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第四百七十一話 無機なる魔物

ぶっくま、ありがとうございます!!


また今日もギリギリ投稿。

誤字脱字は後でこっそり修正する所存です!

<視点 ベルナ>


うああっ!

喰らっちまった!!

右足の太ももの形が変わって白い骨が見えちまってるじゃねーかよ!!

地中から出てきたロックワームの襲撃を予想出来なかった!


乙女の汚れなき太腿を何だと思ってやがる!!

ボス部屋にいるような巨大な個体じゃなかったから丸呑みにされるような事態には陥らなかったけども、太腿をざっくりと齧り取られた!


ちくしょう、

これじゃ、まともに走る事さえ出来ない!!

けどあたしは魔法剣士、

機動力は失ってもウインドカッターで遠距離攻撃はできる。

せめてみんなの援護だけでも・・・


 「ベルナちゃん!

 いま治癒をかけるかの!

 『何人なんびとにも平等に降り注ぐ光よ、の者に慈愛の癒しを与え給え、ヒール』!!!」


おお・・・

抉り取られた肉が盛り上がって来る・・・。

なんか変にこそばゆい・・・。

うん、いや・・・正直元通りとはいかないけど、さっきよりかは全然マシだ。

多少、足は引きずるけど、ほぼ普通に走れそうだ。

まぁ、女の身としては気になる傷だと言えるけど、そんなもん今は後回し!!


 「ケーニッヒさん、あんがと!!」


 「わしもそう何発も治癒はかけられんからの!

 なんとか持ちこたえて欲しいかの!!」


ケーニッヒさんは本職の僧侶じゃないからね。

魔力量もそんな多くもない。

まぁ、あたしも人の事は言えないさ。

魔法剣士なんて万能そうに見えて、ただの器用貧乏だからね。

せっかく全体攻撃魔法のトルネードを覚えたって、あれ、吹き飛ばすだけだからさ、

確実に魔物を仕留められるわけじゃない。

ちょっとしたらみんな復活してきちまうわけだ。

しかもあれ使ったら他の魔法は殆ど撃てなくなる。


まぁこんな村にいるような魔法使いはみんな似たり寄ったりだ。


 「『ブラックファング』の魔術士はファイアーウォールをダンジョン出入り口に向かって展開頼むかの!!」


 「・・・っ!

 ファイアーウォールですか!?

 なんならファイアーストームで魔物を一掃することもできますが!?」


あれは隣のプリエレ村から来てるパーティー、「ブラックファング」。

三人組パーティーで、剣士のリカルド、魔術士のカリプソ、シーフのアミネ・・・だったかな。

たまたまオックスダンジョンに稼ぎに来てて、

運悪く・・・いや、ダンジョン内部に潜り込む前にスタンピードが起きたのは運がいいと言えると思う。

このスタンピードの対処に駆り出されているパーティーだけど、

魔術士のカリプソ、彼は全体攻撃魔法が使える。

それも火術のファイアーストームなら確実に魔物の息の根を止められるはずだ。


まぁ、あたしもファイアーウォールは使えるんだけどね。

どっちかっていうと風属性の方が得意なんでね。

火術は本職にお任せするさ。


 「ファイアーストームを撃っても、仕留められるのはこの場にいる魔物だけかの!!

 それならファイアーウォールで足止めしている間にこちらの態勢を整えるかの!!」


・・・確かに。

あたし以外の冒険者も満身創痍だ。

ケーニッヒのおっさんの指示で、大怪我を追ったものは戦線から後退して、

軽いケガならポーションでもなんでもいいから、この場で治療してもらわないと戦線が崩壊する。


正直あたしも逃げ出したいよ。

なんでこんな平和な村でスタンピードなんて起こるかよ?

っても、この村で生まれ育ったあたしにゃ、逃げる場所なんてありゃしない。

せめて一匹でも数多く仕留めてやるだけさ!



そしてケーニッヒのおっさんの指示は予想以上の効果を生んだ。


 「・・・おお、見ろよ!

