第五百四十七話 肉親(リィナ3D公開)
ぶっくま、ぶっくま、ありがとうございます!
そしてついに!!
肌は他のキャラより白め、頬におひげ生やすのに成功。
そして口のパラメーターいじくってなんとか「への字」っぽく。
もはやウサギだか猫だかは気にしない。
あとできれば手の甲から肘近くまではふさふさの体毛生やしたいです。
あと丸々しっぽも。
<視点 ケイジ>
「それではケイジ様のご質問はこれでよろしいでしょうか?
・・・お互いまだ納得しづらい部分もあるでしょう。
でも今日はここまでにしておいたほうがよろしいと思います。
どうせこの後、いやでも何回も会うことになるのでしょうから。」
ホントに嫌そうな顔するよな、聖女ミシェルネ。
でも・・・
それも彼女の処世術に見えてきた。
恐ろしすぎる。
「ま、まぁ、それでよければ・・・。」
オレが返せる答えはそれくらいだ。
「思わぬハプニングで時間を取っちゃいましたね。
でもハプニングはこれから・・・
あ、ごめんなさい、
ハプニングじゃなくてサプライズですね、
これからその予定だったんですよ?」
これ以上何か起こるってのかよ。
もうそろそろ勘弁してほしい。
ていうか、サプライズもハプニングもあまり違いが分からないぞ、この状況。
「さて、次の話の主役は・・・
お待たせしました、リィナちゃんです。」
「ほえ!? あたし!?」
リィナが素っ頓狂な声をあげた。
自分が名指しされるとは思いもよらなかったんだろう。
「ただ・・・実はこの話、
リィナちゃんのプライベートな部分に、ずかずかと土足で踏み込むような話になりますので、
大変不快な思いをさせてしまうのかもしれないのです。
もしこの先・・・話を進めて欲しくないと思ったら、
その場で話を打ち切ってしまって構いません。
どうかそれでも・・・とりあえず話を聞いていただけないでしょうか?」
「あ、うん、えっと、なんだろう・・・?」
そういや女王も、聖女は勇者リィナに会いたいような事を言ってたよな。
内容はプライベートなことであるとも。
「はい、さっそくなのですが・・・
リィナちゃんは・・・奴隷、なんですよね?
どうして邪龍を倒してしまうような勇者が奴隷のままなんですか?」
うわ、さっそく答えづらい質問から来たじゃねーかよ!!
しかも向こうの護衛騎士の目が爛々と光っている。
「あ、ああ、これは・・・ちょっとした訳ありで・・・。
もともとケイジとはその内、奴隷身分から解放するって約束にはなっているんだけど、
タイミングがさ・・・。
いや、別にこのままでも不都合はないんだけど・・・。」
「奴隷から解放するのに何のタイミングが?
金銭であれば、邪龍討伐で十分すぎる報酬が手に入るはずですよね?」
う、うむ、奴隷解放のための費用というなら、
ベアトリチェ討伐段階で十分貯まっている・・・が。
「い、いや、あの、これ、ごめん、ホントにケイジとの二人だけの内密の話なんだ。
しゃべらないとダメなのかい?」
「いえ・・・まずは確かめたかっただけなので、無理にとは言いませんが・・・。
リィナちゃんはケイジ様に酷いことをされてないんですよね・・・?」
ああああ、また聖女と護衛騎士から不穏な空気が!!
「だ、だいじょうぶだから!!
ケイジに買われてから一度も変な事されてないから!!」
・・・ん?
あれ? ここで聖女と護衛騎士の反応に差が有るな。
護衛騎士はオレを食い殺そうとするかのような視線のまま。
聖女ミシェルネは呆れたような表情だ。
「はあ~っ、それはそれで面白みも何もありませんね。
ケイジ様もヘタレなんですか?」
うるさいよ!!
オレもってどういうことだよ!!
「あ、ミシェルネさん、
闇の巫女であるあたしが保証しますよ。
ケイジさんはリィナさんのお尻の下に敷かれています。」
麻衣さん!!
オレの味方じゃなかったのかよ!?
「あら? 麻衣さんがそう仰るなら信用できますね。
じゃあ話を進めましょう。」
・・・なんか麻衣さん、
聖女からエラく評価されてるな。
いや、もちろんオレも麻衣さんのことは凄く評価しているぞ。
「では次に、リィナちゃんは、
ご自分のご両親のことを覚えてらっしゃいますか?」
ん?
リィナの両親のこと、だと?
「え?
