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第四百五十九話 ぼっち妖魔は忘れてなんかいない(フラア新衣装画像有)

前回と同じくVRoidの新衣装です。

右下が正規のコスチューム。

袖とか野暮ったいので削っちゃいました。

うん、ない方がいい。

なんとなく異民族っぽいし(偏見)。

挿絵(By みてみん)

<視点 麻衣>


うーん、

いまいちシリアスになりきれない。


あたしの危機感知能力が、今現在それほどの脅威を感じないせいもある。

単に、敵の能力がまだ完全に見えないのと、

え・・・と、相変わらずマイペースというか、ヨルさんのノリのおかげで、あたしが余計な心配しているだけかもしれない。


確かにカラドックさんの言う通り、

こっちが思わず息を呑むようなシーンはあるも、

三人の傀儡ゾンビにケイジさん達が後れを取っているとまでは言えなさそうだ。


 「ええい! 『喰らえ! 大地の牙』!! ですよぉぉぉぉっ!!」


大きな盾を持ったゾンビが立ち上がるか否やというタイミングで、

ヨルさんが覚えたての武具スキルを発現!!


・・・けど


 「ああああれぇぇええ!? 避けやがったですよぉォぉ!?」


あのトリダントゥ・レプリカのスキルは範囲攻撃。

間違いなく、地中から噴きあがった牙は、さっきまで盾持ちゾンビがいた周辺を蹂躙した。

けれど、盾持ちゾンビはまるで攻撃が来るのが分かってたみたいに、

その直前のタイミングでバックステップしやがったのだ。


・・・まさかゾンビに予知能力があるとも思えないけど・・・。



 「ヨルさんのあの攻撃は、さっき別の虫型魔物に見せてしまったからね・・・。

 同じ攻撃は喰らわないということなんだろう。」


 「ええっ!?

 あ、それがさっき言ってた、あたしたちの持ち札が丸裸になるってことですかぁ!?」


 「そうだ、

 少なくとも、敵が隙を見せないうちに大技を繰り出したところで、全て邪龍に見切られる。

 せめて回避不能な態勢にしておいてから技を発動させるか、

 それこそ連携攻撃で圧倒させないと、向こうにこっちの手札を分析され続けるだけだ。」


な、なるほど、そういうことだったのか・・・。


 「ああああ、もうぅぅ!

 ケイジさんのせいで、ヨルは動揺しまくっているですよぉぉっ!

 どうしてくれるんですかぁぁぁっ!!」


 「・・・・・・。」


ヨルさん・・・。

間違いなくその戦闘力は、この場にあっても頼りになる存在なんだけど、

あまりにもパーティークラッシャーすぎる・・・。


そしてケイジさんからは、なんかこう、やるせなさそうっていうか、

物悲しい感情が流れ込んでくる。

さすがにあたしもこの件ではケイジさんが可哀そうと思ったほどだ。


せめてリィナさんが全面的にケイジさんを信頼してあげれば良かったのだけど。



 「ヨルさん!」


そこであたしの隣のカラドックさんから声が飛んだ。


 「はっ、はいぃぃ!?

 カラドックぅぅっ!?

 し、心配要らないですよぉぉっ!!

 ヨルは身も心もカラドックのものですよぉぉ!!」


 

 「・・・ケイジとは後で話を付ける!

 ヨルさんは目の前の敵に集中してくれればいい!!」


うっ、うわっ!?

そこまで言っちゃって大丈夫なんですか、カラドックさん!?


 「はっ、はいいいいい!!

 カッ、カラドックゥゥ!!

 ヨルはカラドックのために頑張るですよぉォ!!

 聞きましたかぁぁ、ケイジさん!!

 申し訳ないですけど、ヨルのことは諦めてくださいねぇぇぇぇっ!!」


・・・ヨルさんの方は・・・とりあえず・・・とりあえず、それでいいんだろうけど、

ケイジさんのメンタルが心配なんだけど・・・。


 「ケイジ!

 フォローが必要かい!?」


おっ、さすがのカラドックさん!!

ケイジさんにも気をまわしてあげるようだね。


今現在ケイジさんと聖騎士ゾンビは、互いに有効な間合いを探ろうと、

剣の打ち合いをせずに足位置を変えては相手の様子を窺っている段階だ。


 「・・・!

 いいや! 必要ない! 必要ないさ!!

 こ、この程度の相手なんざ・・・!!」


ケイジさんがいじらしい。

陰ながら応援しておこう。


 「ケイジの方は、聖騎士のスキルに気を付けろ!!

 まだ、どんなスキルを持っているか情報が少ない!!」


 「ああ!

 せめて・・・オレも聖騎士は無理として・・・

 対抗職である黒騎士にでもなれれば良かったんだけどな!!」


お、来ましたね!!

光の属性適性を持っている騎士は聖騎士に、

そして闇の属性適性を持っている騎士は黒騎士になれるんだったっけ。

そしてその場合、魔力の多寡は関係ないとも聞いている。


ただ、ケイジさんは魔法そのものが使えないから、

どの属性に適性があるかもわからない。


・・・けれど、もし闇属性に適性さえあれば・・・



 「・・・それは諦めろ、ケイジ!!」


えっ!?


 「カ、カラドック!?」


 「黒騎士は、私たちの元の世界に存在した!!

 ケイジがなろうとしたって、ケイジのキャラがぶれるだけで、

 二番煎じにしかなれない!!

