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第六百六十一話 乱入者(画像あり)

あとがきに百合子まま(未婚)の画像あります。

物語にはなんの関係も有りません。

<視点 カラドック>


マルゴット女王と魔王ミュラとで、一対一の会談という話は、周りから全力でのストップがかかり中止となった。


いろいろな意味で当たり前だと思う。


まずはミュラの最初の申し出通り、

私との面会が先となるだろう。


てっきり、リィナちゃんも同席させろとかそんな要望も出るかと思っていたのだけど、

意外なことに、話をするのは私だけでいいそうだ。


 「・・・彼女とはこれからも話をする機会はあるだろう。

 けれどカラドックとはこれが最後だろうからね。」


そうだね。

私にしても、ケイジやリィナちゃん、タバサにアガサ、そして女王たちと共にいられるのは明日までだ。


ああ、だからミュラも気を利かして、その前日の今日に来てくれたのか。

もちろんこの後の予定も詰まっていたけども、

何事も優先順位というものがある。

異世界からの賢王と、この世界の魔王との対談という、恐らく今後二度と起きないであろうビッグイベントを蔑ろに出来るはずもあるまい。


まあ、とはいえ対談内容はそんな重大なものになるとは思わないけどね。

多分、もっとプライベートな内容で終わると思う。


そもそも、もはやこの世界で、

それこそ人類や世界そのものに影響を与えるようなイベントは全て終わったはず。

だからこそ、麻衣さんは一足先に私たちと別れたのだ。

もうこれ以上、何も血生臭いことが起きることはない。


・・・だよね?



女王には宮殿内に小部屋を貸してもらい、

部屋の中には竜人が護衛のために立っている。

控えの部屋には冒険者パーティー「聖なる護り手」の一団。


こちらには私の護衛に宮殿の騎士。

ケイジ達はまた別の控えの部屋。


それこそ部屋の中にケイジをいさせたほうがいいかと思ったんだけどね、

恐らく話の内容的にはケイジがいない方が良さそうな気がしたんだよ・・・。



それがリィナちゃん絡みの話なのか、

それともまた別の理由かは断じ得ないのだけども。


まあ、ホラ、リィナちゃん絡みの話だとしたら分かるだろう?

何かあるとすぐケイジが激昂して話が折れるのが目に見えるからさ。


もう一つの方は、

・・・私の杞憂と言われればそれまでかもしれない。


急遽用意された部屋だが、

清掃は行き届いているし、華やいだ生け花の配置なども宮殿の人達が手配してくれたようだ。


中庭に面した一室。

その中庭側には頭の高さにレバーで開け閉めできる窓から光が差し込んでいる。


今回はお馴染みニムエさんではないが、

宮殿のメイドの女性が公国特産の紅茶を淹れてくれた。

この世界に初めて来た当初は、独特の香りを感じていたけども、もはやここの紅茶に何の違和感も感じなくなってしまったね。

ミュラにも勧めてみよう。


会談そのものは、社交辞令はおろか何の無駄な前置きもなく始まった。

まあ、久しぶりとはいえ知らない仲じゃないしね。

それに今のミュラの顔立ちは、

ちょうど私がミュラに最後に会った時の年齢に近いものだ。


恐らく私が元の世界に戻って、ミュラと再会したならば、彼もヒゲくらい生え揃えていて何もおかしくない年頃だろう。

彼がまだ生きているとしたならば、だが。


 「忙しいのに済まないね。

 どうしても最後にカラドックに会っておきたくて・・・。」


 「それを言うならこちらこそだよ、

 私も元の世界に戻る前に君とは一度話をしておきたかった。

 わざわざ会いに来てくれてありがとう。」


さすがにこちらからは魔族領まで短時間で行ける手段はないからね。


ラプラスの飛行馬車という手がないこともないけど、

そのラプラスに連絡する手段自体がないし、

連絡取れたとしても、恐らく世界樹の女神の許可が降りなければ無理な話だろう。


あ、そういえば今現在麻衣さんが使用中だったっけかな?



 「でもどうしてわざわざ二人っきりで?

