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第四百七十九話 あってはならない事

確か前の方で今回の事件を匂わせていたはず。



あ、あれ?

ちゃんと14時指定でアップしたはず・・・。

更新されてない?

<視点 ケイジ>


なんて言うのかな、

オレにも空気が変わったのが分かる。


いや、邪気だか瘴気とか、そういうのは変わってないんだろう、もうここは邪龍の棲家の中心地。

そんなもんの濃度はマックス。

オレ達はタバサのフォースフィールドの効果で守られているが、

その効果範囲内から一歩でも踏み越えてしまえば、途端に邪気をモロに浴びて、体じゅうに何らかの影響を発現させてしまうことだろう。


単に空気が変わったというのは、

物理的に向こうに広い空間があるのが感覚的に分かったってことだけ。



 「他にもみんなに保護呪文を。

 『祝福』、『プロテクションマインド』、『ホーリーウォール』、『プロテクションシールド』。」


タバサがこれでもかとオレ達に防護呪文を重ね掛けする。


かつてこの世界では邪龍は何度か世に出現している。

けれど、その度に・・・

まあ、人間なのか、魔族なのか、或いは竜族かが邪龍を退けてきた。


少なくともヒューマン側が退けたというなら、光属性を基本としたハイクラスの神官や聖騎士たちが活躍したのだろう。


さっきオレ達に襲いかかってきたかつての戦士の中には聖騎士と神殿騎士がいた。

あとそれと舞踏戦士だったか、

まさかたったの三人だけで邪龍を倒したわけでもあるまい。

あの場にいなかった・・・恐らく生き残った者の中にも高位の戦士か神官がいたのだろう。


ならばオレ達も戦える。

邪龍もオレ達のステータスは、

自分と戦ったこれまでのどの人間よりも高いと言っていた。


邪龍が自身の勝利を疑っていないのは、

これまでに取り込んだ人間・亜人の魂を得て自らが強化しているからだったな。


いいだろう。

来てみろ。

ここまで生き抜いた頼りになる仲間達にお前がどれだけ強がっていられるか。


このオレが見届けてやる・・・!




オレ達は互いに密集せず、

タバサの呪文結界の中から外れないように、

互いに距離を取り合い進んでいた。


先頭はもちろんオレだ。


脇にヨル、

オレの背後にはリィナがいる。


いつでも行ける。


伏兵を置いてるか?

奇襲をかけてくるか?

それともラスボスらしく、

オレ達が真正面から近づいているのを待ち構えているのか?



麻衣さんは反応してない。


どうやら真正面からのガチバトルとなるようだ。



いま、オレ達は洞窟の最後のカーブを曲がり、

向こうに・・・広大な空間が広がっているのが視界に映る。


天井もかなり高い。

20メートルはあるだろうか?

その奥行きはまるで湖でも拡がっているのではないかと思うほどだ。


それほどの広さだったと言える。

ただし、そこに水面はない。


・・・何か、とてつもない質量を持った、

巨大な存在感のある何か。


大きすぎて全体像が把握できない。


既にタバサの各種光系僧侶呪文の副次効果でオレ達の周辺は明るいが、

更にアガサが光魔法で辺りを照らす。


・・・うむ、

透き通ってもないし、ゼリー状でもないが、

超巨大なスライムとでも言うべきか。


なるほど、

どこが「龍」なんだと言いたい。


大きさは、こないだローゼンベルク領のダンジョンにいた巨大リクガメを更に上回る。


カメなら頭と手足と尻尾がその甲羅から生えているだろう。


だがこいつに生えているのは無数の触手。


誰もコイツを他の似ている生物に分類出来なかったんだろう。

だから「邪龍」。

地上でミュラが引き連れている竜族たちには失礼な話だと思うがな。


そしてその無数の触手は、オレ達に反応してゾワゾワと襲いかかってくる寸前のようだ。

・・・まるで触手一本一本に独自の意思でも宿っているかのように。


それを本体である邪龍が抑え込んでいる・・・そんな印象を受けさえする。


おっと・・・


どうやら「お目覚め」のようだな。



 『歓迎する、子虫どもよ。』


子虫と来たか。

何言ってやがるんだ。

散々その子虫を使って人間達の街を襲っていやがるくせによ。


 「前回はどの程度だったか知らんが、

 悪いな、目覚めて間もないだろうに、もう討伐されるだなんてな?」


お返しに精一杯の嫌味を言ってやる。

邪龍って煽り耐性あるのだろうか。


 『・・・ふむ、確かにこの場所まで入り込まれるのは初めてだ。

 この地をどうやって見つけた?』


む?

