表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
481/748

第四百八十一話 雷鳴と共に

ぶっくま、ありがとうございます!


・・・あれ?

誰だ、これ?

まさか終盤の大詰め付近にまさか新キャラ?



<視点 ???>



耳鳴り が する


それ以外


なにも 聞こえない





・・・


あ・・・う、う


こ、ここは


なに・・・なんだ?


なにがどうなってる?




何も見えない、わからない・・・


腕も・・・手足の感覚もない


いや、


体が熱い・・・

違う、冷たい。


え、どういう?

冷たくて熱い?


あ、違う。


雨か、

雨にうたれているのか。


皮膚の感覚ははっきりしてきた。


多分服もびしょ濡れになっているんだろう。


ほっぺたの下にも水が溜まってる感覚が分かる。


手足はまだ動かない。



でも顔や体の下には砂利か土か、

雑草らしきものが生えてるっぽいな。


 「あ・・・う」


声は出る。

けれどまだしっかりと喋れそうにもないし、自分の声だという感覚もない。


嗅覚は・・・うん、

よく雨に濡れた草花の匂いというか、

いや、それよりも焦げ臭い匂いの方が強い。


なんだ、どうしたんだ、一体オレは。




耳は・・・

この雑音みたいなのは雨の音、だよな。



耳鳴りかと思っていたのは、

大粒の雨の音だったのかもしれない。



今は落ち着いたのか、それほど酷い大雨ではない。

小雨とも言えないレベルだが。


けれど今、

オレが無防備に雨に打たれ続けているなら、このままだと体温低下でヤバいことになりそうだ。


何故かカラダそのものは熱くて、

寒気とかは感じないが、早くなんとかしないとならないだろう。


・・・時折、銅鑼を鳴らしたような大きい音も鳴っている。

それが響くと他の音は全てかき消されちまうな・・・。


ああ、地面がビリビリ揺れる。

腹にも響く音だ。



やっぱり早く動いた方が良さそうだ。


動け。



ジャリ・・・


お、

指を動かそうとしたら、自分の左の手のひらの下で土だか砂だかの動く音が聞こえた。


このままならそのうち

カラダを普通に動かせそうかもしれない。


 「ぐ・・・」


なら顔だ。

首を上げてみよう。


目も開けるはずだ。




よし・・・見える。


周りは薄暗い・・・が、夜とか日が落ちてるわけではなさそうだ。


昼間の曇り空・・・

いや、雨が降っているから暗いんだよな。


そして、思った通り、自分は砂利道に倒れ込んでいるみたいだった。


このままだと車に轢かれる危険もあるだろう。



砂利道の両脇は草むらや林が続いている。


民家は見えない。


どこの田舎道だろうか。



・・・車の気配も今のところはない。



もう少し、体を動かせるか・・・


 「ぐ、ぐ・・・。」


体が重い・・・。


衣服が濡れてるせいか、

単純にまだ

体に何らかのダメージを受けているせいか・・・。


だが大怪我をしたとかではなさそうだ。


気分も最悪だし頭もガンガンするが、

特定の部位が痛むとかは感じない。


まあ、感覚が麻痺してる可能性もありそうなので慎重に動こう。


骨が折れてるのに気づかないとかあるかもしれない。



 あ・・・


首を少し動かした時、

オレは自分の近くに大きな物体がそこにあるのを発見した。



アレは



馬車、か?


豪勢な作りに見える装飾の施された馬車。

そして荷台の部分が横倒しになっていた。


その先に馬も二頭倒れている。


オレはそれに乗っていたのだろうか?


それともこの馬車にどういう経緯かもわからないが正面衝突でもしてしまったのか?


ていうか、

今の時代に馬車?




今時中国の田舎でさえ、馬車なんか見ないぞ?

まあ、観光地ならあるかもしれないが。



・・・ゴロゴロゴロゴロ



遠くから雷の音が聞こえる。


空の雲は分厚い。


そして辺りに漂う焦げ臭い匂い・・・。



そう、倒れている馬車からは幾つもの煙が立ち上っていた・・・。




もしかして・・・だが、

オレはこの馬車に乗っていたのか?


そしてこの天候から判断する限り、

落雷・・・にあった可能性も・・・。

もう雷雲は遠くに行ってしまったようだが。




立て、るか?



 「・・・くお」


相変わらず自分の声の気がしない。



ていうか・・・




そもそも




オレは誰だ?






カラダの状況を気にしすぎていたので、

今の今まで自分自身のことを振り返る余裕がなかったのだが、


肝心の自分の事が何もわからない。



オレは誰で、

名前が何で、

どこに住んでいたのかも思い出せない。


それでもカラダはその前の目的を忘れていなかった。


ゆっくり、

ぎこちなくも両手のひらを砂利道にくっつけて、腕をカラダの支えにする。


上半身は起こせたな・・・。




ここまで動くのも一苦労だ。


一休みしよう。


まだ足腰が立つかどうかも分からないし。



カラダを起こしたお陰で視界が拡がった。


馬車の先で人間が一人倒れている。



服装とあの位置から見て御者だろう。


生きているのだろうか?




