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第四百二十九話 いま、現実には何も起こってないから通報するのはやめとくの

通報、ダメ!

絶対!!


人間どころか有機物も出てこないのでセウトです!!

<視点 メリー>


 「抱かれてあげるわよ、イザーク。」

 『うぉぉぉぉっ! エリザベートォォ!

 もぉ、そなた以外何も要らぬぅぅ!

 今より・・・この瞬間よりずっとそなたと繋がり続けるのだあぁぁぁあっ!!』


初っ端から気持ち悪いことを言う。

さすがに人間時代だった時もそうだったとは思いたくはない。

きっと幽霊となった今だからこその戯言だろう。



霊体にははっきりとした形はない筈だけど、

生前の姿や互いの思い込みと想像力でいくらでも望みの姿になれる。


イザークはエリザベートの形を取る私のカラダのくびれたところや、隙間の部分に忙しなく手を伸ばす。

・・・というより、特定の部位を探してるような動きだ。

何か硬いモノが私の太腿や腰に何度もぶつけられる。


まさか・・・。

えっ、そこっ?

・・・て入るの!?


・・・ああ、

私の中に入ってきた。

魂の下腹部に相当する部分に熱くて硬いモノが喰い破ってくるイメージ。


私の中、と言ってもこれ、魂と魂よ?

イザークには肉体もないし、

私の人形のカラダにも何の影響もない。


むしろ他人には人魂が絡み合ってるようにしか視えないのではないだろうか。


もちろん霊感が何もない人間には、

人形の私がベッドで寝そべっているようにしか見えないだろう。

時折、メリーのカラダを反応させてしまっているが、

これは人形のカラダが私の意識に引っ張られているだけ。


お互い同じ夢を見ていると言い換えてもいいかもしれない。

彼の魂の指が私の魂の胸をさすり、揉み潰し、もう片方の魂の手でお尻の肉を弄り回す。

人形にはない筈のお尻の穴にも何か入れられた。

指なの?


当然、私にも肉のカラダがあるわけでないから、性感自体発生しない。

けれど、肉体の記憶を呼び覚まされているのか、

触られたらこんな感覚になるという思い込みが、そのままダイレクトに私の意識に刷り込まれているみたいで、

しっかりとイザークの手や体の動きが分かる。

リズミカルでやってくる下腹部の圧迫感。

どうしても過去の記憶が蘇ってくる。


・・・別にアイザスとのセックスも、

つまらないとは思っても、嫌悪するとまでは思っていなかったわよね?

前技はいろいろ頑張ってくれたけど、

一度入れるともうそれだけっていうか、ワンパターンというか、

自分のことばっかりでこっちに気を配る余裕を失ってしまうというか・・・。


え?

それはお前がマグロだったんじゃないかって?

失礼ね。

もともと相手に惚れてないんだから仕方ないでしょ。

第一、イザベルは深層の令嬢なのだ。

例え知識があったって、そんなはしたないマネを演じるわけにもいかないの。


さて、過去の記憶はいいとして、

今現在、イザーク様は私の魂に絡みついている。


これ、最後、彼は何をどうしたいの?

互いに生きている人間とは違うのだから、まさか白いものを私の中に撒き散らすなんてマネは・・・


魂って白いんだっけか・・・


もともと今やってる行為は人間の時のモノマネ。

擬似行為。

それこそイザークの意識は夢の中でエリザベートを貫いている感覚なのだろう。

しかし魂のままでもエクスタシーを味わうことなどできるのだろうか?

いくら記憶があると言っても・・・。

 

 『あ、ああ! エリザベート!

 これでそなたは私のものだ!

 私だけのものだ!!

 いま、そなたの中に、中にぃ!!』


えっ?

ちょっと待って。

私の魂の中に出す気?

本気?

まさか魂同士で妊娠しないわよね?

ファンタジーでも聞いた事ないわよ?


 『 うおおおおおおっ!!』


きゃっ


・・・うわ、

なんか注入されたイメージ・・・。

それもドクドクと止まらない。

どれだけ吐き出したのよ・・・。

汚いっ。


これ・・・私の何かと交じり合ったりしないわよね?

