表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
364/748

第三百六十四話 いまお話が続いているの

ぶっくま、ありがとうございます!


むぅぅ、最近ノートパソコンのキーボードの「あ」の反応が鈍い・・・。

打ち込みにかなりのストレスが・・・。


<視点 メリー>


生意気な女神は私の娘語りを中断させた。

その罪万死に値すると思うのだけど、

確かに元々この話をしていた筈だったのだから見逃してあげるわね?


 「つ、続けますね、

 白い・・・いえ、白髪交じりのオールバックの男性が・・・

 あなたの記憶からはその方に笑顔の一つも見えません。

 あ、この方も同じ紋章を身につけてますね。

 ではこの方が、あなたの配偶者で・・・あの方の子孫ということになるのでしょうか。」


 「ああ、ええ、恐らくその通りなのでしょう。」

私達を置いて勝手に死んでしまった大バカ野郎だ。


 「そして、最初にお話しした黒髪の可愛い女性と、こちらの男性が・・・。」


 「そうね、私が観劇していたのは、その二人の舞台といったところかしら。

 片や、アスラ王の子孫、もう一方は天使シリスの子孫、

 それぞれ私の人生にとてつもなく関与した二人だわ。」


女神はしばらく黙ってしまう。

私の記憶を精査しているのだろうか。

やがて何かを諦めたのか、ゆっくりと口を開いた。


 「・・・なるほど、これは厄介な・・・

 いえ、先に行きましょう。

 他にあなたの記憶の中に生きている人は・・・

 まぁ・・・美形!

 銀髪で氷のような瞳の青年・・・貴女にかしづいている姿が視えますよ?」


ザジル・・・のことね。

 「・・・私が王妃だった頃の専属ボディーガード。

 彼のことを考えると心が痛むわ。

 彼も私が殺してしまったようなものだから。」


 「貴女への忠誠心と、黒髪の女性への恋心を利用したのですね・・・。」

 「そんなことまでわかるのね・・・。」


ザジルは最後まで私を疑わなかった。

自分の気持ちに正直で・・・私の夫とは正反対のバカだったのだろう。

無事に帰ってこれたら「あの子」の元へ参りますと、これ以上にないほどの盛大なフラグを立ててそのまま戻らぬ人となった。


  「それと・・・あら、これは、

  金髪で盲目の女性「その話はいいから。」ぇっ!?」


油断していたわ。

そういえばそんな女もいたわね。


 「えっ、は、はい?」

その話はいいと言ったのよ、聞こえなかったの?


 「そいつの話はしなくていいわ。

 別に恨みもないけど、わざわざこの場で思い出す必要は全くない。」


私の化け物時代からの因縁・・・。

カラドックの妃となったラヴィニヤの母親でもある。

「あの子」がラヴィニヤにそっくりだとかツォンが言うから、

あの女は「あの子」の母親気取りになってとてもうざかった。



 「わ、わかりました。

 ・・・次が最後でよさそうですね・・・。

 え?」

女神の驚愕の表情が今までにないほどだ、

そんな人物、私の記憶の中にいただろうか。


 「どうしたの?

 誰の姿を見たの・・・?」


 「な、なんですか、だ、誰ですかこれ!?

 どうしてこんな人間が普通に存在できるのですか!?

 きょ・・・強烈な光のイメージ・・・!?

 し、しかもこのエネルギーは私達オリオン神群の誰よりも強い!!

 背が高く光り輝くブロンドヘアーと・・・

 奥を見透かす事の出来ない黄金色きんいろの瞳!!

 ば・・・化け物・・・!?」


オリオン神群とは女神の種族の名前だろうか。

まぁ、いまはどうでもいいだろう。

そんな異常な姿をした奴なんて一人しかいない・・・。

 「ああ、奴を視てしまったのね、

 私自身、彼には二回ほどしか会ってないと思ったけども・・・。

 そいつが・・・私達の運命を弄んだ犯人の最有力候補容疑者よ。

 ちなみに対抗馬が天使シリス。」


奴は自分で自分のことを「光の天使」と呼んでいた。

「月の天使」と呼ばれたシリスに対抗しているつもりだったのだろうか?