見ればそのカラダからも白い煙が上がっている・・・。


服もところどころ焼け焦げているようだ。



恐らく、だが、ムリっぽいな・・・。



馬も二頭倒れているが似たような状況・・・

いや、一頭は時折痙攣している。


まだ生きているか?




自分の他に生きているものがいると思うと、何か勇気というか、心に力が湧いてくる気がした。


心なしか指先にも感覚が戻っているようだ。




・・・指先、ね。


そういえば何か違和感があると思ったら、手袋を嵌めているな・・・。



寒くてつけるような厚手のものでなく、

肌にピッタリフィットするようなレース編みの・・・





レース?


何だ、この無駄に刺繍をあしらった高級そうな純白の手袋・・・いや


イブニンググローブっていうんだったか?



両腕ともすっぽりと肘まで覆ってるっていうか、オレそんなの持ってないよな?


ていうか、


腕も指も、オレなんでこんな細いんだ?


長い事、病気でも患っていたのだろうか?


だから今もカラダが重い?

落雷のせいでなく?



・・・いや、


なんか


すっげー



やな予感する。





オレの鼻が焦げ臭く感じてるのは、

オレの衣服もところどころ焼け焦げているせいもあるんだが、

視力も回復していて自分のカラダを見下ろすと、



さっきのイブニンググローブともコーディネート上、全く違和感のない豪勢で、なんか花だか薔薇だか刺繍されて、

胸元バッチリ開いて、

多分、これシルクだよな、

なんか大昔のヨーロッパ貴族が着るような・・・

ああ、腹がやけにキツいと思ったらコルセット嵌めてるじゃねーか。

あとそれと首元にメチャクチャ高そうな宝石をあしらった銀細工の首飾りも見える。


・・・オレにそんな趣味はないはずだ。



そんで


それ以上に



オレのあたまが混乱起こしたのは




胸が



大きい。



それも二つも




はい?



これ・・・自前の、だよな。




オレの胸、だよな?




これ、アイツらよりデカい、よな。





お?



アイツらって誰だ?


瞬間、二人の顔が浮かび上がりそうな気がしたんだが、どうしてもそれ以上思い出せない。


ダメだ・・・


名前も顔もどっちもだ。




家族・・・


そうだ。


ちっちゃな子供が何人かいるはずだ。

生まれたばかりの女の子も。



でも誰の顔も名前も思い出せない。





クソっ、

何だ、この記憶!?


ホントに合ってんのか?


オレは男のはずなのに・・・



何でこんなどデカい山盛りのオッパイついてんだよっ!!



あ・・・て、


こ、ことは・・・





オレは一度カラダを横座りにして体勢を変える。


むう・・・

下半身もドレススタイルだよな?


これワンピースか?

その上からコルセット嵌めてんのか?

道理でカラダが動かしにくいわけだ。


足元はブーツスタイルか。

踵部分もしっかりしている。


それだけは良かったな。


上のドレスに合わせたパーティー用のヒールかなんかだったら、この先この畔道を歩くどころじゃない。


もともと遠出用のスタイルだったんだろうか。



いや、話を戻そう。


周りに人はいない。



まあ、いたとしてこの状況でオレに駆け寄って来ないのは考えられんよな。


どう見たって救急車呼ぶ事案だろ。


少なくともオレは大怪我してないみたいだが。


そして今、

オレはもっと大切な事を確認せねばならない。


その為に腕をフリーにした。



まず胸だ。





とりあえず服の上から。



むう、

カップと言うのか、パッドと呼ぶべきか知らないが、しっかりと防護されているな。

そして、オレの胸も押されている圧迫感がある。



ではそのカップの下に・・・


冷て。

あ、これ、オレの胸だ。

何かが詰まってるとかじゃない。


しっかり感覚あるし・・・

あああ、乳首も・・・いや、男だって乳首はあるか!!



で、では・・・それ以上に大事な・・・


ああ、クソっ、イブニンググローブって外すのめんどくさいなっ!

オレは左手と口を使って不器用に右手のイブニンググローブを外す。


うあ、そこに現れたのは美術品のような白い女の指だ。

やっぱりと思ったが今確かめたいのはそこじゃない。


残った左手で・・・

ドレスを捲って



ううう



下着の下に素肌の指を



天下の往来でオレは何を・・・




う、あ、


ああああああああああっ!


ないっ?



ないっ!!


ないってばない!!


ちんちんが・・・

ちんちんがなくなってるううううううううっ!!


オレのおおおおおおおおおおおお!!

タマタマもだああああああああああああ!!



ハア、ハア、

そ、そんで、これは・・・


ま、間違いないっ、


この感触・・・

この筋!

指先がその中に


うああああああああああああああああああああっ!!

何がどうなってこうなったああああああああああああっ!?



※※ ステータス(現在公表可能情報) ※※


ツェルヘルミア・オリオンバート

18才、女性 (状態 負傷)

 

以前どこかで・・・

彼・・・彼女の存在を匂わせたような・・・。


名前をどうするかですっごい悩みました。

オリオン神群とは関係ないと思ってもらって構いません。

偶然の一致なのかどうかはわかりませんが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
表紙
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