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第六百三十三話 ぼっち妖魔はコミュ強妖魔とコンビを組む

<視点 麻衣>


いったいどういうことなのか。


あたしがダナンさんの結婚式に参加するにあたり、何か気の利いたものをプレゼントしたい。


まずはそこだ。


そしてあたしの手持ちの荷物の中にそんなものはないし、

カタンダ村の売店でそんなものを当日に探し回るのも難しい。


ならば他所から探してこないとならない。



ふむ、ここまでもいいよね。



だけれども、

それがどうしてダンジョンの最下層にまでいかないといけないお話になるの?



 「さすがにオックスダンジョンは初心者向けとはいえ、この辺の人たちでダンジョンボスを倒せる人はなかなかいないみたいなの。

 何がドロップするかは分からないけど、レアアイテムには違いないだろうし、最下層なら他の魔物でも美味しいものがドロップするかもしれないわ。」



え、いや、それはわかるんだけど。


 「え、あの、ラミィさん、わかってます?

 あたし、戦闘力ない女子校生なのと、もう魔物とバトる予定も勇気も一切残ってないんだけど。」


そう、もうストーリー的にも血生臭い出来事はない、と決まった筈・・・

あ、いえ、あたしがそう思い込んでるだけだと言われればそうなんだけど。


 「あっはっはあ、何言っちゃってるの、麻衣ー?

 吸血鬼や邪龍倒した子がこんな初心者向けダンジョンで手こずるわけないでしょー?」


 「いえ、だからあたしがそいつら倒したわけじゃないんですって!

 あたしはあくまでカラダ張って戦闘する人の補助役としてですね!?」


そこでこの騒動を見かねたのが、

間にチョコちゃんがやって来た。


 「あー、ならラミィさん、伊藤様と一緒に行ってくれる?

 ダンジョンの中なら人化を解いてもいいわけだし。」


むむ?


 「あー、それはいいな。

 ラミィもレベルアップしてるし、もともとラミアは槍と爪格闘術を主体とした中衛モンスターだろ。

 それに魔法も使える、魅了も使える万能モンスターだ、

 嬢ちゃんの護衛にはちょうどいい。」


な、なるほど。

確かにそれは心強い、かも。


 「そ、それなら何とか・・・。

 でもラミィさんもそれでいいんですか?」


確かラミィさんはそれほどバトルジャンキーではなかった筈。

むしろ、不要な戦闘は避けるくらいの慎重派だったとあたしは記憶してるのだけど。


 「あー、もうオックスダンジョンの15階層くらいまでならソロでも楽勝よー。

 さすがにまだ最下層までは行った事ないけど、透視能力ある麻衣とならなんの不安もないわ。」


どうやらラミィさん、

数々の戦闘を経験してとんでもないハイスペックになってしまったようだ。


考えてみたらあたしも、

初めてこの世界に来た時と今じゃ比較にならないものね。


せっかくだからもうひと暴れしてみるか。

もちろん油断するつもりはありませんよ。


 「よし、ならラミィはギルドの武器庫から槍を持って行け。

 ダンジョン探索用基本携帯セットも忘れずにな。」


 「はーい、じゃあ人化解きますねー、

 えーい!!」


その瞬間、ラミィさんが光に包まれた。

ほぼ同時にチョコちゃんとエステハンさんが慌ててそのラミィさんの体に覆い被さる。


 「ラミィさん、まだダメー!!

 ギルドの建物の中で人化解いちゃダメー!!」


 「おい、テメーら向こう向いてろっ!!

 オレがいいというまでこっちを見るんじゃねえっ!!

 見たら明日の日の出を拝めねーようにしてやるからなっ!!」


ああ、人化解くと、すっぽんぽんになるんだね。

あたしからもラミィさんのカラダは見えなくなってるけど、透視できるあたしにはエステハンさんたちの行為は何の意味もなくなるのだ。


まあ女同士、あたしがラミィさんの裸体を見てもそれこそ何の意味もないけども。


それにしても下半身は分かるけど、

元のラミアのカラダに戻ることで、

どうして上半身の制服まで外れてしまうのだろうか。


ブラジャーあったはずだよね?

