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第四百六十八話 それはセーフなんですか?

<視点 ラミィさん>


もー! やっと着いたあー。

めっちゃ大変だったんだからねー?


なんだかんだで一回のアースクリエイトじゃ距離が足りずに、結局三回おんなじこと繰り返してここまで来たんだからー!

一度全部魔力使い果たしたもんだから、MPポーション? 魔力回復できる薬を飲ませてもらったわ。

こんな便利なものがあるのね。


それでいま、あたしは村全体が見渡せる物見やぐらの天辺にいるというわけ。


 「ねーねー、麻衣ー、なんとか村に着いたわよー?」


ちなみに麻衣とはずっと交信続行中。


 『無事につけて良かったです!

 それで村の状況はあたしにも視えますけど、そこは村の南側ですよね!?

 ダンジョンスタンピードなら、魔物の発生元であるオックスダンジョンは村の北側なんです!

 そのまま反対側に向かってもらえますか!?』


ほんとに麻衣ったらラミア使いが荒いわねー?


麻衣は遠隔透視が使えるから、あの洞窟の中にいてもあたしが今見ている光景が視えるらしい。

・・・でも遠隔透視ってアレよね?

肉眼でなく、意識で遠くの景色を把握するだけだから、現実で見るように、鮮やかでくっきりとした景色とまでは言えないはずよね?


だから麻衣はあたしが視ているこの風景を、完全に把握できてるわけじゃないわけでー。


 「ねーねー、麻衣ー?

 もしかしてよくは視えてないんじゃなーい?

 村のあちこちで戦闘が起きてるようよー?

 もうかなり魔物が侵入してるわー?」


人間だかオークのだか分かんないけど、下品な怒鳴り声とか雑多な喧騒とかも聴こえてくるものね。


 『うっ、・・・ど、どうしよう、

 いくらラミィさんでもそれ全部クリアしていくわけにはいきませんよね・・・。』


ホントにこの子ったら、いっつもとんでも無いこと言うんだからー!


 「無理無理無理ー!

 別にあたしが負けるような魔物はいなさそうだけど、あたしだってそんな強力な攻撃方法持ってるわけじゃないんだから、どうしたってあちこちに散らばってる魔物の対処しようとしてたら、すんごい時間かかるわよー?

 ・・・あ、ちょっと待って、麻衣!」


 『ラミィさん、どうかした・・・って、あ、

 村の皆さんがラミィさんに気づいたようですね・・・。』


 「そうみたいね、ちょっと挨拶してみるね!」


 『え!? あ、ちょ・・・!』


麻衣が何か言いかけてたけど、あたしはもう物見やぐらから飛び降りていた。

とりあえず城壁とも言えない程の村の外壁の上にね。

あたしの今の身体ステータスなら、この程度の高さなど何の問題もないのだ。


うん、人間の皆さんが驚いた顔でこっちを見上げてるね!

ふふふ、この中に将来あたしと子供を作ってくれる男の人がいるのかなー?


よし、ここはこのラミィさんの可愛さをアピールするところね!!

子供のころ、姉妹たちに可愛いと評判のあったラミア・ウォークをご披露してあげよう!


左右の腕を前後に広げて壁の上を這うだけなんだけど、

ウォークパターンは尺取りワームみたいに胴体を上下に畳んで進む形態と、

胴体を左右にくねらせながら進む形態と二種類あるのよ。


今回は人間の皆さんから見えるのは下からのアングルだから、

尺取りワームパターンね!


あら? 麻衣? なんか「うぉーくらいくえじーぷしゃん♪」って聞こえるけど?

おーえーおー?

え? 気のせい? 

でもどうかしら?

これでみんなに可愛さアピール・・・



あ、あれ? 人間の皆さん、弓矢構えてない!?


 『あ、ラミィさん、ヤバいです! 逃げてください!

 魔物認定されてますよ!?』


え、ちょ、


きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!

矢がたくさん飛んできたああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?


なんで!?

どうしてえ!?

あたし、人間を助けに来たのいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?


 「ちょっと、これ、麻衣、話が違うわよ!!

 どうしたらいいのよ!!」


 『ラミィさん、とりあえず、身の安全を計ってください!!

 それと言葉を話して自分は悪いラミアじゃないよって叫んでくださいますかっ!?』


ってそうは言われても話が出来る隙も・・・


 「ええええーい! ウォーターカーテン!!」


あたしの目の前に水の壁を作る。

防御力は今一つなんだけど、レベルの低い人間の弓矢くらいは弾いてくれる。



 「おお! あのラミア、水魔法使いやがったぞ!!」

 「ヤバいな! 他にも魔法を持ってるかもしれん!!」

 「おい! マイヤーんとこのガキは冒険者ギルドに報告行かせたんだよな!?

