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第三百六十五話 いま不死の妖魔の話をしているの

ぶっくま、ありがとうございます!


「いいね」って何したいんだろう?

評価ポイントに計上されないのなら意味がないような・・・。

<視点 メリー>


私と麻衣が夢で繋がったことがある?

彼女の母親の時でなく、私がこの人形に転生してから?



 「ちょっと待って・・・?

 そんなこと・・・え?

 そういえば・・・え、いつの話かしら。

 記憶にあるような・・・でもかなり昔の話・・・?」


 「メリーさんも夢見るんですかね?

 ていうか、あの体験があったから、あたし、鬼人の時にメリーさん召喚できたんですけどね。」


人形も夢を見るのかしら・・・

なんだったっけ、人形のきゅ~g・・ゲフンゲフン、今はその話じゃないわね。


 「そういうことだったのね、

 え、でもそれが今、なに?」


 「あの時、あたしが視たものって、

 あたしが自分で視たのか、誰かに見せられたものかもわからないんですけど、

 その時に・・・多分いまメリーさんや女神さまがおっしゃってた黒髪の女の子、

 あたしも視てますよ。

 あと、白髪交じりのオールバックの男性と、黄金色きんいろの瞳の人。」


この子、一体何者なの?

虫も殺せないようなあどけない顔の癖に・・・

そういえば麻衣は妖魔で・・・称号に『闇の巫女』と・・・。


 「・・・それでいったい何を?」


 「たぶん、その子・・・別の称号があります。

 名付けるなら・・・『闇の祭司』・・・そしてその時代のイブ。」




私の中で思考が止まってしまっていた。


え?

この子、何を言い出したの?


厨二?

そういうお年頃なの?

え、でもこの子、高校一年生って言ってたわよね?

まだ卒業できないの?

そのうち「うっ、右手の紋章がっ!」って言い始めない?


 「あっ、あの、メリーさん、

 ナチュラルに人を落とさないでくれます?

 一時はそのカラダはママのものだったんで、その姿で突っ込まれるとあたしの精神に尋常じゃないダメージが・・・。」


あら?

読まれちゃった?

 「ごめんなさい、でもどういうこと?

 なぜ、400年前のあなたに、それも別世界の出来事について知ることができると言うの?」


 「ううう、ホントに仰る通りなんですけど、

 夢に映像が流れてきたとしか言えないんですよ、

 黒髪の女の子って・・・結末は・・・火炙り・・・ですよね、

 そしてオールバックの男性は・・・その子を敵に売り渡して・・・。」


なぜ




 「・・・どうして、そんなことまで・・・」


カラドックが「もう驚かない」とかこぼしていた。

前にもこんな事があったのか。


 「それで・・・男の人は、ずっと、苦しんでいて・・・

 その罪から逃げるように・・・

 あ、それと、黒髪の女の人、若い頃に自分のお兄さんに酷い目に遭わされてないですか?」


苦しんで・・・

それを人前で見せることは決してなかったけれど・・・


 「驚いて声も出ないわ・・・、

 麻衣、あなたの知っていることを全て教えて。

 事によったら私の知らない事までも知ってるのかもしれない。」


だとしたら女神よりも役に立つじゃない。

けれど麻衣は慌てて手を振る。

 「い、いえ、それほどその人たちのエピソードを視たわけじゃないですよ?

 さっきも言いましたけど、ビジョンが流れて来るっていうか、

 そういうものだとあたしが認識しちゃっただけなので・・・。」


 「さっき言ってた『闇の祭司』? それとイブというのは?」


 「闇の祭司はあたしにもよく・・・

 称号であたしにつけられた『闇の巫女』と関わりがあるのは間違いないです。

 多分ですけど、あたしの場合『声を聴くのが』巫女だとすると、

 その子には、祭司として何らかの役目があるんだと思います。」


何らかの役目・・・?

天空からの災厄を退けた事だろうか?

でもその事が「闇」と呼ばれることに違和感しか浮かばない。


 「闇って何?

 別にあの子は聖女ではないけども、逆にそんな不吉なものと結び付けられる謂れもないわよ?」


 「あ、それは別にそんな大きな問題じゃないです、

 闇属性自体に善悪も吉凶もありませんよ。

 連なる事象としては、死もありますけど、眠りとか、夜とか、精神、魂とか、

 そもそもメリーさんの人形ボディも闇属性だし、今さっきの深淵の黒珠も闇属性だし。」


それはそうなのだろうけども・・・。


 「ではイブって?

 アダムとイブの話?

 それが何の関りが?」


 「あ、そっちは少し説明できます。

 アダムとイブと言っても、天地創造の時の話じゃありません。

 あたしたちの世界では、時代の節目節目・・・歴史の転換点に一組の男女が現れるそうなんです。

 その記念すべき一番手が、特定の地域でアダムとイブという名前で伝えられているってだけで、

 今のあたしが喋った名前は便宜上のものです。

 あれ? ていうかメリーさん、その人形のカラダにその情報入ってませんでした?」


 「え? どういうこと?

