第三百八十三話 ぼっち妖魔はダークエルフの街に辿り着く
ううう、Unity久しぶりにいじくったもんだから、勢いで3Dキャラの新しい改造しようと思ったら、原因不明の不具合があちこちで。
じゃあ、Unity最新版にしようと思ったら、それもインストール失敗が続く・・・。
結局今まで使ってた奴(2018)の次の年の正式版がインストール成功してその他の不具合も消えた。
・・・けれど長すぎるインストールやら失敗したUnityのアンインストールで一日時間を無駄に費やした!!
<視点 麻衣>
険しい山々を抜け、
拓けた大地が見えてきた。
といっても大森林地帯。
もはやこの辺りは全てダークエルフさんたちの勢力範囲だそうだ。
既に肉眼で見えるあの森の中が、魔法都市エルドラ。
森を都市と言い切ることに現代人のあたしは違和感があるけど、
そういう文化だと言いきられたら何も言えない。
だからそれでいい事にする。
このまま会長ラプラスさんの長馬車で、そのまま森の中の隙間を見つけて着陸することは可能と言えば可能なのだけど、
「いろいろな意味」で直接乗り付けるのは良くないと、
森の外、・・・正確にはエルドラの街の外の中継街のようなところに馬車を降ろす。
「はい・・・ええ、あの・・・そうですよね、
一応、私は深淵の黒珠を盗んだ当事者ですものね・・・。」
というわけである。
ラプラスさんがエアスクリーンを解除すると、
冷たい空気が流れ込んできた。
もう冬と言ってもいいのだろう。
それでもこの辺りは緑が生い茂っている。
寒さには強い樹々が並んでいるようだ。
針葉樹というわけでもないのにね。
ここからの流れだけど、
このエルドラで用を済ませたならば、
続いてタバサさんの郷里でもある森都ビスタールに向かう。
ビスタールへは、ラプラスさんの空飛ぶ馬車を使うほどの距離でもなく、
普通の馬車でも一日もかからないそうだ。
けれどその後、マルゴット女王のいるグリフィス公国へは、再びラプラスさんのお世話になるしかない。
そこでラプラスさんはこの中継地点で一度別れ、
「蒼い狼」のメンバーだけでエルドラに向かう。
そしてあたしたちは徒歩で城門へ・・・
と思ったら城壁のようなものはいつまで経っても見えない。
途中に大きな堀があって、その上に橋が掛けられている。
その橋の手前に門兵さんが控えてらっしゃいますね。
ちなみに橋の周辺は防風林みたいな樹々が並んでいるだけ。
「魔法都市エルドラにはヒューマンの街のような城壁は皆無。」
アガサさんがご機嫌に解説してくれます。
見事に任務達成ですもんね、
気のせいか、あの巨大な二つの胸も上に向いている気がします。
「へぇ、魔物や盗賊はそれほどでも・・・ああ、この堀は越えれないよな。」
ケイジさんも辺りを見回す。
橋の長さ10メートルくらいあるもんね。
翼がない生き物は街の中には入れないでしょう。
そして案の定、門兵さんに止められる。
「とまれ!
貴様らヒューマンか!?
それに獣人だと?
許しの出たものでないとダークエルフの街には立ち入ることまかりならん!」
アガサさんは問題なかったけど、
その後のあたし達はどう見てもダークエルフには見えません。
ましてやケイジさんとリィナさんは獣人だ。
前も聞いていたけど、やっぱりダークエルフは排他的な人たちのようだ。
と、そこへ想定通りの展開とばかりにアガサさんが胸を揺らして門兵さんの前に。
「む・・・す凄・・・い、いや、君はダークエルフのようだから問題ないが・・・。」
門兵さん視線どこに向けてんですか?
そこへアガサさんはバッジのようなものを取り出し、自らの胸の前に。
・・・さすがですね、アガサさん、
見たきゃ見ろと。
「魔法都市エルドラ魔法兵団第一部隊筆頭隊員アガサ!
エルドラの至宝、深淵の黒珠を奪還に成功!!
後ろのメンバーは私と共に使命を果たした冒険者パーティ『蒼い狼』!
速やかにこの橋の通行許可と、神殿への連絡を要請!!」」
「なっ! なっなんですってぇぇぇえええええええええっ!?」
門兵さんは傍にあったメガホンを使って橋の奥にいる人たちに伝達。
向こうでも騒ぎになったみたい。
こっちの先導はアガサさんに任せて悠然と橋を渡る。
あたし達が橋を渡る頃には、少しばかり役職が上の人っぽいおじさんが慌てて駆けつけてきた。
「アッ、アガサ殿っ!
ついに、取り返せたのだなっ! でかしたぞっ!!」
「連絡はもう神殿に伝達済?」
「うむっ、神殿と魔法兵団本部に伝令を走らせた!!
そなたらは直接神殿に向かって欲しい!!」
「了解、では私達はこのまま神殿に出発。」
「ヒューマンや獣人がいるならトラブル防止のために我らも先導に就く、
後ろからついてこられよ!!」
そうしてあたし達は無事に魔法都市エルドラに迎えられた。
・・・いやあ、
これは・・・
いえですね?
あたしは日本にいた時も滅多に遠出すらしないし、
異世界では初めて行く街はどこも新鮮に映っていたんですけど・・・
凄い・・・。
そんで暗い。
街路樹とか、そんなレベルでなくあちこちに木。
森林公園とかあるでしょ?
