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第五百五十四話 ぼっち妖魔は自らを重ねる

ヤバい。

ここのところ下書きサボってたのでそろそろ続きのストックが少なくなって来た・・・。

<視点 麻衣>


い、いまなんて。



おかあさん・・・て言ったの?

誰が・・・誰の・・・


 「まさか、そんな・・・

 ミ、ミカエラ・・・?」


ミカエラ?

き、聞き覚えある。

それって確かメリーさんの・・・


 「あ、わたし、おかあさんの世界ではミカエラって名前なんですね?

 へぇ、・・・ちょっと名前似てるんだね。」



そう言えば確かにメリーさんには、

人間として生きてきた時、娘が一人いるって言ってた。


名前は確かにミカエラって、

世界樹の女神様とのやり取りの時に聞いた気がする。


ミカエラ・・・ミシェルネ。

「ミ」しか・・・いや、違う。

ああ、アルファベットにすると分かりやすいかもしれない。



 「そ、そんな、

 髪や瞳の色は違う、けれど、でも確かに面影が・・・。」


そうだ。

メリーさんには大事な人がもう一人いたんだ。

黒髪の女の子はメリーさんの中の人の策略の果てに命を失ってしまったけども、

もう一人については、普通の母親として愛情を注いでいた・・・。


でもその子の正体は。



 「ま、麻衣、これ、はいったい、どういう企み、なの?

 あなたも幻覚能力を身に付けたのっ?」



そんな大それたマネなんか出来ませんて!


 「いっ、いえいえ、あたしにそんな能力ないですから!

 あたしだってこの展開についていけてないんですよっ!!」



うん、少なくとも現時点でそんな能力はない。

ないと思う。

あたしが使い方を知らないだけかもしれないけど。



 「麻衣さんにはご褒美イベントだって言ったんですけどね。

 あのヘタレ・・・じゃなかった、世界の黒幕さんからあなたへのご褒美だって。」


誰からのご褒美だとかまで聞いてないよっ!!

よく考えたらその人辺りからとしか思いつかないけど。

ていうか、それって、それって・・・!



ただ、ミシェルネさんはそこで申し訳なさそうに頭を下げた。


 「おかあさん、

 ぬか喜びさせちゃうのも心苦しいので、最初にはっきり断っておきます。

 わたしには、

 あなたの娘であったという記憶はありません。

 あくまでもわたしは、あなたの娘とは同じ魂を有する別人格の存在です。

 それでも、わたしは、あなたへのご褒美になれますか?

 わたしを、自分の娘として、受け入れてくださいますか?」



会談の席では、あれほど自信満々にやり取りしていたミシェルネさんが、別人のように控えめで自信なさげだ。

でもわかる。

あなたの娘だと告白しておきながら、

お前なんか知らないと言われたら・・・








それって


まさしく、この後の、

あたしと




ママの



だからミシェルネさんは、

あたしもここにいるべきだって・・・



 「・・・別人格、

 そう、マルゴット女王やハギルたちのように・・・

 でもわかるわ。

 あなたは・・・ミカエラ、なのね。」


メリーさんの声も震えている。


 「おかあさんの世界で、わたしは・・・

 おかあさんと仲良く暮らしていたのかな?」


 「・・・ええ、そうよ。

 父親のバカはとっとと自殺したけどね。

 あと、私たちには体に大怪我をしていた下男が一人仕えていたけど、彼もあなたがお嫁に行く前に亡くなった。

 ・・・たったそれだけの小さな家族だったけど、あなたと暮らした毎日は、私にとってかけがえのない幸せな日々だった・・・。」


 「やっぱりわたしは家族には恵まれない運命なんだね・・・。

 でもおかあさんとは幸せに暮らしていたんだ・・・。

 しかも長生きできないはずのわたしが結婚まで?

 うふふ、有り得ない・・・。

 ・・・でもおかあさんの世界ではわたしは平和に人並みの生活を送れたんだね。」



ミシェルネさん、

やっぱりってどういうこと?


この世界ではミシェルネさんに家族はいないのだろうか。

それと、「やっぱり」というのは、

他にもあるのだろうか。

ミシェルネさんが別人格として生きている別の世界が。


ミシェルネさんは、さっきあたしとケイジさんに言った。


世界が変わっても同じレールが敷かれていると。



そして

長生き出来ないはずって・・・。


まさか、ミシェルネさんはどこの世界でも短い人生を運命付けられているとか?

