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第四百二十二話 ぼっち妖魔は進行係を務めてみる

ザジルの特殊能力についてですが、

フラア編でも技名はありません。


今回スキル名として設定しましたけど、今一つ・・・。


何か格好いい名前はないだろうか・・・。

南斗〇鳥拳・・・てのは無しで。

技の原理が全く違うのです。


<視点 麻衣>


 「あ、じゃ、じゃああたしから説明しますね・・・。

 このメリーさんという人形の人は、元々は異世界で、ある王国のお妃さまだったそうなんです。」


 「まぁ!?」


 「それで、その時の・・・護衛の人が、今の・・・ザジルって呼んだ人、なんですかね?

 いま、あたしも初めて聞いたんですけど、

 その人を・・・自分の別の目的のために死なせてしまったって・・・

 それを心残りにしていたみたいですね・・・。

 で、偶然、この世界で・・・この土地で、

 彼にそっくりな男の子を見つけてしまったと・・・。」


という説明でいいのだろうか?

今のところ、メリーさんからは反論の手は上がっていない。


 「そ、それは、何と言っていいか・・・

 そんな偶然、あるのですね・・・。」


まぁアスターナままも、なんてコメントすればいいかわからないよね。

でも次にこれを言っておかないと先に進んじゃいけない気もする。


 「あ、それでごめんなさい、

 あたしもたった今『偶然』て言葉使っておいて何なんですけど・・・

 もしかしたら偶然じゃないかもしれません。」


 「え? そ、それは?」


 「マルゴット女王の親書に書かれてるんですよね?

 女王とそちらのカラドックさんの異世界のお母さんが同一人物じゃないかって。」


それをまず理解してもらわないと話にならないものね。


 「あ、は、はい・・・信じられないお話ですけども、

 これはそう受け止めるしかないのかなって・・・。」


 「恐らく、そちらのハギル君と、メリーさんの護衛だったって人が、

 そういう関係じゃないのかって・・・

 少なくともメリーさん自身はそう信じているみたいですね・・・。」


 「それで・・・あんなにハギルに執着を・・・。

 でもさすがに・・・女王と、一介の獣人の従者と同じようなことがある筈も・・・。」



そこでハギル君成分を満喫していたメリーさんが顔をあげた。


 「顔や名前が似てるだけじゃないわ。

 自分の大事なもののために命を懸ける事、

 こうして生き延びることが出来たけど、

 ザジルの死に際は、敵に腕を引きちぎられて、

 それでも約束した女性の元へ、生きあがこうと必死だったと聞いている。

 ・・・そんな人物・・・そうたくさんいる筈もないでしょう・・・。」


 「それは・・・っ」


アスターナままも絶句するしかない。


あたしもだけど、これはどういう態度を取ればいいんだろう。

・・・いいや、あたしは巫女、

否定も肯定もする必要はない。


誰ですか?

「難しいこと考える脳みそがお前にないんだろ」とか失礼なこと言う人は!

七つの状態異常かけちゃいますよ!?




ごめんなさい・・・

かけちゃったのは鑑定の方だ。


実はさっきハギル君に鑑定かけちゃったんだよね、

その事実を公表して皆様の判断を仰ごう。


 「えっと、すいません、皆さん、

 特にハギル君・・・。」


みんなの視線があたしに向けられる。

当のハギル君も、いきなり自分を名指しされてぽかんとしているようだ。


 「すいません、

 あたしの他にも鑑定できる人がいたら、これからあたしが言う事、確かめられますよね?

 彼・・・ハギル君のこと、たった今、鑑定しちゃったんです・・・。」


 「まぁ?

 何かハギルにございまして?」


 「多分、さっきのスタンピードの戦闘でか、レベルがかなり上がってるみたいですね。

 それで・・・職業適性に暗殺者、レンジャー、従者なんてのがあるのはまだわかるんですよ。」


 「え? 確かにオレの適性、その通りですけど他に何かあります?」


そこまでしか知らないってことは・・・

やっぱりこのスタンピード後に付いたものか。

ハギル君も目が覚めたばかりで、周りの現状把握を優先したせいか、

まだ自分のステータスウィンドウを開いてないのだろう。


 「あ、自分のステータスならわかるよね?