あ、えーと・・・いや、ぜんぜん覚えてないんだよね・・・
幼いなりに誰か暖かい人はいたかな、って記憶はあるかもだけど、その程度で顔も何も思い出せない。」
「その事はリィナさんにとって悲しいこと・・・なのでしょうか。」
これは、確かに他人が易々聞ける話じゃないな。
幼い女の子の姿の聖女だからこそ聞けるのかも・・・。
「うーん、物心ついた頃にはもうあたしは奴隷だったからなあ。
確かに子供の頃は悲しい・・・ていうか辛かったよ。
ろくすっぽ飯は食えないし、
食えたとしても吐きそうになるくらい飯は不味いし、檻の中に閉じ込められたり、いくら体毛あっても、毛布一枚じゃ冬は寒くて凍えてたし、最初に買われた所は戦闘訓練ばっかりで痛い思いもさせられてたし。」
そう、オレがリィナを買ったのは、
リィナにとっては二度目だったらしい。
子供のリィナは奴隷の頃から天叢雲剣を手にしていた。
リィナは天叢雲剣付きで売りに出されていたと聞いている。
誰もが古臭い剣であると思い込んでいたのと、
迂闊に誰かが持ち去ろうとすると、電撃が手にした人間を襲うので、呪いのアイテム扱いされていたらしい。
それをリィナが何の影響もなく持てる事がわかっていたので、
最初の奴隷主はリィナを奴隷戦士に鍛えるべく、そこら辺の冒険者や傭兵崩れに剣術を教えさせていたそうだ。
けれど、リィナはずっと天叢雲剣の能力を発現できず、
普通の獣人剣士やスカウトに毛の生えた程度の実力しか身につけられなかった。
結局リィナは無駄飯食らい扱いされ、
また身売りされる。
最初の奴隷主は厳しかったそうだが、
獣人に下劣な欲望を抱くタイプではなかったのは幸いだったのかもしれない。
ところが次のリィナの購入希望者がとんでもなかった。
ヒューマンのくせして獣人少女性愛主義者だったのだ。
オレがリィナを見つけて、奪い去るように彼女を買い取れたのは本当に運が良かったと言える。
そこから先は以前も話したと思うので・・・
ん?
なんだ?
ツェルヘルミアという護衛騎士の様子がおかしい。
顔が真っ青だ。
まるでリィナの過去にショックでも受けたのか、今にも倒れそうなくらい震えているぞ?
その事は聖女ミシェルネも気づいたようだ。
「ツェ、ツェルちゃん、大丈夫!?
ご、ごめんなさい!?
もうちょっと・・・もうちょっとだから!!」
突然だ。
それまでオレに敵意しかぶつけていなかった侯爵令嬢の身に何があったと言うのか。
「だ、大丈夫です、ご心配おかけして申し訳ありません。
こ、この程度・・・耐えられないようでは貴族の令嬢は務まりませんわ。」
まさか、リィナの悲惨な身の上話が耐えられなかったと言うのか?
確かに酷い話ではあるが、獣人奴隷なんてもともとそんなもんだぞ?
もっと酷い話だってたくさんある。
それこそもうちょっとでリィナが変態商人の慰み者になっていた可能性だってな。
「リィナちゃんもごめんなさい。
辛い話だと思うのだけど、質問を続けてもいい?」
「あ、うん、あたしは大丈夫。
さっきも言ったけど、ケイジに買われてからは幸s・・・う、あ、いや、け、結構楽しくやってるからさ!」
そこは幸せって言ってくれないかな?
・・・さすがにこの状況じゃ無理か。
「では、話は戻るのですけど、
リィナちゃんのご両親は今、どうしているかとか消息は?」
「ああ、その辺りも全く分からないねえ、
そもそもあたしは二人の名前も知らないんだ。」
「そうですか、
では・・・大変無礼で不快な質問をさせてください・・・。」
「あ、う、うん、いいよ?」
「もし、お二人が亡くなられていたとしたら・・・?」
この聖女、なんて事を聞きやがる!!
ついオレは唸り声をあげそうになったが、
護衛騎士が涙目のくせしてオレを睨んでいる!!
なんだ?
こいつら、リィナの両親に何か関係があるのか!?
「死んでいたら・・・か。
そりゃ、そんな可能性いくらでもあるよね?
まあ・・・うん、もう会えないって事だよね、
泣くようなことでもないけど・・・
ちょっとは、悲しいかな・・・。」
リィナには両親の記憶が最初からないからな。
それほど深い悲しみはないのだろう。
ただ、心の中にぽっかりと穴が空いてるような気はするとも前に言っていた。
「では次に・・・
今度は仮にご両親が生きていて・・・
奴隷として酷い目に遭っているとしたら・・・
リィナちゃんは助けに行こうとしますか?
彼らを奴隷身分から救いたいとも?」
ん?
風向きが変わったぞ?
もしかコイツらリィナの両親の消息を知っているのか?
「えっ?
そ、そりゃ生きているなら・・・
お金とかで解決できるんだったら・・・なあ、ケイジ!?」
愚問だ。
リィナの家族を助けない筈はないだろう。
「論ずるまでもない。
無一文になろうが、代わりに強制労働させられそうだとしても救いに行くぞ。」
ていうか、こんな話、延々続ける必要あるか?
とっとと結論を言ったらどうなんだ?
「お二人ともありがとうございます。
わたしももっとストレートに話をするべきかと悩んだのですが、どうしても微妙な問題があって・・・。」
「お、教えて、聖女様!
あたしの両親は生きているんだな!?」
「リィナちゃんにもミシェ姉って呼んでほしいなあ、
あ、ごめんなさい。
最後に一点だけ・・・あと一点だけ確認させてください。」
「う、うん、もう何でも聞いて!」
「今度は逆に、
ご両親が、とても幸せに暮らしていたら?」
うん?
それに何の問題が?