そんなバカなっ。

結婚もろくすっぽ出来ないと?

そんな望みのない人生、あたしならまっぴらごめんだ。

下剋上起こしても抗議してやる。


でもこの世界、

ミシェルネさんが邪龍と戦う運命は無くなった。


少なくともその過程で命を落とすことはない。


それでもまだ死の危険があると言うのだろうか。




そうだ、

それは、

あの子も、黒髪の女の子も一緒だったっけ。


メリーさんの世界でも早くに亡くなってるし、

この世界にあっては生まれてくることすらできなかった。


そして二人は、

それぞれ、

太陽の・・・光の祭司、そして闇の祭司。


なるほど。

あたし達の世界で光の祭司の称号を得るほどの人だったら、

こちらで聖女認定されてもおかしなことは何もない。


それぞれの世界において、その役割そのものに違いがあるのかもしれないけども。



そして


あたしは気づいてしまった。


あたしがどんでん返しがあるんじゃないかって思い込んだ理由すらも。


リィナさんを、勇者を助けるため、

ケイジさんの心残りを解消するため、

メリーさんやカラドックさんの心のわだかまり、

ベアトリチェさんとミュラ君の親子関係のやり直し・・・


あたし達の転移の目的は、

邪龍討伐だけでなく、彼らに救いを与えるためとか、


今までケイジさん中心にいろいろ言ってきたけども、


もしかしたら



すべて


この子を




ミシェルネさんを

幸せにする為に計画が仕組まれていたのだとしたら。



・・・ああ、

なるほど。

つながったわ。


ヘタレか。

よく言った。

ていうか自分の手でやんなよ。

人に頼らないで。

まあ、あたしは眷属だからいいけどさ。



でも、それはそれで


黒髪の女の子だけが酷い目に遭ってることになるよ?

そっちの女の子の方には何もしてあげないの?

邪龍から魂を救い出して終わり?


いや、そうだ。

あの人は言った。

あたしに向かって協力してくれるかって。


つまり

まだ終わりじゃないんだ。


あたし達の世界。

いや、あたしの世界かどうかわからないけど、

カラドックさんやメリーさんの世界では、


光の祭司と闇の祭司はすれ違いで生きていたそうだ。


この世界でも二人が出会うことはない。


そうなの?

ホントに?

本当にそうなのだろうか。



あ、現実の光景に変化が起きていた。

メリーさんがゆっくりと、バルコニーに降り立ったのだ。

そして、一歩、また一歩、

ゆっくりミシェルネさんの姿形を確かめるように近づいてくる。

ミシェルネさんの方もメリーさんから視線を切らさない。


やがて、

二人はどちらからともなく両腕を拡げたのだ。

ぎこちなくも、ゆっくりと。



 「ミカエラ・・・、

 もう一度、もう一度、この手であなたを抱きしめても・・・?」


 「うん・・・、

 抱きしめて・・・欲しいです。」


その後は、

とても


とても自然に

本当の親子のように二人はゆっくり抱き合った。


ただ一つ普通と違うところは、

メリーさんは石でできた人形のカラダ。


人間同士のように力一杯抱きつくわけにはいかないのだ。

恐る恐る・・・

大事なものを壊さないように、

ゆっくり、優しくミシェルネさんのカラダを覆うだけ・・・。





あれ、

おかしいな?



あそこにいるミシェルネさんの姿があたし自身に見える。


似てるのは髪型だけで、

あたしとミシェルネさんの間に共通点は何もないのに。



確か麻衣ちゃんには今まで幻覚を与える能力は持たせてなかったはず。


同族の御神楽先輩や百合子ママは使っていたかもしれないけども。

鬼人戦の時はあくまでメリーさんの能力で。


あとせいぜいクラスメイトに暗示を与えて思い通りに操るなんて事くらい・・・


麻衣

「してませ・・・あれ? やっちゃった!?」


大丈夫、まだ作者の頭の中だけの話だから。


麻衣

「よ、良かった、

これ以上、あたしに人間離れした属性増やさないでくださいねっ!」

カラドック

「あれ、でも麻衣さん、この物語のどこかでそんな話を匂わせてなかった?」


麻衣

「げぇええええっ!?」

御神楽先輩

「ダメだよ、麻衣ちゃん。

年頃の女の子がそんな言葉使っちゃいけない。」



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