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第六百四十七話 ぼっち妖魔は納得する

お?

ポイントが大幅に・・・


これはぶっくまでなく、評価でしょうか!

どうもありがとうございます!


今回少し長めです。

<視点 麻衣>



な、な、なに、あれ!?


ラミィさんに指摘されて、遠くに転がってる異物の正体が生首であることは理解できた!


まあ、兜を被った状態の切断された頭部を、生首と言っていいのかどうかは知らないけど!


でも、でもその姿で意志が宿ったままで喋れるってどういうこと!?



あたしの後ろにいるベルナさんや、ブラックファングの皆さんだって理解不能。

魔物であるラミィさんだってわけが分からなくなってるみたいで最大限の警戒態勢だ!!


一応念のために聞いてみるか。

この世界の魔物に関して、ラミィさんはあたしなんかより全然詳しい筈だし。


 「ラミィさん・・・、

 あれ、どう見ても魔物の類いですよね?

 正体とか分かりますか?」


喋ったということはかなりの知能の持ち主だ。

妖魔系だろうか?


 「あ、あたしにも分からないわよー、

 ていうか・・・鑑定は

 あ、ダメね、普通に弾かれちゃったわ?

 精神耐性高いか、レベルそのものが高いのか・・・。」


うん、あたしの鑑定も弾かれている。

あたしもかなりのレベルになってる筈なんだけどな。


ただ、同時に・・・



あたしの危険感知スキルはそれほど反応してない。

少なくとも先ほどのデュラハンほどの脅威はない筈。


ただ、正体不明であることは確か。



一方、あたし達がどう対処すべきか戸惑ったままなのにも拘らず、

遠くの生首はあたし達に用があるらしい。


 「おーい、

 聞こえるんかあー!?

 それとも言葉わからんかなあー?

 悪いようにせんからこっち来てくれると嬉しいんやけどー?」



 「え、なにあの生首、

 あたし達に近づいて来いって言ってるんですか!?

 どこのバカがあんな怪しさ満点の生首に無防備に近づくってんですか・・・

 あ、ちょ、リカルドどこ行くのよっ!?」


 「え、だってこっち来てくれって・・・」

 「何で化け物の言ってることそのまま受け止めるのよっ!!」


どうやらリカルドさんはおつむに問題ある人だったようだ、

せっかくまともな人だと思っていたのに。

アミネさんも気苦労多そうだな・・・


 「もうこのパーティー辞めたい・・・。」


がんばれアミネさん、

あなたの未来に幸在らんことを。



なおリカルドさんはまだ諦めていないようだ。

お二人の討論は続く。


 「え、い、いや、アミネの言うこともわかるんだけどさ、

 言葉喋るってことは知能があるんだろ?

 なら戦闘にはならないかもしれないじゃないか。」


 「だからなんでそんな楽観的な可能性だけで行動にでるのよっ!

 知能があるってことはあたし達を騙したり罠にかけたりできるってことよっ!!」



うん、まあ、お互いの言い分はわかる。

もちろん普通に考えたらアミネさんの意見が正しいと思う。


ただなあ・・・



 「いや、君たちな!?

 わいを警戒するんは、よお分かる!

 けどほんま困っとんのや!!

 助ける思うてこっち来てくれんかなあ!?」


敵意自体感じないんだよね・・・


それにいくらなんでも手足もない人に何かできるとも思えない。

まあ、この世界だと魔法とか使ってくるかもしれないけど、魔力そのものもそれほど高そうに感じない。


うーん・・・



 「ねぇ、カリプソ、

 あんたまだ魔力十分よね?

 この距離からファイアーランスかなんかで仕留めるべきだと思うんだけど。

 あの生首、どうやって転がってるのかよく分からないけども、素早く動けないのは確かみたい。

 なら今のうちに息の根を止めておくべきだと思うの。」


カリプソさんもアミネさんの意見に同意したようだ。

ラミィさんに色目を送りつつあたしの前に進む。


お?


生首もこっちがしようとしていることに気づいたかもしれない。


 「ちょ、ちょっと待ってーな!?

 わい、いま抵抗出来ないんやで!?

 君ら、手も足も出ないわいを可哀想とか思わんの!?

