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第四百六十五話 前途多難

ぶっくま×2、ありがとうございます!


<視点 ケイジ>


麻衣さんに呼び出された半人半蛇のラミアが七色の光に包まれる。

彼女がやって来た時と真逆の現象。


すぐにラミアはその姿から色を失い、やがて煌めく光の中に消えていった・・・。


麻衣さんの突然の異常な行動に、

オレらは声をかけるのがやっとだった。

ラミアとの会話の内容で、ようやく何が起きてるのかだけは理解できたと思う。


どうやら、かつて麻衣さんが世話になった人たちの暮らしている村にスタンピードが起きたということだろう。

ラミアは村の中までの様子はわからないから、

村の住人たちの安否は一切不明というところか。


・・・そりゃ心配になるだろうな。

能力以外は普通の女の子の麻衣さんにはさぞショックだろう。

思わずへたり込んでしまうのも無理はない。


ところが意外にも麻衣さんは、オレが思うより早く立ち直って来た。

ほんとに何度も驚かされる。

どこまで芯が強い女の子なのだろうか。


ただ、オレらが付いていけなかったのは正にそこのところだ。

麻衣さんはラミアと会話していたはずだ。

その後もラミアと交渉して、心配していた人たちの所に、助っ人としてラミアを送り返した。

本来、人と馴れ合わないはずの妖魔に人間の村を救助に向かわせるなんて、

冒険者の思考方法として有り得ない解決方法なんだが、

考えてみれば麻衣さんもハーフ妖魔。

オレもまだまだ差別感情に支配されてるということなんだろうか。

このままじゃまた、カラドックに殴られるな。


・・・いや、話が逸れたな。

その事じゃない。


途中・・・麻衣さんは明らかにラミアとじゃない、別の何かに向かって会話していた。

誰と?


しかもオレの印象では友好的な相手とも言えなさそうだったぞ?

一瞬、世界樹の女神とでも遠隔で会話していたのかも思ったが、

あんな嫌悪感むき出しにするような関係ではなかったはずだ。


まぁ、オレが一人で考え込んだって意味もない。

聞けるなら直接麻衣さんに聞いた方が早いよな。


 「麻衣さん、大丈夫か・・・?

 さっきのは・・・。」


オレはてっきり、

「あわわ、お見苦しいものを見せちゃってごめんなさい!」

とばかり恥ずかしそうに慌てる麻衣さんの姿を拝めると思っていた。


しかしそこに実際あったのは、辛そうな顔をした麻衣さんの神妙な表情だった。


ああ、そうか・・・。

いくら頼りになるラミアを送ったところで安心はできないと言う事か・・・。


 「すいません・・・

 みっともない姿をお見せしちゃって・・・。」


セリフの内容はオレの予想とそんなに大差ないが、

深刻さがまるで違う。


オレとしてはすぐに邪龍の元へ向かうつもりだったが、

この場はいったん足を止めるべきか。


 「皆さんにお願いが・・・。」


麻衣さんはオレとカラドックに視線を合わせた後、

みんなにも意志の確認をしたかったんだろう、全員の顔を見回した。


 「麻衣さんと関わりのある村がスタンピードに襲われてる・・・ということだね?」


話の進行はカラドックに任そう。

その方が話は早く進むはずだ。


 「はい、あそこのダンジョンは初心者向けと言われてるので、

 そこまで強力な魔物はいないとは思うんですけど、

 その分、手練れと言える人たちも少なくて・・・

 こないだのローゼンベルクのスタンピードみたいに大量の魔物に襲われたら、

 ラミィさん一人向かわせたところでどこまで・・・。」


それもそうだよな。

あのラミア、かなりレベルが高くなっていたみたいだが、

もともとラミアなんて戦闘が得意な魔物ってわけでもない筈だ。


 「・・・しかし現状、そこへあのラミアを救援に向かわせるのは奇策ではあったとは思うけど、考える限り最善の手だと思うよ。

 麻衣さんはやれるだけのことをやってると思う。」


その通りだ。

オレもその点には異論がない。

ていうか、よく思いついたよな。


 「ありがとうございます・・・。

 でも・・・でもそれだけじゃ足りないんです!

 あたしにはまだ出来ることがある!!

 けど・・・それには皆さんの協力が必要で・・・!!」


 「いいよ。」


 「け・・・けど、いくらなんでもこんな場所で・・・あれ?

 カ、カラドックさん、今なんて?」



 「いいよっていったのさ、

 なぁ、そうだよな、ケイジ?」


カラドックのやろう、ここでオレに振るかよ・・・。

それにしても、予想はしてたがあまりにも素早すぎる反応だったな、カラドック。

まあ、当然オレにも不満はない。


 「ああ、もちろんだとも!

