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第四百八十四話 レベル制限解除

ぶっくま、ありがとうございます!

<視点 ツェルヘルミア・オリオンバート>


ブルルルッ!

 「お嬢! ヤバいですって!!

 何とか逃げましょって!!」


ナツリはこのまま走ると言ってるようだ。

オレの妄想なんだろうが。

確かにそれが一番現実的にみえる。

けど、今のオレにナツリにずっとしがみついてる体力など残っていない。


馬上から落馬したらそれこそタダで済まないのだ。


 「やれやれ・・・

 皆様、ケガをした淑女を親元に送って行こうという選択肢はお持ちでないのですか?

 恐らくそれなりのお礼も差し上げられると思うのですが。」


これが最後のチャンスだ。

ここで「わかりました! ではお城までお供いたします!」って言ってくれりゃあ、お互い無事でいられるんだけど・・・


まあ、無理だよなあ。


 「はあ?

 まだ寝ぼけてんのか、お嬢様あ!」

 「こ、侯爵令嬢売り飛ばせば、い、いったいいくらの金貨がっ!?」

 「安心しなよぉ、すぐ売り飛ばしたりしないってえええ!

 まずはオレらで代わる代わる順番に気持ちいいことするんだよおおおおっ!!」





ああ、もういいぞ。


オレはスッと、ハゲ頭の隣に降り立つ。

アイツみたいに10.00で綺麗に着地なんか出来・・・

ああ、またあやふやな過去の記憶か!

ええい、思い出しきれないんなら頭の中に湧いてくるな!!

・・・そんで、

馬のナツリに支えてもらうような感じで着地した。


おかげでまだ油断してるな、コイツら。

ていうか、領地の侯爵令嬢なんて売り飛ばす宛なんかあるのかよ?

まさか国外にか?

そんなツテなんか持っていそうにないんだがな。



 「おっほお〜!

 背ぇ高えんだなあ、お嬢様あ!!」

 「スッ、スタイルも凄ええええ!」

 「出っ、出るとこ出てウエストもキュって引き締まってて・・・さ、最高っ!!」


聞くだけでなんて勿体ないんだと思う。

なんでそんないい女が自分自身なんだよっ!!

どっちかって言うとオレもそんな女を鑑賞したい側なんだぞ!?


ハゲ頭はそのままオレの両肩を捕まえようとしている。

他の二人も寄ってきたな。


ならよろめくフリして・・・


足元は・・・うむ、なんとかなりそうだ。


 「コク!!」

 「グボっ!?」


 「なああああああああっ!?」

 「ぺ、ペーターっ!?」



そんな力も間合いも要らない。

足がしっかりと大地に繋がってればそれでいい。

足首に自信がなければ踵で地面を踏み締め、

その力を膝と腰に伝える。

そのまま背骨を通して肩甲骨まで力を逃さず相手にぶつけるだけだ。

おっとっと、「だけ」じゃないな。

体幹の捻りと、

そして「気」も上乗せするんだ。

例え非力な女の身でも、気を抜いた大人一人吹き飛ばすのは訳もない。


むしろこれ、密着していたほうが威力がでるんだよな。


・・・てか、ハゲ頭、ペーターってのか、

やけに名前が可愛いんだが。



 「て、てめー、ペーターに何を!?」

 「可哀想に!

 腹抱えて悶絶してやがるぞ!?」


そりゃ内臓に直接衝撃を与える技だからなあ。


おっと、髭面がオレの首根っこ押さえに来たか。

ん〜、なら同じく非力な女の指で



 「っぎゃああああああああああっ!?」

 「ヨ、ヨーゼフっ!?」


ヨーゼフという名らしい髭面がオレから逃げるように離れる。

さっきの右腕は痺れて暫く使い物になるまい。


何したのかって?

いやあ、肘のとこのツボに指入れただけだよ。


可哀想に、涙目で肘押さえてやがる。


 「てっ、テメェ!

 ただの貴族じゃねーなっ!?」

 「お戯れを・・・。

 護身の術など普通に貴族に生まれた子女なら身につけるものですわ。」


そうだったかなあ。

自分で言っといてなんだが、

習ったような気もするし、今のは違うだろとツッコミを入れたい自分もいる。


 「なっ、なら容赦しねぇ!!

 その肩ぶっ潰してくれるっ!!」


おいおい!

華奢な女に棍棒振り上げるって無茶苦茶だろ!?


