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第四百五十話 コンタクト

おおおおおおお!!

評価が一気に増えたああああああああああっ!

うれしいです、ありがとうございます!

<視点 ケイジ>


オレたちが邪龍洞窟への内部に足を踏み入れて、丁度一時間ほど経った頃だろうか。

最初の戦闘でいくつか驚くべきことがあったが、

ネタは割れたと見ていいだろう。

あれからも何度か邪龍の眷属に襲われたが、全て危なげなく撃破している。


麻衣さんは虫オーガって呼んでたな。

なるほどとは思う。

体格はまさしくオーガクラスだったが、鎧や防具の代わりに外骨格が発達しており、

額には触角らしきものも生えていた。


その後に襲ってきた奴らも虫の特徴を備えた四足獣。

虫狼に虫猪でいいのか?


それからクマみたいなのもいたので、虫熊と呼ぶべきか、

それとも最初の虫オーガとどこが違うのか、アガサとタバサで軽い討論があった。


まぁその辺りはどうでもいい。

気にすべきはタバサの負担が大きいことだ。

もちろん、MPポーションは余裕をもって用意している。

カラドックは再生阻害にはいくつか有利な属性魔法を使えばいいようなことを言っていたが、

やはり止めを刺すには光属性しかないのも事実である。

え?

炎なら燃やし尽くせるって?

そうなんだけど、酸素不足に陥るのが怖いんだよ。


現在、タバサに使ってもらってるのは、

常時展開している防御力上昇のプロテクションシールド、

タバサを中心に発動させてる破邪呪文フォースフィールド、

それと、戦闘中に起動するエンチャントホーリー、武具に光属性を付与する呪文だな。


以上の三つだ。

これにプラスして、戦闘終了時に止めとしてホーリーシャインで、敵をグズグズの「おから」に変えている。


この世界にも「おから」ってあったんだな・・・。


初っ端からホーリーシャインで一掃しても良さそうなんだが、

奴らも光呪文だけには敏感なようで、

術の発動を察知して防御行動を取ろうとする。

岩陰に隠れたり、仲間の陰に隠れたりとかな。

それ以外ではほとんど脳筋行動を取って来るので戦いやすいと言えば戦いやすい。

結局はオレら前衛班が、敵の行動を全て封じて動けない状態にしてから、タバサのホーリーシャインの出番という訳だ。



もちろんオレたちの誰かが大怪我をしたらタバサに頼ることになる。

もともとホーリーシャインはそれほど魔力を要する呪文ではないので、連発しても負担はそれ程でもないらしいが、この先の戦闘状況が読めないうちは乱発しない方がいいだろう。


光系呪文ということであれば、あらゆる魔術を使えるアガサも発動できる。

通常戦闘でもアガサは単発魔法であるホーリーレイをガンガン使ってるしな。

ただ、敵を全滅させるような光系の大規模呪文になると、それこそ僧侶呪文であるホーリーシャインなどとは比べ物にならないほど魔力コストを要求されるそうだ。


もちろん今のアガサなら、それでも連続で何発も撃てるそうだが、

あまりにも効率が悪く、この先の連続戦闘には不向きである。


理論上は光属性を付与されたオレらの武具でも、同様に消滅できるとは思うんだが、

小型の敵ならともかく、中型・大型の敵となると、

どれだけ敵を細断すればいいのか、時間と体力を無駄にしかねない。


長々と書いたが、今現在、そんな感じで洞窟を順調に進んでいる。


麻衣さんがタバサの光属性付与呪文の名前を聞いて、

「えんちゃんとホーリーって、遠藤さんと遊んでるみたいで可愛い名前ですね」ってオレに振って来た。

・・・オレにどう反応しろと!?



