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第六百四十二話 ぼっち妖魔は終わりを見届ける

<視点 麻衣>


一方、

肝心のお二人さんがどうなったかというと、

いつの間にか、リビングメイルは地面に腰を下ろし、

その隣をキャバ嬢のようにラミィさんが・・・


いや、清純無垢のあたしはその世界も業界も知らないけど、普通のお店はおさわり厳禁とかじゃないの?

そういうサービスのお店もあるのだろうか。


うん?

どこからか「この期に及んでまだ言い張るですかよぅ」という誰かのツッコミが聞こえた気がする。

あたしには何の話だかさっぱりわからないので気にしないことにする。


それよりこっちの話だ。

見てごらんなさい。

まるで恋人同士のようにラミィさんはカラダをリビングメイルの胸に傾けている。


あたしがキャバ嬢ぽいと思ってしまったのは、ラミィさんのリビングメイルとの会話が、まさしくそういうお仕事している人のように見えてしまったからだ。


 「ええー、騎士さまってそんな大変な修行してるんだー、まいにちー?

 うわー、あたしだったら耐えられなーい!

 すごーい!

 それは絶対自慢していいよー!

 がんばったんだねー!」



重ねて言うけど、そういう人たちがお店でどんな会話しているのかあたしは知らないからね?

あくまであたしのイメージである。



それにしてもよく一方的に会話できるな、ラミィさん。

あれで意思疎通できているのか。

いや、あたしがふくちゃんやスネちゃんとコミュニケーション取ってるようなものなのだろうか?

それとも魅了下にすると会話できるとか?


 「うわー、胸板もすっごく厚いー!」


そりゃ鎧だものね。


 「こんなに硬いのもはじめてー!」


そりゃ金属だもの。



あれ、おかしいな。

リビングメイルには頭も顔もない筈なのに、

あたしには鼻の下が伸びたうだつの上がらないおじさんの顔がぼやけて見える。


ヤバいな、ついにあたしも幻覚見るようになったのだろうか。



見れば、残ったスケルトンナイトの皆さんも、

跪いてラミィさん達の会話?を聞いている。


時にはウンウン頭を下げてるところを見ると、元はあのリビングメイルの部下というより、同僚か仲間だったのかもしれない。


 「そうだねえ、

 あたし達が、生きてる間に出逢えてたらねー、

 もっと仲良くできたのにねー、

 昔は手も足もあったんでしょー?」


なるほど。

スタート時点がスケルトンなら頭もあったんだろうね。

進化ルートがどうなってるのか今ひとつ分からないけど、進化して浮遊したり魔法使えるようになったけど、代わりに剣を失ったと。


・・・そう言えば童貞のまま30歳超えると魔法使いになるという都市伝説は事実だったのか。



いや、そんなことよりも、だ!!



元の姿がスケルトンなら童貞ってどういう事よ!!

そもそも何も出来ないでしょ!

骨の体なら!!

どうやって繁殖するのさ、スケルトン王国!!


第一スケルトン姿がデフォなら人間姿のラミィさんに心ときめく筈もありませんよねえ!?




あたしの疑問と混乱をよそに、

完全に二人?の世界に没入してたかと思っていたけど、ラミィさんは本来の目的を忘れてはいなかったようだ。


 「名残惜しいけど、あたしこの後予約が入っていて延長できないの。

 どうして欲しい?

 あたしに出来ることあればなんでもしてあげるよ?」


後ろで誰かが吐血した。


気にしない。


それより予約ってなんだ?


延長って何のシステムなの?




