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第四百四十七話 ぼっち妖魔はほくそ笑む

ぶっくま、ありがとうございます!

<視点 麻衣>


ラプラスさんと別れた。


いよいよ最後の冒険。

ここまで本当にいろいろあった。


大勢の人と会い、たくさんの経験をして・・・


うん・・・うふふふふ、いろいろあったよね。


思い出を作って・・・



でもここで、ちょっとした間違いや油断で命を失う羽目になったら全てを失う。

タバサさんが回復のスペシャリストだとしたところで、

即死でもするような事態になったらどうにもならないのだ。


そしてそれは他の人でも同様である。

単にこのパーティーの中で、あたしが一番有り得ないほど防御力がないというだけ。


もう敵が最終レベルなのだから、

どれだけ防御力を上げようともあまり関係ないのかもしれないけど。


そう思うと、やはりローゼンベルクダンジョンでの闇の衣は惜しかった・・・。

あれを装備できれば、

当たらなければどうということもない、というやつだ。

これ、なんかのフラグになりません?

ああ、なりませんか、そうですか。


ではそろそろ現実に直面しましょう。

夏休みも明日で終わりなのに、宿題が山のように残っているあの感覚。

気を引き締めねばならないのだ。


え?

そんな物と比べるな?

そうはいっても結構真剣なんですよ。



先ずは見て欲しい。


・・・真っ暗闇なダンジョン。

アガサさんがライトを詠唱。

ダンジョン内の構造がはっきりと形になり、不揃いな岩の影がその奥に伸びる。


やっぱり今まで見てきたダンジョンとは違う。

誰がどうやって何のために作られたのか、何も分からないけど、

あたしがこれまで足を踏み入れたダンジョンは、

はっきりと「人」が入ることを前提として作られていた。


むしろここは自然の洞窟と言うべきだろう。

比べるのだとしたら、元の世界であたしがパパやマーゴさん達と向かった富士の樹海の中の洞窟。


・・・またかとあの記憶が蘇る。

コウモリの大群?

今なら全て叩き潰せる。

ふくちゃんとスネちゃんで。


天然の洞窟だということは、もしかしたら普通の歩行では先に進められない個所もあるのかもしれない。


そうだとしたら虚術の出番だ。

たとえ谷底があったとしても無重力にしちゃえば飛び越えていける。


まぁしばらくは歩いていk



 「麻衣ちゃん、どうした!?」


リィナさんがあたしの異変を察知する。

こういうのも一つの連携と言えるだろう。

あたしやリィナさん、ケイジさんは、それぞれ感知において特異な能力の分野が違う。

その時々に応じて、その能力が生きればいいのだ。


ああ、今はこっちの話だったね。


 「・・・生き物がいました。

 とは言っても虫・・・ですね。

 サソリのような、甲殻系の・・・

 光に警戒してるのか、岩の後ろに隠れちゃいましたけど・・・。」



 「その程度か、

 まぁ、光に警戒して寄ってこないというのは助かるな。

 たとえ攻撃力がないとしても一々近寄られたら、注意力を削がれてしまう。」


ケイジさんは一安心かな?

でもね、

 「はい、ただ・・・。」


 「む? 何かあるのかい、麻衣さん?」

次に反応したのはカラドックさん。


 「普通の虫じゃないと思います。

 ・・・みんな同じ種の筈なのにカラダの一部が肥大化してたり、さっきみたいな泥や腐肉がくっついてたりしてるような・・・

 邪龍の影響が出てるのかと・・・。」


こっちを襲ってこないだけマシなんだろうけどね。


 「それは気持ち悪いな。

 なるべく早く抜けよう。」

 「ちなみに麻衣さん、

 麻衣さんの感知スキルでは、この先はどんな状態に見えるんだ?」


ケイジさんが体毛を逆立てて先に歩こうとするも、

カラドックさんがあたしに更なる情報を要求する。

まあ、これはみんな気になるよね。

特に命の危険があるこんな状況なら。


 「皆さんの懸念はわかります。

 でもそれほど当てにしないでください。

 ぶっちゃけると、他の人より少し先の景色が見えるってだけなんです。

 今皆さんが見えてる景色の、その先10メートル、20メートル、30メートル先の景色を皆さんよりいち早く見てるに過ぎません。」


それも歩くのに余裕がある時だけね。

頭上に注意したり、カラダを屈めないと歩けないようなときは、遠隔透視なんてしてる場合じゃないのだから。


 「危険察知スキルはどうなんだ?

 あれは勝手に反応するのか?」


おや、ケイジさんも気になりますか?


