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第四百十四話 ヨルのダンジョン制圧日記~アガサさんの新スキル

<視点 ヨル>


 「え・・・・麻衣ちゃん、これもリーリトって妖魔の特性?」


リィナちゃんが生気のなくなった目で呆然としていますぅ。

気持ちはとってもわかるですよぉ。

前衛職が血と汗を流して技や力をつけてるのに、

「え?修行? 何それ美味しいんですか」と言わんばかりに問答無用の制圧スキルをみせつけてくれちゃうんですからねぇ?


 「あ、いえ、すいません、

 これ、どちらかというと妖魔関連じゃなくて、

 あたし個人のオリジナルというか・・・。」


後で詳しく聞いたですけど、麻衣ちゃんの元の世界で文化祭ってお祭りがあったそうですよぉ。

そこの出し物で、麻衣ちゃんが蛾の着ぐるみ着てたそうなんですけど、

召喚術ってそれだけで契約できるんですかぁ!?


あれ・・・

い、いつの間にか目の前の魔物全滅しちゃってるですよぉ・・・。

いえ、まだ息があるのが殆どなんでしょうけど・・・全員戦闘不能で・・・。



しかも倒れたカラダじゅうに・・・

あれ、毛虫じゃないですかぁぁっ!?

うごうごと大勢の毛虫で埋め尽くされて・・・またそこから繁殖して・・・

これは鳥肌ものですよぉぉぉっ!!


見たらカラドックも、いつの間にか精霊術使ってこっちに鱗粉飛んでこないように風を吹かせているですよぅ!


 「・・・当然私もエアスクリーン全開・・・。」

アガサさんは自分の腕の鳥肌を隠すようにさすってるですぅ。


 「・・・麻衣さん・・・すごいんだけど、これこの後・・・。」

 「あっ・・・あたしの術だとここまでなんですけど、

 ここまで来たら、後はどうとでもなりますよねぇ?」


カラドックの首が縦に・・・いえ、頷いたっていうより、力が抜けたって感じに見えるですよぉ。

確かにここまで片付いちゃったら、あとは時間と効率だけ考えればいいだけですものねぇ?



 「・・・なら次は私の番・・・。」


 「アガサ、

 君は魔力を温存していた方がいいんじゃないのか?」


 「気遣い不要、

 これから使う術はそれ程の魔力は不要。

 むしろどちらかというと召喚術に近似。

 長時間使用し続けなければいいだけの事。」


おおっ!

てことはアガサさんの新術ですかねぇ!?


 「本邦初公開、

 木属性魔法唯一の攻撃性魔法・・・

 『バインバインド』!!」


アガサさん!?

どうして術を唱えるのに胸を左右に揺らす必要あるんですかぁ!?

その術名、適当に名付けたんじゃないですよねぇ!?


いいたいことはいくらでもあるんですけど、そんな事言ってる場合じゃなかったですよぉ!

いきなりダンジョンの床が光ったかと思うと、

何かがたくさん、アガサさんの足元からオークたちに向かって伸びていくですぅぅ!!


 「なっ、なんだ、ありゃああっ!?」

目のいいケイジさんでも、その正体は判別できないんでしょうかねぇ?


 「『バインバインド』は拘束性のある植物の蔦を任意の対象物に向かって展開する術法!!

 魔力の注入量によって、その拘束範囲、拘束強度は限界なく増大!!」


 「すっ、凄いっ・・・

 もしかすると、これなら鬼人相手でも通じたかも・・・。」


今度は逆に麻衣ちゃんが驚いてるですよぅ!

うううん、みんな成長度合いが半端ないですぅ!



 「いや・・・ケイジの瞬間スタン、麻衣さんの呼吸阻害、・・・そしてアガサの拘束術か・・・。

 これ・・・無敵のコンボになるぞ・・・。」


ですよねぇぇ・・・。

しかも相手は魔物単体じゃないんですよぅ?

集団戦なんですよぉ?

それをこんなあっさりと片づけちゃうなんて、チートっていうか理不尽過ぎますですよぅ。

これ・・・後はどうにでもできちゃうじゃないですかぁ・・・。

ちょっとだけオークの皆さんには同情するですよぉ。


 「えっと・・・。」


カラドックがそこでリィナちゃんに目を向けました。

続いて他の皆さんもです。


 「ああ?

 これ、あたしやっちゃっていいの?

 あたし、今まで何にもしてないんだけど・・・。」


 「適材適所で行こう。

 最も効率よく範囲攻撃を行えるのはリィナちゃんだ。

 天叢雲剣の修行にも経験値稼ぎにも都合がいいだろう?」


うしろめたそうなリィナちゃんですけど、

修行の成果を発揮するにはちょうどいいですよねぇ。


今までの訓練だと、あの破壊力莫大な雷撃をヒューマン相手に試すわけにはいかないので、

何もない空間とか樹木相手に雷放ってましたからねぇ?


