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第六百六十八話 帰還(画像有)

終わりに画像いくつか入れておきます。

ニムエさんじゃありません。

この物語に登場するある人の、この物語でお目にかかる事のないお姿です。

メリー

「あら、それっていったい誰のことかしら?」

<視点 芳しき草花と麗かな泉の化身ニムエ>



まあ、

みなさま、お久しぶりでございます。

ただいま私を紹介していただいた方は、私のことをよくご理解されているのですね?


そう、

私こそこの物語の本当の主役、

輝きの御子にして静謐たる泉の淑女ニムエです。



・・・うん、嘘だから。

みんな信じなくていいからね?


え?

誰も信じてなんかいない?

そうね、

でも聞いてくれる?


いよいよ短いようで長かったカラドック様やメリーさんが元の世界に帰るのよ?

その最後の大事なイベントを



どうして私みたいな中小貴族出身の一メイドに語らせようとするの?


カラドック様ご本人やケイジ様が担当すべきじゃないの?

どうして私?

私ただのメイドだって言ったよね?


しかもこの場面って絶対に感動的なシーンが何度も起こるわよね?

そんなの私に解説実況できると思っているの?

いえ、させていいと本気で思っているの?



ホントにちょっと待って?

え、これ、

拒否するにはどうしたらいいの?

どうせ特別ボーナスも何にもないんでしょ?

なんで私ばっかり、いっつもそんな貧乏くじ引かなきゃならないのよ!!


昨夜だってマルゴット女王を慰めるのに、

すんごい時間かかったのよ!?

そりゃあ、女王のお世話をしているのは私一人だけのはずもありませんから?

他の担当の子たちにも私の仕事は分散させてもらったけども!


今朝だって五時間しか寝てないのよ?

自分たちのお化粧や入浴だってあるのに、そこから更にまた女王の起床のお手伝いがあるんだからね?


・・・あ、

これ上手くいけば私の愚痴だけで今回のエピソード終わらせられそう?


・・・え?

ダメ?

字数伸びても最後までずっと私?

そんなの酷い、酷すぎる!

メイド虐待っ!

訴えてやる!!

裁判所はどこ!?

待っていなさい!


きっと巨額の賠償を勝ち取って



 「ニムエよ、すまんがそろそろ・・・」

 「はっ、はい!!」


ダメだ、女王に見つかってしまった、

ううう、もう始まっちゃう。


うう、許さない・・・。

覚えておきなさいね?

いつか、必ずこの責任は取ってもらうから・・・




・・・気を取り直して


さて、みなさま、

この場所を覚えておいでだろうか。


そう、かつてカラドック様がこの国に呼び出された、この宮殿の玉座のある広間だ。


あの時私はその場にいなかったけども。


邪龍討伐記念式典以降も、

大小、様々な式典やパーティーなど、

公的な行事は嫌というほど繰り返された。


最後の最後だけは、

関係者だけでカラドック様たちを送り出したいとの女王の希望と配慮でこの形になったのだ。


本来なら楽隊なども揃えて、

物々しい貴族の重鎮などにも囲まれて、

厳粛な空気のもとに儀式を行うべきなのかもしれないけど・・・


いえ・・・


いろんな意味で、

今回の形の方が望ましいと私も思う。



女王やイゾルテ様の瞼が厚い・・・。

もちろん私は女王のお付き担当なのでお化粧も頑張った。

手を抜くことなど一切ないし許されることでもない。

だから辛うじて誤魔化してはいるつもりだが、見る人が見れば分かってしまう。

イゾルテ様のお付きの者たちも同じ苦労をしたのだろう。

まあ、この場や後になってそれを指摘するような無粋な人などいないと思うけども。


恐らく昨夜、イゾルテ様も泣き明かしたのだと思われる。

今も暗く沈んだ表情だ。

一睡もされていないのではないだろうか。


流石にリィナ様はそこまで重い表情にはなってはおられないと思うけど、思い詰めたお顔は一緒だ。

何かの拍子でリィナ様も涙腺決壊する恐れがある。


エルフのお二人は・・・

あの人たちいつも表情変わらないのよね。

口を開くと結構ノリ良さそうなんだけども。


でもきっと内心ではいろいろ思っているには違いない。




メリーさんは・・・


うん、ごめんなさい。

人形に表情なんかないんだからその内心なんて分かるわけもない。

ただ、女王たちと肉親の繋がりのようなものがあるカラドック様とは違うからね、

メリーさんがこの世界で出会った人たちと別れることになっても、それ程悲しい話にはならないと思う。



そしてケイジ様・・・。



狼獣人の表情も分かりづらいけど、

異様に静かというか・・・

真剣そのものなのは分かる。

でも不自然すぎないかしら?


そりゃあケイジ様にしてみたら、

カラドック様には多大な恩があるのだろう。

冒険者パーティーにカラドック様が加わったおかげで魔人や邪龍とも戦えるようになったわけだし?


だからと言って、

そこまで思い詰めた顔になるものだろうか。


それって、まるでお二人が特別な関係が・・・



はっ!?


あ、ち、違うわよっ!?

私が言ってる特別な関係ってのは、

そ、その男性と男性との、特別なアレじゃなくってっ


いやだわ、もう、何を言ってるのかしらっ!

どうしてみんな、そんな品のない発想をしてしまうの?


は、話を続けるわよ?


カラドック様はそれを気づいていないのか、それとも気づかないフリをしているだけなのか。



後そうそう、この広間には一部の高官の方々もいらっしゃるし、最低限の護衛の兵士も壁際に並んでいる。


特に何かの襲撃や事件を想定したものではなく、あくまで普通の意味合いでの警備。


・・・でも向こうの方に並んでる方々は魔王様の一団よね・・・


いいのだろうか、

下手したらこの世界の最強戦闘能力保持者が一堂に会しているのに、

周りには通常の兵士しかいないのなんて。


まあ、もちろんそんな物騒な人たちが揃っている以上、何か起こったとしてもこの国の兵士たちにそう簡単に対処できるとは思えないのも確かなのだけど。



確かに女王は物々しくなるものは極力排除したいというからこの形になったわけで・・・。


うん。

誰も気にしてなさそうね。

カラドック様も私の懸念に気付いてくれたようだけど、

ニッコリ笑って「気にしなくていいよ」と言ってくれたみたい。

麻衣様風に解釈するなら、そう思うことにするで済ませていいのよね?

あの子が残ってくれてれば、様々な危険を事前に察知できたのにと思うと残念だ。


さて、

今回のこの・・・送別式というか、壮行会というのか、

スケジュールとか段取りとかいったものはない。


各々みんなが好きなことを言い合って、時間が来たらカラドック様たちが帰還する。

それだけのイベントだ。


一足先に麻衣様とお別れした時のように、

なるべくみんな思いの丈をぶち撒けようというのが今回の趣旨である。


ただ女王と魔王は既にお別れを済ませている。

だからメインはコンラッド様たちお子様方と、ケイジ様達冒険者に譲るとのことだ。


魔王様も女王も、今回は見届け人の役に徹するらしい。


・・・魔王様はともかく、女王は最後まで我慢出来るのだろうか・・・。


心配と言えば心配なのだけど・・・


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

最初、金髪にしようかと思ってたんですけど、

よく考えたら、彼女のライバルキャラが金髪だったなと・・・。

多分今まで髪の色は物語上で明らかにしてなかったので変更しました。


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