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第六百四十九話 ぼっち妖魔は不死系最強種を倒す

麻衣

「あたしが馬なし馬車と首無し騎士が似てるって言ったせいで、どんどん新たなフラグというか設定が!!

あたしもう帰るんで後のことはよろしくお願いしますね、華さんっ!!」


華ちゃん

「は、はい!? いったい何の話!?

ていうかあなた誰っ!?」


<視点 麻衣>


 「じゃああたしが頭をお運びしますね。

 両手も空いてるし。」


 「くうう、なんてええ子なんやあ・・・

 おおきになぁ、

 ほんま助かるでえ・・・。」


アミネさん達ブラックファングの皆さんには、忌避感というか抵抗感ありそうだし。

まあ、落ち着いて考えると人間の言葉を喋るアンデッドの首など触れたくもないだろう。


さすがにベルナさんもこの件ではブラックファング寄り。

ただまあ、あたしのやることなのでこれ以上突っ込むことは諦めているんだと思う。


もちろんラミィさんも抵抗はないだろうけどね。

ただ念の為に、一番戦闘力の高いラミィさんはフリーに動ける方がいいのだ。


・・・決してラミィさんがリビングメイルを誑かしたことにあたしが対抗意識を燃やしているわけじゃないからね?


だから当ててなんかいませんよ。

両手で兜を抱えて、

お胸ではなくあたしのお腹で兜の後ろを支えているだけです。

なのでデュラはんさんは当然正面を向いている。


まあ、あたしの発展途上の双丘をくっつけてあげたところで、兜が邪魔して感触なんか楽しめないでしょうしね!


 「おじょーちゃん、おーきにな、

 わいの頭、重うないか?」


気配りもできる人のようだ。

なるべくなら討伐されてほしくないな。

まあ、そんじょそこらの冒険者では、

タバサさんクラスの人を連れてこないと勝負にもならないとは思うけども。


 「ええ、このくらい大丈夫ですよ、

 いつか赤ちゃん抱えることになると思えば予行演習のようなものですし。」


 「うう、ほんまええ子やなあ、

 おーきゅうなったら絶対男どももほっとかん思うでえ?」



ぴく・・・



ん?


大きくなったら?


それは、あたしが子供だと思われている・・・ということかな?



 「ん?

 な、なんか変やな?

 これ暗黒の波動ちゃうか?

 なんで現世で・・・!?」


あたしに静かに運ばれているはずのデュラはんさんが当惑されていなさる。


どうしたんだろうね。



それにしてもあたしを子供だと思ったのは何をきじゅんにされたのだろう。

しんちょうだろうか。

かおつきだろうか。

それとも・・・



 「ねえ、デュラちゃん・・・?」


ラミィさんが腰を引きながらデュラはんさんに話しかける。


 「ど、どないしてん、おっぱいおおきーラミアはん?」


 「あのね、あなたを抱えてる麻衣って女の子、こことは違う別世界の妖魔なのよーっ?」

 

 「そ、そうなんかっ?

 ヒューマンやなかったんか、そ、それでっ?

 あ、ま、まさかこの黒い波動は・・・」

 

 「それで更に情報追加すると、この世界でいう深淵て、とってもすっごい神様のお気に入りみたいでね?

 この先、下手したら闇の女王みたいな高位の存在になる可能性を秘めた子なのよ、

 だから失礼なことは考えない方がいいかなーと思うの。」


 「へっ!?

 深淵さまのお気に入りっ!?

 こ、こらまた失礼いたしましたあっ!!」



ラミィさん、そんな予定ないですから。

あたしはこの後も平凡な人生を送るんですよ。


まあ、デュラはんさんも悪気があったわけじゃないのは分かってる。

だからあたしもそんな事で怒ったりはしないのだ。



 「な、なあ、ラミアはん、

 きのせいか、わいの兜、ギシギシゆがんでってへんか・・・?」


 「だ、大丈夫、だと思うなー?」

 「ラミアはん、なんで視線逸らすんやあっ!?」


そう言えばいつの間にか、あたしのスキルで爪格闘術がカンストしていたっけ。

使う予定なんかないから封印しとかないといけないかな?