 ゾンビやスケルトンども、自分たちから焼かれに行ってるぞ!!」

 「こいつはいい、しばらく楽させてもらおうか!!」


単純に正気を失った魔物どもも、さすがに火は恐れるらしい、

キラードッグもゴブリンどももダンジョンの出入り口付近で鮨詰め状態になっている。

元から生存本能のない不死体共だけが炎の壁を突破しようとしてそのまま火葬されて・・・


 「油断は良くないかの!!

 焼かれながら炎を突破しようとするゾンビに気を付けるかの!!」


 「うっ、うっわああああああ、こいつ火だるまのくせに・・・っ!

 あ、あちいぃ!!」


一人の冒険者が全身炎に包まれたゾンビに組み敷かれた!!

ギリギリであたしのウィンドカッターが焼きゾンビの首を斬り落として、

大やけどを負った冒険者が助け出される・・・。


 「他にもロックワームは地中から湧き出てくるかの!!

 それらを注意して炎の向こうの魔物たちを弓矢で射止める作戦で行くかの!!」


おお、さすが何でもこなすケーニッヒのおっさん。

頭も回るし指揮能力もあるよな。

マジで現役引退なんてしてる場合じゃねーだろ。


・・・けどやっぱりカタンダ村の冒険者だけじゃ戦力不足は否めねーんだよな・・・。

近隣のパーティーを数に入れたとしてもな・・・。




 「・・・す、すいません、オレ、もう魔力が・・・。」


ついに「ブラックファング」の魔法使いの魔力が尽きかけてきている。

他にファイアーウォールを使えるのは・・・


いや、いたとしてもまだそれを使える魔力を残してる者なんて・・・



 「ベルナちゃん、いけるかの!?」


だよな。

ここはあたししかいねぇ。

じゃあ、その後あたしの魔力が尽きたらどーすんだって話にはなるんだけどよ。


エステハンのおっさんが後続の応援呼んでくれるか?

既に街中にも多くの魔物が入っちまってるからそれも期待は難しいんだけどね。


他に手はねーか。

いい加減、ダンジョンから溢れて来る魔物が尽きてくれれば言う事ないんだけども。


 「ああ、わかった、

 ならあたしがファイアーウォールを・・・」




そこで周りの冒険者の空気が変わった。


 「・・・お、おい、み、見えるか!?

 あの炎の向こうにいるのって・・・。」

 「え? な、なんだよ? 何も見えねーぞ!?」


え、あ?

何か見えたぞ?


オレンジ色の炎の壁の向こうでゴブリンどもが吹き飛ばされた!?


なんだ?

味方?

まだダンジョンの中に無事な冒険者がいて魔物の背後から奇襲をかけた?


いや、違うよな?

あんな無機的で、何の色もついてない姿で・・・


 「あ、おオレにも見えた!!」

 「そんな、ま、まさか・・・奴らが徘徊するのは地下10階より深いエリアのはずだ!!」


 「いや、それよりも・・・!

 あの巨体でダンジョンの出入り口を抜けてきたって言うのかよ・・・!」


 「・・・これは・・・想定外かの・・・、

 確かに幾分小柄のようではあるが・・・。」


ケーニッヒのおっさんの細い目にも見えたんだな・・・。

あたしにもようやくわかったさ。


奴は・・・いや、あいつらは、

土と親和性が高く・・・


炎に耐性を・・・そしてあたしの得意な風属性とも相性が悪い。


それを示すように炎の壁など何もなかったかの如くそのまますり抜けて来る・・・!!


体長はほぼ2メートル前後か・・・。

ギリギリダンジョン出入り口階段を上がってこれたのだろう。

こいつらもボス部屋にいる個体よりかは若干小さ目・・・。


それでも・・・今この場に三体!!

そしてこの後も登って来るだろう、さらなる魔物・・・。


ゴツゴツと不揃いの体表を持ち、

その頭部には二つの滑らかな球体を目のように機能させた無機物の魔物・・・。



ストーンゴーレム!!


あたし達の目前にそいつらが立ちはだかったんだ!!


 

最近、偏頭痛が酷い・・・。

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