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第五十七話 風雲急を告げる

またもやぶっくま、ありがとうございます!!


それじゃあ結果発表だ。


 『今大会の成績は・・・

 これは異例だーっ!!

 同得点3位の選手が3人!!

 大会規定では、トップの選手が複数並んだ時には同点再決勝という決まりですが、

 2位以下が並んだ場合には、そのまま表彰、賞品、賞金も順位に応じて与えられます!

 ラプラス会長、宜しいですかあ!?』


ラプラスは壇上で頭を抱え、困ったようなリアクションを取る。

 『なんて事だ!

 我がラプラス商会にとっては大損害だ!!

 ・・・ですが、素晴らしい試合を見せていただきました、

 入賞した全ての選手に心置きなく賞品、賞金を差し上げますよ!!』


太っ腹なラプラス会長に観客から大歓声、

「オレにもくれぇ!!」

というノリのいいヤジも飛んでいる。


 『では3位から発表です!

 先程もお伝えした通り、3位は3人同点、45点をマークしました!

 皆殺しのケイジ!

 デストラクションガール、ミストラン!

 そして風に守られしベルナール!!

 以上となります!!』


ま、こんなもんだな。

悔しい気持ちは多少あるが、

一流ハンターどもとソロで渡り合えただけでも良しとするさ。


お?

拍手が一段と強くなった?

ふと見ると、左腕をミストランに抱えられた。

そのまま、一緒に腕ごと持ち上げられる。


 『皆さま、今回、外部の冒険者、

 そして獣人の弓使いとして決勝進出、そして、3位入賞は大会運営以来、初の快挙です!

 冒険者ケイジ選手に今一度、盛大な拍手をお願い致しますーっ!!』


おいおい、オレ宛かよ!?


ちょ、ちょっと恥ずいな、

あ、リィナが会場席で飛び跳ねて・・・

あれ?

急に固まっちまったぞ?

なんだ?

おかしいな、

あ、ま、まさか、隣のミストランを・・・?

あの、その、ミストランさん、

う、腕がその、あなたの柔らかいところに・・・

こ、これは誤解だからな、リィナ!?


 『続きまして堂々の2位!

 熱血のウィルバー、ハンターギルド所属!

 得点55点!

 地元の意地を見せたかーっ!!』


後で聞いたが、ウィルバーの炎圧は、ベルナールのブースト矢羽の軌道をもずらせたそうだ。

ミストランの強化矢羽も、軌道上の物体に対してのみの効果なので、こちらも打ち合いではウィルバーに軍配が上がっていたようである。

 「バカやろう、

 今年も優勝逃しちまったじゃねーか、

 しかも、今回は外の奴に優勝掻っ攫われちまった。

 後でみんなに何て言われるか・・・」


なるほど、それは嫌味の一つ二つ言われるだろうな、ご愁傷様だ。


 『そしてぇ、栄えあるビスタール大弓術大会今年度優勝者はぁ!!

 冒険者ギルドAランク弓使い、神箭のカエイ!!

 60ポイントーっ!!

 接戦! まさに接戦!

 誰が優勝してもおかしくなかった!

 その中で高得点ターゲットを2つも射抜き、一躍トップをキープしたカエイ選手!!

 皆さま、盛大な拍手をお願いします!!』


 「いやあ、今回、ルールに助けられたのは私だな、

 全てのターゲットが同一ポイントだったなら、私の勝ちはなかったよ。」


 「ガハハ、何言ってんだ、オッサン、

 あんな技、アンタしか出来ねーよ、

 アレを見せつけられちゃあ、誰にも文句は言えねぇ、

 堂々と勝ち名乗り上げてくんな!」


おっさん、おっさん、ウィルバー、アンタもおっさん!




 「へぇ~・・・で、それが3位の商品なんだ?」


リィナさん、なんか怒ってませんか?

オレ入賞したんだけど・・・。

 「3位の賞金は5万ペソルピー、

 この街への旅費は十分元が取れたな。」



因みに2位で10万ペソルピー、優勝は50万だ。

ここはホテルの一室、

そしてオレの目の前には装飾された5つのケースが机の上に重ねられている。

重くはないが、旅に持っていく事を考えるとかさばりそうだな。

中身引っ張り出して適当に纏めちまうか?


