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第四百四十話 実はオレ、最低でした?

ぶっくま、ありがとうございます!

<視点 ケイジ>


そう、そうだよ。

オレって奴は最低な男だよな?


じゃあ、それでいいんじゃないか?


そう、それだ!!



オレは何を悩んでいたんだ?

オレのステータス欄には今も不名誉な称号が燦然と光り輝いているんだぞ?

それに転生者? 獣人?


今更何を格好つける必要がある?


よし、決めた!!

とはいえ、リィナの同意を得なければならない。

いくらオレが最低とは言え、それでも最後のラインを踏みにじってはならない。


 「ケイジ?」


オレの決断を敏感に感じ取ったようだな。

リィナがオレから顔を離す。


 「・・・リィナ。」


 「ああ、う、うん・・・。」


 「悪いがお前を奴隷から解放するのは当分なしだ。」


 「え? ええ!?」


いきなりオレが何言い出したか、リィナは理解できないだろう。

今までは、いつか都合のいいタイミングで、リィナを奴隷身分から解放すると約束していた。

いつものノリでオレがリィナとの約束破ったら、とても酷い暴力を振るわれるところだが、今の一連の流れでリィナは混乱真っ最中だ。


そしてオレはその隙に畳みかけねばならない!!


 「名実ともに、リィナはオレのもの。

 どこにも行かせない。

 誰のものにもさせない。

 リィナ、お前自身の自由もオレのものだ!」


 「え、いや、ちょっと、どういうこと」


基本的にさっき言ったこととそんなに変わらない。

けれど違うのは、前提条件。


リィナは言った。

オレとリィナは対等だと。

どっちも相手を選ぶ権利もあるし拒絶する権利だってある。


それを全部ぶん投げる!!


 「オレは悪党だ。

 最低の男だ。

 だからリィナの自由を奪う。

 お前はオレの元から決して離れられないようにする。」


 「な、なんでいきなりそんな話に」


 「そしてもし!」


 「いや、ちょっと話が」


 「この世界のどこかにリナが転生していても・・・!」


 「!!」


 「どんな手段を使ってもリナもオレの奴隷にする!!」





 「・・・はぁっ!?」


ここでリィナにぶちギレられたら全てが終わる・・・。

まだ彼女の頭の中は混乱しまくってる最中だろう。

オレの言葉の意味が理解できるだろうか?

なら更に行くぞ!


 「リナもリィナも等しくオレのものにする!

 二人を差別なんかしない!

 同時に愛してみせる!!

 リィナも自分自身が相手だ!!

 最初は勝手が分からないかもしれないが、うまく仲良くできるだろ!?

 これなら誰も傷つかない!!」



 「・・・お前・・・アホ?」


 「アホでもいい! バカでもいい!

 大好きな女を二股かけようなんて最低野郎で十分だ!!

 凶悪なツラした転生者の狼獣人が二人の奴隷を引き連れまわすだけ!

 ・・・まぁ、リナにはオレが恵介だってことをばらすのはタイミングを見極める必要があるけどな。

 どうだ、リィナ!!

 これでもお前は不安なのか!?」




リィナの視線があちこち飛ぶ。

オレを見据えたり、明後日の方向向いたり、足元に視線を落としたり、

空を見上げたり、一生懸命考えているんだろうけども・・・


やがてリィナは再び俺に視線を合わせて・・・


 「ぶっ!」


噴き出しやがった!!

ちょ、つば飛ぶ!


そんでいきなりけたたましく笑いだしたぞ!?


 「ゲヒャッハハハハハハッ、な、なんだよ、それ!?

 そんな反則技有りなのかよ!?」


 「有り・・・ていうか、転生者のチート特権でハーレム展開はよくある話らしいぞ、

 まさかオレがそれをやる羽目になるとは考えもしなかったけどな!」


確か麻衣さんからそんな話を聞いた気がする。


・・・おい、リィナ、いつまで笑ってやがるんだ?


