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第三百六十八話 いまカラダの機能がストップしているの

そんな展開誰が予想できるかと?

「彼女」が何者かと?

それは・・・

<視点 メリー>


これまでの話をまとめると、

アスラ王は「闇」属性になるのだろうか?

「闇の巫女」たる麻衣の主人なんだものね。

麻衣はアスラ王自身には会ったことがないそうだけど、今はそう仮定しておこう。


麻衣がアスラ王の眷属として、

・・・でもそうすると「闇の祭司」になってしまった「あの子」もアスラ王の眷属に?

まずそこが腑に落ちない。

あの子がアスラ王と何の関係があるというのか。


黄金色きんいろの瞳の男は「光」属性?

そしてヤツは「あの子」がお気に入り?

あの胡散臭い男が光属性などと信じたくもないのだけど、

麻衣が属性には善悪・吉凶関係ないと言っていたので問題はないだろう。


じゃあ天使シリスは?

「月」属性なんてあるの?

属性はどうでもいいとしても、「あの子」は天使シリスの直系子孫。


アスラ王は山脈を吹き飛ばすほどの超絶サイキック。

天使シリスは人間の知覚を意のままに操り、

そして光の天使は完全予知能力・・・。


三人の天使の全ての中心に「あの子」がいるのよね。


麻衣の話がすべて正しいとすると、

「あの子」はそれらの中にあるいくつもの道の中から一つを選んだ。


「闇の祭司」になってしまったというなら、

それはアスラ王に近しい道?

だとすると、天使シリスから見たら、「あの子」は裏切り者ということなのだろうか?

だから彼女は過酷な運命を?


でも黄金色の瞳の男は言っていた・・・。

「三人の天使が手を結んだ結果」が、

人間たちが自分たちの手で天空からの災厄を退ける手助けを行うことだったと。


これは私が直接聞いた話ではない。

「あの子」や夫から聞いた話だ。


もっとも、天使たちが協力関係にあったのは、

天空からの災厄だけの話であって、それを退けた後については全く関係ないということだろうか。


・・・何か見落としているような気がする。

それも今さっきの話の中でだ。

一連の話の中に違和感がある。

衝撃的な話を次々に聞かされたためか、自分がどこに引っ掛かっていたのか見落としてしまったのだろうか。


そもそも麻衣が仕える神というのは・・・


 「・・・メリーさん?」

思考の最中に女神に声を掛けられる。

今何を考えていたか、また忘れてしまったじゃない。

いったいなに?


 「先ほど私が感じていたズレの件ですが・・・

 少しお話させてもらっていいでしょうか?」


それって最初に言っていた話だったわね?

 「あら、何かわかったの?」


 「はい、メリーさんの人間として生きてた時代の件ですが・・・

 その、誰かの筋書きだったかどうかという話で・・・。」


ああ、その話ね。


 「もったいぶらなくていいわ?

 思い至った話を聞かせてちょうだい?」


 「はい、先程からの話を聞かせて頂いて、疑いを強めたのですが、

 やはり誰かによる筋書きは間違いなくあったように思えます。」


 「へぇ、それは心強い意見だわ、それで?」


 「・・・ですが、その筋書きの配役は元々決められていたのでしょうか?」


え?

何言ってるの?


 「どういうことかしら?

 意味がわからないわ。」


 「ええ、演劇の舞台を連想してもらえますか?

 劇には最初から決まっているストーリーや台本がありますよね?

 でも演者に関しては毎回一緒というわけでもなく、

 同じ劇でも時期や場所が違えば、演者は入れ替わりますよね?」


 「演劇に関してはわかるけども、それが私の過去に何の関係が・・・。」


 「私が最初にあなたの話とあなたの記憶と比べて感じたズレ・・・。

 そうですね、なんて表現すればいいのか・・・

 あなたの記憶の中の人たちはミスキャストとまでは言いませんが、

 別々の役を与えられても良かったような気がします。

 いうなれば主人公の座を演じれるものが複数配置されているような・・・。」


 「えっ?

 それは何?

 処刑されるのは『あの子』じゃなくてもよかったとか、そういうことを言いたいわけ?」



 「あ、い、いえ、そういう個別のイベントまでは特定できませんが、

 その先ほど、麻衣様がおっしゃってたイブの役割・・・ですか?

 それはたまたま、その役割を果たすのに、一番都合のいい位置にいたのが『黒髪の女の子』だったというだけのような気がするんです。」


 「は?

 それじゃなに?

 あの子の両親が許されない恋に落ちて王宮を飛び出したこともたまたま?

 平民の家で育てられたのもたまたま、

 魔女の疑いをかけられ、家族は死刑、自分自身も串刺しになるところだったっていうのもたまたま!

 天使シリスの子孫でないと解除できない封印をやぶったのもたまたまだとでもいうの!?

 あの子がいなければ『天空からの災厄』を食い止める21世紀の遺産を解放する事すらできなかったのよ!?」


一息で喋ってしまった。

自分は今、周りからは興奮しているように見えるだろう。

私に感情が復活していなければ考えられない行動だ。


 「申し訳ありません・・・。

 その中で、大勢の人間にとって重要なのは、天空からの災厄を払えるかどうかだけですよね?

 それは・・・他の人間には不可能なのですか?」


それは確か・・・二重の封印・・・。


あの施設に立ち入るのに最低限必要だったのが、

施設の入り口を開ける鍵となるアスラ王の紋章・・・

そしてもう一つ、天使シリスの血を受け継ぐ者が必要と言われていた。

その後は21世紀の科学技術の知識を持っている者。

それらが全て揃っていたからこそ、正常に「大地の槍」を稼働させる事が出来た。


・・・そう聞いている。


 「・・・当時天使シリスの血を受け継いでると言われたのは、

 神聖ウィグル王国のアイザス王と王弟ディジタリアスだけよ。

 二人とも男性、

 確かに条件はシリスの子孫という話だけだったから、彼らにも封印を解くことはできたでしょう。

 でも今の話は『イブ』の役目の話よね?