 リィナちゃんやケイジには聞かせられない話でも?」


私の頭の中に一つの懸念がよぎる。


 「いや、そんな大袈裟な話じゃない。

 単に元の世界の話をしたいだけなんだ。

 それだとしたらこちらの世界に生きてるリィナたちには、聞いていても退屈な話かもしれないだ・・・ろ?」


ああ、そういうことか。


ところが私はミュラのその言葉に納得したのだが、

たった今そのセリフを放ったミュラ本人が一度考え込む仕草を取っている。


いったいどうした?


 「あ、いや、やっぱりあの狼獣人はいてもらわない方がいいのか・・・。」


ミュラ、それは独り言か?


もしこの場にケイジがいない方がいいという話だとすると、

その内容とは



 「ああ、済まない。

 とりあえずカラドックには、僕が失踪した後の話を聞いて欲しかった。

 僕はその後、一国の王になったけども、ウィグル王国とは国交を開いていない。

 だからカラドックのところにも僕の情報は行っていないだろ?」


ああ、それは私も興味あるな。

スーサの国が消滅した以上、ミュラに後ろ盾など何もない筈だ。

であるならミュラの才覚だけで王の地位にまで上り詰めたということか。


 「それは凄いな、

 確かに大陸に関しては全て統一しきれていないけれど、地方の国家の情報くらいは抑えているつもりだった。

 良ければ教えてほしい。

 なんなら私が元の世界に戻った時に、ミュラの国と・・・」




コンコン



ん?



私の発言の途中で

窓を叩かれたような音が。


ここは二階。

窓の外は中庭の筈だ。


ノックが出来る人間なんかいやしない。

鳥でも部屋の中を覗こうとしたのだろうか。


別に無視をしても良かったのかもしれないが、

私の言葉を遮ったものは何かと、音のした方向を振り向くと、




そこには一人の女性の顔がへばりついていたのだ。


ああ!

窓に!

窓に!



 「うわメリーさんっ!?」


今朝から姿を見ていなかったし、

先ほどミュラの一団が宮殿にやってきた時も、彼女は姿を現さなかった。

もともと神出鬼没なおかつ、他人と行動を共にするような人じゃないから、

こちらも逐一彼女の所在を気にしていたわけじゃなかったのだけどね。



うん、ミュラや宮殿の騎士達も驚いている。

それはそうなるよね。

まさかそんなところからやって来るとはね。


 「入れてくれる?」



入れてあげないと言ったらどうなるんだろう?

窓ガラスを破壊してでも入って来るのだろうか?


もちろんそんな無益な選択を提示するわけにもいかないので、

騎士達にお願いして、窓ガラスのかんぬきを外してもらった。


窓ガラスはちょうど人の頭の高さにある、

縦幅30センチ程度の狭いものだけど、

小柄で人間の関節の常識に囚われない、メリーさんならではの独特な動きで、すぐに彼女は部屋の中へと降り立った。


最後に死神の鎌を入れるのに難儀していたようだけど。



 「・・・その、人形は、

 邪龍にトドメを刺したあの時の・・・」


ミュラとて忘れるはずもないだろう。

ただでさえインパクト抜群の動く人形なのだしね。


む?

竜人ゾルケトフの警戒感が高まっているな。


これは仕方のない話だ。

この場にあの凶悪な死神の鎌を持ち込まれたのを見て、

魔王ミュラの護衛としては無視するわけにもいかないだろう。


けれど、

確かに今この場にメリーさんが現れたわけは・・・




 「忘れていないわよね、カラドック?」


む?

メリーさんの目的は私だというのか?

メリーさんの銀色の瞳が私を突き刺す。

いったい「忘れる」とは何の話だ?


 「これから彼の語る話をあなたが持ち帰って」



・・・そうか。

彼女はその為に未だこの世界に残っていたのか。


 「あなたがこれから国王として起こす行動に変化が起きるというのなら」



つまりメリーさんがこの場に現れた理由は。



 「未来を変える元凶を私が抹消せねばならない。」



挿絵(By みてみん)


躍る百合子さん。

衣装は何の変哲もない簡素なものです。

久しぶりにVRoid Live Viewerいじったのと、勢いで・・・。

やっぱり一時停止機能があると便利だ!

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