 「ブヒャヒャヒャ・・・・あああ笑った・・・クソ、まだ腹がいてぇ・・・

 なんだよ、あたしが今まで悩んでたのバカみてーじゃんかっ・・・」


また目が潤んでいるのか・・・リィナ。

いや、これは今、笑って・・・違う、そうじゃないな・・・。


オレはリィナが落ち着くのを待ってから・・・


視線はリィナから外すこともない。

オレの二本の腕は彼女の二の腕を掴んだまま。


周りの事なんかどうでもいい。


オレの目は彼女に、

耳は彼女の心臓の鼓動と息遣いしか聞こえない。

狼の嗅覚は甘酸っぱい女性特有の匂いをそのフェロモンごと嗅ぎ分ける。

オレの体毛がリィナのカラダとこすれ合い、皮膚はリィナに触れてる部分の温かさ、柔らかさ、

そしてそれらをもっと欲しいと願う。


その欲求に逆らう意味もない。

ただただ愛おしく、その感情に身を任す。


次の瞬間、オレの首元にリィナの頭がコロンと落ちた。

彼女の白く長い耳がオレの頬を撫でる。


 「・・・ケイジ。」

 「うん。」


 「もっと。」

 「ああ・・・。」


 「ギュッと・・・して。」

 「まかせろ。」





 「ふぉぉぉおおおおおおおおおおおっ!!

 ケイジさんっ! そこで押し倒すですよぉぉぉぉっ!!」

 「ちょっ、ヨルさん、そんな乗りだしたらバレるでしょぅがぁ!!」

 「ヨルの隠蔽術は完璧ですよぉっ!!

 それに麻衣ちゃんだってサイレンスかけてるじゃないですかぁ!

 うーん、できればサイレンス解除してお二人の甘く切ない会話も聞きたかったですよぉ!!」


 「ダメです!!

 (サイレンス解除したらケイジさんが転生者だってバレちゃうし!!)

 そもそも覗きなんて趣味悪いですっって!!」

 「そう言って麻衣ちゃんは遠隔透視で覗くんですよぉ!!

 自分ばっかりズルいですよぉ!!」


 「え、い、いや、そ、それは、ホラ、

 遠隔透視ってテレビで視るようなもんなんで、臨場感というか迫力が、

 ・・・って違いますって!

 あたしはヨルさんを引き離しにここに来てるんです!!」


 「そう言いながら、麻衣ちゃんもあっちの方、ガン見してるですよぉ!!

 正直に見たいって白状するですぅぅぅ!!」



 「ううううう、

 ・・・それにしても、リィナさん、あれで良かったのかぁ・・・。

 てっきりケイジさんをお尻に敷いちゃうパターンかと思ったんだけど、

 あれだと、ケイジさんの後をついていく形になっちゃうな・・・。」


 「男女の仲は複雑ですよぉ、

 目に視える形が適正とは限らないですぅっ!

 麻衣ちゃんも真剣な恋をすればわかるですよぉぉぉっ!」


 「別にヨルさんだって、一方的にカラドックさんにお熱上げてるだけで、

 真っ当な恋愛したことないくせに・・・。」


 「ふっふっふ、違いますですよぉ、

 恋とはどこまで自分の身や心を相手に委ねられるか、その覚悟が問われているですよぉ、

 自分自身の殻に閉じこもっているうちは、永遠に真実の愛には辿り着けませんですよぉ!」



 「そ、そんなヨルさん、にっ・・・ぐ、

 そのセリフ、あたしが童貞クンのエドガーに言ったセリフなのに・・・」


 「ふふん?

 ヨルはカラドックに何度もイカされちゃったですからねぇ?

 あのカラダが溶けちゃうんじゃないかって絶頂感は、実際に味わってみないと絶対に理解できないものですぅ・・・!」



 「ううう、おかしい、

 経験で言えばあたしだって・・・いや、でも確かにあたしはまだ・・・

 ダメだ、反論できない・・・。

 あたしがヨルさんに敗北感を味わうなんて・・・。」


 

あれ? どっかで聞いたようなタイトル?

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