そんなこんなで進んでいると、

ある一定のエリアを境に、周りの様相に変化が生じていた。


・・・黒い。

洞窟の天井や左右の壁が異様にどす黒い・・・。

なんていうか・・・真っ黒ではなく、それこそ血の色を混ぜ合わせたような・・・

匂いも腐臭を帯びたような空気となっている。


足を踏み入れた瞬間、背筋が逆立つような感覚だ。


オレは反射的に麻衣さんの方を見る。


・・・オレと同じ感覚を味わっているのか、

青ざめているような顔色だ。

そしてもちろん、麻衣さんはオレの反応に気付いたんだろう。

こちらに視線を向けてきた。


 「・・・特別に危機感が増したとか、そういうのはないですよ?

 単に邪龍の影響力が強まっている感じです。

 問題はこれから現れる敵は一段、強力になるのが予測できるかなってところで・・・。」


 「なるほど、それは仕方ない話だな。

 だがまぁ、今のレベルならまだ余裕あるな。

 オレたちも手札を全て切ったわけではないし・・・。」


オレが言葉を続けようとした時だ。

突然、麻衣さんの形相が変化した。

別に説明も解説も要らない。

麻衣さんの視線を追う。

オレだけじゃない。

ここにいるすべての仲間がその意味を理解したろう。


・・・麻衣さんの視線の先。


オレたちからは少し距離のある拓けた岩場。


そこには何もなかった筈。

さっきまで何の気配もなかった。


・・・なのに・・・何かが


生き物・・・なのか・・・

今まで現れた敵とは異質の・・・

一本、二本・・・いや無数の触手のような細いものがブンブン不規則に暴れながら物質化している・・・!


こっちに向かってくる気配はない。

ただ、向こうもオレたちに照準を合わせているかのように、

こちらに触手の動きを向けているようだ。


そして・・・

そいつは完全に姿を現した!


二足直立の・・・

人間のような・・・いや、もちろん人間であるはずがない!!

けれど・・・まるで人間がそうするようにボロボロの衣服を纏っているぞ!?

靴は・・・底がなくなっているじゃないか。

まるで、死んでしばらく経った死体から、奪って来た服や靴をそのまま代用しているような・・・


いや、そんなこと今更どうでもいいな・・・。

体つきは人間のそれ・・・

けれど両腕と頭部からは無数の触手がこちらに向かって蠢いている・・・。

よく見るとボロボロの靴のつま先からもだ。

ヒュンヒュンと、まるで鞭でも振り回すかのような音が継続的に聞こえてくる。


正直、顔面も直視したくない。

小さな子供が泥で人の顔を再現しようとしたというなら可愛い話なのだが、

こいつは人間になど何の興味もないのだろう、

ただ、人間の顔ってそうなんじゃね? とでもいわんばかりに適当に目鼻をくっつけているだけのような印象だ。


オレは剣の柄を握りしめる。

問答無用。

理屈ではなく生理的嫌悪でこいつを消滅させたい。

オレだけじゃない筈だ。

ここにいる全員が、こんな不気味な存在を「在ってはならない」と確信してるに違いない。


何でもいい。


攻撃するきっかけ。

この化け物の攻撃のアクションでもいい。

カラドックの号令でも、誰かの悲鳴でもオレは攻撃に移ったろう。


そこまで分かってるなら先手必勝でいいだろうって?

理屈ではオレもそう思っているんだ。

けど、何故か足が動かない。

怯えてるわけでも、竦んでるわけでもない。


この状況、敵の様相・・・それらの中の何かが、

オレが攻撃をしようとするのを押しとどめているのだ。


 「きょ、興味・・・会話?」


麻衣さん!?


オレは麻衣さんの顔を一瞬見た。

あれは・・・麻衣さんもこの化け物から何かを感知しようとしたくないのだろう。

完全に悍ましいものを視るような表情だった。

それでも最低限、彼女が把握できた内容が「この化け物がオレたちに興味を持っている」、

それと・・・「会話」?


こいつが・・・会話?


会話だと!?



 『ふむ・・・我の寝所に客とは久しぶりだな・・・』


そう思っていたら向こうから喋ってきやがった!!


直立しながら・・・胴体も首も微動だにせず、

ただ両腕、両脚から生えている触手と頭部から伸びてるそれだけが不規則に蠢いたまま・・・。



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