それは・・・言わない方が良さそうだな。

この場所を教えてくれたのは世界樹の女神アフロディーテ。

空飛ぶ馬車であっという間に送ってくれたのも、女神の眷属・会長ラプラス。


万一だが、オレ達が負けた場合、

女神と一体化している世界樹に邪龍が狙いを定めてもよくない気がする。


適当に誤魔化しておくか。


 「こっちには神のお告げを聴く有り難い存在がいるんでね、

 お前はここを隠匿してたつもりだったのか知らないが、そんなもんはハナから丸裸だったってことだ。」



 『そうか、

 ・・・神の声を聴く、というのは・・・』


ん?

まだこれ以上この話を続けるつもりか?

もう何も話す気はないぞ?


その時、オレの後ろから悲鳴が上がる。


 「え、あ、ちょっ!? 

 あたしっ!?」


 『その巫女のことか?』


なっ!?


 「きゃああああああああああああっ!?」


パリィンとプロテクションシールドが破られた音と共に、

すぐ後ろで発生した筈の麻衣さんの悲鳴が、あっという間に天井近くへと遠ざかっていく!


なんて事だ。

今の話で神の声を聴くなんて言ってしまったばかりに、巫女職の麻衣さんのことだと勘違いされてしまったか!


振り返ると巨大な触手が麻衣さんの胴体を何重にも巻いていた!!


いったいどこから?

いや、違う!

すぐ近くに「全く動かない」触手を伸ばしていやがったんだ!!

それなら攻撃でもないし、麻衣さんの感知能力でも気づきにくかったんだろう。

そいつが・・・タバサの結界の中から麻衣さんに巻き付いたということか!



いち早く麻衣さんは危険を察知したんだろうが、本人含め誰も対処が間に合わなかった。


ならオレ達がすべきは麻衣さんの救出!!



 『まず一人。』


上空にて動けない麻衣さんを更なる邪龍の触手が狙う。

冗談じゃない。

巫女云々は別としても、

麻衣さんに抜けられるわけにはいかない。


第一、オレは麻衣さんに恩を返しきってはいないのだから。


 「ベリアルの剣!!

 頼むっ!!」


麻衣さんに向かう汚らしい触手!

オレはそれめがけて衝撃波を放つ!!


 「私も参戦!

 『アイスジャベリン』!!」


アガサも呪文を撃ってくれた!

オレの衝撃波は麻衣さんを狙う触手に。

アガサのアイスジャベリンは麻衣さんに巻き付いてる触手へ!


 「うっきゃあああああああああああああっ!!」


再び麻衣さんの悲鳴!!


オレの放った衝撃波は間違いなく触手にぶち当たった!

オレのイーグルアイは、その軌道がわずかにズレたのも確認している。

問題は麻衣さんのカラダに・・・


 「麻衣さん!?」



 「あっ、・・・だ、大丈夫、です?

 ギリギリでズレた・・・?

 外套の腰の辺りを切られちゃったみたいですけど痛みは・・・ない、かな?」


おお・・・

服を破られただけか!


アガサの氷の槍はもう一本の触手を貫いて・・・


ん?

そういえば今回はホーリーレイを使わなかったのか?


 「迂闊に触手を破壊しても、あそこから麻衣が墜落の危険。

 アイスジャベリンなら触手を神経ごと凍らせられるから触手の動きを停止可能。」


おお、凄いぞ、アガサ。

そこまで考えられるのか。


けど、まだ足りないな。

麻衣さんをあの場から救出せねばならない。


今も麻衣さんはどうにかあの縛めから抜け出そうと足をバタつかせて・・・



ん?





なにか、

麻衣さんのカラダから



白い


布切れのようなものが


ヒラリヒラリと



そして

ふぁさ、と。


大地に花咲く。




いったい何が落ちてきたのかと、

オレは反射的に上を見上げて




あ、四百四十八話だ。

ここで今回の展開を暗示しています。

以下引用


・・・この段階で、またもや、という話になるのだけど、

あたしはここでも調子に乗り過ぎていたのかもしれない。

そう、このあと、あたしはとんでもないしっぺ返しを食らうのだ。

因果応報とでもいうべきか・・・。


ただ今の段階で、あたしがその少し先の未来で起こる破滅的な不幸を知り得る術はない。

本当にいろいろ便利なスキルが使えたとて、人の人生はままならない。


え?

一体何をやらかしたのかって?

まぁ、それは後に明らかになるでしょう・・・。

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