いや、こっちも魂。


排出してやる。

魂状態だろうとこいつの子供なんか産んでやるもんか。

私の娘はミカエラだけでいい。


問題なさそうね。

私の中で異物として認識できるわ。

ほら、返すわよ。


ちゃんと引き取りなさい、

あなたの魂の残りカスよ。


 『あ、あ、あ、エリザベートォォォ・・・

 そなたに注ぎ込んだ私のタネが、ゴポゴポとふくよかな太腿からつたってぇぇ』


そんなのでも興奮するのか。

男の生態というか性癖がよく分からない。


その後の私のもう一人の夫とは、そこら辺淡白だったからね。

やる事はやっていたけども。

お互い、脛に傷を持つもの同士、

愛し合ってはいなかったけど、それなりの背徳感があったせいか、そこまで嫌じゃなかった。



 「・・・これで満足、なの?」


それでもイザークは私の魂を放そうとしない。

今も私の魂にしがみついている。

 『もう、どこにも、どこにも行かないでおくれ、エリザベートォォォ・・・』


 「それは無理よ、私には行くところがある。

 あなたの子孫たちも守ることになるんだから諦めなさい。」


 『ああ、あ、エリザベートォォォ、

 そんな、けれど、たった今、私とそなたの間に消えない繋がりを・・・』


ふざけないで。

ちゃんと返したわよ。


・・・ダメね。

やっぱり何も変わらないわ。

どうせ明日にはこの館を出るのだ。

これ以上、何かを期待するのはやめておくべきか・・・。


はぁ・・・

結局何の意味があったというのだろう?

私に何の得もない。


イザークには、

・・・心残りを少しは吐き出す事が出来たのか、

彼には多少の意味はあるだろう。


それだけ。


彼の生前の思い出を呼び覚まし、

成仏まではしそうにもないけれど、

そのわだかまりを解決して・・・


一目会うだけでもと、

私をエリザベートと見做し、

二度と和解する事も、抱き締める事も出来なかった彼女へ想いを遂げ・・・


いや、無理にいい言葉を探してあげる義理もないか。

身も蓋もない言い方をすると、一回ナマでやらしてあげただけだ。




私には何も・・・




私には?



これだけのイベントをやらされて、

私には何の特典やご褒美もないの?


ザジルと、

イザークと・・・

そしてエリザベート?


ここまで揃っておいて・・・?




ん・・・

何か引っかかった・・・。



待って?

「ここまで?」


あの時、

これって・・・


マルゴット女王の宮殿で、



私は何に気づいた?


二人いるのなら三人目もと・・・



まさか


他にも・・・いるとしたら?


私が人間だった時の関係者が。


そう言えばそうよ。

「ここまで」なんて誰が決めたの?


誰もそんな事は言ってないわよね?



ま、さ、か・・・





そうとも、

私は昼間、何を思い出しかけた?


あのアスターナの黒髪に。

彼女の背格好に。

彼女の立ち居振る舞いに。


でもアスターナは「あの子」じゃない。

麻衣もそう感じたという。


アスターナ、

アスターナ・・・。


その名前も、本当に知らない?

いえ、聞き覚えあるんじゃない・・・?


クリュグは?


アスタ・・・いえ、待って?


え?


その名前、どこで聞いた名前だった?

アスターナに・・・クリュグ?


イザベルがエリザベートに

アイザスがイザークになっていたのよ?


なら彼女は?

その名前は何!?

どこ!?

どこでその名前を私は聞いた!?


間違いなくその二つの名前は同じタイミングで聞いたのじゃないの?




あ、・・・ああっ、

思い出した!


思い出したわ!!


やっぱりザジルだけじゃ・・・

アイザスだけじゃなかった!!

最初から、

最初から私の目の前に手掛かりはあったのよ!!

私が気付こうとしないだけだった!



全部、これまでのイベントは全部!

私に過去を思い出させる為の・・・

私がいつ気付くかを試すだけのもの!!



ここに・・・この場所に!

私の求める答えがあるのね!!

そうなんでしょう!?


答えなさい! 世界樹の女神( アフロディーテ)!!

 

下書きぐーぐるどきゅめんと19シート目終了。(1シート100ページ)

アスターナ編だけで1シート以上使ってる・・・。

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