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第四百五十三話 ぼっち妖魔は気づいてしまう

気づかない振りして物語を終わらせても良かったのだけど。


そしてぶっくま、ありがとうございます!!

<視点 麻衣>


ぎゃああああああああああっ!!


なんだ、あれ!?

なんなんだあああああああああっ!?


いったいあたしに何が起きたっていうのっ!?


み、みなさん、状況分かります!?


さっきのあたしが向こう見ずにも邪龍の触手人間に話しかけてしまった件ですよ!!



カラドックさんには、

あたしの意識はなかったような話をしてしまったけど、

実は意識自体はあった!


あたしが自分で何言ってるのかもわかってた。


ただ・・・何ていうか、

それこそ自分の意志ではないかのように、勝手に口が開いていたのだ。



あれは・・・例えるならどういう状態が一番近いんだろう?

吸血鬼エドガーに操られていたゴッドアリアさん状態?


・・・いや、違う。

誰かの魅了なり催眠下にあったわけじゃない。


じゃあ、あれ!?

背筋が寒くなる記憶・・・。

まさか・・・二年前の、悪霊リジー・ボーデンに感染していた時はどうだった?


もう、あたしはあんなものから完全に回復している筈なのに。


ううん、やっぱりあれとも違う気がする。

当時も回復したあたしが、感染中の自分の状態を思い起こすに、

記憶はちゃんとあったし、自分の意志でやってしまったという自覚もある。

あれは、単にその自分の「心」が歪められていた、という認識で結論付けた。


今回は違う。


・・・なんていうか・・・

自分の心の声に従った・・・みたいな


それで・・・それでいいの、さっきのは!?



そう、そうだよ、だって、

あたしのさっきの無意識の言葉は・・・「何も間違ってない」。


たぶんだけど。

証拠は何にもないけど。


あたしたち転移者をこの世界に送ったのが、


「深淵」なる存在。



世界樹洞で、或いはその後の話し合いで、

あたし達の転移に深くかかわっているのが、「アスラ王」って人なのか、

それとも別世界でシリスという名前を名乗ったらしい「少年」なのか、

まぁ、どちらかが関わっているのは間違いないだろうという話はカラドックさんもケイジさんも了解している。


けれどカラドックさん達は、「アスラ王」って「人間」の話しか知らない。

だから、結びつかない。

結び付けられるわけがない。


あの人の「本当の正体」を。



まぁ、あたしも見た事ないけどね。


ただあたしは知っている。

それはもう魂というか遺伝子レベルで。


だからこそさっきの発言なのだ。




なので・・・

だから・・・

そこは

問題じゃない。


そこまではあたしは納得できる話。


じゃあ問題って何?


それは?



なんで

あの場で、


その事を邪龍に伝える必要あったの?

って話。


そして、その必要性を感じていたのは・・・誰!?


あたし?


いやいやいやいや。


あたしはただの女子校生。

世間や社会になんの影響も与えない、ぼっち気質の女の子ですよ?

それが異世界の、それも、その世界を破壊しつくすような存在に何を言えと?


まぁ、それ言っちゃうと、なんであたしがこの場にいるんだよ、という話になっちゃうけども。


もうそれはどうしようもない。

幸か不幸か、あたしは対邪龍戦において、リーサルウェポンの発動スイッチを手に入れてしまった。

これを押せるのはあたししかいない。


え?

それって、戦術核ミサイルの起動ボタンをおサルさんに掃除させるのと一緒だって!?


ちょいとお待ちなさいな、

さすがにそれはどうよ!?