だが、確かにそれだけの能力を持っていたかもしれない。

私の能力は何一つ通じなかった。

先程話に出かけた盲目の彼女の能力も通じなかったという。

それどころか九鬼帝国の暗殺部隊が束になっても敵わなかった。

その能力は「完全未来予知」。

自らが封印されていたにも拘らず、私達の時代に起こった天空からの災厄も、全て遠い過去の時点で知っていたという。



それだけの能力を持ちながら、イズヌ軍と東方教会の共同戦線に呆気なく捕まり、

何のどんでん返しすらなく処刑場で首を刎ねられた。


恐ろしいのはその後だ。

彼は自らの信徒に、自分が処刑後に死から甦ると予言を残し、

見事三日後の日没時に自分の墓穴から這い出てきたというのだから。


イズヌ側も、間違ってもそんなバカなことが起きる筈もないと、不測の事態が起きてもいいように、奴の遺体の傍で大勢の兵士たちを配置させておいたにも拘らず、その時同時に起きた大地震のために、誰もその瞬間を見ることも出来なかったらしい。

首は元通りだったそうだ・・・。


そして殆どのイズヌの高官や役人たち、国王含め、彼らが腰を抜かしている間に、

どこか大空の彼方にへと飛び立ってしまったという。


以来、誰も「光の天使」の姿を見た者はいない。




 「・・・大抵のことには驚かないつもりでしたけど、私も甘く見ていたようですね。

 それでメリーさんは、今の記憶に会った方々が死んでしまった・・・

 いえ、死なせてしまったことを・・・

 他に回避させることはできなかったのか、

 誰かの筋書き通りなのか、

 それを知りたいということで良いのでしょうか・・・?」


それで良かったんだったっけか・・・。

確かに今、過去のおさらいをした結果、それらを知りたいという自分の欲求を切に感じる。

 「私が心を痛めているのは最初の黒髪の子、

 そして私の夫、後は銀髪のボディガードの子だけよ。

 それぞれ私も彼らの死の原因の一つではあるので、他人のせいにするなという意識自体はあるのよ。

 ・・・それでも、私が何もしなくても運命は変わらなかった気がしてならないの。」



 「・・・なんというか・・・正直『違和感』がありますね、

 メリーさんの記憶の中のイメージに・・・。」


 「違和感・・・?

 どういうことかしら?」


 「ごめんなさい、私もまだよくわからないというか・・・

 なにか『ずれている』とでもいうのでしょうか?」


なんなの?

役に立たない女神さまね。

 「それじゃ何が何だかさっぱりわからないわよね?」


 「・・・ええ、申し訳ありませんが・・・。

 ええと、そもそもメリーさんは、その黒髪の女性について、死なせてしまったようなことを仰ってますけども、誰が彼女の死を望んでいたというのです?

 そのシリスという天使が?