 じゃ、じゃあ、ハギル君、

 君のその職業適性に・・・外科医、と、

 ユニークスキル、サイコサージャンってあるの何?」


 「「「「えっ!?」」」」


本来あたしはハギル君に、転生者か転移者の称号があるかどうかを確かめるために鑑定しただけ。

そして結果は女神さまの言葉通り、そんな称号はどこにもなかった。

・・・けれど。


 「ホントだ・・・!

 い、いつの間にこんなスキルや職業が!?」


外科医はまだわかる。

でもサイコサージャンってなに?


とはいえ、ハギル君本人も理解できていない。

これ、誰に聞けばいいんだ?


 「サイコサージャン・・・?

 私の考えがあっているなら、その能力は心霊治療能力か?」


えっ?

心霊治療?

カラドックさんが答えてくれたけど、それで合ってるの?

具体的にどんな能力?

僧侶の人たちの治癒スキルとは違うの?



・・・その瞬間・・・。




メリーさんがハギル君を抱いていたその手を解いた。


 「心霊治療能力・・・うそ・・・。

 ザジルの・・・あの子の持っていた・・・特殊能力・・・。」



 「え・・・。」



確定なの!?

それこそ偶然の一致で済まされないよ!?


 「ザジルは・・・素手で他人の皮膚を斬り裂いたり、

 逆に傷口を元通りに治すことが出来る能力者だった。

 そしてそれは念動力系の超能力ではなく、

 むしろ被術者の精神に干渉して、自分が斬られたと思ったらその事象が現実になるという、精神感応系の能力。

 それが・・・この子に・・・。」


顔つきや身体特徴だけでなくユニークスキルまでも・・・。

それでも転生者じゃないっていうのか。

あ、いや、それを言ったらリィナさんもか。

まぁ、リィナさんが持っているのはスキルではなく異世界アイテムの方だけど。


 「リィナさんにも、ステータスには異世界出身を示す称号も何もないんですよね・・・?」

今更だけど、念のためにリィナさんも確認を取ってみる。


 「あ・・・うん、い、今の所ね・・・。」


相変わらずリィナさんの歯切れが悪い。

あたしはケイジさんにも視線を飛ばす。

気づいてくれたけど、こっちの意図は通じてないな。


現状、リィナさんは、マルゴット女王同様、転生者ではなく、

カラドックさん達の世界のリナさんて人の、この世界における同一人物として扱われている。

ただし、今のハギル君もそうだけど、本人にもう一つの世界の記憶はない。


そしてケイジさんに至っては、「その可能性がある」存在としてカラドックさんには思われている筈だ。


ついでに言えば宮殿にいたブレオボリスって騎士団長もそうらしい。



 「え? そちらの兎獣人の方も異世界に所縁が?」

 「あ、は、はい、そ、そうなんじゃないかなって程度なんですけど・・・。」


アスターナままがリィナさんにも興味を持ったようだ。

ていうか、その人が勇者ですよー。


横からクリュグぱぱがその事を指摘してくれたようだ。

女王の親書に書いてあったみたいだけど、情報量が多すぎて全部覚えきれなかったんだろう。

誰だって一々見聞きしたもの、全部覚えてられないよね?

・・・そう、あたしだけじゃない!

人には得手不得手ってもんがあるのさっ!




それにしても、

相変わらずこの話題になると、リィナさんは弱気になる。

ケイジさん、早く何とかしないと。

あなたの役目ですよ。




あ、あと、この話もしておこう。

 「えー、と、あと今の話なんですけど、

 実はここに来る前に、世界樹の女神さまという人に会って、

 このメリーさんが、このローゼンベルクって街で石碑に跪くような姿を予見したって言うんですよ。

 その時に貴族のような家族と白い豹のような獣人と出会うと仰っていたので、

 何か、このハギル君との出会いに意味はあるのかなって気はするんですけど、

 あたしも、これ以上はさっぱり・・・。」


 「まぁ、世界樹の女神さまが・・・。」


さすがにこの件は、親書には記していない。



 「・・・今更だが、なんであの女神はそんなぼかした話をしたんだろうな?」

 「たぶん、自分の目で確かめろってことなんじゃないの?」


ケイジさんの疑問も当然だけど、

リィナさんはあたしと同じく、もう少し細かい情報を貰っている。


メリーさんが本当に真実に気付いて、

自分に絶望したとしても、それを思い留まらせるための何かがここにあるのだ。


そしてそれは、今の状況から考えて・・・






ハギル君のことですらない。


まだ何か秘密があるのだ。





この屋敷に。

 

次回、このアスターナ邸で最も描きたかった重要なシーンを!

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