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第五百七十話 考察

ぶっくま、ありがとうございます!!

<視点 リィナ様>


う、うん、まだなんか変だよ?

いえ、こ、こっちの話です。

気にしないでください。



・・・おほん、


この後の話なんですが、

ケイジの部屋は鍵がかかったままでしたので、

ホテルの人に事情を話して鍵を開けてもらいました。


当然、中には誰もいないし、

この部屋の鍵も見当たりません。

ケイジの荷物も財布も丸々残っているので、あいつが自分の意志で出かけたという線は完全に消していいでしょう。

ブーツまで残ってましたし。


後は麻衣ちゃんの感知術頼みなんですが・・・


 「うう〜、

 ・・・完全に痕跡を消してますね。

 あたしのサイコメトリーでほとんど何も読み取れない・・・。」


 「麻衣さん、それはこの部屋に何の情報も残されていないってことかい?」


やり取りはカラドックにお任せしましょう。

あたしは気になることがあった時だけ質問したいと思います。


 「はい、基本的にあたしのサイコメトリーは、あたしが知りたいものを読み取れるわけではなく、そこに残った強いイメージを優先的に読み取るんですけど、

 まるでこの部屋に、一度も人が訪れたことなんてないんじゃないかってくらい、何もイメージが残されていません。」


え、それって?


 「つまり、現在進行形の結界で麻衣さんの感知からケイジを隠しただけでなく・・・。」


 「はい、情報が残ってないというより、

 あたしのような能力を警戒して、意図的に消し去ったと言い切っていいと思います。

 でも、精神的な残留物をも消去できるなんて・・・どうやったらそんなこと・・・。」


ほんとにどうやったらそんな事できるんですかね?


けれど、それについてはタバサが自信なさげとはいえ、答えを出してくれました。


 「確実とは言えないけれど、似たような事は僧侶系呪文のディスペル・・・

 いえ、どちらかというと闇系僧侶呪文で可能?」


え、闇系僧侶呪文って、魔族執事のシグが・・・

あ、それもベアトリチェさんからのスキルコピーでしたよね?


 「ああ、確か人やフィールドにかけられたデバフ効果やバフ効果を消し去れる呪文か、

 なるほどね、その応用ってことか。」


カラドックはすぐに理解できたようですね。

なんでしたっけ、

ヴォークテスだかヴォルテックスって言ってましたっけ。


 「それも確かあの死霊術師の人が使ってましたよね?」


よく覚えてますね、麻衣ちゃん。

ならもう容疑者は確定じゃないです?


ちなみにあたしには魔法関連の知識はあまりないですけど、

僧侶呪文のディスペルは、

状態異常や呪い、デバフ効果などを解除し、

闇系僧侶呪文のそれは、

祝福や加護、バフ効果などを解除するってことでいいんですかね。

まあ、その辺りは今はどうでもいいですね。



今、大事なことは、ケイジが今どこにいるかですよね?

そしてアイツが今どんな状況になってるかも分からない・・・。



麻衣ちゃんも、よく知ってる人間や、強烈なイメージを持つ人なら遠隔透視で探せるけど、

流石に一、二回会った程度の人達に対しては、遠隔透視もほとんど出来ないとのこと。

そして彼女たち自身、いまも結界の中にいたら麻衣ちゃんの透視は完全に役に立たないそうです。


 「通常レベルの結界なら飛び越えてみせる自信ありますけどね、

 さすがにあのハイエルフの人は、多分この世界の結界師の中でもトップレベルだと思います。」


誰よりも鋭い感知能力を持つ麻衣ちゃんでも悔しそうです。

なんでも昔、邪悪な魔法使いが作った結界を、子供の頃にぶち破って、当時別の魂が入っていたメリーさんを見つけたことがあったって聞きました。

その頃から麻衣ちゃん、才能あったんですね。



あと、それから、

現場検証の最中、カラドックがしばしば考え事をしているようでした。


あたしが気になってるのは今のケイジのことだけでしたが、カラドックは他にも気にする事があるのでしょうか?


