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第五百五十二話 ぼっち妖魔は困惑する

ぶっくま、ありがとんです!


そういえばリィナはまだ奴隷なので首輪付けてる筈でした。

VRoidにアクセサリーあったので適当にくっつけてみました。

あと髪の色も少し薄くして、ショートパンツのすそを少し広げています。

挿絵(By みてみん)

<視点 麻衣>


え、え、と・・・あれ、



はっ!


しっかりしろ、あたし!!

あれ?

口から魂が抜けかけていた?


は、早く立ち直んないと!!



まずは今の現状把握から!!


う、うん、そう、今現在危険は何もない!!

あたしの感知能力にも危険信号は何も感じない。


だから慌てることは何もないのだ。

ただ、邪龍を倒して後は元の世界に帰るだけのあたしに、理解できないことが立て続けに起きているだけ。


ていうか、あたし視点になるのいつぶり?

もしかしてわざと?

わざとあたしの声を皆さんにお届けしないようにしていたの?


ま、まあ、それはいいとしましょう。


もうこの聖女ミシェルネさんとの会談、

あたしにも理解どころかついていけない話ばかり。


まず何!?

ミシェルネさんのあのサンダルぶん投げとその破壊力は!!

どう考えても12歳の女の子のものじゃない。

なんなの?

物理戦闘型聖女!?

こないだ、かつての聖女ベルリネッタさんの戦ってる姿を、

サイコメトリーでチラリと見たけど、同じ聖女様でも完全に別物じゃないの!


それだけじゃない。

ケイジさんも手玉に取られていたけど、

交渉能力まで半端ない。

しかも相手は初対面の凶悪な狼フェイスのトップ冒険者に対してだよ?

更には賢王カラドックさん相手にも一歩も引かない。

そんな12歳の女の子がどこにいるというのか。

ある意味、エロ臭さは全くないとはいえ、あの魔人ベアトリチェさんを彷彿させる。

むしろ敵に回したらベアトリチェさん以上にヤバいんじゃないだろうか。


あたしが12歳の時はどうだったか・・・。

いやいや、知らない人に自分から声をかけることさえ出来なかったはずだ。

なんなんだろう・・・。

この明確な差に居た堪れなくなる。

いや、確かに平和な日本と、魔物蔓延るこの異世界とは環境違うんだけどさ。


そして何よりも驚いたのは、

ほとんど天涯孤独と思われていたリィナさんにご家族が現れたこと。

うん、おめでたいですよ。

あたしも心底から祝福させて頂きますよ。


キリオブールの街でも、ゴッドアリアさんにお母さん以外のご家族がいたと判明したイベントがあったけど、

いくら感情の薄いあたしだってこれは喜ばしいことだと理解できる。


ただ、

これも裏がありそうなんだよね。

・・・あのツェルヘルミアさんて護衛騎士の人の反応が不自然過ぎる。

さっき、自分がリィナさんのご両親を奴隷として買ってしまったと告白してたけど、

別にツェルヘルミアさんがリィナさんファミリーを奴隷にしたわけでもないし、

家族をバラバラにしたわけでもない。


なのに今も必死に涙を堪えているかのようだ。


その心中を探ってみたいと思うのだけど、

何か他人からの精神干渉を防ぐ魔道具をつけてるらしく、

あたしにはツェルヘルミアさんの心を覗くことも出来ない。

・・・まあ、普通に考えて悪趣味だよね、

もともと人の心を覗くなんて。


リィナさんなんかもっと酷い。

理屈では喜ぶべきだと思ってるんだろうけど、

心の準備がまるで出来てないのにご両親と再会・・・

ああ、再会って言わないか、この場合。


特に初めましての弟くん。


しかも、あれ、あたしから見てもちょっと問題有りそうな気がする。

奴隷身分ではなくなったそうだけど、

お年頃である侯爵令嬢のツェルヘルミアさんに、抱きつくようにピッタリくっついているのは許されるの?