 「・・・そう、わかった。

 それであなたが満足するのなら・・・。」



よく分からないけど話はまとまったみたいだね。

相手は初心うぶの鎧さんだけに、この物語が削除されるような過激なリクエストではなかったようだ。

めでたい。


ラミィさんの動きはとても優しそうだった。

彼女はその両腕を鎧に被せ、

本来ならある筈の首の部位に自らの頭を沈ませて・・・



密着度はかなり高い。

高いなんてもんじゃない。

仮にリビングメイルに肉体があったなら、

この紙面で説明できなくなるような過激な展開になっていたと断言できる。


この情景だけでもカリプソさんのLPをゼロにするだけの威力はあるだろう。


リビングメイルを鑑定すると、MPどころかHPもどんどん減り始めていた。


状態異常に「幸福」と表示されている。




状態異常なのか、それは。

不死系に光属性がダメージとなるのと同じ原理なのかもしれないけども。



やがてリビングメイルの体が暖かい光に包まれてゆく。




あれ?


周りのスケルトンナイト達が顔を上げて親指立ててる。


今度は幻覚どころか幻聴まで聞こえてきた。



 「悪いな、お前ら、先に逝くぜ・・・。」


 「気にするな、最後にいいねーちゃんに抱かれて良かったじゃねーか。」

 「ああ、オレらも後で逝くよ。

 ・・・オレのかみさんもあんな優しかったらなあ・・・。」

 「アーノルドのヤツ悔しがってるだろうな、ヤツも女の味は知らないって言ってたもんな。」


スネちゃんが撃破したスケルトンナイトがアーノルドさんかな。

いや、今の幻聴だから。



うん、スネちゃん、そんな後ろめたそうな顔しなくていいんだよ。

ある意味、君もあのスケルトンナイトさんに抱きついて逝かせたんだから。


それにしても今の幻聴からすると、

他の三人のスケルトンナイトは女性経験者っぽいな。

てことはこの先進化したとしても、魔法を使うリビングメイルにはならないってことでいいのかな?

物理系統の進化ならスケルトンキングとかデスナイトとかになるのだろうか。


まあ、どうでもいいか。

あたしは明日にはこの世界からおさらばするのだ。

これ以上気にする必要などどこにもない。



やがてリビングメイルから霊気が消えた。




昇天したのだろうか?

そこにはただの古ぼけた鎧が残っているだけ。


聖母の表情を浮かべたラミィさんは、

ゆっくり、とても優しくその鎧を地面に横たえた。




すると残った三体のスケルトンナイトがラミィさんに剣を掲げて敬礼。


答礼っていうんだっけ?

ラミィさんは自分の槍を拾って似たような動きで応対した。


あたし、いったいなんの劇を見せられているんだろう。




その後、一列に並んだスケルトンナイトは、

ラミィさんと握手、

その後、あろうことか、ラミィさんはスケルトンナイトの頬に軽くキッス。


途端にガシャアンと砕け散るスケルトンナイト。

なのに二体目も慌てることなく、ラミィさんと握手。

こっちはラミィさんの二つの胸に顔を埋めた途端、やはりガシャアンと砕け散った。


三体目の人は特殊な性癖の持ち主だったかもしれない。

握手した後、いやらしくも、ラミィさんのブラウスをめくり上げ、おへその辺りを上下の歯でカプカプしてたのだ。


さすがにラミィさんも「きゃん」と艶めかしい声をあげる。



そして先の二人を追って最後のスケルトンナイトも砕け散った。


ちなみにあたしの背後でも、一人の男の人が屍となっているけど、気にする必要は全くどこにもない。



おわった。


これで、全ての戦いが終わった。



・・・なんだろう。


結局ラミィさんにおいしいところを全て持っていかれた・・・


いや、うん、今回はあんまり悔しくないと思う。



ただなんか・・・虚しい。



 「あたし、なにしにここにきたんでしょう。」


アミネさん、あたしも同じ思いです。



 「ラミィっちはギルドの受付嬢のままでいいのかもね、色んな意味で。」


ベルナさん、本当にそれでいいんですか?

あたし、この後、この村がどうなってもホントに責任何も取りませんからね?


ようやく、終わりました。



いよいよこれからが本番です。

あ、そんな長くはならないかと。

下書きはこれからなのですが。

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