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第六百四十三話 ぼっち妖魔は引っ掛かりを覚える

ぶっくま、ありがとうございます!



・・・よく見直したらフロア数間違えてました、

そっと直しておきます・・・。

<視点 麻衣>


あたし達は無事にオックスダンジョン最下層のダンジョンボスを攻略した。



眼下には彼らの遺品とでもいうべきか、鎧や剣が落ちている。


回収すれば自分達の武具にすることも地上で売り払うこともできるだろう。


 「ただろくすっぽ手入れもされてないから、売ったとしても二束三文にしかならないんだよ。」


とは剣士リカルドさんの弁。


あ、そう言えばあたし達のパーティーメンバーも一人倒れていたね。

シーフのアミネさんが魔術士の人のみぞおちにニードロップを喰らわせて無理矢理叩き起こしていたっけ。


今回の攻略の立役者ラミィさんは、人化を解いて元のラミアの体に戻っている。

相変わらず制服がどこに消えるのか謎だ。


それはともかくとして、ちゃんと胸は隠してくださいね?

あたしはラミィさんの後ろからブランケットを胸に巻き付けてあげる。


 「ありがと、麻衣ー、

 これで無事にミッションクリアーねー?」



今回はラミィさんに脱帽だ。

あ、うん、前回のカタンダ村助っ人プロジェクトも大成功だった。

改めて考えるとお世話になりっぱなしだったな。


 「いえいえ、ラミィさん、本当に凄いですよね、

 戦闘や魔法だけでなく、別の手段ででもトラブルを回避できるって本心から尊敬しちゃいますよ。」


ラミィさんは上機嫌だ。


 「うっふっふー、褒めて褒めてー。

 あれ?

 でも麻衣もこないだの吸血鬼のお兄さんに、あたしと同じようなことしたっていってなかったっけー?」


なんだと?


 「い、いえ、だからアレは違うんですよ!!

 アレはそういうことじゃなくて・・・!」


絶対に違う、

だからあたしはそれを説明しようとして・・・


あれ?

何が違うんだろう。

あたしの中の何かが絶対同じ行為じゃないと主張しまくっているんだけど、

それを言葉にしようとすると、何が違うんだかさっぱり分からない。



あの行為は同情というか・・・

ラミィさんだって上辺だけの演技だけかもしれないけど、その気持ちが全くないってわけでもないだろうし・・・

死にゆく者への敬意だって・・・同じ、なのだろうか・・・


吸血鬼エドガーに対しては、彼の生い立ちの悲劇を聞いてしまったからこそのあたしの行為なわけだけど、

あのリビングメイルさんにだって、生前は彼なりの過去はあったろう。

あたしがそれを聞く機会がなかっただけで。



ううう・・・

誰か教えて・・・賢王カラドックさーん


・・・うん、この場にはいないよね。

もちろん念話で相談するわけにもいかないしね。



・・・ダメだ。

思いつかない。

この件はスルーするしかないようだ。

幸いラミィさんも、あたしにそれ以上追及するほどのものでもないと考えたのだろう、

何かを探すかのようにあたしから顔を離した。


 「・・・ええと、それでぇ・・・」



ラミィさんは辺りを見回している。

まあ、ラミィさんの目的はすぐにあたしも分かりましたけどね。

つられるようにあたし達もボス部屋の周辺の床へと視線を彷徨わせる。


そう、

ダンジョンボスを倒したならドロップ品が落ちててもおかしくないのだ・・・




 「あ!

 まーちゃん、あそこ!!」


どうやらベルナさんが何か見つけたようだ。

急ぐ必要はない。

あたし達は何が落ちているのかとゆっくり近づく。



小振りの細長い金属?



 「短剣かな。」


その言葉を発したのは同じくベルナさん。

松明の光に照らされて薄く光を反射させる。


うん、呪いとかの類はかかってないようだね。


握りの部分に綺麗な文様のある短剣だ。

リビングメイルはもちろん手がないし、

スケルトンナイトもブロードソードしか持ってなかったから、間違いなくこのダンジョンボスからのドロップ品だろう。


 「まーちゃん、鑑定かけられる?」


もちろんお安いご用だよっと。



ふむふむ。


 「ほうほう、これはそこそこいいもんじゃないですかね?

