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第四百九十三話 ぼっち妖魔は驚愕する

ぶっくま、ありがとうございます!


邪龍戦久しぶりなのでおさらい


邪龍さんの攻撃で麻衣ちゃんの服が破損。

ケイジのイーグルアイが麻衣ちゃんの秘所を目撃。


麻衣ちゃん半狂乱←いまここ。

<視点 麻衣>


・・・本当に・・・


本当にあたしは進歩がない。

またやってしまった。


いや・・・

今回の酷い目に関して言えば事故である。

不可抗力ともいう。

別にあたしが何らかのミスを犯したわけでも、

ケイジさんがやらかしたわけでもない。


ただ・・・毎度毎度思うのである。


「調子に乗ると後でしっぺ返しを食らう。」



別にそういう法則があるのか、

はたまた運命の神様がそういうコントロールをしているのかは知らない。


さすがにあたし達のご主人様でも運命はどうしようもないだろう。

どこかで誰かが言っていた。

神様ですら時間と運命には逆らえない。


だからこれはもう、自戒の念を込めて受け入れるしかないのだ。


一瞬、またしてもあたしの虚術のリストに、

「記憶を奪う」なんてワンダフルな術があればいいと切に思うのだけど、既に虚術の最終術は確定してしまっている。

そんなあたしの都合になんか、合わせてくれやしないよね。


更にもう一瞬、ケイジさんという目撃者を、

この世から存在しないことにしてしまえばという、ハッピーなアイデアが脳内に浮かび上がるのだけど、

そこは・・・ね?

せっかくあたしの手を汚さないよう、配慮してくれているご主人様の気遣いを無駄にしてしまいかねないので、あたしの思考回路からデリートする。


もしケイジさんがこの件であたしにとってよろしくないマネを考えるのなら、

そこはもう・・・リィナさんに一任しようと思う。

確か電撃って・・・記憶だけを消去できたんだっけか?

まぁ、よくわからないけど実験する価値はあると思うよ。

・・・ぶっつけ本番で。

一緒に命も消去しちゃったとしても、あたしのせいじゃないよね?



とまぁ、そんな事を長ったらしく考えている余裕は、今この場にあって全く存在しない。


ただいまラスボス戦真っ最中なのだ。


あたしは思考を切り替え目の前の邪龍に集中する。

もうパンツははき終えてあるのだ。

破れたローブの脇からちょこっと見えちゃうかもしれないけど、

別に中身を見られる事に比べればどうということもない。

さあ、ここからが本番だ!




・・・とは言っても相変わらずあたしは攻撃能力など何もない。

召喚術にて駆使できるふくちゃん、スネちゃん、ラミィさん、

いずれも邪龍にその牙や嘴、爪は届くことはないだろう。

さっきみたいに、あたしのお助けくらいはどうにかなるかな? というだけである。

「この子に七つのお祝いを」も恐らくほとんどレジストされる。

やってもいいけど、前線で頑張ってくれているケイジさんやヨルさんたちに誤射しないためにはあたしも前に出る必要がある。

けどそんなことをして邪龍の触手攻撃を喰らったらそれこそ本末転倒。

ケイジさんたちが盾役を買って出てくれてるからあたしは身の安全が図れているのだ。


それに防御と言ったって、

タバサさんの術も絶対という訳でもない。

既にあたしのプロテクションシールドは破壊された。

他にもフォースフィールドと祝福は有効なので、邪龍からのダメージはかなり低減されるはずだけど、何分あたしの防御レベルは紙レベル。

一撃でも喰らってはならないのだ。



今も無数の触手があたしたちを絶え間なく襲い続けている。

防御に関してはタバサさんだけでなく、アガサさんまでも万能のアースウォールを展開してくれているが、邪龍の触手の前に一撃で土魔法で作った壁は粉々にされてしまう。


一方、意外に使えたのがヨルさんが手に持つ三叉の槍トリダントゥ・レプリカの封入スキル・大地の牙。

触手攻撃にタイミングを合わせる必要があるのだけど、

地面から隆起した岩が、襲ってくる触手を完全に縫い留めてくれているのだ。

ヨルさんが攻撃に回れないのは痛いが、少しずつ邪龍の攻撃が薄くなっている。


そこへ・・・


 「叫べ! いかづち!!」


集中力と攻撃力を増したリィナさんの雷撃が飛ぶ!


 『ぬぅぅ、わが身を焦がすか。』


決定打とは言えないまでも、確実に邪龍にダメージを与え、なおかつ再生能力も与えない。


更に・・・

 「『バインバインド』!!」


グレイトな胸を揺らせながらアガサさんの拘束木術魔法展開!!

長時間は使えないと言っていたけど、邪龍の動きを封じ込める。

攻撃力は一切ないんだけど、

無数の枝が触手の動きを真っ向から阻害するようだ。


 『初めて見る術よな、興味深い。』


邪龍も初見の魔術ゆえか、一瞬とはいえ攻撃の手が止まる。


 「ならばこの術も初体験?

