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第三百五十四話 虐げられし女神

ぶっくま、ありがとうございます!

<視点 まだまだケイジ>


 「・・・なんだって・・・」

カラドックが麻衣さんの話を聞いて衝撃を受けている。


 「その人は泣きながら剣を振るってました。」


 「泣き・・・ながら?」

 「はい、特に日浦のおじさんと戦った時に・・・。

 たぶんあれは、あの人のお姉さんなんですかね・・・。

 日浦のおじさんは、そのお姉さんと相思相愛っぽかったみたいです。

 周りが反対してたのか、それとも最初から敵味方だったのか、付き合ってたりとかはしてなかったみたいですけど・・・。

 でも・・・騎士団はきっと、そのお姉さんを殺してしまった・・・。

 あの人の心は、その憎しみと怒りの感情でぐちゃぐちゃになってました。」


今の話・・・なんだ?

あれ?


 ガチャン!!


 「「ケイジ?」」

あ? ヤバい、

紅茶のカップを落としてしまった。

カラドックとリィナが何があったのかとオレを見る。


 「わ、悪い、話に熱中して手を滑らせてしまった。」


すぐにラプラスが掃除してくれた。

オレはみんなに頭を下げる。

 「麻衣さん、話の腰を折って済まない、

 気にせず続けてくれ。」


今の・・・麻衣さんの話・・・

その人物の姉を殺したのって・・・オレのことじゃないのか!?

オレの記憶には全くないもう一つの世界の出来事。

・・・何故ここで知らない筈の記憶が蘇る。

オレがあの暗闇の中・・・ライフルで狙いをつけて・・・


オレとラプラスの片づけ終わるのを待って、カラドックが質問を続ける。

 「麻衣さん、その天叢雲剣の映像ってのは、麻衣さんの世界の話ですらない・・・んだよね?」

 「わかりませんけど、あたしの知る限り、世間でそんな物騒な戦争起こってないので、

 そう考えた方がいいのかなぁ、と・・・。」



一方・・・

 「天叢雲剣・・・ですかっ!?」


女神アフロディーテに反応があった。

 「そこに・・・あるのですか!?

 あの人が肌身離さず持っていたいかづちを呼び起こす剣が!!」


 「「「えっ」」」


 「し、知ってるんですか、女神様!?」

 「存じていますとも!!

 え、それがどうしてこの世界に・・・

 リィナ・・・さん?

 その名前・・・ま、まさかあの方の・・・。」


自分の話題になったと思ったのか、リィナが自信なさげに立ち上がる。

おずおずと腰元の天叢雲剣を取り外して、

リィナは戸惑いながらも、その赤みを帯びた刀身を抜き放つ。


 「あ・・・あああ、そ、それです!

 間違いなく天叢雲剣!!

 リィナ様はこちらの世界の方の筈ですよね?

 あの方の関係者なのですか!?」


 「あ、えっと・・・。」


向こうの世界の知識が全くないリィナじゃ説明できないよな。

それがわかっているからか、麻衣さんが助けに入る。

 「あ、リィナさんからは話しづらそうなんで、言い出しっぺのあたしが説明しますね?

 えーと、女神さま、これまであたし達で話し合っただけで、確証は一切ないんですけど、

 あたしがサイコメトリーで感じるに、リィナさんと・・・恐らく女神さまの恋人の方とは何らかの繋がりがあります。

 ・・・じゃあ、それが何かって言うと、

 カラドックさんの元の世界には、カラドックさんの知り合いにリナさんという人がいて、

 リナさんとリィナさん、お二人の顔立ちはそっくりだそうです。

 そしてその世界のリナさんは・・・アスラ王って人のお孫さんで・・・

 そのアスラ王って人が、多分女神さまの恋人なのかなと、まぁ推測段階なんですけど。」


麻衣さんがオレたちを見回して、そんな説明で大丈夫ですか?みたいな目で確認する。

オレたちは一度話を聞いてるから分かるが女神の方はどうだろうか?


 「ア・・・アスラ・・・?

 それは確かあの方が、黒十字軍に紛れ込んでいた時に名乗った偽名です!!

 では、そのリナさんという方があのお方の・・・ということは・・・

 お相手は・・・ミィナさんでしょうか・・・。

 良かった、生きて・・・いらしたのですね・・・。」


ミィナ?

どこかで聞いた名前・・・あ、その名前はベアトリチェが言ってたよな?