 「・・・後一つだけ気になるとすれば・・・。」


あたしの視線にカラドックも気づいたようです。

カラドックは何を考え込んでいたのでしょうか。


 「どうしてケイジは易々と捕まったのかな?」


えっ?

あ、そう言われてみればそうですね?

仮にもケイジはAランクのトップ冒険者です。

レベルについても、あいつに追いつける冒険者なんてそうそういないでしょう。



 「考え方としては、彼女たちに誘われてのこのこついて行ったというケースもあり得るかもしれないけど・・・。」


あの結界師の女の人、下着まで透けてましたからね、

確かに色仕掛けならケイジも・・・


けどさすがにそれだとしたら、あたしはケイジを許しません!

湯気が出るまであいつのカラダに電流流してやりますよ!!


 「ただ、あの冒険者パーティー『聖なる護り手』とは一度は剣を交えた仲だ。

 更にいうと彼らの雇い主たる魔王ミュラはケイジの恋仇。

 ケイジだってそれくらい意識している筈。

 ならばいくらあのスケスケ衣装を目にしたとはいえ、ケイジが警戒心を緩めるとは思えない。」



そ、そうですよね。

信じてますからね、ケイジ。

けど、恋仇っていう部分はいちいち説明しなくてもいいんですよ、カラドック。


 「ブーツが残ってるならケイジさんは裸足の筈ですよぉ、

 少なくともケイジさんの意識はない状態じゃないですかぁ?」


え、ヨル、それって・・・

ケイジが自分の意志で出てったわけじゃないという話にはなりますけど、

同時にそれはケイジの身が危険に晒されたままだという事になるんですけど・・・


 「あたしも気になると言えば・・・。」


麻衣ちゃんも何か?


 「あの人の結界能力は確かに脅威ですけど、

 少なくとも他人の目視からは逃れられませんよね?

 このフロアにはあたし達とホテルの人しか入れない筈だしどこから入ったんでしょうね?

 窓から入ろうとしたって、必ずどこかを破壊しないと無理ですよね?」


あたし達の部屋はもちろん、フロアの他の空き部屋の窓もホテルの人に確認してもらいました。

フロア全て貸切状態は便利ですね。

他のお客さんのこと気にしなくていいですものね。

そして結果は、窓も内側から施錠されていて、全てにおいて異常はないそうです。


 「そうだね、まだ私たちの知らない能力を隠し持っている可能性もないではないけど、

 そんな力技で侵入したりはしない筈だ。

 ここまで見る限り、あらゆる証拠を残さないようにしているのだから。」


そこでアガサがとんでもない事を言い始めました。

 「『聖なる護り手』に盗賊『バブル3世』が協力したら無敵?」


ああ、アガサはラプラスさん達に、一度いいようにあしらわれましたもんね。

確かに昔、森都ビスタールで、スライムのオデムちゃんがケイジに化けていました。

それにラプラスさんの飛行能力まであったら、隙なんかどこにもなくなりす。


 「あ、でもあの人達ならあたしから連絡できますよ。

 ・・・もう、用はないって受信拒否されなければですけど。」


 「まあ、いざとなったらお願いするよ。

 今のところラプラスたちと『聖なる護り手』に接点はなさそうだからね。」


まあ、そうですよね。

特にラプラスさん達は自分たちに関係しないことなら、無関心貫きそうですしね。


そうなると話は戻りますが、

後はケイジがどこにいるか・・・。


協力者は


カラドックたちの推察通りです。


では主犯は誰かと。


次回それを明かせるかな?

もうみなさんお分かりですかね?


カラドックが前回か前々回に魔法有りという話をしてたので、誘拐手段は推理の必要ありません。


誰が何の目的でケイジを



と言うところだけお考えいただければ。

まあ主犯の正体がわかれば、目的も自ずとわかるでしょうが。


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