ああいう木がいっぱいあるとこにスペースを見つけて家や建物が建ってるって感じ。
ううん、あんなレベルですらない。
何しろ日光が入ってこないのだ。
太陽は間違いなくお空に昇っているんだけど、
地面に日なたが見つからない。
あと茂みが深いっていうのかな、
たぶんここに布袋さんがいれば、ちょっと背伸びすればすぐ樹々や葉っぱで顔が見えなくなりそう。
さすがにメインストリートというか、道がひらけているところは頭の上にもスペースあるけども。
「森都ビスタールはもっと樹々の間隔はあったよな?」
ケイジさんとリィナさんは、この後向かうビスタールに行ったことがあるから比較できるみたいだね。
「植生がビスタールとエルドラで相違、
エルドラは低木も多い、密集しがち。」
タバサさんが詳しく解説してくれます。
一言で言うと全体的に圧縮された森って印象なのかな。
あと当然のことながら、道行く人たちに奇異な目で見られてます。
悪意まではあんまり感じないけど・・・
「なにしにきたんだ、こいつら」的な目線が多いね。
あたしはそんなでもないけど、目立つケイジさんとリィナさんは居心地悪そう。
タバサさんは同じエルフで耳は長いけど、肌の色が違う。
もっとも、森都ビスタールの中央神殿の神官長の娘さんとだけあって
凄い堂々と歩いているから、そんな野次馬の視線など気にもならないようだ。
街の皆さんも、神官服を颯爽と着こなすタバサさんの身分が分かるのかもしれない。
ヨルさんはキョロキョロ挙動不審。
耳ごと角を・・・ええと、角ごと耳をって言った方がいいのかな?
まぁ、ターバンで隠しきってるからダークエルフと同じく浅黒い魔族の肌は目立たないね。
メリーさんはローブ姿で、頭部はフードで覆っているから、
見た目ではエルフかエルフかヒューマンかもわかりません。
まぁ、あたしたちのことはいいとして・・・
「麻衣? あなたもこの異常な魔力は感じ取れる?」
そのメリーさんから話しかけられました。
「え、ええ・・・これ、魔力・・・なんですかね?
凄く濃密で・・・とはいえ、別に瘴気のような不浄のものでもないですけど・・・。」
「どちらかというと私の領分かな?」
「えっ、カラドックさん?」
「この世界の概念で言うと、凄い精霊が活発なんだよ。
ここで精霊術使ったら効果がとんでもない威力になりそうだ。」
アガサさんが振り返る。
「深淵の黒珠はそれを鎮め、コントロールするのが本来の役目。
カラドックにはここの神官長の役割ができるかも。」
「ははは、私はダークエルフじゃないからね。」
ていうか、これはあれですね。
土地そのものにとんでもない効果がついちゃってるから、
ここで長い事暮らしているエルフさん達は、軒並み強い魔力があるってことなんですね。
しばらくすると拓けたスペースが見えてきた。
樹々で奥は見えにけど明るい色の大きな建物があるようだ。
手前には何人ものダークエルフさん達がわらわらと、そしてざわざわと・・・。
「あ、あれはノードス隊長。」
アガサさんが前方の人物に気付くと、そのダークエルフさんが駆け足で近づいてきました。
わぁ、この人も凄い魔力・・・でもアガサさんの方が膨大だな。
「アガサ!!
でかしたぞ!! お前ならやってくれると信じていた!!」
あ、またアガサさんのドヤ乳!
スマホで撮影できないのが残念です。
「久しぶりだな、ノードス兵団長、
依頼は無事に果したぞ。」
「おお、ケイジ殿!!
そしてリィナ殿も感謝するぞ!!」
「ノードス兵団長、神官長は?」
「うむ、すでに報告も済ませ、いまかいまかと首を長くして本殿の中で待っておられる!」
この場の人たちはみんな神殿関係者か、道中にいた一般人たちみたいに警戒感を露わにしてない。
やっとこれで、苦労から解放されるとでも言わんばかりの安堵の感情。
深淵の黒珠がなくなると都市機能が減退するって話だから、
いろんなところにしわ寄せが行っていたみたいなんだろうね。
「これで10時間連続魔力供給の苦行から解放される・・・。」
「もう人柱にならなくていいんだ・・・。」
「オレなんか行列が決してなくならない、罵声という名のクレームを受け続けてたんだぞ・・・。」
「もう、いちいち穴の開いた胃に治癒魔法かけなくていいんだ・・・。」
「これで・・・休みが取れる。
オレ・・・深淵の黒珠が戻ってきたらアイリンと結婚するって約束してたんだ・・・。」
・・・大変でしたね、みなさん。
最後の人、大丈夫かな・・・変なフラグになってないことを願うばかりである。
・・・ていうか・・・
これ、神殿?
いや、・・・落ち着いて考えたら・・・
これだけ周りの樹木に恵まれているんだからさ、
木造建築であることは自然だよ・・・自然だよね?
木造なんだから・・・平屋っぽい感じでもいいわけで・・・
中世のゴシック建築のような方向性になるわけもない。
そうですよね・・・そうですとも。
なんだろ・・・あたし行った事ないんだけど、
ただのイメージで言うから怒らないでね?
しめ縄こそないんだけど・・・このエルドラ大神殿・・・ですか?
どうみても出雲大社なんだけどっ!?
確か高校の修学旅行で行ったような・・・行ったっけか?
コースは萩・津和野だったはずだから・・・行ったことあるよね?