オレと同じ疑問をカラドックが口にする。

 「そのミィナさんというのは?」


そこで女神が口ごもる。

言いづらい事のようだな。


 「あ、あの方の・・・本当の想い人です・・・。」

 「え? 本当の? それでは女神様は?」

 「・・・。」

 「女神様?」


女神はカラドックから視線を逸らしてしまった。

そこでようやくカラドックもデリケートすぎる質問だったと気づいたようだが、もうどうしようもないな。

話題を変えるか答えを待つか・・・。


まだ女神は口を開かない・・・。

何か思い悩んでいる・・・いや、覚悟を決めたかのようだ。


 「ここから先は・・・私の口からは・・・、

 いえ、このようなはしたない姿を晒しておいて今更でしょうか・・・。

 仮にも女の身である私にとって、特に男性がいる前では耐えがたいほど恥ずかしい話になりますが・・・

 これも巡り合わせの縁、でしょうかね、

 気持ちの悪い話になるかもしれませんが、それでも宜しければお話いたしましょう。」


カラドックも、「無理には・・・」と言いそうだったが、

このまま話の流れを止めたくはなかったのだろう。

ここでは口を挟まないことの方が良いと判断したようだ。


 「・・・私が地下世界から誘拐された時、

 地下世界にはレーテという名の忘却の女神がおりました。

 彼女は自らの神域テメノスに、その水を飲めば物事を忘れてしまうという『レーテの泉』の管理者でもありました。

 黒十字軍の者はその泉の水を大量に盗みだし、この私に日常的に飲ませるようにしたのです。

 結果、私は自分が女神であることも、その能力を持っていることも、

 地下世界の住人であることも忘れてしまい、

 何もわからぬまま、黒十字軍が管理するある領土の戦利品扱いとなったのです。」


 「戦利品・・・というのは・・・捕虜とかではなく?」


 「はい、最初黒十字軍側は、その都市を実験都市と呼んでいました。

 法律だけ先に定めておいて、その中で三か月おきに領主になろうとする者が殺し合いを行い、勝ったものがその都市の領主となる。

 そしてその領主は法律の枠内である限りどんな自由も権利も与えられます。」


どっかで聞いたような話の気がする。

 「まるで魔族の社会形態ですよぅ。」


あっ、そうだ、ヨルの街がそうじゃないか?


 「そして・・・私はその都市の・・・領主の持ち物として、ただの慰み者となったのです。」


・・・なんだって?



しばらく誰も口を開けなかった。

女性陣はなおさらだろう。

こんな美しい女性が・・・


 「その殺し合いが起きるたびに街の広場で晒しものになりましたよ?

 領主となった者はこの女を好きにする権利が与えられるぞ、

 命を懸けられる者は奮って参加するがよい、などと広められて・・・。」


 「そ、それはいくらなんでも酷すぎますよぅ!!

 もしヨルがそんな目に遭ったなら、関係者全員ぶった切りにしてオークのエサにしてやるですよぉぉぉっ!!」



 「ふふ、私にはご覧の通りこんな細腕ですから、抵抗する手段などありません。

 ・・・そればかりか、

 それこそ下手をすると、一定の期間ごとに私を抱く男は変わるのです。

 その度に前の男はどうだったのかとか、

 オレの方がお前を喜ばせてやれるとか、執拗に弄ばれ続けました・・・。

 昼も夜もなく一日中寝室に篭って責められ続けたりとか、身体中の穴を塞がれたり、強制的に体液を噴出させられたりとか・・・

 ・・・あ、一応私も無自覚に能力を使ってはいたようです。

 肉体的傷害までは防ごうと、相手に自分を好意を持たせるようにはしていたみたいですが・・・、

 ああ、いろいろ思い出さなくていいものまで思い出してしまいました。

 屈辱と恥辱と憤怒・・・マグマのように滾り始めてきたようです。

 フ、ウフフフフフフフ・・・。」

 

え・・・周りの空気が何かおかしい。

洞窟揺れてない?

これ・・・女神の怒りのオーラ?


 


別の物語の主人公が通ったルート

地下世界からの脱出

主人公とミィナが廃墟となった東京へ戻る。

爆発(犯人ケイジ)事件後の実家が大根畑になっていた。

高校時代の親友(♀)を見つけるも、精神に異常をきたしていた。

剣術を教えてもらっていた男が既に黒十字軍に殺されていたと知る。

切れた主人公が敵を壊滅。

とばっちりで高校時代の親友死ぬ。

日本を離れ中国大陸へ。

(中略)

ある地域で黒十字軍と互角に戦っている義勇軍の存在を知り助力に向かう。

予知能力を持つ義勇軍の女性頭領に騙され天叢雲剣と紋章を奪われる。

ミィナは囚われ、本人は銃撃を受け川に転落し半死半生。

下流にて地元の少女に助けられる。

回復後リベンジに向かう。

途中、森の中で斑の馬シャルバリーと出会い騎乗する。

戦場で死体漁りをしていた食人鬼あざみちゃんと出会う。

一口噛まれる。

あざみちゃんと別れたのち、アスラと名乗り黒十字軍に助太刀、なぜか黒十字軍の秘密兵器扱いを受け、義勇軍に恐れられる。

計略を使って黒十字軍、義勇軍ともにぶっころ。

ミィナ救出、天叢雲剣、紋章奪い返す。

泡の女神アフロディーテが待つ街へ。


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