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第六百三十六話 ぼっち妖魔は合流する

時刻は13時45分。

うん、間に合う。

<視点 麻衣>


地下5階層のボス部屋ででくわした冒険者の一団の中に、久しぶりのベルナさんの姿をお見かけしました。


 「ベルナさん、お久しぶりです!

 ダンジョンの中に潜ってるとはお聞きしましたけど、こちらにいらっしゃってたんですね!」



カタンダ村に戻ったら会いたいと思ってた人たちの一人だ。

ベルナさんも驚きながらも笑顔を見せてくれる。



 「なんだよ、まーちゃん!

 戻ってくるんなら事前に便りくらいっ・・・て無理か。

 でもまた会えて嬉しいよ!

 でもなんでラミィまで?

 しかも完全戦闘スタイルじゃねーか。」


相変わらず魔法剣士のベルナさんは両腕剥き出しの魔術士服だ。

ダンジョンの中だから寒くはないのだろうけど、外出たらさすがに寒そうな気もする。


とりあえずベルナさんにはここまで来た経緯を簡単に説明しておいた。


 「ああ、ダナンのヤツへの手土産かあ・・・。

 新婚家庭への贈り物に相応しいのかどうかはあたしも分からないけど、確かに面白いものは見つかるかもな。」


うん、

・・・まあ、冒険者ですらないダナンさんに、伝説の武器とか鎧とか出ても困るのは確かだ。

流石に初心者ダンジョンからそんなものは出ないと思うのだけど。


でもその初心者ダンジョンの浅い層でも、

世界に十個しかないというマジックアイテム出てるからね。

ここはあたしの強運を信じたい。


時にベルナさん、


・・・後ろの人たちは?



 「ああ、そうだ、

 前回スタンピードが起きた時にあたしと一緒に防衛戦組んでたヤツらでな、

 隣村の冒険者で『ブラックファング』っていう3人組のパーティーだよ。

 ほら、お前ら近くに来いよ、

 ・・・なんだよ、なにモジモジしてんだよ、

 ここにいる子はあたし達の命の恩人だぞ?」


と、後ろを振り向いたベルナさんに誘われて、3人の男女が入ってきた。

それはいいけど、あたし達を見た瞬間、

正確にはあたしでなくラミィさんを目撃した瞬間、それぞれが異なる反応を示してみせた。



一人の剣士姿の男性は、

顔を不自然に逸らしてしまう。


もう一人の魔術士っぽい人は、口を半開きにしておめめがハートなマークになっている。

「らみたそ・・・」って呟いていたけど何の呪文?

この後「るるるるる」とでも続くのだろうか?


そしてちょっと恥ずかしそうに俯き加減の小柄な女性1名・・・

うわ、おかしな呪文を呟いた人の顎をアッパーカットした!!





あ、いけない。


 「あー、男性の方がいるなら、ラミィさんのボディは目の毒ですよね、

 ラミィさんちょっとその胸の凶器は隠しておきましょうか。」


ラミィさんに前にあげたブランケットまだ持ってる?

よしよし、ならそれ使って胸元巻いときましょうね?


 「えー、普段はいいけど戦闘時には何もつけてない方が動きやすいんだけどなー?」


そんなバカな。

どんな理屈でよ?


あんな巨大なもの揺らしたまま動く方が邪魔だと思うんだけど。


 「それに魅了使う時は胸を隠さない方が効き目あるのにー。」


まあ、それはよく分かる。


 「なら谷間を強調するように巻いときますよ。

 魅了使う時は前傾姿勢で上目遣いでお願いします。」


あたしは何のリクエストをしているんだ。

あたしが見ても何の意味もないぞ。



準備を終えたところで改めてその3人組を紹介してもらった。


剣士の人がリカルドさん、

魔術士の人がカリプソさん、

小柄な女の人がシーフのアミネさんだそうだ。

ちなみに外見だけではよくわからないけど、アミネさんはホビットという亜人の人らしい。


一通り紹介してもらった後、もう一度詳しい話をベルナさんがしてくれた。


 「あのスタンピードで魔石やら素材やら結構稼げたんだけどさ、

 やっぱり装備品の破損や治療代、消耗品で出費も激しくてね。

 そんで改めてダンジョン潜って懐を潤そうってところ。」



話を聞くと、ベルナさんもある程度ここで稼いだら、夕方までには抜け出してダナンさんの結婚式に出席するとのこと。


あたしも人のこと言えないけど、魔物倒したあとに結婚式出るのって中々バイオレンスな世界だよね。


 「え、で何?