 「使い所ありそうな、なさそうな、

 持っていると損はないよね?

 ってぐらいの微妙さかな?」

 「役には立つ・・・よな?」


3位入賞賞品、それは魔法付与された矢羽、5属性×10本!!

火、水、土、風、光!!


一見凄いんだけどな、

不死系に効果のある光属性以外、あんまり使う機会ないと思うんだよな。


そりゃ魔物にもそれぞれ苦手な属性とか、効果のある魔法あるけど、

通常の物理的な矢で十分だ。


今回の大会みたいに、競争するならともかく、魔物討伐にはあんまり・・・。


 「うーん、できれば追加効果の高い雷属性か氷属性なら万能だろうけど、それは贅沢な望みかな?」

 「でもケイジ、

 火属性なら再生能力ある魔物に有効って前、言ってたよね?」


 「ああ、再生部分ごと焼いちまうからな、

 でも攻撃したそばから再生するような魔物なんてBランク冒険者にでもならないと討伐依頼来ないと思うぞ?」


 「なら単純に土が便利?

 貫通力増大?

 ドラゴンの鱗でも破れるかな?」

 「どうだろうな?

 ミストランの技見た限りは貫通力というより、面の破壊力って気もするな。」


オレはその時、背筋が逆立った。

自分の口から余計なセリフを吐いた事を自覚したって、後の祭りと言えよう。


 「ふ~ん、ミストランさんて、だぁれぇ?」

だ、誰って表彰式見てたよね?

知ってるよね、リィナさん!?

そのジト目やめて!!


あ、そ、そうだ、

他の賞品知りたいよな?

2位はビスタールの名産品セット一年分、

優勝はエルフ五大都市二人一組周遊券35日間夢のツアーだそうだ。

あのカエイさんて人、奥さんいるのかな?

ぜひ羽を伸ばして楽しんで欲しい。





ゴンゴンゴン!


また部屋の扉が乱暴に叩かれた!

今度はなんだ!?


 「ケイジ、リィナ!!

 お休み中、邪魔をして陳謝!

 深淵の黒珠の在りか判明!!」


この声っていうか喋り方は上位魔術士アガサか?

いえ、ナイスタイミングです、アガサさん!!




 「それにしても、さっき大会終わったばかりだというのに、忙しないなっ!?」


オレとリィナ、アガサの3人は駆け足で現場に向かう。

現場といっても何と先程の大会会場周辺らしい。


 「一番、感知能力高いアガサさんがあたしたちを迎えに来ちゃって大丈夫なの?」

リィナの疑問も当然だろう。

何しろアガサはあの隊の筆頭隊員だそうだしな。

副隊長がエルドラに戻ってしまったんなら実質ナンバー2だろうに。


 「・・・前回よりも深淵の黒珠の波動は明確、私がいなくても対応可能。」


まあ、他の隊員もエリートだそうだからな、

なんとでもなるという事か。


 「・・・それに狼さんと兎さんをしばし独占状態・・・。」

 「ん? 何か言ったか?」

 「何も・・・ケイジの気のせい。」


そ、そうか、何も聞かなかった事にしておこう。


道すがら状況を聞くに、

ちょうどあの大弓術大会表彰式真っ最中に、殆どのダークエルフの隊員が、

その深淵の黒珠の波動を感知したと言う。

後は全員の配置位置から計算して、

大会会場に深淵の黒珠が存在すると確信したそうだ。


・・・しかしそれは一つの答えを導き出さざるを得ない。


オレたちの泊まっている宿周辺、

そして大会会場。


つまり、ダークエルフの至宝、深淵の黒珠を盗んだのは、

或いは現在保持しているのは、


大会関係者の可能性が高い。


となると・・・まさか、

ラプラス商会が絡んでいるという可能性も。

 


次回、

ついに謎だった(?)盗賊の正体が!!


そしてこの物語のメインクエストが明らかになるかも。

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