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第六百三十五話 ぼっち妖魔は何もする事がない

今回もギリギリ・・・

<視点 麻衣>


私麻衣ちゃん、いまボス部屋の前にいるの。



はい、今回はメリーさん風に始めてみました。

うん、特に意味はないのだけど。


左右に広げるスライド扉の前。

もはや中に何がいるかは遠隔透視で分かっている。



土の塊で出来た2メートル以上の無機的な魔物。

クレイゴーレムだ。


パワーはあるが四つ腕クマほどの敏捷性も凶暴性もない。

ただ、生き物でない以上、こちら側のアクションに対して戸惑ったり恐怖したりすることもない。

ただ淡々と侵入者をゆるさんとばかりに襲ってくるだけだそうだ。


 「まあ、楽勝ねー。

 あたしにとっては一番相性がいい魔物だわー。」


ラミィさんが頼もしすぎる。

ここまで有能な人だったとは。


あれ?

でも。


 「無機物にラミィさんの魅了や麻痺は効きませんよね?」


 「クレイゴーレムやサンドゴーレムは水が弱点なのよ。

 あたし、ほら、水魔法得意でしょ?」


おお!

さすがである。


という事でラミィさんは自宅の扉を開けるような手軽さで、ボス部屋の扉を開けた。


ゴーレム系なら、いきなり襲ってくることもないだろう。

あたし達はゆっくり、かつ慎重に扉をくぐる。



いつかそうしたように、あたしはたいまつの火をかざす。


うん、部屋の奥に一体のゴーレムが佇んでいるね。

そしてそいつもあたし達の侵入を覚知してゆっくりと起動する。


あたし一人だったらまだ怖いと思う。

一応、ソロで戦うとしても、無重力のハメ攻撃で倒せると思うけど、あの巨体から繰り出される一撃喰らうだけであたしは瀕死だろうしね。


 「さぁて、とっととやっちゃいますかあ!

 『ウォーターボール』!!」


でかっ!


他の冒険者の人やアガサさんが水魔法を使うところは見たことある。

それぞれそれなりに大きさは違ったけど、だいたい学校で見るハンドボール程度の大きさだったと思う。


ラミィさんのウォーターボールは桁が違った。

工事現場で見るクレーンの鉄球のような・・・


それこそ、大きさのみならず、喰らったクレイゴーレムが弾き飛ばされて尻もちをついてしまうくらいのとんでもない威力だったのだ。


もっともウォーターボールはあらゆる攻撃魔術の中でもっとも威力が低いとされるもの。

実際、クレイゴーレムにも衝撃はあったようだが、そのカラダが破壊されるまでには至らない。



だがしかし。


 「んっふっふー、

 ゴーレム系の場合、水魔法は体の中を浸透するから、ある意味毒を喰らったようなものなのよねー。

 見て見てー?

 もうカラダ起こすのも一苦労みたいよー?」


恐らくクレイゴーレムにとって、

体の中隅々まで浸透した水は、純然たる土の体に対し異物以外の何物でもないのだろう。


土系の攻撃でも有効だそうだけど、

その場合は普通に互いの削り合いとなるそうだ。


そしてあれだけの大量の水による攻撃を喰らってしまえば、もやはまともに動けるはずもない。


となれば、

うん、あたしの出番は一切ない。


 「とおおおおお!!」


蛇の下半身ならではの独特の足(?)捌きで突撃かますラミィさん。

両手に持つ槍の技量はそれほどとは思わないけど、既にかなりのレベルとなったラミィさんの攻撃は、一撃ごとにクレイゴーレムのカラダを叩き割る。



うん、クレイゴーレムも反撃しようとはしてるみたいなんだけどね、

痛覚もないだろうし。

そういう意味ではしぶとかったクレイゴーレムも・・・


 「はい、とどめーっ!!」


魔石を砕かれたのだろう、ついにそのカラダもグズグズと崩れ去る。

ホントにラミィさんソロで圧勝だったね。



 「凄いですね、ラミィさん・・・、

 もうあたしが出会った頃とは比べ物にならないですよね・・・。」


うん、本心でそう思う。


 「何言ってるのー?

