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第五百六話 ぼっち妖魔は宣告する

<視点 麻衣>


け・い・か・く・どおりですっ!!


いえいえ、

ここに来るまでホントに予定外というか、予想外というか、こんな筈じゃなかった感がいろいろあったんですけど、

ようやく邪龍戦も戦う前に打ち合わせた通りに進んでまいりました!!


そして今、

状況はあたし達が事前に考えていたよりいい流れになってます!!


それはミュラくん達の参戦。

今現在彼らは、赤いドラゴンさん以外何もしてないように思えるでしょうが、

ここにいるだけで、

いえ、もっと正確に言えば、

カラドックさんが彼らをあたし達のパーティーメンバーにしてしまったことで、

もはや邪龍戦は勝ち筋しか見えません!!


え?

また調子に乗ってるって?


は、はい、気をつけますとも。

警戒しますとも。

何しろここから先はカラドックさんが準備を整えて、

あたしがリーサルウェポンを解き放つのだ。


あたしに万一があってはならない。


今現在、邪龍は身動き取れない。

あのわちゃわちゃ動き回ってた、何百本もありそうだった気味の悪い触手も、ビクビク痙攣するような動きをしているのみだ。


とは言え、ここまで、

ヨルさんとアガサさんが魔力を殆ど使ってしまった。


あ、二人ともただいまMPポーション補充中だね。

全快しなくても半分くらいは回復するかな?

タバサさんも結界呪文作ったり、祝福使ってかなり魔力を消費したけどもこちらもMPポーションドリンク中。


先ほど雷の極大攻撃行ったリィナさんはまだ余力有り。


・・・天叢雲剣の雷撃って魔力依存じゃないらしいんだよね。

え、じゃあ、何なのと言われても非常に困る。

確かにリィナさんのステータス上の魔力は、ダブルエルフのお二人ほどでもないけどとんでもない数値になっている。


で、実際、

その値の増大とともに雷の威力も上がっているのだけど、

現実には雷を放っていてもそれほどMPの数値が減らないらしいのだ。


とはいえ全力で何発も撃てばMPも枯渇するようだ。


どうもこれ、

あたしもはっきり検証したわけではないけども、

別のパラメーターがあるような気がしてならない。


例えば「精神力」とか。

これはあたし達がステータスウィンドウで確認できる項目ではない。

そして前も何かの機会に説明したかもしれないけど、

精神力というのは独立した項目ではなく、

例えば生命力などとも密接に関わってくる。


カラダが疲労していたり、大怪我してるだけなら精神力には影響を及ぼさない程度に雷撃を放つことができるようだ。


けれど、

これが内科的な病気だったり、

意識があっても死にそうな苦しみや痛みに耐えられないと、途端に技の威力は減退するそうな。


そしてこの原理はカラドックさんの念動力にも同じく当てはまるらしい。

あれもMPでなく精神力が関わってくるみたい。


便利だよね、念じただけで物が動かせたりしたら。


なんでこんな話を長々しているかというと、

さっき邪龍さんがエアスクリーンのような術で真っ赤なドラゴンさんのブレスを防いでいたからってのがある。


あたしの独り言がケイジさんにも聞こえてしまったようだけど、明らかに物理的におかしい。


まずアガサさん達魔術士が使うエアスクリーンというのは、

基本的に対象を空気の膜で覆う術だ。

本来の目的は弓矢のような遠距離からの攻撃から守るための術。


他にも温度変化から身を守ったり、

会長ラプラスさんの長馬車では向かい風から自分たちを守れるし、

変わり種としては、あたしは見たことないけどマンドレイクとやらの音波攻撃にも効果を発揮するという。


もちろん絶対なわけではない。

どんな術にも限界はある。


いくらエアスクリーンでもライフルの銃弾を防げるだろうか?

アガサさん並みの術士なら可能かな?

カタンダ村の魔法剣士ベルナさんだと無理そうな気がする。

上空から隕石が飛んできたら?