なんでなくなるの?





さて。


時刻はまだお昼前である。

ダナンさんの結婚式は夕方から始まるという。


それまでに戻るには最速でオックスダンジョンをクリアせねばならない。


まあ、あたしが最初にオックスダンジョンに入った時は、あたしの能力を確かめる必要もあったけど、


あの時よりも更に目的は明確。


寄り道不要。


フロアとフロアを最短で進む。


目的最終フロアは地下20階。


ダンジョンボスは不死系というか霊体系というか、

リビングメイルとスケルトンナイトの組み合わせだそうだ。



僧侶が・・・とくにタバサさんみたいな上位祭司がいると格段に難易度は下がるけども、

物理戦闘職だけならかなりの難敵。


やっぱりあたしと相性悪いと思う。

もちろんラミィさんの魅了が効く相手でもない。


 「まー、あたしだけでなく、麻衣ならあの蛇ちゃん呼べばなんとかなるでしょ。

 もうそれこそあの子もこんなダンジョンのボスクラスに成長してるみたいだし。」


スネちゃんのことである。


・・・確かにそうだね。

スネちゃんの毒も不死体には効かないけど、

単純に大蛇の巻き付き攻撃だけで、骨の体など一溜りもない筈だ。



・・・あれ?

何か忘れている気がする。



何だったっけ。



なんだろう。


・・・いや、今のところあたしに危険察知は働いていない。


なら何も危なっかしいことはないと思う。



そしてあたし達は・・・

あたしにとっては懐かしいオックスダンジョンの入り口までやって来た。


ここにも顔馴染みの見張り番の人がいて、

あたしのことを覚えていてくれた。


あたしから今回の目的を説明してもいいのだけど、この入り口までは冒険者ギルド職員の制服を来たラミィさんが簡単に説明してくれた。


・・・ラミィさんも何か軽口が多いし、能天気な言動ばっかりだけど、意外と有能だと思う。

ないのは人間の常識だけで、

・・・特に男女間の機微は・・・ないのとは違うんだよね。


あくまでラミアの生態上、誘惑特化というか、男を落とすことに特化しているというか・・・。



だから人間の暮らしをするなら本当にそこだけ注意すればと思っていたんだけど。


 「うーん、その辺については麻衣の言うこともわかるし、ここ最近の話ならチョコからも口酸っぱくいつも言われてるわー、

 まず一般的に人間社会は一夫一婦制だから、子作りしたくなる人は一人に決めないといけないとか、

 あたしが無闇に男の人を誘惑したり、逆に誘惑してくる男の人の誘いに乗ったら、男性同士で流血沙汰になるから、簡単にカラダに触れさせるなとかねー。」


 「全面的にチョコちゃんの話には同意しますけど、よくラミィさんも彼女の言うことに従ってますね?」


エステハンさんなら力ずくで言うこと聞かせるとかありそうだけど、

チョコちゃんには戦闘力ないはずだしね。


 「あー、その代わり男の人にご飯やお酒奢ってもらったり、貢物を貰うのはアリだって言ってくれるから、あたしも今のところ不満はないものー。

 門限までに帰らないといけないのが不満と言えば不満くらいかなあ?」

 


どうやら、冒険者ギルドの仕事を教える前に、そこから教育を始めていたらしい。

チョコちゃんが優秀すぎる。


もしや、あの子には魔物テイマーの素質があるのだろうか。


というわけで次回は最後のダンジョンアタックだよ。


えっと、

・・・ホントに血生臭い戦闘はない、という事でいいんだよね!?



麻衣ちゃん、何か忘れてる?


伏線が既に埋め込まれているのを忘れたか?

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