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第四百十一話 いま、裁きの時間なの

おおっ!

ぶっくま×3!!

ありがとうございます!!

<視点 メリー>


どうせみんなは、次の私のセリフが、

「ありのままに起こったことを言うわ」となるとでも思っているのでしょう?


舐めないでくれるかしら。

そんなべたな言動なんかしないわよ?

うん、ちょっとシルバーなチャリオットの人の顔が頭に浮かんだのは確かだけど。


 「「「メ、メリーさん!?」」」


アレンやミコノたちは、何が起こったのかと私に声をかけてくる。

とはいえ、私も何が起きたのかわからない。

気が付いたら、こうやって玄関前で仰向けにひっくり返っていたのだ。


うん・・・とりあえずカラダに異常はない。

ゆっくりと、キョンシーみたいにカラダを起こすがその動作にも何の支障もない。

そこでみんな引かないでくれるかしら?


 「・・・大丈夫よ、みんな。

 私にも何が何だか分からないけど・・・。」


完全に立ち上がった後、

薔薇の刺繍が施された、ドレスの裾についた汚れを払う。

一応貴族の家に招かれるのだし、人間のマナーなど私にとっては意味がない筈だが、

せっかく好意をもって迎えられているのだし、こちらもそれに応えないと・・・。


アレン達は、私が大丈夫そうだとわかると再び屋敷の中に入っていった。

それでは今度こそ、と私が扉をくぐろうとすると・・・



 ぼよよんっ!



 「「「「メメメメメリーさん!?」」」」



 「・・・・・・。」


また青い空が見える。




わかってた・・・。

うん、こうなることはちゃんとわかってたわ。



今度は思考停止なんかしてないわよ。


 「い、いったいこれはどういう・・・!?」


執事の人も私の顔を覗き込むように驚いてるけど、大体の事情は掴めたわ。


 「ふふ・・・ふふふふふ。」


 「メ、メリーさん!?

 だ、大丈夫なんですか・・・!?」


思わず笑い声が漏れてしまったわ。

意図せず、笑い声が出るなんていつぶりかしらね。


ああ、この表現も昔見た漫画の記憶だったっけ。

あれよ、あれ。

右手が勝手に動いたり喋ったりする物語。

そういえば、「中身はからっぽだよ~ん」と、あの頭が半分に割れたりするキャラと、

現実世界で「ママでも金!」と、勇ましかった柔道の人とは名前が区別できなくて苦労したっけ。

柔道で金メダル取るような人が、「この種を食い殺せ」って呟いたらとてもホラーだと思う。


え? 関係ない話はするなって?

そうでもないわ。

だって、ここからは本当にホラー展開よ?

みんな覚悟はいいかしら?



 「・・・心配要らないわ、ミコノ・・・。

 どうやら私はケンカを売られてるみたい・・・。」


 「え・・・?

 ケンカ・・・メリーさん、それって・・・あっ!?」


ミコノは何に驚いているのかしら?

私がぐるぐる巻きにしていた「死神の鎌」の布を解いていること?


だって売られたものは買わないとね?

家人やアレン達をスルーさせておいて、この私を拒絶しようとしたのでしょう?

この家を護っている「何か」は。


明らかに「私」を認識したうえで拒絶した。


いい度胸だと思わない?



 「ちょっ!?

 メリーさんが怒って・・・いえキレてるっ!?」


怒ってないわよ?

ただ、なんて身の程知らずさんがこの家にいるのかと思ってるだけよ?

だから格の違いを教えてあげないといけないわよね?


これも「結界」の一種には違いないのだろうけど、

闇の武具、「死神の鎌」ゲリュオンが、結界や封印を斬り裂けるのは、

「前の住人(百合子)」の時に証明済みよ。

私を動けなくしたいのなら、その更に前の住人の時のように、

私の精神の方を封じないと意味はないのにね。


・・・さぁ、用意はいい、ゲリュオン?

うずたかく、・・・そしてどす黒く積もり重なった恨みの情念をその刃に乗せるのよ・・・?