 短剣の銘はアクアエッジ、

 ランクはSRスーパーレア

 水属性の短剣です。

 効果は水属性魔法使用時に効果上昇、

 それと常に洗浄効果があるらしく、

 血糊やサビで切れ味が落ちることがないという品物ですね。」


皆さんから感嘆の声が上がる。


けれど・・・。

 


口を開いたのは、

このパーティーで一番武器に詳しい剣士のリカルドさんだ。


 「水属性の短剣かあ、

 取り回しを考えるとシーフのアミネが使えばいいんだけど、アミネは魔法使えないものなあ。

 ベルナさんも水にはそんな適性なかったよね?

 となるとラミィさんが一番使いやすそうだけど、武器は槍の方が得意なんだろ?」


そもそもラミィさんなら、短剣使うより自分の爪使ったほうが早そうだものね。


ただ問題はそのことでなく・・・



 「リカルド、何言ってんのよ!

 あたし達はおまけでここまで連れてきてもらったんだからね!

 五体満足で帰れれば十分なのに、戦利品まで貰おうなんて厚かましいにも程があるでしょ!!」


 「う、あ、そ、そうだったな、

 ごめん、今のオレの発言はなかったことに・・・。」


まあその通りなんだけどあたしは気にしてませんよ。


次の発言はベルナさんだ。


 「まーちゃん、ここにはダナンの結婚式へのご祝儀探しに来たんだろ?

 これ、使えるのかい・・・?」


そう、問題はそこなのだ。


 「結婚式に刃物、さらにはお流れを連想しやすい水物は避けたほうがいい気がしますね。

 ・・・ちょっとハズレだったかなあ。」


まあ、こればっかりは運だ。

仕方ないと言えば仕方ない。


 「あたしも水属性得意とはいえ、あんまり使うメリットなさそうだわー。

 ギルドに持ち帰って共有財産にした方がいいのかしらねー。」


そうだね、

あたしも別に所有権を主張するつもりはない。

何しろ今回一番の活躍はラミィさんだ。


なら後はこのフロアで宝箱でも探すか、他の魔物から低確率のドロップ品でも狙うか・・・。


そんなあたしのところへベルナさんが近づいてくる。


何かあるのかな?


 「なあ、まーちゃん。」

 「はい、何でしょう?」


 「実はあたしがまーちゃんにここまで連れてきてもらった本当の理由なんだけど・・・。」


ん?

ダンジョンボスと戦ってみたかったとかじゃなくて?


 「あ、いや、ダンジョンボスを見たかったてのは本当だよ。

 でもさ、まーちゃん、覚えてるだろ?

 あたし達と地下5階で四つ腕クマと、戦ったこと・・・。」


 「あ、はい、もちろん覚えてますけど・・・。」


ベルナさんはいったい何を気にしているのだろうか?




 「あの時、まーちゃんは隠し部屋と、その巾着袋のマジックアイテムを見つけたよな?

 ここはオックスダンジョンの最後の部屋だ。

 ないのかい?

 隠し部屋とか隠れアイテムとかは。」



なるほど。

そういう話か。


ブラックファングの皆さんはその話を聞いていなかったせいか、三人とも驚いた顔をしているね。



ベルナさんは静かにあたしの答えを待っている。


別に難しい質問ではない。

あたしは簡単に答えを返せる。


ベルナさんの今の質問なら、

正解を明かすには何の問題もないのだ。



 「ありますよ。」



 「本当かいっ!?」


今度はベルナさんも驚いた表情だね。

まあ、予想はしていたのかもしれないけど。

ただね・・・



あたしが浮かない顔をしていたのにベルナさんも気付いたようだ。


 「まーちゃん、何か不都合なことでも・・・?」


もったいぶるつもりはない。

そもそもあたしにはあんまり時間は残ってないのだ。


 「隠し部屋、・・・というより隠し通路なんですかね?

 遠隔透視ではこのボス部屋の奥にそんな空間は視えるんですけど、何か宝箱とかアイテムがあるようにも視えないんですよね。」


視えない。

今の段階では。


ただ何となく嫌な予感すんだよね。

危険・・・と言えるかどうかも分からない。


危険度が低いのか、

それとも危険となる状況からは未だ距離があるのか分からないけども、

・・・何かは起こりそうな気をヒシヒシと感じるのだ。



何が起きるかは次回。

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