 まーちゃんとラミィは最下層までいくつもりなの?」


ベルナさん達はもちろん、

この地下5階はクリアできる実力はあるので、

その下から地下10階までを狩り場にする予定だったらしい。


・・・なのだが。


 「おい、どうする、お前ら。

 今まで最下層なんて行ったことないだろ?

 チャンスと言えばチャンスだぞ?」


お?

どうやらこの流れは・・・


ブラックファングの皆さんはそれぞれ仲間を見回して、無言で頷いている。


ベルナさんも彼らの意向は理解したようだ。


 「なー、まーちゃん、

 もし良かったらなんだけど、下まであたし達一緒に着いて行ったらダメかな?

 足手まといになりそうだったら、その時点であたし達引き返すよ。

 でも今のカタンダ村に、現役の冒険者で最下層まで行けるヤツなんていないんだ。

 せめてこの機会に一度だけでも最下層がどうなってるのか、

 最後のボスはどんなヤツなのか、この目で見たいんだよ。」


うーん、どうしよう。

別にもちろん嫌とか迷惑なんてことじゃないんだけどね。


ブラックファングの皆さんの冒険者ランクはC。

この辺りで商人さんの護衛なんかも受けれるレベルだよね。

そう言えばベルナさんもCランクにアップしているそうだ。


 「ラミィさんはどうです?

 まあ、もうお胸隠しちゃった後に今更な話かもしれませんけど。」


隠してはあるけどブランケットの隙間から下乳とか覗けそうなんだよね。

ある意味こちらの方がむしろエロかったかもしれない。


魔術士のカリプソさん、さっきから微妙に位置取りずらしてこっち見てくるのは何故?



 「あたしは構わないわよー、

 でも麻衣は寄り道せずに最速で最下層まで行くつもりなんでしょー?

 この人たちはそれでいいの?」


そう、つまり、ダンジョンの中に散らばるお宝や魔物の素材を漁るヒマはないということだ。


 「それでもよろしければ、ということになりますけど・・・。」


多分戦力的には良くも悪くも影響ないと思うんだよね。

この辺りの冒険者だけあって、何が優れてるというわけでもなさそうだし、

万一強力な敵が出てきても、あたしが無力化すればそれほどの危険はないだろう。


 「お、おう!

 オレらもベルナと同じ考えだ!

 頼むから最下層まで連れてってくれ!」


剣士のリカルドさんは普通の人でいてほしい。

もう色物は要らない。


 「あー、ならみんな一時的に同じパーティー扱いにしておくわねー。

 四人ともこっちにきてー。」


ん?

ああ、そうか、ラミィさん、冒険者ギルド職員でもあるから、パーティー登録できるのか。



前にマスタークラスのカラドックさんだってやってたものね。

まあ、カラドックさんは国王だから、冒険者ギルド職員のスキルよりも強力だけど。




・・・いまさらなんだけど、

パーティー登録とか解除ってスキルなのか・・・。


どんな原理なのかサッパリ分からないよね。



まあ、気にすることは何もない。


とっとと地下に降りましょう。

ん?

お互いの連携の検証とか?

 

いやあ、要らないでしょう。

そんな時間もないし。


フロアを降りたら、

あたしがマップを遠隔透視で見極め、

次の階段を見つけたらそこに一直線。


邪魔するものはラミィさんが薙ぎ倒す。

集団でいたらスネちゃんとふくちゃんも呼び出して一網打尽。


こちらを警戒してすぐに襲ってこないようならマイマイ蛾の皆さんで窒息死だ。


怖いのはトラップくらいかな。

そっちについてはブラックファングのシーフ、アミネさんにも協力してもらったけど。


 「え、いえ、こ、このくらいしかあたし達、役に立ってないんで・・・。」


 「いや、オレやカリプソはもっと役に立ってない・・・。

 素材剥ぎすら仕事ないからな・・・。」


まあ、周りを警戒してもらったり、あたしの護衛とかはしてもらってますけどね。



ていうか、初めて出会ったお三方の反応は仕方ないにしても、ベルナさんまでそんな光を失った目であたしを見ないでほしい。


見違えるほど大きくなってるけど、スネちゃんだって前に会ってるよね?


 「・・・いや、そうだよな、まーちゃんだもんな、うん、いやなんでもない。」

 


とゆーわけでサクサク進んでるよ。

次は10階のフロアボスとのバトルです。


うむ、ここまでなんのトラブルもなし!!

いい調子ですよ!!


次回も安全に行きますよ。


ご安心を。

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