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第六百二十七話 ぼっち妖魔は思い残す事はない

ぶっくま、ありがとうございます!!

これで登録者数200名様ですね!


・・・と、前回書き忘れました・・・。

<視点 麻衣>


みなさんは、


いわゆる比喩のお話としての、

時間停止と石化の違いをご理解いただけるだろうか。


うん、あくまで比喩だから。


ついでに言うと凍結という状態もある。

いわゆる場が凍るってヤツだね。


どれも全ての動きが止まってる状態なんだけど、それぞれ微妙に意味合いが違うのだ。


凍結状態は時間的にほんの一瞬。

これは凍結という状態が時間経過とともに解凍できるからという意味を持っている。


それに対して時間停止なんだけど、

これは時が止まってる状態を解除されるのが、一体いつになるのかわからない場合に適用される。


さて今回は石化である。

こちらは時間的な概念を有していない。


では時間停止や凍結とどう違うのか。


前者の二つは、目に見える物理的な動きが全て止まっているのに対して、

石化はその名の如く体の内面、すなわち思考状態すら止まってしまっていることを指す。



今のあたしはそんな状態なのだ。


あ、一応いまの長ったらしい説明は、全部あたしが今勝手に決めた内容だから、異論は全て認めない。

誰がなんと言おうともだ。


その代わりこの話を読み終えたなら全部忘れてくれて構わないからね。



そう、今のあたしは何も考えられない、

なんの反応もできない。


ただ酔っ払いまくってるゴッドアリアさんがあたしに批判がましい目を向けている。


もはや周りの喧騒は一切聞こえない。

その代わりというか、

何故かあたしの耳には幻聴らしきものまで聞こえている。



ついこないだまで一緒にいた、懐かしいお二人の声が。


 『どさくさ紛れに唇奪うなんて、これはとんだエロ妖魔。』

 『動けない男にイタズラなんて、むっつりどころかただの性犯罪者。』


うるさいんですよ、

あたしの脳内から消えろ、ダブルエルフ。





とりあえず石化状態は解除されて、

あたしは思考を取り戻す。


あたしはどうすればいいのだろうか。


そんな事はしてない、

ゴッドアリアさんが幻覚を見たのだと嘘をつけばいいのか。


いや、あたしのすぐ近くにいるツァーリベルクおじいちゃんがわざとらしく顔を背けている。


もうこの反応で誤魔化すのは難しい。


では何か言い訳をすればいいのだろうか。


ていうか、そもそも言い訳しなければならない必要があるのだろうか。



そうとも、

何も馬鹿正直に答える必要なんて全くないじゃないか。

あたしは数々の修羅場を見てきた。

この程度自力で跳ね除けてみせるとも!


 「ゴッドアリアさん?」

 「なん〜ら〜よ〜?

 まさか、わすれれらわけらないらろ〜?」


なんて?

舌がまわってないぞ、ゴッドアリアさん。

「まさかわすれてたわけじゃないだろ」と言っているのか。


 「ちゃんと覚えてますけどね?

 ゴッドアリアさん、エドガー様って言ってますけど、あの時魅了されてただけでしたよね?

 まさか今も魅了状態続いてるんですか?」


話の矛先をゴッドアリアさんに変えてやる。

あたしは成長しているのだ。


あ、鑑定でゴッドアリアさん酩酊とは表示されてるけど、魅了はついてないよな。

ならどう言う事だ?


 「ち〜が〜う〜らろ〜!

 そういうことらなくて〜!

 友らちの〜好きな男の子に〜!

 アタイが動けらいのをいいことに〜!!

 くっ、唇を奪うってど〜いうことらのさ〜!?

 っていいたかったんらよ〜!!」


くっ、酔っ払ってるせいか、こっちの口先に乗ってこない!

自分の言いたいことだけを主張する気だな!!


 「ま、麻衣さん、その見た目でそんな大胆な事してたんですかっ!?」

 「あたし知ってる!

 それってNTRって言うんでしょ!?」


フェリシアさん、キャサリンさんうるさい。

その見た目ってなに?

人を見た目で判断しないで欲しい。

ていうか、あたしの見た目をなんだと思っているのか。

そして、キャサリンさん、

誰がそんな単語教えたの?


