・向こうにいる魔王様のことは知らないにしても、偉そうな人達の注目を集めて平常心でいられるはずもない。


そんな男の子の顔をメリーさんは優しそうに見つめている。


 「そ、その、あの・・・」

 「ハギル! 頑張るのよ!!

 あなたは高貴なるこのマデリーンの従者なんだから!!」


マデリーン嬢も真剣に応援してるわね。

いったいメリーさんとどんな因縁があるのだろう。


 「オ、オレ、じゃなくて私は、あの、本当に親もいないただの孤児なんですけど・・・。」


そんな男の子をアスターナ様たちは引き取って教育してるのね。

ウチの親たちに聞かせてやりたい。


 「私を見出してくれたのは偶然なのかもしれませんが、旦那様や奥方様には言葉にし切れないような恩がございます。」


それはよく分かるわ。

でもそれとメリーさんに何の関係があるのだろう?


 「それだけじゃありません、

 マデリーンお嬢様にも良くしていただいて、

 お屋敷のチャンバス様や他の奉公人の方もとても親切にしてくれてます。」


・・・このまま聞いていた方がいいかしらね。

メリーさんも静かに彼の話に耳を傾けているし。


うん、傾けてるっていうよりも、

擦り付けてるっていう表現の方が正しいのかな。



次回


「果たせなかった約束」

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