・・・これ、避けても馬のナツリにまで被害が及ぶな・・・。



ま、隙だらけだが。



オレは半回転して奴の脇下に潜り込む。

 「八極拳頂心肘!!」

 「ぼぐうっ」


相手のガタイもデカいが、

こっちも身長あるから身を屈めるのが一手間だ。


だが何とかなったな。

技の基本はさっきと一緒。

今回使った部位は肘。

そして攻撃した箇所は筋肉が付きにくい脇の下・・・胸骨だ。


しかもこれカウンター攻撃だからな。



折れたろ。

胸骨何本か。

まあ、心臓に刺さってなきゃ命には別状あるまい。


おっと、

泡吹きながらぶっ倒れたぞ。


 「ア・・・アルム!」


残ったのは肘を押さえたまんまの髭面男。

確か名前はヨーゼフだったか。


 「どうされますか?

 あなたも二人の介抱をしなくてはならないのでは?

 もう私に何の用もないようでしたらこれで失礼させていただきますが。」


ホント丁寧な物言いだよな、このお嬢様。

自分の意志で喋ってんだけど、綺麗な言葉が普通にスラスラ出るわ。


 「あ、ああ、嘘だ、

 いくら貴族だからって侯爵令嬢がこんな強いわけがない・・・

 間違いだ・・・これは何かの間違いなんだ・・・。」


髭面男はオレに返事するというより、独り言みたいにブツブツ呟くだけのようだ。

しかもその内容を聞くと、

このまま帰してくれそうにないらしい。


まあ、いいか。

さっきカラダを動かしたせいか。

多少エンジンも温まってきたらしい。

もう少し派手な動きも出来るかもしれない。


 「うおおおおおおおっ!!」


ほお?

こいつ少しは考えているのか。

オレが前の二人を潜り込んで倒したのがわかったと見えて、

カラダを前のめりにして突っ込んで来やがった。



・・・なら跳べばいいだけなんだがな。


 「あ、スカートがめくれて」

 「え?」


特別サービスだぞ?

ワンピースの裾を確かめるようにめくりあげる。

ブーツ部分は膝まで覆っていたが、

その上の健康的な太ももがこの男の目に焼きついたことだろう。


 「うっ、美味そうっ!?」


そうか、そうか、美味そうか。

ちくしょう、少しコイツが羨ましい。

こんな至近距離で


じゃねーよ!

よし、コイツの意識はオレの太ももだけになったな。

なら・・・


 「えっ! 消えたっ!?」


上だよ。

掌底で頭はたいて眼球飛び出させてもよかったんだが、

多分今の体じゃ無理だろう。

なので足で



ボグッ!

脳天に一発

 「あひっ!?」


ベキャッ!!

そんで顔面に二発目

 「ぐぼおっ!!」


三発目は・・・ダメだ。

このカラダじゃ三起脚は無理のようだ。

二起脚が限度か。


なんとか着地・・・うわ、よろける!


奴は・・・

あ、それでもぶっ倒れてるか。


まだ意識は残ってるようだが・・・

てか、コイツ、ヨダレこぼしまくりじゃねーか!

もしかして最後、オレの太もも舐めまわすつもりだったのか!?

さすがにそれやったら遠慮なくトドメを刺してやるからな?



 「まだ向かってこられるようなら、

 お一人につき三回はぶち殺してさしあげますわよ?」

 「ヒィイィイッ!?」


太もも狙ったらさらに三十回殺害追加な。


さて、

オレの言葉は聞こえているようだが、

その意味は理解できてなさそうだ。

戦意喪失ってところか。



まあ、別にぶっ殺す必要もあるまい。

それより早く家に帰らなければ。




そんな事を考えていた時、

オレの頭の中に誰かの声が聞こえた気がした。

 「レベル制限解除されました」


うん?

また馬のナツリが何か話しかけてきたのか?

まぁ、気にすることはないか。



とりあえず戦闘はこれで終わりだな。

えっと・・・


終わったらなんか言うんだっけ?

そんな決まりあったか?

まあ、いいや、

うん、オレってば


 「最っ 強っ・・・ですわっ!!」


 


※※ ステータス(現在公表可能情報) ※※


ツェルヘルミア・オリオンバート

18才、女性 (状態 負傷)

レベル51(New!)

種族・・・ヒューマン(New!)

職業・・・貴族令嬢

適性職業・・・軍師、武闘家、剣士(New!)


しまった、種族は前回公表しても問題なかったか!


なお、レベルは異世界転移時のカラドックをさらに上回ります。

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