 で・・・麻衣さん、オレらは何したらいい?」


 「え・・・ええええええ、そんなあっさり・・・。」



 「だから遠慮はいらないって言っただろう。

 なにか麻衣さんが困ったら、いつでも私達を頼るといい。

 麻衣さんにはそれだけのことを今までしてもらってるからね、

 まだまだ恩返しし足りないくらいなんだよ。

 ・・・だよな、ケイジ!!」


何でいちいちオレに振るかな、カラドック?

 「・・・ああ、だが、なんか含んでいそうな物言いは気になるんだが、カラドック。」


 「ははは、気のせいさ、

 みんなもそれでいいかい?」


 「フ、フン! カラドックがいいって言うならヨルはいいですよぉ!!」


ヨルはいつも期待を裏切らない反応だよな。


 「遠慮は不要、まだまだハイパーアクティブ大僧正のタバサちゃんは余裕。」


タバサ、さっきのオルタナティブなんとかはどうした?

オレも意味が分からないぞ。


 「気遣いも無用、麻衣の発想と能力は、常にこのダークエルフクィーン・アガサの脳髄の深奥を刺激。」


いつの間に女王になったアガサ。

そもそもダークエルフは王政じゃないだろが?


 「ていうか、実際に何すんの?

 あたしも構わないけど、あんまり時間ないのは一緒じゃないの?」


そう、それだよ、リィナ。

最近、リィナが頼りになりすぎる。

さすがは勇者だ。


 「あ、そ、そうですね!

 もう、皆さんがいい人すぎるんで嬉しくて!!

 あ、それでですね、

 あたし、この後、ラミィさんとコネクトしようと思いまして!!」


 「コネクト!?」



 「はい!

 いくらなんでもラミィさん一人にスタンピードを全部任せるわけにもいかないし・・・!

 あたしがラミィさんと繋がれば、助言とか指示とか役に立てると思うんですよ!

 でも・・・そうするとあたしはこの場から一切動けなくなってしまって・・・。

 ほんとだったら一刻も早く邪龍の所に行かないといけないのに、足止めどころかあたしが皆さんの足を引っ張ることに・・・。」


なるほど、そういうことか。

ていうか、麻衣さんそんなことまで出来るのかよ。


まぁでも何をやりたいかは理解した。


 「つまりその間、

 オレらで麻衣さんを守り切れればいいわけだな?」


この期に及んでも麻衣さんは申し訳なさそうだな。


 「す、すいません、あ、あたしの都合で皆さんを・・・。」


カラドックがやれやれとばかりに首を振る。


 「もうその話はなしだ。

 今からフォーメーションを揃えるよ!

 ケイジは守りやすい地形を選んで。

 リィナちゃんは探知役に集中。

 私はこの場と、麻衣さんからの情報で状況判断と指示を行う。

 タバサは麻衣さんに防御シールドを。

 アガサは敵が来たらすぐに倒そうとしないで、樹木魔法で足止めを!

 止めは光属性付与した弓矢でケイジが仕留める!!」


お!?

オレに活躍の場をくれるのか、カラドック。

いいだろう。

ならオレの職業を狙撃士にしてくれるか?

久々に針の穴をも通すと言われたオレの腕を見せてやるぞ。



 「あ、ありがとうございます!!

 もう、あのいけ好かない誰かさんの息子とは思えないサービスです!!

 そ、それじゃさっそくラミィさんと連絡とりますね!!」


いけ好かない誰かさんの息子って・・・

「あいつ」の話だよな・・・。

え、いくら何でもこのタイミングで「あいつ」が出て来るのって・・・



え・・・あ、まさか、

麻衣さんがさっき、誰かと会話していたのって・・・いや、まさか、そんな、だよな?



 「ラミィさん、聞こえますか・・・!?

 あたしです、あたし・・・!

 えへへ、そんなびっくりしないでもいいじゃないですか?

 それよりそっちはどうです?

 カタンダ村はどうなってます!?」


凄いな、ほんとに会話出来てるってのか?

これ念話ってやつか?

でも念話ってそんな長距離でも出来るものなのか?

そもそもカタンダ村ってどこにあるんだよ?


そこで突然麻衣さんが大声を上げる。


 「はあああああああああああああああああああああっ!?

 カタンダ村まで二時間はかかるぅぅぅぅうううううううっ!?

 そんな余裕ありませんよねぇえええええええええええええええ!?」


ホントに大丈夫なのか・・・。

 

あれ?

おかしいな、邪龍の所までノンストップで行くつもりが・・・。



こちらに付記しておきます。

12月2日アップ予定の下書きが消えてしまいました・・・。


復元も不可能のようで手も足も出ません。

なるべく早くアップするよう頑張りますので、ご容赦くださいませ・・・

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