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第五百六十九話 憶測

あ、

一箇所時系列間違えてたのでこっそり


二文字だけ修正しておきます。

<視点 至高なる兎型獣人美少女リィナ>


だからやめてくださいっつってんですよ!!

これ以上空気読めずに余計な真似すんなら雷撃ぶっ放しますよ!?


<視点 ・・・リィナ>


・・・いや、もう、いいですけどね。


それまで、まだケイジのことなんか、すぐに見つかるものかと思ってました。

けれど、遠隔透視能力を持つ麻衣ちゃんでも行方が分からないと。


となると、これはここにいる誰もがシャレで済まない状況であると確信できました。


いったいケイジに何が起きたというのでしょう?


 「・・・麻衣さん、危険感知の方はどうだい?」


 「そちらもいい意味でも悪い意味でも反応ないですね。

 いま、ケイジさんが危険な状況にいるのかいないのかもわかりません。」


カラドックも考え込んでいます。


 「では・・・この場の私たちにも危険はないと?」


あたし達のことは今はほっといていいんじゃないですかね?

 「あ、は、はい、あたし達にも危険は差し当たり迫ってないです。」


カラドックにはその情報こそが大事だったんでしょうか?


いくらケイジでも背後から襲われればひとたまりもないだろうし、

獣人排斥主義者の手にかかったか、

それともただの物盗りか、

もし隣国の諜報員が関わってるなら、

カラドックだって狙われる可能性もあるし、

まさか、ケイジは奴隷としてのあたしの持ち主だからか、その線で主人を殺してあたしを手に入れようなんて可能性もある?


 「リィナちゃんも麻衣さんも落ち着いて。」


はっ!


そうですよね、

なんだかんだ言ってカラドックがケイジを心配しないわけがありません。

あたしが見苦しいマネしてる場合じゃないですよね?


 「まずみんな・・・。」


あたし達は揃ってカラドックの言葉に期待します。


 「とりあえず夕飯にしようか?」


はあああああああああああああああああああああっ!?

なにいってんですか、カラドックううううううっ!!


そんな事言ってる場合じゃないですよねえええええっ!!


 「リィナちゃん、ケイジを心配するのはわかるけどちょっと話を聞いてくれるかい?」


 「っあっ、うっうん、話してっ!!」


わけがあるならもちろん聞きますよっ!!


 「まず考えるべきは、これはケイジが自らの意思による失踪なのかということ。」


あり得ないですっ!

ケイジにそんな理由はないし、何よりアイツのことならあたしが何もかも知ってます。

事前にあたしにそんな話や前フリしてない以上、絶対に有り得ません。


 「私もそう思う。

 もしこれがケイジのイタズラや人騒がせな連絡し忘れとかだったら、

 ・・・顔の形が変わるくらい殴り続けてやろうと思う。」


・・・ガタガタ


カラドック様怖い、です。

そ、そりゃケイジに非があることならあたしも責める側に回りますけども・・・



 「リィナちゃんはケイジが一人で行動しそうな事に、思い当たる節はないと言う事でいいかい?」


 「あ、う、うん、

 そ、そう言えば近いうちにあたしに、一緒に行って欲しい場所があるようなこと言ってたくらいで・・・。」


 「なら余計にアイツが一人で消える必要はなさそうだな。

 聖女様も無事に帰還されたろうし・・・。」


ああ、ケイジが聖女さまに謝罪に行く可能性がありましたか。

一人で行くとしたら、土下座ポーズを他のみんなに見せたくないという理由が考えられますかね?

でもそれなら・・・


 「そう、聖女さまを追うなら昨日のうちしかないだろう。

 しかもケイジも昨日は普段通りにしていた筈だ。

 もし聖女様のことで思い悩んでいたら麻衣さんも気づくよね?」


 「あ、は、はい、わかると思います!」


 「という事でケイジが、自分の意志で失踪した可能性は限りなく低いと思う。」


そ、そうですよねっ!

そんなの当たり前・・・でもカラドックからしたらありとあらゆる可能性を考えるべきという事でしょうか?


 「すると誰かの手によって、ということになるのだけど・・・」


だけど?


 「状況からして、その誰かは麻衣さんの感知能力も把握しているに違いない。

 部屋の中もこれから見てみたいけど、恐らく手掛かりになるようなものなど残ってないだろう。

 当然一人ではなく複数の人間による犯行、

 そしてそんな事ができる人間なんて圧倒的に限られる。」


おおおおっ!

さすがは賢王カラドックです!!