こちとら、ちゃんと事態の危険性は認識してるのだ。

おさるさんと一緒にしないで欲しい。


話が逸れた。


そう、ここまで来た結論なのだけど、

そうなると、やっぱり「あの人」が何か干渉している気がする。


つまりはカラドックさんに言い訳っぽく語った一言は実は真実なのだ。

あたしは「巫女」。


「あの人」は

なにか企んでいる。


巫女であるあたしはそれに利用された。




ここまで来て。

物語も大詰めの筈なのに。

これまでケイジさんとか、世界樹の女神さまとか、メリーさんの抱えていた問題を、

これでもかこれでもかと明るみにさせておいて、

もう伏線も全部回収して、

世界の謎なんか、最初からばらさないつもりのもの以外は全部公表したんじゃないの?

まだ何か企んでいるのか、あの人は。


あとはもう、邪龍を倒すとか封印するだけでいいと思っていたのに。




・・・ああ、でも、

そういえばそうかぁ。


落ち着いて考えてみれば当たり前だよねぇ・・・。


仮にも「人間を創りあげた創造主様」が、

そんなローカルな個人事情だけを解決する為に、あたしたちをこんな世界間の移動なんてさせるわけもないか。



さらに言うと、それに天空の神々の使者である「少年」が関わっているならば、

「少年」にも同意できる、又は納得できる理由が必要だよね。

まぁ、どっちが言い出しっぺなのかも知らないけども。


そう考えると、前回ケイジさんが言っていた、「誰かを幸せにするために」とか、

やっぱり完全に見当違いの話になっちゃうよね。



・・・ん?




いま、あたし何か重要なこと気付きかけた?

なんか引っ掛かったぞ?


「少年」のことか?

・・・いや、違う。

「誰かを幸せにする」ことでもなさそうだな・・・。


その前・・・あ



気づいた。


気づいちゃった。



・・・もしかして・・・

そういうことか?




これも今までの話通り、今の段階では証拠も根拠も何にもない。


でも・・・


「あたしたちの世界で」

「あたし達人間を創りあげたの」が「あの人」なら。


じゃあ・・・





いや、やめよう。

もうこの先は邪龍がいくらでも自分の分体を配置できる危険地帯。

あたしの感知能力や、ケイジさん達の視覚や嗅覚も役に立たなくなっている。

余計なことを考えている余裕なんかどこにもないのだ。

あたしは生きて最終地点にまで辿り着かなくてはならない。


そして無事に生き延びたならば、

そんなものより、ミッションをすべてこなした後に貰えるらしい、ご褒美を考えることの方があたしにとっては何より重要だ。


多分金銭とかじゃないと思う。

うりぃちゃんは、

元の世界に戻っても役立つものか、全く役に立たないものか選べるようなことを言ってたけど。


一体何がもらえるんだろう。

片っ方は何となく想像つくんだよねぇ・・・。

役立つ方の話はね。


けど元の世界に戻っても役立たないものって何なんだ?


そんなものがご褒美になるとでもいうのか。

まさか以前に言ったかもしれない、お刺身を食べさせてくれるとか、そんな物じゃないよね?

そんなもん帰ってからいくらでも食える。

もし、食い物が出てきたら反乱おこすぞ、創造主様。


あたしが以前会ったことがあるあの「お兄さん」は、

ちょっととぼけた感じのある人だったけど、

さすがにそこまで抜けてらっしゃる方ではないと思う。


切にそう願う。




まぁ、それが分かるのはもう少し先。


このまま、あたしは勿論、他の誰も犠牲を出さず、なんとか邪龍の所まで。

 

今まで過去の物語でも、

私の脳内でも、

「深淵」という表現は使ったことはありません。

・・・ないよね?

あったらごめんなさい。


下書きを進めてる最中に、

「深淵」・・・あ、

「深淵」て言えば・・・深淵だよなぁ、と思ってしまったので物語にネタとして投入しようと思いました。

あ、今回麻衣ちゃんが気付いたという話は、

「深淵」のことでは有りません。




麻衣ちゃんが気付いたのは、

「この世界」についての話です。


どちらもこの先に邪龍戦においてちゃんとバラします。

果たしてそれらが、

本当に真実なのかどうかは分かりませんが。

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