まあ・・・今はまだいいよね。



そんなこんなで微笑ましい雰囲気の中、

あたし達は元の魔法陣で転移する。

なんでも転移先はいくつかあって、

ランダムに飛ばされるらしい。


ただいつかは元の場所に戻るのでそれほど時間を取られることはないとのこと。


そしてあたし達の目の前に、

先ほどまで凶悪な殺意を振り撒いていた首無し騎士が。



 「おおおお、愛しのマイボディ!!」


感動の再会である。

元の場所に戻った瞬間は、カラダ部分も殺る気マンマンだったみたいだけど、

こちらに自分の頭があると認識してくれてからは、もはや殺伐とした空気はどこにもない。

直前まで再びあたし達に襲い掛からんとしていた首無し騎士が槍を捨てて、両腕を拡げて迫ってくる。


それ自体とても怖い絵面なんだけど、もはやあたしの危険察知も働かない。


あたしは高々とデュラはんさんの頭をかざす。


ゆっくり、とてもゆっくり、

首無し騎士さんの腕が震えてる。

悠久の時の中、ずっとこの瞬間を待ち望んでいたのだろう。

無理はないと思う。


 「心配かけたなあ、

 これからはまた一緒やで・・・。」


自分の体なんだよね?

ご夫婦とか恋人同士の再会みたいな・・・

まあ、とりあえず元の鞘に戻ったという事でいいようだ。



あれ?

そう言えばあたし、

ラミィさんに深淵の人のこと喋ったっけか?

まあ、今はいいか。




その後の事を書こうと思う。

無事にあたしはデュラはんさんから目的のアイテムを頂いた。

首から下のボディに独立した意識があるのかどうかよく分からないのだけど、

デュラはんさんの頭が戻ってからは、それこそ一心同体のように動いている。


それからどこにそんなアイテムあったんだ、とかいう話はスルースキルを身につければ分かると思う。


 「ほんま世話になったなあ。

 妖魔のおじょーちゃんはもう元の世界に帰ってしまうんやって?

 さみしゅうなるけど元気でな?」


あたしもお礼の言葉を言ったけど、この人ホントにこの後も裏ダンジョンボスの役を務められるのだろうか?


いえ、実力や強さは疑ってませんよ?

ただ会話できる冒険者達と仲良くなるだけだと、戦闘行為が成立するのかどうかが・・・。


 「せやからわいの仕事はダンジョンをクリアさせんだけで、冒険者を殺さなあかんわけやないんや。」


え、あ、そうなんだ。



現役冒険者のベルナさん、空いた口が塞がらないみたいだね。


 「えっ、ちょっと待って、デュラっち、

 じゃあ例えばあたし達が今度また来たとしても、無理に戦わなくてもいいってことなの?」


 「えーよ?

 ただお土産になるようなもんは持っとらんからな?

 ドロップアイテム目当てやダンジョン制覇の名誉目的ならわいも遠慮せんでー。

 そういうことや。」


ふと見ると、ラミィさんの尻尾がちろちろしてる。

何か面白いものでも見つけたのだろうか。


そう思ってたらラミィさんと視線があった。

あたしがラミィさんの心中を窺っていたのに気づいたようだ。


 「うふっ、だって麻衣麻衣ー、

 これ、すっごい面白い話じゃない?