 「・・・あ、うん、みんなそれでいいのかな・・・。

 じゃあ、ありがたく・・・。」




リィナちゃんは深呼吸した後、気持ちを切り替えたみたいですよぉ。



・・・そしてその後・・・

あの・・・神剣天叢雲剣の雷で、肉団子状になってたオークどもは全滅したですぅ。

真っ黒こげですよぉ。

演出描写は今まで散々見飽きてるかもしれないんで省略するですよぉ。



食べるのは・・・ちょっと難しそうですねぇ・・・。


それより・・・リィナちゃん、威力あがってますねぇぇ!



 「おい、リィナ・・・修行が難しそうなこと言ってたけど、かなり高威力になってないか!?」


 「あ、うん、ケイジ、ちょっと待って。

 頭の中のレベルアップアナウンスが・・・あ、もう大丈夫。

 いや、多分まだまだこんなもんじゃないと思う。

 いま、やってるのはさ、

 女神さまが言ってた『維持』と『収束』ってやつ、

 意味は分かるんだよ。

 今までエネルギーが貯まったと思ったら、その場で放出してたのをさ、

 女神さまが教えてくれた概念で、ちょっと我慢して撃つのを堪えようって意識し始めて、

 本当にエネルギーをもっと集められるのに気づいただけっていうか・・・。

 ・・・だけど、そのエネルギーはもっと集められそうなんだけど、

 あたしがそれに耐えられない状態なんだ。

 あ、弓を扱うケイジならこう言えばいいのかな?

 凄い強い弦を張った弓を与えられて、力がある人ならもっと強く弦を引っ張ることが出来そうなのに、あたしじゃそこまで引っ張り切れないってところなんだ。」



もはや、ドラゴンでさえ一撃で屠れると思うんですけどねぇ・・・。

まだまだ奥が見えないレベルなんですねぇ・・・。


普段温厚なリィナちゃんは素でこれだけですけど、

突然キレる時があるですよぉ。

その状態で、天叢雲剣振るったとしたら、周辺への被害はどれだけになるですかねぇ?


やっぱりリィナちゃんを怒らせることだけは避けないといけませんよねぇ?



さぁぁぁ!

まだまだダンジョン制圧記はまだまだ続きますよぅ!!



今は地下10階をクリアしたところですよぅ!!


さすがに毎回毎回、都合がいい相手ばかりじゃないですよぅ!

今度の相手はアイアンゴーレム中心ですよぅ!!

さすがにケイジさんのスタン咆哮も、麻衣ちゃんの鱗粉攻撃も役に立ちませんですものねぇ?




・・・そんな風に考えてた時期がヨルにもあったですぅ・・・。



 「虚術第四の術! 『ゼロ・グラビティ』!!」


 「前衛職のみんなはゴーレムを天井に向けて打ち上げて!!」


作戦を立てたのは愛しのカラドックですよぉ!!

ヨルとケイジさんとリィナちゃんでアッパースイング!!

どうなったかというと、延々止まることもせずにゴーレムたちが、天井と床を交互にバンバン弾けまくっているですぅ。

麻衣ちゃんが「ピンボール」みたいって言ってましたですねぇ。

あっという間にスクラップの出来上がりですよぅ!!


 「はい、そこからはアガサの拘束魔法を経て、リィナちゃんの天叢雲剣~。」


結局は最後は同じパターンですよぅ・・・。




そ、それからですよぅ・・・。

こ、今度こそは同じ戦法は使えませんですよねぇ・・・!!


地下15階を降りるとそこは・・・


 「・・・うわああああっ!

 このフロア、スケルトンにゾンビにレイスっ!?」


アンデッドに死霊中心ですよぉ!!

スケルトン、ゾンビはアガサさんの拘束魔法でどうにでもなるんでしょうけど、、

流石に実体のないゴースト系は・・・


 「笑止・・・!

 『ホーリーシャイン・・・』!!」




あ~っ・・・。

フォースフィールドからのホーリーシャインで「全ての」魔物が一掃されちゃったですねぇ・・・。

タバサさん、アンデッド相手じゃ無敵状態になるですよぉ。

一つの村や町にタバサさん一人いれば安心ですよねぇ。


ただ・・・

ヨル・・・いなくてもいいような気がしてきましたですよぉ・・・。


 「安心しろ、オレも同じこと考えてる・・・。」


ケイジさんはこういう時、気を遣ってくれるですねぇ。

優しい人ですよぉ。

ケイジさんがもうちょっと、毛深くなくて、

カラドックとヨルが出会ってなければ、いい人だと思うんですけどねぇ。


ケイジさん、

残念ですけどヨルはカラドックのものなんですよぅ。

せっかくですけどケイジさんの想いにヨルは応えることは出来ないんですぅ・・・。

ケイジさんは、リィナちゃんと二人で仲良くしてればいいと思うんですよぅ。




 「・・・なにか失礼なことを考えられている気がする・・・。」


被害妄想ですよぅ。


ヨル

「作者さん、前からヨルは作者さんに言いたいことがあったですよぉ。」


あ、はい、仮にも作者だから君の要求はわかってるつもり・・・。


ヨル

「ならとっとと、ブツを用意するですよぉ!

物語が終わる前に、早急に迅速に可及的速やかに早くするですよぉ!!」


は、はい、やってみます・・・。

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