だいたい寝取ってなどいないだろうに。

年頃の女の子が年上の男の子にちゅーしただけじゃないか。

高校生活送ってればそんな話なんか可愛いもんじゃ・・・


ってもこの世界じゃ通用しないか。


うーん、

とはいえ別にあたしはエドガーに恋愛感情持ってちゅーしたわけじゃないものなあ。


・・・うん、正直に言えばいいか。

そう、正直に、言えばいいだけだよね。

そうとも、正直にだ。

他の邪念なんか持ってなかった。

持ってなかったと言ったら持ってない。


ようやくあたしは方針を決めたのに、ゴッドアリアさんは「ひどいよひどいよ」といじけてらっしゃる。

こっちの話を聞く気があるかも疑わしい。


このまま放ったらかしにしておいてもいいけど、キャサリンさんやフェリシアさんに誤解を受けたままにするのも良くないな。


 「あのですね、

 ゴッドアリアさん、酔っ払ってる今のあなたに言っても通じないかもしれませんけど、

 あの時、なんであんな流れになったのか、理解してます?

 あれはあたしと同じ妖魔として不遇の道を歩んだ彼に同情というか、共感してですね・・・」


一応、ゴッドアリアさんに話しかけてはいるけど、他の二人にも聞こえるように大声で説明する。


 「アタイはあ!

 麻衣とほんろうの友らちらと信じていらのにいいい!」


ダメだこんにゃろう、聞いてない。

無重力空間作って空に打ち上げてやろうか。

運が良ければ空間からズレて落ちてこれるだろう。




そこへあたしに救いの手が差し出される。


 「・・・私は立場上、エドガーの擁護はできんが、確かに哀れな男だったのかもしれんな。

 伊藤殿が最後に彼に寄り添った行為は、

 私から見ても、とても優しく慈悲深い行為だったと思うぞ。」


ツァーリベルクおじいちゃんはわかってくれた!!

そう言えばツァーリベルクさんはエドガーにも、優しい目を向けてあげていたよね!!

さすがの司祭さまだ!


あたしは感激して・・・

そうとも、

この流れなら何もおかしくない。


 「うわあん!

 理解してくれたのはツァーリベルクさんだけですう!!」

 「うおおおおおおおっ!?」


ツァーリベルクおじいちゃんの広い胸にダイブする!

ふふふ、思い残したことは全部やり遂げてから元の世界に戻るのだ。

しばらくこの分厚い胸を堪能するぞ。



 「なるほど・・・こういう。」


あれ?

ギルドのカティアさんまでいつの間に?


 「い、伊藤殿・・・!

 そ、その私も若い少女にしがみつかれて悪い気はしないが・・・

 そ、その立場が、それと胸、胸が」


当ててんですよ。


大人しく覚悟を決めてもらおう。

話の発端はあなたのお孫さんなのだ。

おじいちゃんとして是非責任取ってくださいな。


 「これは明日館長に報告しましょうか。」

 「あたしはキサキ様にお手紙書いてみる。」


 「お前たち!?」


それはやめてあげて。

ほんとにマジで。

こんないい人の寿命を縮めるなんてとんでもないことだと思うよ。




さて、一時はどうなるかと思ったけど、なんとかやり過ごしたよ。


たださすがにあたしも精神的にいろいろ疲れてしまった。

場の空気もあるし少しはお酒を入れてもいいだろうか?


なお、あたしは地球の日本の法律では未成年なのでお酒は飲んではいけない。


法律で決まっているのだ。


そう、法律は守らないとね。



・・・あれ?

この世界の法律は?


16歳はお酒飲んでいいんでしたっけ。

あらまあ、違法行為じゃないんですね。


では仕方ない。

もちろん前もどこかで書いたけど、万一酔っ払ってあたしが魔法暴走させるといけないからね。

ほんのおしめり程度に口つけるだけ。


甘ったるいフルーツ系のカクテルだけ飲ませてもらった。


うん、それで周りの騒ぎに合わせて楽しもうと思っただけなのだ。

いざとなったらツァーリベルクさんがあたしを守ってくれるし。

信頼できる大人の人が近くにいるといいよね。


・・・さっきあたしがツァーリベルクさんに飛びついたのを見て、

商人ギルドのデミオさんが物欲しそうな目で近づいてきたけど、

残念ながらデミオさんには同じ事はしてあげないよ。


腹黒い人はノーサンキュウなのだ!!




あ、その後のゴッドアリアさん?

お酒に酔っ払ってどうしようもなくなってたから、

冒険者ギルドのロビーの片隅に突っ込んで、毛布でぐるぐる巻きにしておいた。


番をしている職員さんの目もあるから大事には至らないだろう。


・・・結果的に彼女は幸せだったね。

何故ならゴッドアリアさんは、

この後の惨事に、

全く気付くことすらなく、夜を明かす事ができたのだから。






よく考えたら、ていうか昨夜気づいたんですけど、

日本に「アビス」って単語、かなり古い時代に伝わってましたよね?

あ、うん、たぶん神様の名前とは別に。


次回、ついに!



「ぼっち妖魔は地獄アビスの蓋を開ける」

お楽しみに!!

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