 男性である彼らではその前提条件を満たせない!」


こんなことは私の記憶を視たなら女神だってわかるだろうに。

想像以上にポンコツなのかしら、この女神。


・・・けれど私は女神を甘く見ていた。

この後、私は女神の予想すらできない無慈悲かつ容赦のない圧倒的な攻撃に、

反撃どころか手も足も封じられることになる。




 「・・・盲目の女性。」



 「えっ」

一瞬、何のことかわからなかった。

盲目の女性って誰のこt・・・え?

まさか!?


 「あなたが先ほど、言及を避けた方です。

 その方なら条件をすべて満たすのでは?」


なんで・・・どうして


 「え、待って・・・有りえない。」


 「どうしてですか?

 その方はウィグル王家ともう一つの・・・九鬼、ですか?

 二つの王家の血筋に当たるのでしょう?

 それにその盲目の女性は『黒髪の子』にはない超常能力の持ち主、

 そしてさらには21世紀からの転生者・・・

 それこそ巫女か聖女と呼ばれてもいいくらい・・・

 カリスマになる資格は充分備えてましたよね?」


そうだった・・・。

あの女はカラドックの妃であるラヴィニヤの・・・


確かにあの女の母親は、九鬼の暗部がウィグル王家から誘拐してきた王女だった。

だからこそ、自分の遺伝子を持つ赤ん坊に転生するのは容易。

でも・・・


 「ふざけないで!

 もともとあいつは私と同じ遺伝子異常の化け物よ!!

 あの女にそんな大役できっこないわ!!」


そうとも、

あんな性根の腐った女が聖女の役なんかに就けるわけがない!


 「でもその方なら、その21世紀の施設の封印は解けるのですよね?」


う・・・

 「そ・・・それは・・・そうなる・・・わね。」


否定しようがない。

血筋で言えば、彼女は「あの子」やアイザス王の従姉妹に当たる。

王宮でその真実が明らかにされることはなかったけれど・・・。

それにしてもつくづく思うのだけど、あの王宮、

王族が駆け落ちしたり、誘拐されたり、私が夜逃げできたりとか、

警備がザル過ぎない?


 「落ち着いてください、

 今の話なのですが、先に謝っておくべきでしょうか、

 実はその盲目の方が本命じゃないんです。」


え?


 「何・・・言ってるの・・・?」

女神の言葉は聞こえている。

でも、話についていく事が出来ない。


 「さっきの言い方を使えば、その盲目の女性でも主役にはなれる。

 でも、最も主役に相応しい女優は他にいる。

 私が称号を授けるなら・・・『太陽の巫女』、

 いえ、『太陽の祭司』とでもいたしましょうか。」



な に そ れ


 「バカげている・・・

 そんな、そんなのいるわけが・・・。」


 「ああ、ただごめんなさい、ここまで言っておきながら、

 そんなに強く主張できないことがありまして・・・

 それは、時期が・・・生まれるタイミングを間違えたのか、或いはそれも筋書きだったのか・・・

 その天空の災厄には間に合わなかったことが、私の説明の弱いところでしょうか。」

 

 「生まれるタイミング・・・

 何を・・・誰のことを言ってるのっ?」



 「もう分かっているんじゃ・・・いえ、気づいていたんじゃないですか?」


わかるわけないわ!!


 「私はあなたの記憶を見たんですよ?

 あの子ほど強い運命の光を持っている者は他にいない。」


嘘よ・・・そんなのが・・・いる、はずは




 「あなたが最も愛する人ですよ・・・。」


それは・・・そんな人は一人しか


 「あなたの一人娘」


え・・・






 「ミカエラ。」






以前書いたかどうか忘れてしまいましたが、


私の物語は

1作目が緒沢タケル編

2作目が斐山優一編

3作目がフラア・ネフティス編です。


この三本の基本ストーリーを作った後に

「白いリリス」(麻衣ちゃんここで誕生!)とか

「精霊たちの森」という短編が出来ました。

この二本は大学在籍時に所属していたとあるサークルの機関紙で公表しています。


そしてしばらくして2chのオカルト板にて「私メリーさん」スレを発見したのが、

「Lady メリーの物語」を書くきっかけとなりました。


さてくだんのミカエラ嬢ですが

彼女は上のいずれの作にも登場しません。


登場する予定があるとするなら、

フラア・ネフティス編が終了したのち、

生き残った人々の姿を描く後伝のような形で予定していたものです。

大人になったローリエと、白髪になったオールバックの男性とのエピソードもそこに入るでしょう。

ローリエがおじさんの家に行って、自分の子供を見せようとしたのは偶然ではありません。


「・・・あの人の家に行って良かったね。」

「ほんとだよね、おじさん、あたしのママのことであんなに引きずっていたなんて知らなかった・・・。

もっと早く行けたら良かったのに・・・。」

「お腹が大きかったんだから無理だよ、

それにそれまではあの人も軍のお仕事で身動きできなかったろうし。」

「うん・・・、そうだよね。」

「そういえば、ローリエ、あの話しなくて良かったの?」

「え? もしかしてあたしの夢の中で、

黒髪の綺麗な女の人が出てきて、おじさんの所に行ってあげてって告げてきた話?

そんなの言えるわけないよー、

こいつ、何言ってんだーって思われちゃう!」

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