 それとも黄金色きんいろの瞳の男性?」


 「・・・私の化け物時代の仲間が、寄ってたかって彼女を追い落とそうとしたわ。

 ある者は彼女を借金漬けにしようと、

 ある者は宮廷内で一大スキャンダルに陥れようと、

 またある者は彼女を暗殺しようとも・・・。

 でも彼らではない。

 確かに彼らの最後の作戦で彼女は命を落としたけども、

 回避する手段はあった。

 もう・・・私以外ほとんど全員返り討ちに遭ったのだから・・・

 命を拾うだけならいくらでも助かる筈だったのに。」


私の仲間にしてもろくな奴らじゃない。

せっかく新しい人間のカラダを手に入れたのだから、それなりに幸福な人生を謳歌すれば良かったのに、400年前の復讐心に身を焦がして死んでいった。



 「なるほど、

 だから貴女の能力でも見通せない強大な存在が裏にいたのではないかと・・・。」


 「そんなところかしらね。」


 「では逆に、その天使シリスでも黄金色の瞳の男でも良いのですが、

 彼らがその子の『死』を望む理由は何でしょう?」


 「えっ?」


 「ましてや黄金色の瞳の男はともかく、

 天使シリスという人はその子の先祖でもあるのですよね?」



横でカラドックが「あっ」という顔をしていた。

ここに来る前に私の友人の話をちょこっとしたものね。

あの時に話した平民出身の王女の話を思い出したのだろう。


いえ、今は・・・


 「・・・そうなのよね。

 それで天使シリスが筋書きを描いているという推測が弱くなる。

 そうなると、黄金色の瞳の男なのだけど・・・。」


 「まだ何か天使の方に拘る理由が?」


ええ、と、ここから先は気を付けなきゃね、

カラドックに、彼の従者であるツォン・シーユゥが400年後に目覚める話は聞かせないほうがいいだろう。

歴史が変わる恐れがある。


なにしろ、

シリスはツォンに、未来で目を覚ましたら、そこにツォンの助けを必要とする者がいる、などとのたまったそうだ。

そしてそこに「彼女」がいた。



 「・・・その黒髪の女の子は、周りに天使シリスの祝福を受けているなんて言われていたのよ、

 称号があるとするなら『天使の娘』或いは『月の娘』とも。

 私はまだ神聖ウィグル王国に嫁ぐ前だけど、実際に奇跡が起こったという噂もあるの。

 本人は何が何だかわからなかったって言ってたわ?

 それが真実だとして、

 そこまで斐山・・・いえ、シリスに目をかけられていたあの子が、

 まるで見放されたみたいに、舞台から降ろされる姿がどうしても私には受け入れられないの。」


カラドックがわきゃわきゃと挙動不審。

あなた王様でしょ?

もっと落ち着いたら?

ケイジが生暖かい目で貴方を見ているわよ?



 「・・・では黄金色の瞳の男の方は・・・。」

 「そっちはさらに意味も目的も不明。

 あの子に近づいて、いろいろな話をしていたらしいのだけど、

 彼女を自らの信徒にするようでもなし、

 危害を加える様子もなし、

 ある意味、彼女をからかい続けていたという表現があっているのかもしれない。

 その男自身の目的は『人間を神に進化させる』と言っていたらしいけど、

 彼女本人も胡散臭すぎて信じられないと言っていたくらいよ。」




 「あ、あの・・・いいですか?」

私の反対側に座っていた麻衣が手を挙げる。

女子校生らしくていいわね。

私は学校通った事ないけども。

 

 「あら?

 今の話に気になる事でもあった?」


麻衣も母親のカラダを通じてこの人形の知識がある。

とはいえ、それは別世界の話だし、さらに私の時代よりも400年前のものだ。

参考にはならないと思うのだけど。


 「あの・・・メリーさん、

 昔・・・といってもあたしの世界の時間軸で二年前ですけど、

 あたしとメリーさん、一度夢で繋がったの覚えてます?」


え?

いきなり何?


 

ケイジが生暖かい目で貴方を見ているわよ?


ケイジ

「・・・あ、やっぱりマルゴット女王やイゾルテと血がつながってやがる」



ザジルの名前は今作で初めて出した筈。前作に彼のエピソードと、VRoid画像乗っけたっけ?


盲目の女性の方は、「なろう」ではエピソード載せて・・・ないと思った。

彼女は21世紀の斐山優一君主人公の世界で、

メリーさんの中の人と同じ組織で足の引っ張り合いをしてた人です。

何しろその組織で女性は二人だけだったもので・・・。


化け物同士の間に生まれたラヴィニヤちゃんが、人間の姿で産まれたのを優一君の起こした奇跡と信じて以来、組織に二心を抱くように。

自分の姿が化け物であったために、彼女は自らの素顔を娘に見せることもなく殺されました。

そして、産まれかわった400年後で、その世界の主人公が自分の娘に似ていると言われた日にゃあねぇ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
表紙
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