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第三百五十七話 ぼっち妖魔は橋渡しする

ぶっくま、ありがとうございます!


最近あるネタ探しにアイヌの神話を見ていたら、どうみても「ノアの洪水」説話と思われる記述をwikiで見つけました。

まぁ、洪水じゃなかったですけどね。

洪水説話は近くに氾濫するような大きな川がないと広まらない話の様ですから。

<視点 麻衣>


うううう、やっちゃった、

ぶちまけてしまった。

ああ、皆さんおひさしです、麻衣です。


あ、話戻しますね。

だってですね、

これでも結構あたしの精神に負荷かかってたんですよ、

あの天叢雲剣から読み取ったあのお兄さんの感情の津波。


あのままあたしの心の中に溜め込んでたら、何のきっかけで暴発するかもわからない。

どこかで放流せざるを得なかった。


もちろんあたしが聞いた、女神さまの過去に憤ったのは本心だ。

リーリト的にも一般のか弱い女子校生としてもおかしな反応ではない。


女神さまの怒りもよくわかる。

ただ・・・お兄さんの恋人との微妙な関係についてはあたしは立ち入るつもりはない。

本人たちの完全な色恋沙汰の問題である。

あたしはどちらの肩入れもする気もないし、女神さまがそれを悔いていることに対して何も言うことはない。


・・・そう思ってたら、ケイジさんが横やり入れてきた。

また空気も読めずに余計なことをと思ったけども、

今回は真っ当なことを言っている。


恐らく前世でやらかした事が関わっているのだろう。

その内容については詳しく聞いていない。

あたしの恩人兼ご主人様的な人に当たるお兄さんのお姉さんを殺した事が関わっているようだけど、

ケイジさんにそっちの世界の記憶はないらしい。


パラレルワールドだか何だか知らないけど、どれが何やらこんがらがって頭が痛くなる。


転生者・・・

今のところ明らかになっているのは、

女神アフロディーテさま、

死んでしまった魔人ベアトリーチェさん、

その息子魔王ミュラくん、

それと、あたしとリィナさんしか知らない筈だけど、狼獣人ケイジさんの以上四人。


この人たちは、あたしやカラドックさん、そしてメリーさんとは違うパターンでこの世界にやって来た。

何かの法則や条件があるのだろうか?

ケイジさんが言っていた償い? それともやり直し?


誰がそんな温情を?

あのお兄さん?

お姉さんを殺されたあの人が、犯人のケイジさんに何の義理があるのだろう?

では少年か?

少年はケイジさんのお父さんだという。

親子仲は良くなかったそうだけど、少なくとも目をかける理由はあるかもしれない。

でも少年て、アフロディーテさまと何の関係もない筈だ。


・・・それとも全くの見当違いで、

他にこんな舞台を設定できる人間がいるとでもいうのだろうか?


まったくわからない。

ていうか、そもそもあたしは部外者だ。

天叢雲剣の映像に、確かにあたしが関わった人たちがいる。

でもあれは全てあたしの世界の出来事ではない。

もしかしたら似たような運命が待ち構えているのかもしれないが、

少なくともあたしが関わる余地はない。


メリーさんがとんでもない恐ろしい情報、ぺろって吐き出してくれちゃったけど、

400年後の話なら、いくら長生きするはずのあたしでも、さすがにお迎えが来ている。

しかも人類は救われるそうだから安心しておこう。

こっちも大丈夫。


じゃあ後はあたしの本来の仕事だけ集中すればいいよね?

アフロディーテさまが落ち着いてきたところで、

ラプラスさんと布袋さんが「そろそろ・・・。」と目配せしてきた。

あたしに何ができるか分からないんだけど、一応あたしは「闇の巫女」らしい。

今一つ意味合いが分からないけど、やってあげましょうじゃありませんか!

報酬期待してますからね?



布袋さんが背中の大きな包みから、丸く黒光りする石を取り出した。

うわ、なんだ、あの魔力波動。

オニキス?

それとも黒水晶モリオンか?

