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第六百二十九話 ぼっち妖魔は辿り着く

午前中にアップしたけど字数が少ない。

時間ギリギリまで肉付け!

<視点 麻衣>


さあ、ラプラスさんの馬車に乗るのもきっとこれが最後だよ!!



予定では昼前くらいに冒険者ギルドで待ち合わせして、あたしが最初にこの世界に訪れたカタンダ村に行くはずだったのだけれども・・・




あるよんどころない事情で、予定を大幅に変更せざるを得なくなったのだ。


そこであたしは朝イチでラプラスさんに念話を送って事情を説明した。


そして慌ただしくも特段のトラブルもなく、あたしは馬なし馬車に乗ってカタンダ村に向かっている最中なのである。


若干寝不足気味なのだけど、

耐えて見せましょう。

あたしは頑張るのだ。


 「麻衣様、よろしかったのですか、

・・・皆さんとそんなお別れの仕方で・・・。」


 「なんのことですか?

 あたしはみんなと心置きなく最後の夜を過ごしましたよ。

 皆さんとの思い出を胸に自分の世界に戻るんです。」


 「いえ、麻衣様がそれでいいとおっしゃるなら・・・。」


ラプラスさんが視線をあたしに合わせてくれない。

まあ、馬なし馬車の御者を務めているのだから、前を向いていないとならないのは当たり前なのだけど。


それにしても、いったいどうしたんだろう?

ラプラスさんには何か懸念でもあるのだろうか。


あたしには何の見当もつかないんだよね。



とはいえ、キリオブールからカタンダ村までは何の障害もない。

恐らく昼前には到着できるだろう。


今はラプラスさんと他愛のない話をして、時間を潰すのも悪くないと思う。


 「まあ、私にも異世界の知識がありますからね、

 未成年の少年少女がお酒でヤンチャするのは結構多いと聞いてますが。」


 「ああ、そうらしいですねえ、

 でも今は結構、お店の方でも未成年者の出入りは厳しくしてるなんて話もききますね。」


どうしてそんな話題を持ち出したのか、さっぱり分からないんだけどね。


 「ふーむ、なるほど。

 私の知識は時代の変化にはついていけないところもございます。

 それを言うと布袋さんの異世界の記憶も似たり寄ったりかもしれませんね。」


お二人にはそれぞれ、

「異世界の知識」と「異世界の記憶」というスキルがあるとのことだ。


どちらもそれ程深い知識があるわけでもなく、

獲得したレベルに応じた分だけの情報量しかないそうだ。


それと布袋さんの記憶って、

たぶんあたしたちの造物主様の人間時代の記憶だよね。

器のあの人も、外見だけだと結構遊んでそうに見えなくもないのだけど。


 「この話とは別に布袋さんに何度かその方の記憶にどんなものがあるか、聞く機会がありましてね、

 やはり10代の頃に朝まで仲間たちと大騒ぎしたりするのはしょっちゅうみたいでしたよ。」


 「ああ、あたしも一度会いましたけど、あの人もいい意味で調子良さそうな人でしたね。」


決して悪人ではない。

たぶん他人の期待を裏切れない人だ。

みんなが盛り上がっているのなら、更に場を盛り上げようとしていたのだと思う。


 「ただまあ、そんなハメを外した遊びの後は、次の日に、お姉さんらしき人に説教喰らうまでがワンセットらしいんですけどねえ。」


お姉さんの期待はことごとく裏切ってしまったのか。

きっと、

「未成年の女の子を朝まで連れ回すなんて!」とか、正座させられてお小言もらう様子が簡単に想像できる。


その後きっと、

「連れ回されてるのはオレの方だあ!!」とか言い訳するのもお約束なのだろう。


そういえば聖女ミシェルネ様は元気かな?

あの子も正座が似合いそうだな。

怒る方の側で。

挿絵(By みてみん)



そんな他愛もないお話をしているうちに見えてきたよ、カタンダ村。


あそこには、あたしの危険感知に反応するような魔物なんて滅多に現れないだろうしね。

遠隔透視で村の中を見廻しても、みんな平和そう・・・


ん?


