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第四百三十七話 式典とパレード

ぶっくま、ありがとうございます!


どうしよう、

下書きのぐーぐるどきゅの話なのだけど、

前回投下した話と、次に話の間に、


数年後のハギル君のエピソードを書いてしまったのだけど。

(視点は、とある転生者)


・・・今じゃなくてエピローグの方に回そうか・・・。

<視点 ケイジ>


それからのことを書こうと思う。


オレたちは一度、公都の宮殿ホワイトパレスに戻った。


あのまま、一直線に邪龍の元へ向かうべきだったのかもしれないが、

一応結構な騒ぎを起こしているので、女王に報告の必要もあったし、何よりも・・・。



 「やはり邪龍討伐に向け、国内外に大々的なセレモニーを見せつけねばならん。」


との女王の判断だ。



理由は政治的な体面の話ではない。

金枝教はじめ世界中の巫女たちが邪龍復活の報を聞いた。

種族貴賎に拘らず、虫どもの襲撃を受け、

また世界各地においてスタンピードの発生。

その混乱が始まる最中、

民衆に、目に見える形で勇者という希望を見せつける必要があった。


もちろん女王も最初は華やかな形式で発表するつもりだったらしい。

外国から元首クラスの国賓を招き、

連日連夜のパーティーやパレード、夜には花火を打ち上げ、街の広場は出店を開いたり割引セールを開催したりと。


さぞかし賑やかになったことだろう。


しかし魔物のスタンピードまで起きたとなっては、

国軍の兵士や冒険者は全力でその対処に当たらねばならない。


お祭りなどやってる余裕もないのだ。

たまたまオレたちが出くわしたローゼンベルクにおいてのみ、スタンピードを解決できたというだけで、

今も大勢の人間が魔物と戦い続けている。


したがって、オレら「蒼い狼」は勇者を擁する邪龍討伐隊として、

必要最低限の厳粛かつ、ものものしい儀式に参列させられた。

会場には国の貴族、外国の大使、金枝教の聖職者、

エルフのナイトポーリィ教皇も間に合ったようだ。

それと当然、冒険者ギルドの重鎮などなどだ。


式典では、

女王の面前に、

オレとリィナ、そして異世界の賢王であるカラドックの三人が並び、

それぞれ女王から直接言葉を賜った。

他のみんなはその背後に控える。

妥当な配置だろう。

共に獣人の姿のオレとリィナだけでは、いくらなんでも種族的に偏り過ぎる。

この場で、オレと女王の血縁関係も公表され、

逆にカラドックが異世界における女王の息子であることは伏せられたまま。

・・・それはそれで偏るしな。


あのアルツァーも参列しているかと思ったが、

領地に発生したスタンピードの対処で、この場には間に合わなかったそうだ。

・・・互いに生き残ることができれば、もう一度会うことになるのだろうか・・・。



その後のパレードは、宮殿正面門から城門までのメインストリートを行進するのみ。


その間にカラドックが精霊術を披露、

タバサとアガサがそれぞれ破邪呪文、木属性魔法のパフォーマンス。

麻衣さんが分裂したフクロウを大空に舞わせ、

フクロウに咥えさせたバラの花をオレが弓矢で次々に射抜くという展開。

ちなみに麻衣さんの強い主張で、フクロウにエアスクリーンの保護はかけていた。

まぁフクロウも怖がるし可哀相だよな。


そしてその間、リィナは掲げた天叢雲剣に帯電させ続け、

最後に開いた城門の向こうへ設置した、邪龍をイメージした銅像に雷撃を放ち粉々にするという、誰が考えたんだか知らないが、ど派手な演出だった。

その間ずっと天叢雲剣を起動し続けていたってすごいよな。

もっともリィナ曰く、行進中腕を上げ続けていた態勢の方が辛かったと。

確かにそりゃな。


そしてオレらは、万雷の拍手に見送られ、

外で待機しているラプラスの馬車に乗り込んだのだ。


なお、

アガサの木属性魔法は周辺の樹木を一気に開花させたり、

果実を実らせたりとか、かなり評判が良かった。

唯一、ヨルに関しては、角どころかフードで顔も隠し、三又の鉾を持つ謎の7人目として静かにさせていた。

獣人のオレらはまだしも、さすがに魔族となれば、一般民衆の拒否感情も無視できないからだ。

それでもトリダントゥ・レプリカに尋常じゃない魔力を纏わせ続けていたので、