 「そういう認識で結構です。

 アクティブにこの物体は危険かどうか、あの方角に危険はないか調べるのは可能ですけど、一々それやると足を止めざるを得ないし効率が悪すぎます。

 それと散々言ってますけど過度に期待しないでください。

 敵がいて、こちらに悪意を向けて来る場合は察知が簡単なんですけど、

 罠とか、自然の危険物だった場合は直前まで分からないことの方が多いです。」


 「それでも一般人よりいち早く見抜けるってことなんだよな?」


確か罠や天然の危険物については、シーフ、

そしてさらにレンジャー、エクスプローラー系の職業の人の方には看破できるスキルがあるそうだけど。


 「・・・そうですね、説明が難しいんですけど・・・。

 たとえばいま、あたし達の右前方に大きな岩がありますよね。

 仮に何らかの理由であの岩の上をあたしたちが登らなければならない場合、

 あの岩の下が落とし穴になっていて肉眼で見えない部分が空洞になってれば、

 あたしの透視で見抜けます。

 でもそれが、本当にたまたま偶然、岩に見えたのが乾燥した土の塊で、

 人間の体重が乗るだけで崩れるような土塊だった場合、

 あたしが遠隔透視したって分からないわけで、

 あたし達がそのルートを取ると確定した段階で、初めて危険判定が生じてあたしが気付ける状態になるんです。」


 「ルートを取ると確定した段階?」


あああ、その説明も難しい・・・!


 「え、と、今のたとえで言うと、右前方の岩で、人間の体重で崩れる可能性があるのはその内の一個だけとします。

 みんながそれ以外の岩の上を歩く分には、あたしの危険察知反応は生じません。

 けどみんなのうちの誰か一人が、その岩の上を歩くのが確定した段階であたしにピキィンってくるんですよ。

 もうほんとに過去のパターンで言うと、当該人物が足を上げてその岩に足を降ろそうとする直前くらいのタイミングで。」


いつだったか、スライム踏んづけた時は間に合わなかったけどね。


 「な、なるほど、それは分かり易いね。

 でも本当にギリギリだね。」


 「ええ、それなんで、本当に頼り切られても困る能力なんですよね。」


ちなみにこのスキルは「未来視」ではない。

あっちはまた別で、「その瞬間」が突然ビジョンとして現れる。

もっとも殆どは、夢として視るレベル。


あたしが視たい物が視れるわけではない。



 「まぁ、でも・・・少なくとも罠はなさそうだな、

 これまでの状況を考えて・・・。」

 「ああ、おかしな表現かもしれないが、敵は何も考えずに、

 正々堂々襲ってくるってことなのかな。

 だとしたら楽なんだけどね。」


状況分析はケイジさんとカラドックさんとでお願いします。


確かに今のところ、襲ってくる邪龍の配下に知性は感じられない。

余計な交渉事に気を遣う必要ないのは確かに楽だ。

ならあたしは感知に集中し、ゆっくりと歩かせてもらう。

もちろんみんなもそれぞれ警戒モードになってるから、

あたしの歩みがカタツムリさんモードになっていたとしても責められる心配はない。



そのうちに地形に変化が生じてきたようだ。


下り坂。

坂道。

それも漏斗状というのか、先に進む程急こう配。


勿論そんな急傾斜になると、奥底にライトの光は届かない。

まるで巨大生物の胃の中に招待してあげましょう、とでも言わんばかりに。


・・・まぁ、遠隔透視には光なんて必要ないんですけどね。



 「というわけなんですけど、この先どうします?」


 「麻衣さん、この先はどうなってる?」


 「この急こう配が十メートル以上続いてる感じで、

 その先は開けた広場になってます。

 そこから先にまた幅広い道が・・・それ以上はまだ視てません。」


 「急こう配の坂道だと麻衣さんの無重力はちょっと使いづらいか。」

 「出来ないこともないですけど、移動の途中で襲われると、あたしたちが重力の変化に対応できなかった時のことが怖いですね。」


 「ふむ、ではアガサのスキルはどうだ?」


む、アガサさんのスキル?

アースウォールかな?

それともエアライド?


 「ふ、ここは私の独壇場、バインバインド!」



あっ、その術ってぶっとい蔓を展開する魔法!

ああ、それを坂道の下に垂らすのか。

あたし達はそれをつたって降りると!!


 「麻衣さんはオレが背中に担ごう。

 問題ないよな?」


はい、全くありません!!


ふふ・・・ふふふふふふ!

次回はケイジさんのモフモフを堪能させていただきましょう!!


 

特異な能力

得意な能力・・・

うーん、どっちでも意味は通じるか・・・。



それより・・・

この先ほとんど考えてない・・・。


うりぃ

「おまえ、ほんま、ええ加減にせぇよ?」


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