 良心の呵責ちゅうもの持っとらんの!?」



それにしてもよく喋る生首だな。

難しい単語も知っている。


ていうか今更だけど、あたしの耳に関西弁に聞こえるような気がするのはどういうことなんだろう。

さすがに転生者ってことはないだろうけど。


まあ、ただ流石に敵意もない人に攻撃かけるのはあたしも同意は出来ないかな。

あ、うん、アレが人じゃないってのは分かってるんで。


 「カリプソさん、ちょっと待ってもらえます?」


カリプソさんが杖を掲げて呪文唱えそうだったんで、一度サイレンスかけておく。


 「麻衣さん、どうして!?」

 「まーちゃん!?」


 「アミネさんも落ち着いてください。」


 「まーちゃん、あの生首に何かあるのかい?」



アミネさんは信じられないとばかりにあたしを見つめる。


ベルナさんは多少なりともあたしのこと知ってるからね。

カリプソさんを止めたことに、何か理由があると思ってくれたのだろう。


 「とりあえずあたしが感じたことをそのまま喋ると、

 あの生首にあたし達に対する敵意はありません。

 そして今のところあたしの危険感知も働かない。

 本来ならアミネさんの慎重さが正解だとは思うんですが、せっかく会話できる相手がいるなら、何か情報だけでも入手できるかもしれません。」



どうやらラミィさんもあたしと同じ意見のようだ。


 「そうねー、さすがにあの生首ならあたしでも勝てそうだしねー、

 話せる相手ならまずは会話してみるのも手ねー。」


アミネさんが「ええええ、おかしいのあたしの方なの?」と頭抱え込んでしまった。


うーん、たぶんこれは・・・


ああ、そうだね、

ラミィさんはともかく、あたしはメリーさんのことも知ってるからなあ。

無機物の人形が喋るの知ってるのに比べれば、

生首が喋ってるの見ても抵抗感じないだけなのかも。



 「とりあえず交渉はあたしがやってみますので、ラミィさんとベルナさん、あたしのフォロー入ってもらえます?

 もちろん警戒は切らしませんので。」



 「おっけー、任せてねー麻衣! 

 槍はないけど防御魔法はまだ使えるからねー。」


 「ならあたしは魔法剣すぐ起動できるようにしとくよ、まーちゃん。」


ラミィさんは水系、土系どちらの防御魔法も持っている。

ベルナさんは詠唱待機できるんだっけ。

途中まで呪文を唱えて発動直前で詠唱を中止した。

あとは魔法剣のスキル名を口から発するだけで炎の魔法剣が発動するだろう。


とゆーわけで、お二人にあたしの両側を固めてもらった。

ブラックファングの皆さんはあたしの後ろからついてくる。



そして生首さんもあたしに敵意がないのを感じ取ったようだ。

向こうの声が嬉しそうな気配になっている。


 「おお!

 わいの言うこと信じてくれたんやな!!

 いやあ、ここのダンジョン任されて何百年経ったか忘れてしもうたけど、人と会うんは初めてやあ!!

 いやあ、生きてて良かったわあ!」


え、あれ生きてる状態なの?


いろいろツッコミたいけど、まだ会話するには遠いと思う。

もうちょっと近づかせてほしい。


もうなんか生首さん、ホントに嬉しいのかあたし達が近づくと、ゴロンゴロンと前後左右に激しい動きを繰り返している。



あたし達の距離が10メートルほどになった時、

あたしの隣のラミィさんが思い出したかのような声を出した。


 「あー、もしかしてー。」


そこであたしは足を止める。

ラミィさんの目線は当然生首の方に向いている。


兜の下でよく見えないけどアレどうなってるの?

顔は人間のもの?

それとも何かの魔物?

ここのところ不死系の魔物が多かったから、その流れでいうと骸骨の顔があるのかもしれない。


 「何か知ってるんですか、ラミィさん。」


何となくラミィさんの額に、「大往生」って入れ墨が入ってるように見えたのは気のせいだろう。


 「あ、えーとねー、さっきの部屋にいたデュラハンのことなんだけどー。」


ん?

何でこのタイミングに?


今はこの生首さんに神経を集中すべきだと思うのだけど。


 「あ、ううん、あたしもさっきは余裕なかったんだけど、さっきのデュラハンってあたしの聞いていた話とちょっと姿が違っていたのよねー。」


え?

姿が違う?


 「どういうことです?」


 「あー、うん、確かあたしの記憶だと、

 不死系最強種のデュラハンて、

 片手に槍を構えて、鎧姿で、騎馬に跨っていて・・・」


 「さっきのデュラハンもそうですよね?」


今のところ何もおかしくないよね?


 「ううん、ところがデュラハンて、もう片手に、自分の首を抱えてるはずなの。

 さっきのデュラハンて、左腕にはなにももってなかったわよね?」


え?


自分の首を左腕に?



あるはずの首がなかった?




それって・・・





そのままあたしは視線をラミィさんからこの場の生首へ。



彼もあたし達の会話を聞いていたのか、

どうやら生首さんは機嫌良く笑っていたようである。


 「でゅははははっ、

 おう、実はそうなんや、ラミアのおねーちゃん!

 ちゅーのは、誰もわいのとこまで来れんさかい、めっちゃヒマしとってな!!

 仕方のうて、自分の首使ってリフティングしとったんや!

 そしたらついうっかり、この首蹴りそこねて、転移魔法陣までゴロゴロ転がってしもうてな!!

 気がついたらこの部屋まで飛んでしもたんや!

 しかもわいは、自分からは魔法陣に近づけんよう設定されとるみたいでな?

 カラダの方もこの頭の方もどっちも魔法陣に近寄れず、ずーっとこの部屋で孤独に過ごしとったんや!!

 いやあ、さみしかったでえ!?

 君らここに来てくれんかったら、もうあと何百年このままでおったことかー」




マジかい。


 「あーそうそう、

 わいの名前はデュラや!!

 気軽にデュラはんって呼んでやー?」


ああ、それで関西弁になってるのね・・・。


「デュラはん」で検索かけたら

カクヨムの方で同じネタを使ってる人がいるみたいです。

まあ、商業化されてないならネタ被りを気にすることもないかなと。

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