見るものが見れば、その恐ろしさは理解できただろう。

何のパフォーマンスもさせなかったことについて、ヨル本人から不満が出るかと思ったが、

カラドックが「ヨルさんの姿を衆人に晒したくない」との一言で、

彼女は脳みそ沸騰状態になってしまった。


・・・うん、まぁ、チョロ・・・いや、物は言いようだな。




そしてラプラス馬車は空を行く。

マルゴット女王からは食糧やポーション類、属性付きの矢羽など至れり尽くせりの品を提供してもらった。

後は赤道直下にあるというカスタナリバ砂漠へ向かうだけ。

ラプラスも方角はマップで確認したが行ったことはないという。

何の邪魔もなく、方向を間違えなければ半日で着くだろうとのこと。


・・・問題は砂漠そのものが広大なため、

邪龍の住処がどこにあるか判別し辛いということだろうか。

恐らく、邪龍に接近すれば麻衣さんやタバサがその強大な気配を感じ取れるだろうとカラドックは推測している。

麻衣さん達も同意した。


ただ、相手はダンジョンの奥深くに棲みついているというなら、

そこへ辿り着く為の道が平坦だという保証はどこにもない。

感知能力は相手との直線距離なら何となく把握できるようだが、例えば曲がりくねった道しかなければそれに従うしかないのだ。

単に魔物がいるだけなら、強引に突破することも考えられるんだけどな。

こればっかりは着いてみないと・・・。


そして、その目的地カスタナリバ砂漠へノンストップというわけにもいかない。


グリフィス公国や周辺諸国が存在する大陸を越え、オレ達は大海原に達する。

大砂漠はこの海を越えたところなのだそうだ。


そこで、途中の小島を見つけ一度休憩し、

各自、コンディションを整える。

ラプラスはMPポーションで魔力補充だ。

もちろん昼飯はここで取る。

麻衣さんの感知でも、ここには強力な魔物はいないとの事。


・・・そこでついに、

リィナが・・・。


 「・・・みんな、悪いけどさ、

 邪龍のとこに向かう前にケイジと二人っきりにさせて欲しいんだ。

 時間は・・・30分、いや、長くても一時間かからないと思う。」


い、いよいよか。

オレは事前に予告されていたから心の準備はしていたが・・・。


 「リィナちゃん、

 それは・・・邪龍と戦う寸前の、

 このタイミングじゃないとダメな話なのかい?」


さすがにカラドックの顔も厳しい。

普通ならとんでもない申し出だよな。

大事な話というならなおさら、もっと前か、戦いの終わった後にすべきなのだろう。

けどリィナにとってはこのタイミングこそが、・・・ってことなのか。


 「みんなには悪いと思ってる。

 でもこの問題を解決させないとあたしは前に進めない。

 だから、頼むよ、カラドック。」


リィナはそのまま頭を下げた。

とても謙虚で、とても申し訳なさそうに。

いや、むしろ、清々しいくらい堂々と、か?


 「いま、この場で私たちがその内容を聞くことは?」


 「それもゴメンよ、

 あたしの出自に関することだ。

 それもあたしとケイジの覚悟の話、

 それが確かな形を持つまでみんなには立ち入って欲しくない。」


リィナの出自?

奴隷身分だったことか?

それとも見たこともないという両親のことか?

それとオレの覚悟?

一体・・・


 「・・・分かったよ、リィナちゃん、

 心ゆくまでケイジと話し合ってくれ。」


カラドックには何の話か予想がつくとでもいうのだろうか?


他のみんなもそれなりに推測しているようだ。

ヨルだけが、わかってないな。

何か顔を赤くして興奮している。

間違いなく他のことを考えてるな。


どうやら全員の合意が得られたようだ。


 「ありがとう、カラドック、みんな・・・。」


オレもリィナほど耳が良いわけでもないが、

匂いでも分かる。

リィナが緊張している。

かつてないほど。


一体オレに何を求めているんだ?

このタイミングで。


オレの気持ちなんか知っているだろうに。


いよいよ、ずっと引っ張って来たリィナちゃんのお話です。


とはいえ、別に新事実が明らかになるとかそんな話じゃありません。

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