「うずたかく」って渦はどこに出来てるのだろうって昔から不思議だったのだけど、

「堆く」って書くのね。

日本語って難しいわ。


・・・ね?

ちゃんと冷静でしょう?

他のことを考える余裕があるのだから。



私は優雅に足を踏み出し、

そしてこれから舞でも躍るかのように、ゲリュオンの柄を掴んだ両腕を頭上に掲げる。


 「貪りなさい・・・ゲリュオン、

 この私の・・・噴き上がる憤怒の炎を・・・っ!!」


 「「きゃああああっ、やっぱりキレてるぅぅぅぅっ!!」」


ミコノもミストレイも危ないからどきなさい?

ちゃんと私は冷静よ。


ターゲットを間違える筈もないわ。

本当にキレてたらあなた達ごと真っ二つにするだろうし。


さぁ、ぐるぐるぐる~、大車輪~っ。



ところがそこで、私を邪魔する声があった。


 「お、お待ちください!! 

 メリーさん!! 早まらないでください!!」


うん?

声を発したのは館の主、アスターナだ。


そうね、

彼女がこの家の主なら、この結界のようなものについて、何も知らないわけがないだろう。

ただ、彼女の返答如何によっては容赦しない。

動きは止めたが、ここから先の言動によってはこのまま鎌を振り下ろして見せる。


 「もっ、申し訳ありません!

 まさか、こんなことになるとは・・・!!

 いま、説得してまいりますので、もう・・・もう少しだけお待ちください!!」


あら、説得と言った?

ではやはりこの結界は人為的なものか。

それはいいのだが、この屋敷の主人はこのアスターナのはず。

彼女より実権が大きいとしたら誰の事なのか。

入り婿だという夫の方が屋敷にいるのだろうか。


 「マデリーン!

 ご先祖様を説得するわよ!!

 あなたも協力するのです!!」


 「は、はい、お母様っ!!」



ご先祖様?

いま、ご先祖様と言ったの?


・・・その言い方って・・・今現在生きている人間に使う言葉じゃないわよね?



 「・・・あ、アレン様、そいうえばさっき、馬車の中で、マデリーンお嬢様が言っていたのは・・・もしかして。」


ミコノがアレンに何か気付いたことがあったのか、声をかけたわ。

私にも何のことか教えてくれないかしら。


でも、私が質問する前に事態は先へと進んでいた。


 「ご先祖様!!

 お聞きください!!

 いま、玄関の所にいらっしゃる人形の方は、私達の恩人です!!

 この館で一生懸命働いていたハギルのことはご先祖様もご存知でしょう!!

 あの人形の方は、ここに来るまで、ずっと献身的にハギルを診て下さったのです!!

 お願いします!!

 警戒を解いてください!!」


見るとアスターナはエントランスホール中央から、

二階の廊下・・・いや、それより少し高い角度を見上げていた・・・。


つまりその位置に人間など存在しているはずもない。


そこに何がいるのだろうか?


・・・がその時・・・




  ゥオオオオオオオオオオオオオオッン


まるで、

地の底から湧き出てきたかのような低い唸り声が響き渡った・・・!


なるほど、・・・こいつか。

 


見回すと、エントランスにいたメイドたちや、

私の傍にいた執事の人までいつの間にか腰を抜かしてへたり込んでいる。


おそらく、かつてはこの屋敷の住人だったのだろう・・・

この世界では、人が死ぬとその魂は世界樹の元へ向かうと聞いていたが、

何かが原因でこの地に魂が留まり、地縛霊に・・・


いやあれ、悪霊と化していない?


そしてそれは・・・


私の予想を裏付けるかのように・・・


エントランスの燭台の炎が一斉に消える!!

 「「「きゃあああああっ!?」」」

 

見ると、地震が起きているわけでもないのにシャンデリアが揺れて、

そこかしこから何かを打ち付けたような音が聞こえてきたではないか。


・・・ポルターガイストにラップ現象か・・・。

もう間違いないわね・・・。


この館には悪霊が棲みついているのだ・・・!

 

 

もう皆さんは悪霊の正体をご存知ですよね?


いよいよ次回、その名前が明らかになります。

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