間違いなく誰でもアウト。


それとどういうわけか、エアスクリーンは風系以外の魔法攻撃は防げない。

遠距離攻撃でさえも。


ストーンバレットのような、ほぼ物理に近い攻撃なら多少は威力が減退するのだそうだけど。

アイスジャベリンとかファイアーボールになるとほぼ貫通してしまうし、

雷系光系は全く役に立たないというのだ。

その割にファイアーウォールによる温度変化には有効というのだから訳分からない。


プロテクションシールドはどうだろう。

これも以前説明したかもしれないけど、

プロテクションシールドは物理的なダメージになるものを耐久値の限界まで無効化してくれる。

耐久値というのは術者の魔力によって変動。

近接・遠距離の区別はない。

そして術法に対しての防御性能は、先ほどのエアスクリーンとほぼ一緒の流れ。


で、話はちょっと戻るのだけど、

邪龍さんのエアスクリーンはそれを極端にしたような感じ。

もちろんアレを上回る攻撃を仕掛ければ邪龍さんのエアスクリーンを破れるかもしれない。

けれど、邪龍さんのエアスクリーンはレッドドラゴンのファイアーブレスを防いで見せた。


・・・ブレスは遠距離攻撃扱いということか。


多分だけど、

あの・・・ミュラくんが乗ってる金色のドラゴンさんのめ◯ふれあなら、邪龍さんのエアスクリーンを突破できるかな?

ここでやったら仲間に被害が及ぶけども。

多分予熱だけであたし達も全滅するだろうな・・・。

あ、そこでエアスクリーンですか?

いえいえ、成功するかもしれませんがデンジャラス過ぎますって。



そして限界はあるとはいえ、

ホントにファイアーブレスを防ぐ守りが邪龍さんのエアスクリーンにあるのなら、


あたし達の攻撃は、

アガサさんの木属性呪文も、ケイジさんの剣撃も届かないと思うんだよね。

地面に接してるからエアスクリーンの影響を受けないかもという、ヨルさんの大地の牙は何とかギリで。

実際これ以上ないほどこの場で役に立っている。


長々と書いてしまったけど、

あたしが言いたい事は、

これらの仕組みは物理現象ではなく、

ゲームシステムのようなものではないのかという疑問。


似たようなことは、あたしの「この子に七つのお祝いを」でも考えていた。

あれも何となくゲーム的な判定基準があるのだと思う。


あたしはもちろんゲームクリエイターでも何でもないからよくわからないけども、

戦闘時に使われる全ての技や術に属性のような設定をくっつけておいて、

防御する方にもその属性への判定や減数率が設定されているのではないかと。


なんかのゲームであったよね?

敵と同じ属性で攻撃したら敵が回復してしまったとか。

さすがにそこまで露骨な現象はこの世界でお目にかかってはいないけどね。

味方の頭を回復の杖でぶっ叩いたら、味方が回復するなんて現実世界にあって堪るか。


まあ、そんな事を考えてみてもどうしようもないわけで。


話が遠回りに大回りしてしまったけど、

やる事は変わらない。



条件は整いつつある。


 「邪龍さん。

 聞こえますか?」


リィナさんの極大雷撃のダメージを受けてまだ会話できるだろうか。

まあ、仮にもラスボス。

息の根を止める最後まで油断はできない筈だ。


 『・・・貴様ら・・・許さぬ・・・一人残らず・・・』


うん、まだ喋れますね。

まあ、あなたのお怒りはどうでもいいので。

 「ではお知らせします。」


 『知らせ・・・

 何を知らせるというのだ・・・。』


ついに来ましたこの瞬間。

あたしの最後のお役目。

あの人の代わりにあたしが宣告致しますよ。

許さないのはこっちなんですからね。


 「邪龍さん、

 いま、あなたの前に『死』がやって来ていますよ。」


ダメだ、

あたしが言っても凄味がない・・・。

 

さてさて。


次回カラドックさんユニークスキルが明らかに。

真打はその後になりますね。

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