 あたし、商人のことはよくわからないけど村おこしにも使えそうな気がしない?」


 「ああ・・・。」


よく考えるととんでもないことである。


だって、

このカタンダ村に、

ヒューマンと必ずしも敵対しない超強力な魔物が2体もいるってことなんだものね。

しかもどちらもコミュニケーション可能。


二人とも人気者になりそうだ。

さすがにデュラはんさんは外で出れないから、

会いにこれるのはそれなりの冒険者だけだろうなんだけども。


 「とりあえずチョコちゃんとケーニッヒさんに任せれば上手くいくんじゃないですかね?」


なんか夢が膨らんでいくな。

あの二人が色々企んで、

外の人が文句言ってきたら、エステハンさんが「オレが決めたんだ、文句あるか!」と一喝すればだいたいのことは収まると思う。


しかも更に・・・


 「ラミィさんにだって美味しい話かもしれません。

 だってデュラはんさん、頼めば槍術とか教えてくれそうじゃないです?」


とたんにパァっと明るくなるラミィさん。

 「麻衣!

 あなた天才!!

 よぉし! あたしもまだまだ強くなるぞー!!」


 「わいも暇やから構わんけどな、

 さすがにギャラは貰うでえ?」


 「あー、うん、お土産は持ってくるね!

 じゃあこっちも交渉成立ってことで!!」


ラミィさん、更に強くなるのか。

どうしよう。

この辺鄙な村にとんでもない魔物を誕生させてしまったかもしれない。



おや?

ふと後ろを見るとベルナさんやブラックファングの皆さんの動きが止まっている。


多分あたしと似たようなことを考えているかと思ったんだけどな。


 「な、なあ、やっぱりこれとんでもないことになっちゃったんじゃないか?」

 「ベルナさん、だから言ったじゃないですか!!

 もう手遅れですよ!

 あたしこの後、隣村に帰りますからね!?」

 「アミネ!

 なんてこというんだ!

 オレはこの後もらみたそについていくぞ!!」


 「なら勝手にすればいいでしょ!

 あたしが巻き込まれる必要全然ないじゃない!」


あら、これはいけない。

パーティー解散の危機だよね。


あたしにも責任の一端はあると言われればあるような気もするし・・・

なんとか出来ないものだろうか。


・・・うん、

ラミィさんはもうどうしようもないけど、

デュラはんさんだけならどうにかできるかも。



 「皆さん、落ち着いてください。

 あたしも明日には元の世界に戻ってしまうので、お役には立てなくなりますけど、デュラはんさんを抑える術は知ってます。

 いざとなったらそれを使ってください。」


ふと閃いたのだ。


 「まーちゃん、なんだって!?

 そんなスキルでも・・・いや、まーちゃん以外にも使えるってことは!?」


 「お?

 なんや、なんやあ?

 こー見えてもわいは強いんやで?

 まあアンデッドやさかい、光系統の技や術には弱いけどな、

 けどそんなん皆んな知っとるやろ?」


デュラはんさんが頭を胸に抱えたまま、空いてる右腕でシャドーボクシングをしている。

うん、この様子なら間違いない筈だ。


ふふふ、そんなたいそうな技などではない。

普通なら何の効果もない筈だけれど、

彼には通じる。


そんな確信があった。


あたしはゆっくりデュラはんさんに指を向ける。


お?

さすがにデュラハンさんも警戒態勢になったね。


でも防ぐことなど出来やしない。

これはそういう技だ。


 「な、なんや?

 魔力もなんも感じへんで?

 いったいなにするつもりなんや?」


そんなもの要りませんて。

じゃあ行きますよ。

ふふふ、覚悟してくださいね。




 「ばっきゅん!」


 「ぐあああああっ!?

 やられたあああああああああっ!!」




 「「「「はあああああああ!?」」」」



冷たいダンジョンの床に崩れ落ちるデュラはんさん。

向こうの人にはホントに通じるんだね、この技。


やっぱりこの人は長生きして欲しいな。


これでデュラはん編はおしまいです。


さあ、いよいよ麻衣ちゃん最後のイベントですね。

・・・まだ何も考えてない。


あ、ダナンさんへの贈り物は決定しています。

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