 ケイジは今の路線で突き進むことだけ考えろ!!」


 「はぁぁぁぁぁぁっ!?

 なに言い出した、カラドックゥ!?」


うあああああああああああ、

速攻でフラグへし折られたああああああああああっ!?


て、っていうか、カラドックさんの世界に黒騎士っていたんだ?

でもそれって、こっちの世界のクラスのことでなく個人の話だよね?

それでもダメなの?

あっ、そうか、ケイジさんのキャラがぶれるのが問題って言ったっけ。


・・・それもどうなんだ・・・。


 「・・・リィナちゃんはどうだい!?

 その踊り子戦士に勝てそうか!?」


舞踏戦士とリィナさんも互角の戦いを繰り広げている。

敵は魔法的なスキルは使ってこないけど、トリッキーな攻撃が多彩だ。

もしかしたら初見殺しのようなスキルを持っていたらと思うと恐ろしい。


 「・・・あたしの方はなんとかね、

 弱点も見えてきたっ!!」


おおっ!?


さすが勇者っ!!

天叢雲剣の雷撃だけがリィナさんの専売特許でないということだ!!


でもそれっていったい・・・



 「邪龍にばれないように伝えることは!?」


 「ん~~・・・、そうだね!

 しょせんこいつらは元々ヒューマンでしかないって言ったら、カラドック分かる!?」


え、どういうことだろう?

確かに今はゾンビと言えど、元はただのヒューマン、

そしてリィナさんとケイジさんは獣人だ(正確にはケイジさんはハーフ)。

またヨルさんにしたってヒューマンではなく魔族である。


その差は何?

魔力は関係ないよね。

普通に考えれば身体能力だけど・・・


でもこの場にいる人たちは敵も味方も身体能力は抜群で・・・


 「・・・なるほど、そういうことか、

 ならヨルさんは牽制役になってもらって、ケイジとリィナちゃんで仕留めてもらおう!!」


 「えっ、

 カラドックさん、今のやり取りで分かっちゃったんですか!?」


 「ああ、なんとなくね、

 でもどうしようかな、アガサにはあまり魔力を使ってほしくないな、

 私の精霊術でも・・・そうだ、麻衣さん、そう言えば!!」


 「あ、は、はい、何でしょう?」


するとカラドックさんは穏やかな笑みを浮かべて、あたしの顔の横に近付いてきた!?

な、なに?

ま、まさか、この緊迫したタイミングであたしのほっぺに・・・?


と思ったら耳元で囁かれた・・・。

内緒話である。


なんだ、そ、そういうことか。

そ、そりゃ、そうだよね。


いけないいけない。

あたしこそ、何を考えているのだ。


カラドックさんは敵に聞かれないように、あたしに一つの質問をしたのだ。


そう、確かに以前話した覚えがある。

あたしの手札の一つを。


そしてそれはこの場で披露してしまって何も問題はない。


どうせこの後の邪龍本番戦には通用しまい。


なら、お見せしましょう!


 「行きます!!」


しばらく出番のなかったあの人・・・。



正確には人じゃないけども。


みんな忘れていたでしょ?

あの人だよ、あの人。


え? も、もちろんあたしも忘れてなんかいませんよ?


そう、そしてあの人なら、今カラドックさんがあたしに聞いた戦術を問題なく使える筈。

だから久しぶりのでばーんっ!!


 「召喚っ!!」


あたしは目の前の空間を掻き分けるように両腕を広げる。

いつものルーティーンというやつだ。

そしてあたしの足元におなじみ! 七色の光が灯るっ!!


ケイジさん達もあたしが召喚術を起動したのに気づいたかな?


邪龍に操られたゾンビたちは、あたしの初見の術を目玉のない目で見て後ろに下がる。

無駄無駄無駄でございますよ、と。


 「妖魔・・・召喚!

 ラミィさんっ!!」


きたきたきましたよーーーーーーっ!!


回転する七色の光の中にそのシルエットが浮かぶ!!

上半身は人間、そして蛇の下半身を持つ女性妖魔!


あたしとは別種族の蛇系妖魔、ラミアのラミィさんだ!!


そしてその影にはやがて色が付き始め、

次第にはっきりとした形が現れる!!


野性味たっぷりの青黒く長い髪を振り乱し、

光沢のある浅黒い肌・・・

大きなラピスラズリのネックレスを胸元に揺らし・・・

その胸はとんでもなく巨大っ!!



 「あらぁ~、久しぶりね~、麻衣~、

 ひょっとして忘れ去られていたかと思っちゃったわ~?」


い、いえ、忘れてなんかいませんよ?

ちょ、ちょっとラミィさんが出張るような舞台がなかっただけですとも。


 「お、お久しぶりです、ラミィさん、

 そ、それで、また力を貸してほしいな、なんて・・・。」


けれど・・・あたしはその瞬間まで気づかなかった。


周りの状態が微妙な空気になっていることに。


・・・いや、微妙どころじゃないな。

今その場の空気を絶対零度に凍結させてしまったのは、

ケイジさんでもリィナさんでもなく、

毎度おなじみのヨルさんですらなかった。


それは何を隠そう、

よりにもよって、あたしがやってしまったのだ。

 

黒騎士については、前の作品のどこかで出そうと思っていたので(全くの未定)、

万一のためにキャラ被りを防ごうというだけの話です。

緒沢タケル編にはあれ以上、円卓の騎士キャラは出場しませんので天使シリス編のどこかですね。


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