 そんなの麻衣だって一緒でしょうに。

 でも確かに多分あたし、他のどの仲間より強くなってる筈よー。

 ウフフ、もしかしてラミアクイーンの座も狙えちゃったりなんかしてー。」


あたしと同じようなこと考えてるな。

あ、もちろんそんな大役やりたくもないけれど。


でもどうだろうね?

ラミィさん以外のラミア見たことないから、他のラミアさん達やラミアクイーンとやらがどこまで強いのか想像も出来ないんだよね。


 「まー、あたしもラミアクイーンなんて実際見たことないけどねー、

 でも仲間から聞いたことあるけど、体格なんかもあたし達人間並みの大きさの3倍はあるそうよ。

 なんかもう規格が違うみたい。」



ああ、それはもう遺伝子レベルで違うのかな、

生まれついてで女王になる個体が決められているのかも?



あ、そうだ。


これは単に思いつき。

念の為。


ふと思い出したのがケイジさんの例。


 「ちょっとラミィさん、ステータス見させてくださいね?」


 「あら、どうしたのー?

 まあいいけどー。」


今まで魔物のステータスなんて気にしたことないんだけどね。


いつも敵として扱ってたから「彼ら」の

「伸び代」なんて考える必要もなかったのだ。


けれど、魔物とはいえ、人間の仲間となるのなら。

人化まで手に入れたラミィさんなら。



あ、あった。


 「ラミィさんにも職業欄ついてますよ!」


 「え!?

 ホント!?

 あれ、でもあたしの職業欄て冒険者ギルド職員じゃないの?」


ああ、そうか、ラミィさん冒険者カード持っているのか、

いや、正確には職員カードっていうのかな?


恐らくそのカードには職業、冒険者ギルド職員となっているのだろう。

うん、あたしの鑑定でもそれは見える。

冒険者ギルド職員の後ろに(仮)となっているけども。



 「あ、職業欄はその通りなんですけど、

適性職業がいくつか表示されてるんですよ。

 魔術士と槍士はまあそうだろうなとは思いましたけど。」


 「え?

 てことはなーにー?

 他にも変わった職業が適性あるってこと?」


そうなのだ。

ケイジさんにも面白いレアジョブがついてたから、もしかしてと思ったのだ。


 「ええ、適性職業『妖騎士』ですって。

 レベル0ですけど・・・

 多分ラミィさんの槍の扱いって自己流ですよね?

 どこかで修練すれば面白いことになるんじゃないですかね?」


なんか妖騎士って響きが楊貴妃みたいだね。

ケイジさんの獣騎士の時も思ったけど、なかなかカッコいいネーミングだと思う。


 「へえ!

 じゃああたし、まだこれからも強くなれるってことねー?

 わあ、楽しみー!!

 麻衣、ありがとねー!

 あなたと会えて良かったあ!!」


そう言われると嬉しくなるね。

特にあたしがラミィさんに何かしてあげたことはないと思うんだけど。




ん?


そんな感じであたし達二人で盛り上がってたのだけど、

ボス部屋の外の方から、ガヤガヤと話し声が聞こえてきた。


3、4人くらいかな?



 「おい、ボス部屋開いてるぜ?

 誰か戦闘中なのか!?」


あ、そういや扉閉め忘れた!

まあ、すぐに倒せると思ってたしね。


 「いや、もう戦闘音は聞こえないし女性同士の話し声は聞こえてくるから、ボスは倒したんじゃねーか?」


 「ならどうする?

 便乗して下の階に降りさせてもらうか?」


どうやらダンジョンの中にいた他の冒険者の人たちが下の階に行きたがってるみたいだね。


もちろんあたし達に否応もない。

下の階に行ける実力のある人たちなら何も問題ないだろう。


そう思っていたら・・・


 「なら、あたしが声かけてみるよ。

 多分あたしが知ってる顔だろうし・・・

 でもいったい誰が・・・」


という声と共にその人が入ってきた。


あ、



あれあれ?

そう言えばここに来てるって情報もらってたっけかな。


 「ベルナさん!!」



 「へ?」


その人は部屋に入るなり、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。


ダメだよ、そんなことしたら。

動物虐待だ。


 「ま、まーちゃん!?

 し、しかもラミィまで!?」


ゴブリンみたいにラミアウォーリァーと種族進化する方向性もあるのですが、


人化できるので

ヒューマン兼用の職業ができたみたいです。

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