 まだギルドから応援来ねーのかよ!?」

 「馬鹿野郎! ギルドも冒険者も全員ダンジョンの対処に向かっちまっただろ!

 ここはオレたちで何とかするしかねーんだ!!」

 「なんだ、あのヤバい胸のデカさ・・・

 有り得ねえ・・・。」



うん、みんなの言葉はちゃんと聞こえている。

ならあたしの言葉もわかるはずよね!?


 「ねーねー! みんなー!

 話を聞いてー!!」


 「・・・あ、なんだ?

 あいつ今オレたちに話しかけてきたのか・・・?」

 「い、いや、そんな馬鹿な・・・人間の言葉を話せる魔物なんて・・・。」

 「馬鹿野郎!

 人間の言葉を話せる知能があるから妖魔なんだろうが!

 気を付けろ!

 妖魔は人間を誑かす魔物なんだ!!」

 「あの胸のデカさで、オレたちの言葉通じるなんて最高だろ・・・

 交渉したらオレのお願い聞いてくれるかも・・・。」


うーん、

人間の皆さんの言ってる事はほぼ正しいのよねー?

前も実際、たぶらかして食べちゃったこともあるしー。


 「えー、いや、そうなんだけどー、

 今日はあなたたちを助けに来たんだよー?

 冒険者ギルドの人はいないのー?

 あたしは悪い魔物じゃないよー!!」


麻衣の知り合いの人がいてくれればすぐ話が済みそうなんだけど、今いる人たちは麻衣もよく知らないみたい。


攻撃は一瞬止まってるけど、このまま村の中突っ切るのは、あたしでも自殺行為だとわかる。


どうやって説得しよう?


 『こ、困りましたね、そこにあたしの知ってる人いなさそうだし・・・、

 あ、ラミィさん、冒険者ギルドのエステハンさん呼ぶように伝えてもらえますか?

 あたしの名前出せば味方だって理解してくれるかも!!』


オーケー、了解!


 「ねーねー!?

 冒険者ギルドのエステハンさんて人、呼んでー!?

 麻衣って女の子から人間のみんなを助けるように言われてあたしここに来たのよー!?」


 「何だ!?

 あの妖魔、エステハンさんの名前出したぞ!?

 しかもオレらを助けに来たって!?」

 「馬鹿野郎!

 そんなもん、妖魔のデマに決まってるだろう!?

 それでオレらが油断したところにガブってやられるんだ!

 騙されるんじゃねえ!!」

 「いいよ、騙されても・・・

 あの胸に埋もれることが、出来たなら・・・。」


なんか、一人、あたしをうっとりした目で見てくれてるね。

まだ魅了使ってないんだけどな。


あっ、

でもそっちの方が話早いよね?


 「ねーねー、麻衣ー?

 これ、みんな魅了しちゃった方が良くない?

 あたしこの人たちを説得できそうにないよ?」


 『ダメです!

 こないだのゴッドアリアさんの時はもう魅了されてた後だからセーフですけど、人の心を操るのはダメです!

 待ってください、何か他の手を・・・』


麻衣はリーリトっていう半分妖魔なんだけど、人の意識を奪うことに抵抗ありそうなのよね。

その気になれば、あの子だっていつでもその能力を手に入れられるのに。


あら?


 『え!?

 カラドックさん、そんな・・・

 やっちゃえって?

 でもそんな、え、構わない!?

 むしろ思いっきり!?』


カラドックさんて向こうにいたシブいおヒゲの人よね?

なんか話がわかるっぽい人みたい?


 『あ、ラ、ラミィさん、

 もしかして、今の聞こえました・・・?』


 「うん!

 バッチリ聞こえた!!

 この人たち、みんな魅了しちゃっていいのよね!?」


 『は、はい、それも中途半端でなく、完全にもう操っちゃって下さい、とのことで・・・

 あ、でも後でちゃんと魅了解いて下さいね!?」


 「オッケーオッケー!

 任せてね!!」


そこであたしは、足元のほうであたしを見上げてる人間の皆様方に話しかけたのだ。


 「ねーねー! みんなー!!」


よしよし、みんなあたしのことを注目してくれてるな?


それではいっせーのーせ!


 「全力『魅了』!!」


麻衣

「カラドックさん的にはそんなやり方、アリなんだ・・・?」


カラドック

「ふふふ、これこそ、我が父シリスの得意とした戦い方だよ・・・。」


シリス

「私の能力は魅了なんて低次元なものではないがな。」


ケイジ

「あ!!」


麻衣

「だからケイジさんは反応したらダメでしょうがっ!!」

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