 この人形のカラダにどんな関係が?」


 「あ、そうか、別にイブと言ってもただの役割だから、サイコメトリーで読めるような情報でもないのかな?

 あ、えっと、メリーさん、

 そのカラダのモデルとなった女性自体、当時の時代のイブのものですよ。

 自分の役目を放棄して神様に呪われちゃったって話ですけど。」


話のスケールがとんでもないことになっている。

私が人間のままだったら、今頃熱を出してぶっ倒れていることだろう。


 「・・・全く知らない情報だわ・・・。

 その話は誰から?」


 「・・・その神様の眷属の方です。

 もう生きてないみたいですけど。」


 「ちょっと待ってくれるかしら?

 考えが追い付かない。」


そもそも今、何のお話してたっけ?

違う話になっているような気がするけど、確かにこの話を無視するわけにもいかない。

けれど麻衣は容赦という言葉を知らないのだろう。

少し間を置いてくれたようだが、こちらの頭の整理が出来てないうちに更なる追及をかけてくる。


 「そもそもメリーさん、

 そのカラダはどこで手に入れられたんですか?」


ああ、それも懐かしい話ね。

思い出すわ・・・。


 「・・・『禁断の土地』と言われた夜の森よ・・・。

 周辺の住民には、絶対に夜の時間にそこへ足を踏み入れてはならないと言われていたわね。

 この人形のカラダは、

 濁った沼とボロボロの小屋のような家の納屋に無造作に寝かされていたわ、

 カラダじゅう、何十発もの弾丸を喰らったような跡が・・・」


そこまで言って、麻衣の顔が歪んでいたことに気付く。


そうだ・・・それは彼女の母親の・・・

でも、変よね?

彼女の世界とは異なるはずなのに。




ちょっと間があって、ようやく絞るように彼女は言葉をひねり出した。

 「・・・それって間違いなく『夜の森』のことですね、

 あれ? 

 そこに二人の妖魔がいるって聞いてましたけど、その人たちはいませんでした?」


そうだ、

そこに二体の気味の悪い化け物がいた筈だ。

けれど私はそれらを目撃していない・・・。


 「・・・これ以上、何をどう驚けばいいの・・・。

 確かにそこに男女二人の妖魔がいるとは聞いていたわ。

 実際、私の夫も、まだ黒髪のその子が生きているうちに、

 一緒にその森に入ってしまい、妖魔を目撃したそうよ。

 彼らには普通の剣も、『紋章』の力を使った雷撃も、一切効かなかったというわ。」


そして夫は逃げ出した・・・。

あの子を置き去りにして・・・。


 「あ、その妖魔たちが、かつてのアダムとイブの成れの果てです。

 神様から不死の呪いを受けてるそうですから、何の攻撃も効かないんでしょうね。」


いや、そうだ・・・

確かにこの人形に転生した時に、

人形に関わった女性たちの記憶が流れ込んで・・・


 「・・・確か名前が・・・記憶に・・・

 フラウ・ガウデン・・・そしてエックハルト?」

 「あ、それですそれです、

 あたしも人から聞いた話だし、そんな細部まで覚えてませんでしたけど、

 その二人には会わなかったんですか?」


 「私があの家に入った時には・・・。

 人が暮らしていた痕跡はあったけども、床も家具も埃だらけで・・・

 何年も何十年もほったらかしにされてたようよ?」

やかんの水は腐ってたし、そこらじゅう蜘蛛の巣だらけだったしね。


そこで麻衣の様子が変わる。


 「・・・え?

 それはおかしいです・・・。」


 「おかしいとは・・・何故?」

 「だって、その人たち、神様から永遠の呪いを浴びてるんですよ?

 それは決して死ねない事と、その森から永久に出られないという・・・。

 たまたまその家から出かけていただけならともかく、そんな長期間不在にするなんて・・・

 え?

 まさか・・・呪いが・・・解けた?」


最後に彼女はうつむいてしまう。

何か解答を得たのだろうか?

 「麻衣・・・?」

 

そして麻衣は顔を上げる。

まるで私に何かを求めるかのように。


 「あ、あの、さっきメリーさんの旦那さんと黒髪の子がそこに入ったって言ってましたよね!?

 その二人の妖魔に何かしたんですか!?」



 

ようやくメリーさんをこの後、どういう扱いにするのか最終形がつかめてきました。

それはこの場ではありません。

もう少し先の出来事で。


下書きもかなり充実してきましたが、各エピソードを後いかに繋げていくかですね、

それで女神アフロディーテの役目はほぼ終わりかと。


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