頼りになりますよおっ!!

あたしだけじゃなく、ヨルはもちろん、麻衣ちゃんやダブルエルフもカラドックを崇めんばかりに拝みましょう!!


 「今、私の脳裏には一人の人物が最有力容疑者として浮かんでいる。

 ただ・・・その人物及びその仲間の動機が分からない。」


 「それでも凄いよ、カラドック!

 ならすぐにでもそいつの事を探しに行こう!!

 相手は誰っ!?

 あたし達の知ってる人!?」


 「今も言ったように目的だけがわからない。

 誘拐なら身代金とか言ってくるんだろうけど、金に困っていた様子もなかったし、金目当てで勇者を擁する冒険者パーティーのリーダーを攫うバカもいないだろう。

 むしろ誰かの依頼で動いている可能性もある。

 なら・・・向こうも用意周到の筈なんだ。

 闇雲に動いても空振りに終わるだけだよ。

 となるとケイジを探すのは長期戦になるだろう。

 ・・・だから今のうちに準備万端にしておいた方がいい。

 戦闘行為だってあるかもしれないんだ。

 空腹や睡眠不足なんてもっての外だよ。

 安全に食べれる時に食べとかないと。」


ううう、た、確かにカラドックの言う事が正論ですね。

で、でもあたし、こんな状態でお腹にご飯入るでしょうか・・・。



 「ち、ちなみにカラドックが疑ってるのは誰なんですかよぉ?」


ヨルの声が震えてますね。

さっきも一度疑っちゃいましたからね。


 「・・・。」


あ、あれ、カラドックがヨルの事を見つめてますよ。

もちろん色ボケしてる筈もありません。

これはもしかして・・・


 「ヨルさん、

 私が疑ってるのは、魔王ミュラのそばにいる筈の結界師オスカだ。

 少なくとも彼女並みの能力を持っていないと麻衣さんの感知を潜り抜けることは出来ない。」


 「「あっ!!」」


そ、そうですね、

あのスケスケハイエルフ痴女は能力も魔力もとんでもないレベルでした。

確かに彼女なら・・・


 「もし、彼女たちが魔王ミュラから何らかの指令を受けているなら・・・」


いやでも彼女だけでは・・・


あ!!

だからあの冒険者パーティー全員が関わっているってことですか?


 「ヨッ、ヨルもあの破廉恥エルフのことは覚えてますけど、ヨルは魔王様から何にも聞いてないですよぉ!!

 直接だろうと間接的だろうと魔王様からの指示は、こないだの魔人の後に聞いた話だけですよぉ!!」


それってカラドックを誘惑しろとかいうヤツでしたっけ・・・。

まあ、ミュラ君もどこまで本気だか分かりませんけど、ヨルも嘘ついてる気配ないですよね。


この兎勇者の耳は誤魔化せません!!



 「・・・もしミュラ君が指示を出しているなら、ケイジさんを攫ったのは・・・」


麻衣ちゃんが聞こうとしてるのはミュラ君の目的ですかね。

確かにケイジ攫って何するつもりなんでしょうか。


 「流石に私もそうだと結論付けてミュラの思惑は見極められないな。

 前の世界からの知り合いとはいえ、それほど彼の内面を知っているわけじゃない。

 更に言うならミュラが出奔してからアイツがどんな人生を送ったのか、私も知らないのだから。」


まあ、そうなりますよね。

今まで聞いた話だと、お父さんに愛されずに育って、更にお母さんのベアトリチェに肉欲対象にされるという、あたしなんかよりもっと悲惨な人生だったって言うし。


 「ああ、もしかしたら、ケイジさん呼び出して、リィナさんをどっちがモノにするかサシで、ケリをつけようとしてるとか?」


なんですか、麻衣ちゃん、その男クサい物語は!!


 「ふおおおおっ!!

 それは女の子の憧れのシチュエーションですよぉぉぉぉ!!」


ほら、ヨルに火がついちゃったじゃないですか。


 「・・・まさかミュラがそういう青春真っ盛りな性格だとは思えないけどね。

 警告はこないだしたつもりなんだ。

 その時はその時でミュラにそんな人騒がせな騒動起こした責任を取らせてやるさ・・・。」


 「「「ひいいいいっ!?」」」


あああ、カラドックからドス黒い感情が溢れ始めてますよ!

ミュラ君逃げてーっ!!

賢王が坊やを連れ去りに行くよーっ!!




 

B.G.M

シューベルト「賢王」


うりぃ

「いや、そんな曲ないわっ!」

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