 『あまねく世界を照らす聖なる光よ』」


あれ? アガサさん、

それは光属性の魔術士呪文だよね?


 『光魔法など珍しくもないが。』


 「『全てを焼き尽くす炎よ』」


え?

それは火属性呪文・・・。

え? え? え?

さっきの光属性呪文は途中のままだよね!?


 「アガサ! それはまさか!?」


ケイジさんは知ってるの!?

もしかしてアガサさんの奥の手!?

あ! アガサさんの右手に光属性魔力・・・

そして左手に火属性魔力が集まる・・・!


 「二属性融合!!

 『相貪り喰らい新たな力を解き放て!! 

 フレアストライク』!!」


なにそれ!?

アガサさんから放出された二つの魔力が邪龍の左上部部位にて混合・・・いや、融合?

違う!!


超高熱の化学反応だ!!

目も眩むばかりのオレンジ色の光球が、邪龍のカラダを溶解させる!!



 『ぬううう!?』


 「アガサ!?

 さっき言ってた混合術を、失敗が許されないこの場でやり遂げるなんて、何という胆力・・・。」

 

同じく魔法に造詣が深いタバサさんもびっくり目を見開いている。


あ、そう言えばあたしが言い出しっぺだったっけ!?

でもそれをいきなり練習もなしに成功させたの!?


 「・・・まだ術としては不完全。

 両属性のバランスとコントロールが激難げきむず

 着弾地点も邪龍の体の真ん中から大きく離脱。」


アガサさんは満足してないようだ。

でもこれだけの術を初めて作り上げて、なおかつ邪龍にダメージを与えているのだから十分誇っていいと思う。

邪龍のカラダの部位がどこで区別できるのかわからないけど、

人間や動物で言えば左肩を溶かしたってところだろうか?

まぁ本当の動物なら、

肩を破壊すれば攻撃力がガタ落ちするところだろうけど、

邪龍の攻撃手段は無数の触手、

それほど攻撃力がダウンしたとまでは言えないかもしれない。


 「二重詠唱は昔から出来てたもんな、アガサは。」

 「けれど、同じ属性で、同じ術を使うのとは次元が違うよ。

 さすがダークエルフトップの実力を誇るだけのことはある。」


ケイジさんもカラドックさんもべた褒めだ。

それはそうだろう。


そしてその高評価は意外なところからもやってきた。


 『これは予想以上だ。

 ダークエルフ、次に会ったら真っ先に殺すとしよう。』


 「ふん、次の機会など皆無。

 さっきのより精度も威力をも増した一撃をもう一度プレゼント。」


アガサさんがもう一度さっきの二属性融合呪文の準備にかかる。

二回目となれば容易くコントロールできるかもしれない。

けれどその瞬間、あたしの危険察知能力に反応・・・


いや違う!

これは未来視か!?


 「待ってください!!

 邪龍のブレスが来ます!!

 今の防御呪文では防げません!!」


あの時と一緒。

黄金悪魔ベリアルの黒炎が迫って来た時と同じ感覚だ。

そしてこれを喰らったらあたしたちは全滅する!

それほどの凶悪なビジョン!!


 『・・・ほう、まだ滅びのブレスの溜めを作ってさえもおらぬのに見切るのか・・・。』


感心してくれるのはいいけど、ブレスの発動止めてくれる気配はないよね?

え・・・とどうしよう?

これ逃げることも・・・


 『ではどうやって防ぐのか見せてみよ。』


ほらぁ!!


 「心配無用、

 麻衣が事前に察知してくれたおかげで発動可能。」


タバサさん!?


 「大僧正ジョブ最終スキル!

 『顕現せよ天空の門、

 忌まわしきもの、邪なるもの、その全てこの門をくぐり抜けることあたわじ!』」


おおっ!

なんか凄いの来た!?


 「『閉ざせ! ヘブンズゲート!!』」


えっ? これ召喚術!?

あたしたちの目前に荘厳な装飾が施された白銀の門が現れた。

けどこれは物質じゃない。

超高濃度の魔力が凝縮した何か。


そして同時に邪龍のカラダが・・・いや、口なのか?

ぱっくりとその器官が横に裂ける。



 『ほう、それも初めて見る。

 では試してみよう・・・滅びよ!!』


その瞬間、邪龍のカラダから破滅的な何かのエネルギーが噴出した!!

さっきあたしが視た光景・・・!


 「「「うわああああああっ!?」」」


ぎゃあああああああああああああああっ!!

危険度はマックス!

全身モロに浴びれば即死!

たとえ腕や足だけでもそのブレスを浴びれば灰になる!!

ケイジさんやリィナさんたちも自らの死を思い描くには十分!!


もうみんな回避も耐え忍ぶ事も不可能!

ただタバサさんの防御呪文頼り!!

目なんか開けてられないけど、

きっと周りの岩とか天井とかは、全てがちりと化してしまっているんだろう。


そして、

あたし達の前に聳える天空の門とやらは・・・




 『・・・これは』



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