真っ黒じゃなくて若干透けている。

あっ、これが深淵の黒珠だね?


 「ああっ、魔法都市エルドラの至宝!!」

アガサさんが身を乗り出してくる。

彼女が冒険者パーティーに加わったのはこれが目的だものね、

興奮するのは仕方ない。


 「麻衣様、深淵の黒珠を乗せる台座を用意しました。

 こちらに設置いたします。

 麻衣様には手を伸ばしていただく形になりますが、

 態勢が辛いようでしたら我々に声をかけてください。」


女神さまの前にラプラスさんがマイクスタンドのような台座を置いてくれる。

台座はちょうどあたしの目線の上くらいだ。

そこに置いた黒珠に手を触れろということだろう。

これに掌を乗せるだけなら、そんな辛い態勢にはならないと思う。

女神さまにしてみればみぞおちくらいの高さかな。

あたしは女神さまを見上げる。

 「この位置で大丈夫なんですか?」

 「はい、大丈夫です・・・。

 それで麻衣様。」

 「はい、なんでしょう?」

 「麻衣様も、人間にしては大量の魔力を持ちですのでお分かりかとは思いますが、

 これから私の魔力を深淵の黒珠に注ぎ入れていただきます。

 その時、私の魔力で麻衣様が一種の中毒症状を起こすかもしれませんので、

 決して大量にやろうとしたり、結果を急ぐことのないようにお願いいたします。」


なんだとうっ!?

い、今になってそんな・・・


 「う、うえ・・・はい、わかりました・・・。」

 「麻衣様の才能と能力なら問題ないと思いますので念のためですよ?」

 「え、ええ・・・?」


そりゃ普通の人よりかは、いろいろ特殊な能力持ってますけどね?



 「あ、あとそれと話は変わるのですが・・・。」

女神さまの声が少し震えている?

 「は、はい、あと何か・・・?」

まぁ、あたしもだけどさ。


 「麻衣様は・・・あのお方のことをご存知なのですよね?

 天叢雲剣の映像とかでではなく、直接・・・。」


うん、さっき、布袋さんからも聞いたって言ってたもんね。

 「ああ、ええ、以前危ないところを助けてもらいました。」

 「あ、いえ、それもそうなのでしょうけど、

 その・・・もっと深い部分で・・・。」


あっ、そういうことかな?

あたしはニコッて笑う。

 「安心してください、

 あの人はあたしにとって恩人というかご主人様的な人です。

 異性としては意識してませんから気にしないで大丈夫ですよ?」


まぁ、仮にデートとかお誘いしてくれたら、ほいほいついていきますけどね、

腕とか組んでくれちゃったりしても全然オッケーです!

あ、でも身長が合わない・・・。

あたしが一方的に腕にしがみつくしかできないじゃないか。

そもそも、残念ながら向こうにとってもあたしは対象外だろうしなぁ。


 「ふふふ、気を遣ってくれるのですね、

 ありがとうございます・・・。」


いや、あれ?

まだ不安そうだな。

 「女神さま、・・・まだ何か気になることでも?」

 「・・・ええ、自分で望んでおいて、いざとなると・・・

 先ほど、メリーさんに素敵な話を聞かせてもらったので、かなり安心できたと思っていたのですが・・・。」


あっ、もしかしてあの兄さんに疎まれていたりとか、よくないものを視てしまう可能性もあるのか。

そりゃ刃物ちらつかせて復縁迫る美女の構図は、男の人としても引くよね・・・。


あのお兄さんなら大丈夫だとは思うけど、

当の女神さまにしてみれば、いろいろ都合のいい事ばかり起こるとは思えないのだろう。

 「だいじょうぶですよ、

 あの人、ここまで流れを作られておいて、へたれるような人じゃないですよ。」

 「へたれ・・・ふふ、そうですね、

 肝心の私が尻込みしている場合じゃありませんよね・・・。

 勇気が出ました。

 麻衣様、ありがとうございます・・・。」



よし!

ではいっちょやりますか!




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