なんかやけに賑わっているな。

なんだろ?


人出が多いというか、

なんか一箇所に集中して・・・


悲壮な感じは何も受けない。


むしろ明るい、喜ばしいようなイメージの・・・


ああ、お祭りというか・・・

もっと華やいだ・・・


そう、

例えるなら結婚式のようなイメージかな?


あたしはこの地域の結婚式の様子を見た事ないけど、きっとそんな感じだ。


一瞬、あたしの歓迎パーティーの準備のような気もしたけど、さすがにそれは自意識過剰だろう。


たぶん誰かが結婚するんで、

村じゅうでお祝いしようという雰囲気だと思う。

どうせそんな規模の大きい村じゃないしね。

よほどのことがない限り、知り合いはみんな集まってくるのだろう。


とはいえ、あたしの知ってる人かしら?


魔法剣士のベルナさん?


いや、まさかね。

こう言ったら失礼だけど、冒険の方が楽しくて恋愛とかは二の次のような人だった。


それとも冒険者ギルドのエステハンさんの娘さんのチョコちゃんか。


いやいやいや、あのバイオレンスフェイスのお父さんを口説き落とせる猛者が、果たしてあんな村にいるであろうか?


まあ、そんなことはカタンダ村につけばわかるだろう。

別に今の時点で知ってないと困る話でもない。


・・・知り合いだとしたら、

何かあたしの巾着袋の中にお祝い品として使えるものあったっけかな?


お金はほとんどキリオブールで散財してしまったけども、

MPポーションとか魔物の魔石とか、高価なアイテムはまだたくさん残ってるんだよね。


ラミィさんへのお土産にする前にそっちを換金しといた方がいいのかな?


つい先日、ラミィさんを遠隔透視したのだけど、

以前のあの人の住処に帰らず、カタンダ村にそのまま居着いているようだった。


それはそれで構わないのだけど、

ちゃんと村の人たちと上手くやれているのか、

この目でちゃんと確かめないとね。


その時、ラプラスさんが反応した。

 「麻衣様、村らしきものが見えてきましたぞ!?」


おお、着いたかな?


 「そうですね、遠隔透視で確かめましたけどカタンダ村で間違いないようです!!

 村の入り口前に降ろしてください!!」



カタンダ村にも見張りの人はいるしね。

いきなり空飛ぶ馬なし馬車が頭の上を飛び越えたら大騒ぎになるだろう。


人様に迷惑をかけてはいけないのです。


ゆっくり、丁寧に行きましょう。


 「麻衣様とこれでお別れになるのはさみしいような、ホッと胸を撫で下ろした方が良いのか・・・。」


ラプラスさん?


今のはどういう意味かと突っ込もうと思ったけども、


ここでスルースキルを発揮するのが大人の女性だと思うんだよね。




さて、

カタンダ村にはお世話になった人はいても、

以前なにか大きなトラブルもなかったはずだ。


何か美少女誘拐未遂事件はあったけども、あの犯人達は他の街に移送されている。


強いていえばラミィさんが迷惑をかけてないかどうか、それだけの心配で良かったと思う。



・・・甘かった。


ここでもあたしの過去に起こした因縁が、

最後の最後であたしを待ち受けていたのだ。



自業自得。


別に悪い事したわけじゃないんだけどね。

心のケジメはちゃんとつけないといけないと思うんだよ。


そう、

そう言えば生前のママにも言われてたの思い出したよ。


 「自分の行為には責任が付き纏う」んだってね。



次回、「ぼっち妖魔は結婚式に参加する」


さて、誰の結婚式かしら?

新郎新婦ともに過去に名前は出ています。


そしてこの話は、

麻衣ちゃんが、以前カタンダ村から旅立つ時には作者の頭の中で「そういう展開もアリかな」程度には考えついていたお話です。


まあ、行き当たりばったりには違いないんですけどね。


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