まあ、そうなった経緯は分かる。

ツェルヘルミアさんは、成人であったご両親兎獣人夫婦ですら目を輝かせて買い取ったほどだ。

新しく生まれたばかりの兎獣人赤ちゃんを見て、ツェルヘルミアさんも自分が育てたいとでも思い込んでしまったのだろう。

その母性本能はよくわかる。



ローゼンベルクの伯爵家で、マデリーンちゃんが雪豹獣人のハギル君にべったりくっついていたけど、幼きツェルヘルミアさんの執着度はアレを上回っていたに違いない。



そしてもう一方。

あたしには聖女ミシェルネさんの内面も、

護衛騎士ツェルヘルミアさんの内面も視えないけど、

リィナさんのは分かる。

凄い分かる。

かなりパニクってらっしゃる。


ていうか、実はこの後、更に衝撃的な話をリィナさんから聞かされる。

リィナさんだけが気付いて、ケイジさんも気づかなかったようだ。

今の段階ではあたしも気づかなかったとしか言えない。

だってあたしも容量オーバーだったんだよ。

もちろんケイジさんもね。


果たしてこの後、リィナさんは円満な家族関係を築くことができるのだろうか。



そしてこの話が全くどうなるか分からないところに、カラドックさんが爆弾投下。

この話はどうしてもスルーさせてくれないらしい。

金枝教サイドのお話は、

神々の情報及びタブー含めてあたしには有意義なものだった。

この世界の謎や矛盾が少し明らかになって。



ところがそのあたしの満足感を全て叩き潰してくれちゃったのが、

やはりというか、まさかというべきか、聖女ミシェルネさん。


まさか、

あの、

あたしたちの世界とは別の存在とは言え、

この世界の黒幕というか、

地上の全てを創造したはずのあたし達の主を


よりにもよって



ヘタレとのレッテルを貼り付けてくれやがったのだ。



これまで、

長々と、

それこそ、

この物語以前からも、

この場にはいない人たちも含み、

大勢の人たちの運命を左右し、

人類の歴史にも大きな影響を与えてきたはずの創造主さま。


それが

その存在が


まさかのヘタレ。


ちょっと、これは・・・

元の世界に戻ったとしても、あたしの同族たるおばあちゃんや御神楽先輩にも伝えることは出来なさそうだ。

そのままストレートに伝えたら多分発狂する。

他の同族に広めたら、口封じのためにあたしでも抹殺されるかもしれない。


ううう、

もしかしてあたしが予感していたどんでん返しってのはこれの事だったのか・・・。



いや、でも。


そ、そうだとも。

ヘタレなんてのは、あくまでもミシェルネさんから見た人物評。


あくまで相対的評価。


他の人たちから見たら、ヘタレなんて大それたレッテル貼る人なんか他にいないし、

何かあたし達の行動や目的に変化があるわけでもない。



て、てことは何?


この、衝撃的な話し合いですら、

これで終わりってわけじゃない?


ま、まだこれ以上何かある、と、で、も?




 「さて、これからなんですが。」


ああああ、ミシェルネさん、い、いったい何が始まると?


 「リィナちゃんにはお母様たちとお昼ご飯の準備を始めてもらってもよろしいですか?」


あ、さっき言ってたね。

リィナさんに少しでもご家族に慣れてもらおうという計らいか。


 「あ、ああ、そ、それは気を使ってもらっちゃって・・・

 でもあたし、そんな聖女さまとか司教様とかに出せるような料理作れないよ?

 それこそ冒険者達が野外で煮炊きするようなレベルのものしか・・・。」


 「ふふふ、だから一緒にお料理するのが楽しいんじゃないですか。

 主役はリィナちゃん、あなたなのですから、あなたが楽しんでくれればいいんです。」


・・・はあ~、ホントにミシェルネさんていろいろ気がつくし優しいなあと思う。


さっきまでのケイジさんへの態度が異常なのだろう。

それにしてもさっきの会話からすると、ケイジさんの別世界の存在に、ミシェルネさんは酷い目に遭わされたとのことだけど・・・


ん?

待てよ?


それって・・・


 「それと麻衣さん。」

 「はぁいっ!?」

あたし?


い、いったいミシェルネさんがあたしに何の用?

何か凄い大事なことを思い出しかけていたような気がするけども・・・。


 「麻衣さんに是非とものお願いがあるのですが・・・。」


 「え、えと、あたしに、ですか?

 あたし、何の取り柄もないただの女子校生ですよ?」


 「うふふ、そんなの誰が信じるんですか。

 でも、ご安心ください、ご迷惑はかけません。

 お願いは二つなんですけど、麻衣さんにはどちらも容易いことです。」


ううう、ばっさり斬られた。

でも聖女様相手にあたしが何の役に立つと言うのだろう?


 「あ、は、はい、あたしに出来ることなら・・・。」


 「まず一つ目なんですけど、

 お人形の人・・・メリーさんが今どこにいるか、教えて欲しいのです。」



え。


 

いよいよ

メリーさんとミシェルネの邂逅です。

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